口座開設

焦点:トランプ関税差し止め命令に油断は禁物、手を替え品を替え継続か
2025/05/30 14:33

[29日 ロイター] - 米国際貿易裁判所(CIT)は28日、「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づく相互関税などトランプ大統領が打ち出した関税措置の多くを違法と判断し、差し止めを命じた。しかし貿易や法律の専門家は、トランプ氏が利用可能な、関税措置の根拠となる法律は他にも多数あるため、今回の判決でトランプ氏の関税攻勢は鈍りこそすれ止まることはないと見ており、外国政府や企業などにトランプ関税がさまざまに形を変えて継続される事態に備えるべきだと助言している。

CITの判決を巡って二審にあたる米連邦巡回区控訴裁判所は29日、判決の一時停止を命じた。そのためIEEPAに基づく関税措置は当面の間継続され、対外的な交渉上の圧力としての効力を維持している。

オハイオ州コロンバスの法律事務所トンプソン・ハインで米・カナダ貿易を専門とする弁護士のダン・ユツォ氏は「これはほんの序章にすぎない。トランプ政権には、CITの判決で示された境界を踏まえて大統領令の枠組みを再構築するなど複数の選択肢がある」と述べた。

CITは今回の判決で、IEEPAに基づく懲罰的関税の導入でトランプ氏が法的権限を逸脱したと断じた。

IEEPAの最大の利点は、その迅速性と広範な適用範囲にある。通常の関税導入手続きに必要な長期の貿易調査や意見公募のプロセスを回避することが可能で、1月20日の大統領就任後数週間以内に関税を導入したいというトランプ氏の意向に合致していた。

以前から存在する関税導入手段としては、2018年と19年に中国製品への関税に使われた、海外の不公正な貿易慣行への制裁措置などを定める「通商法301条」や、鉄鋼・アルミニウム・自動車関税に使われた、安全保障を理由に輸入制限を課せる「通商拡大法232条」などがある。

ピーター・ナバロ大統領上級顧問は記者団に対し、仮にIEEPAが最終的に使用できなくなったとしても、トランプ政権は通商拡大法232条や通商法301条、さらにはこれまで一度も使われたことのない他の2つの貿易措置─1930年関税法338条および1974年通商法122条─を活用できると主張。「つまり、たとえ今回敗訴したとしても、われわれは別の方法でやると考えてもらって構わない」と言い切った。

<トランプ氏の権限一段と拡大も>

通商法第122条はトランプ氏に対して、国際収支の問題に対処するため、またはドルの大幅な下落を防ぐために、最大15%の関税を150日間課す権限を与えている。ただし、この措置を150日以降も継続するには議会の延長承認が必要となる。

皮肉なことに、通商法122条は1971年にリチャード・ニクソン大統領がIEEPAの前身となる「1917年敵国通商法」に基づいて世界的に10%の関税を課したことへの反動として制定された経緯がある。

ナバロ氏はブルームバーグテレビで「全体的に見ればIEEPAを使ったわれわれの法的立場は非常に強いと考えている。しかし、裁判所が言っているのは、もしIEEPAで負けたとしても他の方法でやればよいということであり、つまり本質的には何も変わっていない」と語った。

4月2日の相互関税発表前に一部の専門家は、トランプ氏が関税導入を正当化するために制定から85年を経た関税法338条を使うと予想していた。この法律は脅しとして使われたことがあるが、実際に発動されたことはなく、1940年代以降、公的記録からはほぼ姿を消している。338条を使うとトランプ氏は、米国製品を差別的に扱い、他国製品と比べて「不利な立場」に置くような国からの輸入品に対して15%から最大50%までの追加関税を課すことが可能になる。

ユツォ氏は、トランプ氏が関税権限を強めるために議会に再度働きかける可能性もあると述べた。そうなればこうした関税は法的により持続可能なものとなり得る。ユツォ氏は「トランプ氏の権限がむしろさらに強化され、CITの判決を歓迎している人たちは『ぬか喜び』に終わるかもしれない」と語った。

