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アングル:米企業のCEO交代加速、業績不振や問題行動に厳しい目
2025/08/03 08:04

Svea Herbst-Bayliss Isla Binnie

[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米企業は過去20年間で最も速いペースで最高経営責任者(CEO)を交代させている。株主や取締役会からの監視が強まり、低調な業績やCEOの不適切な行動に対する許容度が低下しているためだ。

非営利の経営者調査団体コンファレンス・ボード(CB)とデータ分析企業ESGAUGEのデータによると、S&P総合500種企業では今年に入って少なくとも41人のCEOが退任し、既に昨年1年間の49人を上回った。年率換算すると2005年以来の最速ペースだ。

直近では日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が28日、ジョン・モーラーCEOが来年退任して後任にシャイレシュ・ジェジュリカ氏が就く人事を発表した。21年からCEOを務めてきたモーラー氏は執行会長に就任する。

過去3週間だけを見ても、解熱鎮痛剤「タイレノール」を展開するケンビューがCEOを交代させ、医療製品卸売大手ヘンリー・シェインも年内のCEO退任を発表した。

ロイターが取材した経営幹部人材会社の幹部、投資家、銀行関係者、弁護士、業界顧問ら10人余りは、今年CEOの交代ペースが速い原因について、新型コロナ禍以降に蓄積された経済的・社会的変化を含む多様な要因を挙げた。

高インフレ、地政学的不安定さ、トランプ政権の貿易戦争がCEOの仕事を複雑化させた一方、取締役会の多様性が進んで独立性が高まり、CEOに対する要求が厳しくなったという。

同時に、株価は最高値を更新しているものの、そのけん引役がハイテク大手に集中している状況下、株価がアンダーパフォームしている企業ではアクティビスト(物言う投資家)が影響力を強めて事業売却から自社株買いに至る企業改革を要求し、経営陣の交代につながっている。

アクティビストの圧力を受ける企業を支援するコンサルティング会社ジャスパー・ストリートのマネージングパートナー、ピーター・ダシルバビン氏は「CEO更迭の動きは、失敗した企業戦略を巡る投票と化した」と説明。「投資家は、企業にメッセージを送る仕組みとしてのこれ(CEO更迭)に満足するようになった」と語った。

同業他社に後れを取る企業のCEOは、アクティビストからの要求に最もさらされやすい。CB主導で昨年11月に実施された調査によると、昨年CEOが交代したS&P総合500種企業のうち、42%は株主総利回りが下位25パーセンタイルに入っていた。

ケンビューのケースを見よう。同社は2年前にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)から分社化して以来、株価が16.5%下落し、取締役会は「株主価値を解放し潜在力を最大限に発揮」するためとしてティボー・モンゴンCEOの交代を発表した。ケンビューが分社化した2023年8月以降、S&P総合500種は41%上昇している。

ケンビューがCEO交代に動いたのは、スターボード・バリュー、トムズ・キャピタル、サード・ポイントの米ヘッジファンド3社が企業改革を要求した後だった。

ケンビューはコメントを控え、モンゴン氏のコメントは取れず、ヘッジファンド各社もコメント要請に応じなかった。

ジョージタウン大学教授で企業統治専門家のジェイソン・シュロッツァー氏は「アクティビストはますます力を得たと感じており、例えば自分たちが企業の5カ年計画に投資したのであれば、それを実行できる人物を求める」と説明。「そして、トップがそれを実行できないのであれば、次の人物を探すまでだ」と話した。

企業統治の専門家らは、この10年で多様性確保が重視されるようになり取締役会の構成が変化したことも、経営陣の交代に影響を与えていると指摘している。

企業幹部人材紹介会社スペンサー・スチュワートの幹部、ジェイソン・バウムガートン氏は「新たな取締役会の顔ぶれは、前世代に比べて客観性がある」と語った。

CEOの交代スピードが速いもう1つの要因は、特に「#MeToo運動」が始まって以降、非倫理的な行動に対する許容度が低下していることだ。S&P総合500種企業のCEO40人のうち、少なくともスーパーマーケット大手クローガーと百貨店チェーン大手コールズのCEO2人は個人的な行動に関する疑惑が理由で辞任した。両社の代表者はコメント要請に応じなかった。

この傾向は上場企業だけにとどまらない。

今月初め、非公開のハイテク企業、アストロノマーのアンディ・バイロンCEOがコールドプレイのコンサート中に妻ではない同社の人事責任者を抱きしめる映像がインターネット上で話題となり、バイロン氏は辞任した。同社はコメント要請に応じず、バイロン氏にも連絡は取れなかった。

ジャスパー・ストリートのダシルバビン氏は、企業の長期的な価値において、評判リスクと企業文化が中心的な役割を果たすようになったと指摘。「今の取締役会は、計画を執行するためだけでなく、株主、従業員、そして社会の信頼を守るため、経営陣解任の決断を以前よりはるかに迅速に下すようになった」と分析した。

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