Noriyuki Hirata
[東京 6日 ロイター] - 6日の東京株式市場で、ispace株がストップ安水準で売り気配となっている。この日明け方に試みた2回目の月面着陸ミッションが失敗したとの見解を明らかにしたことが伝わり、嫌気した売りが優勢となっている。
同社株の信用倍率は3万倍超で、市場では「異例の倍率で、成功を前提にした期待が入っていたことがうかがえる。信用買い残を踏まえると、売り需要は相応の規模が想定される」(国内証券のストラテジスト)との声がある。信用買い残934万枚に対し現時点の買い注文は63万枚で、売り需要の消化には時間がかかる可能性がある。
同社は、この日の明け方に行った月面着陸のミッションを終了したと発表。着陸船は月面に「ハードランディング」した可能性が高いと推測し、着陸は失敗と判断した。フィリップ証券の館野俊之シニアアナリストは、成功していれば黒字化に向けた期待につながった可能性があったとし、「期待が2年後に先延ばしになった」と話す。
その間、すでに成功している競合企業のミッションは複数回予定されており「競合相手の成否にもよるが、実績面での出遅れ感は否めない」(舘野氏)という。
これまで民間では、宇宙企業インテュイティブ・マシンズの無人月着陸船が昨年2月、月の南極付近への着陸に世界で初めて成功。今年3月には 米ファイアフライ・エアロスペースの着陸船が月の火山噴出口に近い地点への着陸に成功し、2例目となった。
ispaceによる月面着陸の挑戦は2023年4月以来2回目で、前回は着陸船が高度測定を誤ったことなどが原因で、月面に落下したとみられている。その後、期待通りに動作しなかったソフトウエアの改修などを行っていた。