今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円2週間ぶりに110円台前半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は続伸し、110円35銭まで上昇。「中国恒大集団」の信用不安が一時和らぎ、長期金利が上昇したことでドルが買われた。
  • 前日1.16台後半まで売られたユーロドルは反発。1.1750まで買われ、対円でも129円台半ばまで上昇。
  • 株式市場は大幅に続伸。恒大に対する懸念が後退したことや売られ過ぎた反動から主要株価は急上昇。ダウは前日の大幅高に続き500ドルを超える上昇。
  • 債券は急落。長期金利は大幅に上昇し、1.43%台に。
  • ドル高に金は大幅安。原油は反発し73ドル台を回復。
*****************************
9月マークイット製造業PMI(速報値) → 60.5
9月マークイットサービス業PMI(速報値) → 54.4
9月マークイットコンポジットPMI(速報値) → 54.5
新規失業保険申請件数 → 35.1万件
9月景気先行指標総合指数 → 0.9%
4−6月期家計純資産 → 5849b
*****************************
ドル/円 109.93 〜 110.35
ユーロ/ドル 1.1715 〜 1.1750
ユーロ/円 128.84 〜 129.46
NYダウ +506.50 → 34,764.82ドル
GOLD −29.00 → 1,749.80ドル
WTI +1.07 → 73.30ドル
米10年国債 +0.130 → 1.430%

本日の注目イベント

  • 日 8月消費者物価指数
  • 独 独9月ifo景況感指数
  • 米 8月新築住宅販売件数
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
  • 米 FRB、オンラインイベント開催。(パウエル議長、クラリダ副議長、ボウマン理事が参加)
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁、オンラインイベントで講演
  • 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、Q&Aイベントに参加
  • 米 日米豪印「クアッド」、初の対面首脳会議(ワシントン)

本日のコメント

日本が祝日の間に、金融市場は大きく変化しています。昨日は「中国恒大集団」への信用不安が一時的に和らぎ、株高、債券安が大きく進行。米長期金利は1.4%台に乗せ、7月6日以来となる1.43%台まで上昇しました。ドル円はこれに伴い110円台を回復し、110円35銭までドル高が進んでいます。こちらは2週間ぶりのドル高水準ですが、先週まで109円前半を試したドル円は、結局「往って来い」の展開となり、今度は再び上値ブレイクを試そうとしている状況です。ここから110円台半ばの水準ではこれまでにも何度も押し戻され、今回はどこまで「粘れるのか」、が注目されるところです。米金利との相関が高いドル円ですが、今回は米長期金利が想定以上に急上昇していることから、「ひょっとしたら?」との期待も膨らみます。

中国の金融規制当局は、深刻な資金難が続く不動産開発大手、「中国恒大集団」に対する幅広い支持を発しました。建設中の物件を完成させることと、個人投資家への債務を返済することに集中的に取り組むとともに、ドル建て社債で目先のデフォルト回避に全力を尽くすよう求めています。同社の債務危機を巡る警戒感がひとまず和らいだことが、欧米の株価急伸につながっていますが、一方で中国金融当局は具体的な助言を与えてはいません。同社はドル建て社債8350万ドル(約92億円)のクーポン支払が23日に期限を迎えましたが、30日間の猶予期間があり、どのような対応がなされるか注目されます。

FOMCについても触れておかなければなりません。21、22日に開催したFOMCでは、FF金利を据え置き予想通り、テーパリングが近く開始されることを示唆しています。パウエル議長は記者会見で、新型コロナウイルス禍に対応した経済支援の引き揚げに向けた最初のステップを説明し、「早ければ次回の会合で決定する可能性がある」と述べています。議長は、「資産購入縮小のタイミングとペースは、利上げ開始のタイミングに関して直接のシグナルを送ることを意図しない」と述べ、テーパリングが利上げを意味するわけではないと、従来の考え方を強調しています。また、今回発表された四半期ごとの経済予測では、早ければ2022年の利上げ開始が適切か否かに関して当局者の見解が二分されていることも分かりました。6月時点の予測では、「2023年まで利上げはない」ということがドット・プロットで示されていましたが、足元の物価上昇の継続がメンバーの利上げ開始に関する意識を変化させたようです。今回の予側中央値では、23年末のFF金利は「1.0%」で、24年末では「1.8%」が示唆されています。23年末については6月時点では「0.6%」で、24年末についての予測は今回初めて公表されました。「中国恒大集団」の債務問題についても議長は、「中国恒大の状況は非常に中国特有のものと見受けられる。中国は新興市場国としては債務水準がかなり高い」と語っています。(ブルームバーグ)

