[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は12日、ユーロ圏のインフレが過度に低下する可能性は低く、リスクはむしろ上振れする方向に傾いている可能性があるが、ECBは目標からの小幅な乖離は容認できるとの見方を示した。
ユーロ圏インフレは今年はECBの2%目標付近でほぼ推移してきたが、来年は目標を下回る可能性があり、以前のような持続的下振れリスクの可能性が取りざたされている。
BNPパリバの会議で同理事は、「私の見立ては、経済が回復しつつあるなか需給ギャップの縮小と大規模な財政刺激策が見込まれ、それが経済を刺激するというものだ」と指摘。「それらはディスインフレ圧力をもたらすような経済ではない。むしろ別の方に向かう」と述べた。
輸入インフレを抑制する為替レートは現在安定しており、中国がユーロ圏に余剰輸出品を投げ売りするとの懸念も現実には起こっていない。「実際、中国からEUへの輸出は減少している。今のところこのリスクは現実化していない」と語った。
その上で、地政学的な分断がコストを押し上げる可能性や、レアアースが輸入できないといったサプライチェーンの混乱にもつながる恐れを指摘。食品価格のインフレが比較的高く、賃金の伸びも予想より緩やかに低下しているとし、「総じてリスクはむしろ上振れ方向にやや傾いているという結論に至る」と述べた。