[北京/上海19日ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラは、中国製EVにかかるカナダの100%関税撤廃の恩恵を最も早く受ける自動車メーカーの1つになる見込みだ。上海工場からの輸出体制を早くから整え、既存のカナダ販売網も確立していることが強みだと、専門家は指摘する。
先週16日に発表された協定によれば、カナダは年間最大4万9000台の中国製車両を最恵国待遇6.1%の関税で輸入可能とする。カナダのカーニー首相は、5年以内に7万台まで引き上げる可能性があると述べた。
ただし協定の条項の1つでは、割り当て台数の半分は3万5000カナダドル(約2万5189ドル)以下の車両に限られる。テスラのモデルは全てこの水準を上回る。
多くの中国メーカーも輸出拡大の機会を狙うが、テスラはすでに2023年に上海工場でカナダ向けのモデルYを生産・輸出できる体制を整えていたため有利だ。
テスラは同年、上海からカナダへの出荷を開始し、カナダ最大の港バンクーバーの中国製車両の輸入は前年比460%増の4万4356台となった。しかし、オタワが中国の意図的な生産過剰政策をけん制する目的で100%関税を課したため、24年には出荷を停止し、米国やベルリン工場からの出荷に切り替えた。
現在はベルリンで生産したモデルYをカナダへ輸出しているが、より廉価なモデル3などの多くの車種は主に中国製だ。
調査会社オートフォーキャスト・ソリューションズのバイスプレジデント、サム・フィオラニ氏は「今回の協定により、比較的早く輸出が再開できる可能性がある」と述べた。
テスラはカナダ国内に39店舗を展開しており、BYDやNioなどの中国競合はまだ販売拠点を持たない。また、モデル数が少なく、販売戦略を迅速に展開できる利点もある。
上海のコンサルティング会社オートフォーサイトのイェール・チャン取締役は「モデル数が少なく、生産ラインが単純で柔軟性があるため、どの国で生産した車でも最適なコスト効率で販売できる点は、テスラの明確な優位性だ」と語った。
ただ、価格に関する条項は中国メーカーに一定の余地を与える可能性がある。
フィオラニ氏は「恩恵を受けるのは、中国メーカーと、エントリーレベルの車を求めるカナダの消費者だろう」と述べた。
ロンドン拠点のコンサルティング会社グローバルデータの中国市場予測責任者ジョン・ゼン氏は、この割り当てにより、中国系自動車メーカーがカナダ市場で試験的に販売する機会が得られる可能性があると指摘。カナダには中国系カナダ人の人口も多い。
中国最大EVメーカーであるBYDは現在、オンタリオ州で電気バスの組立工場を運営している。