トルコ中銀は23日、サプライズの「利下げ」を行いました。政策金利である1週間物レポ金利をこれまでの「19.0%」から「18.0%」に引き下げることを決めました。この決定を受けてトルコリラは対円で12円43銭近辺まで売られ、対ドルでは一時8.80台まで売られ「過去最安値」を更新しています。トルコでは先月のインフレ率が「19.25%」と高インフレが依然として続いており、市場では、「今回の会合での利下げはない」と予想されてだけに驚きを持って受け止められています。「エルドアン大統領の圧力に屈した」ということでしょうか?カブジュオール中銀総裁も、結局は利下げ圧力に抗しきれなかったということになります。

本日のドル円は109円90銭〜110円60銭程度を予想します。本日は、日経平均株価の大幅高を見込んでいますが、どこまでリスクオンが進み、円売りが出るのかを見たいと思います。

==========

「中国恒大集団」の資金繰り悪化が金融市場に影響を与えています。懸念されるのは、今回の混乱が同社に限定されるのであればいいのですが、中国には恒大と同じように資金繰りが悪化している不動産会社がほかにも数社あるとの情報もあります。年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)が恒大に対し、2021年3月末時点で96.7億円を投資していることが判明しています。投資額は債券が59億781万円で、関連会社も含めた株式が37億6520万円だそうです。GPIFは「分散投資の一環で、年金運用に大きな影響はない」としています。確かに運用総額が186兆円を超えるGPIFには微々たるものですが、「分散投資」の一環で恒大を運用先に選んだことにはやや解せないものがあります。「分散投資」とは、そもそもリスクを分散するという意味があります。急激に業容を拡大した同社は、むしろリスクを内包していたのでは?

