Michael Martina
[ワシントン 1日 ロイター] - 米中央情報局(CIA)は1日、中国の高官に対し機密情報を米国に提供するよう呼びかける中国語の動画を公開した。中国に関する情報収集を強化することが狙い。
CIAは昨年10月、中国、イラン、北朝鮮の情報提供者を募集するため、交流サイト(SNS)を活用した手法を導入。ロシアでの情報収集で成果を収めた取り組みだと説明した。
CIAのSNSアカウントに投稿された2本の短い動画では、機密情報を入手できる中国共産党の幹部と下級の政府職員が中国の体制に幻滅し、CIAに接近するという架空のストーリーが展開される。
中国政府や共産党上層部に対する不満を引き出す狙いがあるとみられる。
動画ではナレーターが中国語で「党内で昇進を重ねるうちに、上層部が使い古された靴のように捨てられていくのを見てきたが、今、自分も同じように危険な運命にあることに気づいた」と語り、豪華な夕食が用意されたテーブルの周りに誰も座っていない椅子が並んでいる場面が映し出される。
ナレーターは「自分の家族の運命を彼らの手に委ねることはできない」とつぶやき、タブレットを使ってCIAに連絡を取る。動画の最後にはCIAのロゴとCIAのダークウェブ上の連絡先が表示される。
あるCIA当局者はロイターに、米国は対諜報活動だけでなく、科学・軍事・サイバー分野の先進技術、貴重な経済データ、中国の外交政策に関する機密情報にも関心があると述べた。
CIAのラトクリフ長官は、中国共産党が米国にとってかつてないほど恐るべき難題になっていると表明。
「中国共産党は、経済・軍事・技術の分野で世界の支配を目指している。われわれはこの脅威に対して迅速かつ創造的に、そして不屈の精神で対応を続けなければならない。今回の動画はその一例に過ぎない」との声明を発表した。