トランプ政権1期目に貿易顧問を務め、現在はワシントンの法律事務所エイキン・ガンプのパートナーであるケリー・アン・ショー氏は、CITや他のIEEPA関連裁判の判決がどんなものであっても、トランプ氏が関税戦略を簡単に放棄することはないと見ている。「トランプ政権が、非常によく似た、あるいは同じ内容の措置を正当化するのに使える他の法的根拠はふんだんにある。だから企業やクライアント、政府筋と話す際には、たとえ全く同じ形ではないにせよ、これらの関税措置は何らかの形で継続すると考えるのが最も安全だと伝えている」という。

外為オンラインなら
ジャンル別ニュースも豊富!
このページのコンテンツは、リフィニティブから情報提供を受けています。 リフィニティブは、投資判断の参考となる情報提供を目的としており、投資勧誘を目的として提供するものではありません。 掲載されている情報の無断転用および再配信・再利用を固く禁じます。 情報の掲載に当たっては万全を期しておりますが、当社がその内容を保証するものではありません。 また、情報の内容は予告なく変更・訂正されることがあります。 掲載内容により生じた損害について、当社および情報提供者は一切の責任を負いません。 投資の最終決定は、お客さまご自身で判断されますようにお願いいたします。
外国為替証拠金取引とは、元本や利益が保証された金融商品ではありません。お取引した通貨にて、相場の変動による価格変動やスワップポイントの変動により、損失が発生する場合があります。レバレッジ効果では、お客様がお預けになった証拠金以上のお取引が可能となりますが、証拠金以上の損失が発生するおそれもあります。外為オンラインFXでは、個人のお客様の取引に必要な証拠金は、各通貨のレートにより決定され、お取引額の4%相当となります。証拠金の25倍までのお取引が可能です。(法人のお客様の場合は、当社が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額以上の委託証拠金が必要となります。為替リスク想定比率とは金融商品取引業に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。)くりっく365の取引に必要な証拠金額は、取引所が定める証拠金基準額で、個人のお客様の場合は、証拠金額の約25倍のお取引が可能です。(法人のお客様は、証拠金の額がリスクに応じて算定される方式であり、取引所が算定する証拠金基準額及び取引対象である為替の価格に応じて変動しますので、証拠金額のくりっく365取引金額に対する比率は、常に一定ではありません。)取引手数料は、外為オンラインFXでは、取引コースにより1000通貨コースが1ロットあたり片道0円~20円(税込)、1万通貨コースが1ロットあたり片道0円~200円(税込)となります。くりっく365では1ロットあたり片道0円~3,080円(税込)となります。(詳細は取引要綱詳細をご参照ください。)また、本取引に係る法定帳簿の書面による交付を申し出された場合のみ、書類作成送付手数料(1送付当り2,160円(税込))が必要となります。取引レートの売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。当社は法令上要求される区分管理方法の信託一本化を整備いたしておりますが、区分管理必要額算出日と追加信託期限に時間差があること等から、いかなる状況でも必ずお客様から預かった証拠金が全額返還されることを保証するものではありません。ロスカット取引は、必ず約束した損失の額で限定するというものではありません。通常、あらかじめ約束した損失の額の水準(以下、「ロスカット水準」といいます。)に達した時点から決済取引の手続きが始まりますので、実際の損失はロスカット水準より大きくなる場合が考えられます。また、ルール通りにロスカット取引が行われた場合であっても、相場の状況によってはお客様よりお預かりした証拠金以上の損失の額が生じることがあります。お取引の開始にあたり、契約締結前交付書面を熟読の上、十分に仕組みやリスクをご理解いただき、ご自身の判断にて開始していただくようお願いいたします。商号:株式会社外為オンライン(金融商品取引業者)  登録番号:関東財務局長(金商)第276号加入協会:一般社団法人 金融先物取引業協会(会員番号1544)