タイ・カンボジア国境で軍が衝突、互いに非難
タイ・カンボジア国境で衝突、民間人含む12人死亡 タイ軍は戦闘機出動2025/07/24 12:33

Panu Wongcha-um Chayut Setboonsarng Panarat Thepgumpanat

[バンコク/プノンペン 24日 ロイター] - タイとカンボジアの国境紛争地帯で24日、武力衝突が発生、これまでに少なくとも民間人含む12人が死亡した。

タイ軍はF16戦闘機を出動、カンボジア側の軍事目標を破壊した。軍報道官は「計画通り、軍事目標に対して空軍力を使用した」と発表。カンボジアとの国境も閉鎖した。

タイのソムサック保健相は、カンボジア軍の砲撃により国境沿いの3県で民間人11人と兵士1人が死亡、民間人24人と兵士7人が負傷したと発表した。

衝突はこの日早朝、東部の係争地であるスリン県のタ・モアン・トム寺院付近で発生、スリン県では病院も砲撃されるなど、子ども1人のほか砲弾の家屋落下で2人が死亡した。シーサケート県では8人が死亡、15人が負傷、ウボンラーチャターニー県でも1人が死亡したという。

カンボジアでの被害情報は今のところない。

タイ外務省の発表によると、カンボジア軍が早朝、タイの軍事基地を砲撃、一部が病院など基地以外も標的にし、民間人に死傷者が出た。「カンボジアが武力攻撃とタイの主権侵害を続ける場合、自衛措置を強化する用意がある」としている。

一方、カンボジア国防省は、戦闘機が爆弾2発を道路に投下したと発表、「カンボジアの主権と領土に対するタイの無謀な軍事侵略を強く非難する」と述べた。

カンボジア外務省は、タイの空爆を非難、タイに軍の撤退と「さらなる挑発行為を控える」よう求めた。

今回の衝突について双方とも相手側が先に発砲したと非難している。タイ軍は、カンボジア軍の発砲でタイ軍の兵士2人が負傷、カンボジア側はロケット砲など複数の武器を使用したと指摘。

しかし、カンボジア国防省は、タイ軍による一方的な侵入があり自衛のために対応したとしている。

タイ与党は前日、駐カンボジアのタイ大使を召還するとともに、駐タイのカンボジア大使を帰国させると発表していた。カンボジア国境の係争地に最近敷設された地雷で、この1週間で2人目の負傷者がタイ軍に出たことを受けた。この兵士は手足を失う重傷を負ったという。

タイとカンボジアは1世紀以上にわたり、817キロに及ぶ国境地帯の複数地点で領有権を争っている。数年にわたる小競り合いで少なくとも12人が死亡し、2011年には銃撃戦が1週間続く衝突もあった。

5月には銃撃戦でカンボジア兵士が死亡し緊張が再燃、外交危機に発展した。このなかカンボジアの事実上の最高権力者であるフン・セン氏とタイ首相の電話会談が流出、ペートンタン首相の職務停止につながった。