良い週末を・・・・・。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/22 パウエル・FRB議長 「早ければ次回の会合で決定する可能性がある」、「資産購入縮小のタイミングとペースは、利上げ開始のタイミングに関して直接のシグナルを送ることを意図しない」、「中国恒大の状況は非常に中国特有のものと見受けられる。中国は新興市場国としては債務水準がかなり高い」 ドル円110円35銭まで上昇。株高、債券安が大きく進行。
9/14 ロウ・オーストラリア中銀総裁 「22年や23年初めの利上げが織り込まれる理由は理解しがたい。この期間に他の国・地域で政策金利が引き上げられる可能性はあるが、我が国の賃金とインフレの動向は全く異なる」 豪ドル/米ドルが小幅に下落。
9/10 サマーズ・元財務長官 「2桁のインフレ率というカーター政権時代のような状況に近いとは思わないが、60年代と70年代初めに犯したほとんど全ての過ちを繰り返すという非常に深刻な危機にさらされていると考える」 --------
9/10 メスター・クリーブランド連銀総裁 「一段と顕著な進展を遂げたいという私の見解は、8月の雇用統計後も変わっていないと考える」、「年内のテーパリング開始を望む」 --------
9/9 エバンス・シカゴ連銀総裁 「昨年に経済活動が深刻かつ急激に落ち込んだ後、経済は力強く成長した。しかし、サプライチェーンや労働市場で広がるボトルネックが示すように、課題は山積している」、「新型コロナウイルスの新たな変異株が全米で健康や安全性に影響を及ぼす中、全ての共通要素は引き続き不確実性が高いということだ」 --------
9/9 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「夏の前半には強いデータが出ていたので、私は多くの予想よりも早期のテーパリング開始支持に相当傾いていた」、「最近の弱いデータはまだ幾らかの駆け引きがある可能性を示唆したが、私は今も年内のある時点が適切だと考えている」 --------
9/9 ボウマン・FRB理事 「私が期待するようなデータが出てくれば、年内に資産購入縮小の過程に入ることは適切となる可能性が高い」、「私は入ってくるデータに勇気づけられていることに変わりはないが」、「われわれの協議結果を事前に判断したくない」 --------
9/9 ラガルド・ECB総裁 「ユーロ圏経済の回復がますます進展している」と、(今回の決定は)「テーパリングではない」、「PEPPを向こう3カ月について微調整する」 ユーロドルの上昇が抑制される。
9/8 ブラード・セントルイス連銀総裁 「8月の雇用者数の伸びの弱さにもかかわらず、新型コロナウイルス対策の大規模な債券購入を段階的にする計画を進めるべきだ」 --------
9/8 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「私が想定する通りに米経済の改善が続くならば、年内に資産購入ペースを落とし始めることは適切となり得よう」と、「今後入って来る労働市場のデータや、それが経済見通しにどのような意味を持つのかを慎重に判断していく。デルタ変異株の影響をはじめとするリスクも見極めていく」 --------
9/1 ワイトマン・ドイツ連銀総裁 物価見通しに対するリスクを注視しなければならない。私の見解は、上向きのリスクが優勢だ」、「緩和的な金融政策は依然として適切だが、インフレが加速し過ぎるリスクを無視すべきでない」 市場ではドル安ユーロ高がやや進む。
8/31 クノット・オランダ中銀総裁 「来週開かれる政策決定会合でパンデミック緊急債券購入プログラム(PEPP)の3月終了と矛盾しないか決定がなされると見込んでいる」、「つまり、購入ペースの減速を意味する」 --------
8/31 ホルツマン・オーストリア中銀総裁 「9月会合で危機対応措置の縮小議論をすべきだ」 --------
8/27 パウエル・FRB議長 (テーパリングについて)、「年内に開始するのが適当だろう」、「インフレ目標に向けて、一段と顕著な進展を遂げるという基準を満たしたと」、「労働市場についても、明確な進展を遂げたと思う」、「見込まれる資産購入縮小のタイミングとペースは、利上げ開始時期に関する直接的なシグナルを送ることを意図してするわけではない。利上げ開始については、われわれは異なった、そして一層厳しい基準を明確にしている」 債券と株が買われ、金利低下に伴いドル円は110円26銭から109円78銭近辺まで下落。
8/26 ブラード・セントルイス連銀総裁 「米国は好景気に沸いており、現時点での一段の刺激策は恐らく必要ない」発言し、「テーパリングを着手する必要がある」 --------
8/26 カプラン・ダラス連銀総裁 「現時点で把握できる状況に基づき、この見通しを大きく変更せざるを得ないような事象は見受けられない」、「9月会合までの数週間、このことを注視し続ける。9月会合の時点で資産購入を調整する計画を発表する状況が十分に整い、10月かそのすぐ後に実行に移せるとみているが、これからの注視後のこの見解はかわりないだろう」 --------
8/25 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「新型コロナウイルスのデルタ変異株が米経済見通しと雇用の拡大にとってリスクだとしても、政策当局者は資産購入ペースを落とす行動の『スタートを切る』必要がある」、「われわれがこれまで目にした進捗を考えれば、そのような調整に着手する時期だという私自身の計算が変わるとは考えない」 --------
8/18 ブラード・セントルイス連銀総裁 (米経済について)「金融当局の雇用と物価安定に関する目標の達成に向けて、大きな進展を遂げた」、(テーパリングに関して)「2022年1−3月までに終わらせることが望ましい」、「それにより、多くの選択肢が生まれる」 --------
8/11 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「われわれは近づきつつある。ただいつになるか正確には分からない。その時期が確実に近づいた時には、経済に無理が出ない範囲で早急にテーパリングを行い、正常な環境に向かって戻っていくことを私は強く支持する」 --------
8/11 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「景気回復が進行していることを踏まえ、今こそ金融緩和政策からより中立的な政策設定へと移行する必要がある」、「私が先に説明したように現在の引き締まった経済状態が、引き締まった金融政策を必要としているわけでは当然ないが、政策の設定を巻き戻す時期が来たというシグナルであることは確かだ」 --------
8/10 エバンス・シカゴ連銀総裁 恐らく年内に『一段と顕著な進展』が見える段階に達すると私は予想している。それが来年にずれ込むとは思わない」、(テーパリングに関する決定を前に)、「さらに数回の雇用統計を見てみたい」 --------
8/9 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「米経済が米金融当局の目標に向って前進していると言って、差支えないと」、「労働市場には前進の余地がまだあると思う」 --------
8/9 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「かなり心強いのは確かだ。これが次の1−2カ月続けば目標に向けて『顕著な進展』があったことになり、新たな政策姿勢をどうするか考えるべきだろうというのが私の感触だ」 --------
8/5 ウオラー・FRB理事 「6日発表の雇用統計、翌月の雇用統計はいずれも非常に高い数字が出ると強く期待している」、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」 --------
8/4 クラリダ・FRB副議長 「FF金利の目標レンジの引き上げに必要な条件は、2022年の終わりまでに達成されているだろう」、「23年には利上げを開始するだろう」 ドル円は108円後半から109円台半ばを超えて上昇。債券と株は売られる。
8/2 ウオラー・FRB理事 「9月までに発表する準備は整い得ると考えている」、「それは次の2回の雇用統計次第だ。前回のように強い数字が出れば、必要な進展が遂げられたと考える。そうでなければ、あと2カ月ほど先送りする必要が生じるだろう」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和