今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円は159円台を回復」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 前日159円台を回復したドル円は、この日も底堅く推移。原油価格が上昇したこともあり、159円36銭までドル高に。
  • ユーロドルは1.15台半ばで方向感も出ず。
  • 株式市場では3指数が揃って続落。イラン情勢が引き続き不透明な中、本日のCPI次第では利上げ観測が再び高まるとの懸念も。
  • 債券は買われ、長期金利は4.68%台で推移。
  • 金は3日続伸。原油も買われ83ドル台に。
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7月中古住宅販売件数 → 4.06百万戸
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ドル/円 159.19 〜 159.36
ユーロ/ドル 1.1534 〜 1.1548
ユーロ/円 183.73 〜 183.92
NYダウ −184.13 → 53,791.85ドル
GOLD +21.40 → 4,441.10ドル
WTI +1.07 → 83.20ドル
米10年国債 −0.018 → 4.688%

本日の注目イベント

  • 豪  豪第2四半期賃金指数
  • 中東 OPEC月報
  • 独  独7月消費者物価指数(改定値)
  • 米  7月消費者物価指数
  • 米  7月財政収支

本日のコメント

イラン情勢を巡っては、相変わらず関係者の間で意見の相違が観られ、米国とイランとの合意は不透明です。パキスタンのハワジャ国防相は、ホルムズ海峡を巡る交渉で米国とイランは「何らかの合意に近づいている」と述べました。交渉が長期にわたって膠着する中、双方が強硬姿勢を強めているように見える状況でも、合意に向けた進展があるとの認識を示しています。ハワジャ国防相は11日、イスラマバードで記者団に対し、「状況は平和に向けて進展している」と述べましたが、具体的な進展には言及していません。アルジャジーラはこれに先立ち、カタール外務省報道官の話として、ホルムズ海峡で一部の海上輸送を再開するためのイランとオマーンの協議は最終段階に入っていると報じました。カタールはパキスタンとともに紛争の仲介役を務めています。

こうした楽観的な見方が示された一方で、トランプ大統領は10日、「私も同様に、イランが路上爆弾や数々の紛争で殺害したり重傷を負わせたりした全ての人々への賠償をイランに要求している。加えて、過去50年間にイランが殺害した何十万人もの罪のない抗議参加者の遺族にも賠償金が支払われるべきだ」と、SNSに投稿していました。トランプ氏は自身が新たに示した広範な要求について、今後の「あらゆる交渉に断固として盛り込む」と表明しました。ブルームバーグは、「ただ、イラン側が受け入れる可能性は極めて低い。イラン政府は週末から10日にかけて、2月28日に始まった米国とイスラエルによる戦争の賠償を求めていると強調していた。トランプ氏は投稿の直後、新たな要求の対象をさらに広げ、イランはレバノン、シリア、イエメン、ガザの人々が被った損害や死に責任を負うべきだと述べた。具体的な説明はしなかった。イラン当局者は、イランとオマーンが合意に近づいている可能性を示唆しているものの、そうした合意がホルムズ海峡の即時かつ全面的な再開につながるのか、またイランが同海峡を通航する船舶にどのような条件を課す可能性があるのかは不透明だ。」と報じています。米イラン双方が、自国に有利な条件での合意以外、妥協はしない姿勢を示しており、同時に双方とも想定よりも戦争が長引いたことで、米国はミサイルなどの武器が極めて枯渇しており、一方のイランは戦費がまもなく底をつくとの報道もあります。ブルームバーグは、同社の国防担当者の意見として「米国はミサイルを使い果たしたわけではないが、必要なミサイルが不足しつつある。残された選択肢にはどれも代償が伴う。今回の戦争では、調達や生産を上回るペースで重要な兵器を消費してきた。その結果、防空用の迎撃ミサイルや高性能な長距離兵器で、短期間では解消できないほど深刻な在庫不足が生じている」との分析結果を紹介していました。双方とも犠牲者も出しており、「戦争に勝利者はいない」という言葉が思い出されます。

これまでも多くのFOMCメンバーから、「現時点ではインフレが最大のリスクであり、利上げをするのが妥当だ」といった意見が出ましたが、先週末の「米7月の雇用統計」で非農業部門雇用者数(NFP)が、市場予想を大きく下回る「マイナス」で、さらに6月、5月分も合計で10万人を超える下方修正でした。これで、一気に労働市場の減速が意識され、利上げ観測が大きく後退しました。その結果、ドル円は158円台半ばから156円68銭まで急落しましたが、10日のNYでは159円台まで反発しました。労働市場の減速が一時的なものなのかどうかは、今後のデータを見る必要がありますが、目先は今夜の「7月消費者物価指数(CPI)」です。シカゴ連銀のグールズビー総裁は、米WIREDのユーチューブチャンネルに11日投稿された動画で、インフレについて「現在、米経済が直面する最大の問題だ」との見解を示し、指標は「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」と述べており、やはりインフレを警戒していました。

ドル円は、159円台まで反発したことで、「雇用統計」発表前の水準を超えてきました。日足チャートでは、抵抗帯である「雲の下限」の158円94銭を上回り、現在は雲の中で推移しています。この雲はかなり厚く、雲の上限を抜けるには161円39銭を上回る必要があります。日米協調介入が実施された以上、このまま円安が再び進むことを両通貨当局が放置するとも思えません。160円近辺が再び重要な水準として意識されることになりそうです。また、米国の市場介入への参入も、このまま日本と足並みを揃えて協力するかどうかも不明です。米国の本音は、為替市場で円が売られることよりも、日本国債が売られ、金利が上昇することにあるからです。

本日のドル円は158円30銭〜160円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
7/29 FOMC声明文 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。
7/29 ウォーシュ・FRB議長 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。
7/23 ラガルド・ECB総裁 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。
7/16 ローガン・ダラス連銀総裁 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 --------
7/14 ウォーシュ・FRB議長 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 --------
7/13 ウォラー・FRB理事 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。
7/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 --------
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和