今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円161円98銭まで上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は介入警戒感がある中、小幅に続伸し161円98銭を付ける。1986年12月以来、ほぼ40年ぶりの円安を記録。米国とイランが報復攻撃停止に合意。日本の財政懸念が再び注目されたことも円売りに。
  • ユーロドルは続伸。1.1430まで買われ、終始1.14台で推移。
  • 株式市場では、米国とイランが報復攻撃停止で合意したことを好感し、3指数が揃って大幅高。ダウは306ドル買われ、最高値を更新。
  • 債券は小幅に下落。長期金利は4.37%に上昇。
  • 金は反落し、原油は小幅高で70ドル台に。
ドル/円 161.81 〜 161.98
ユーロ/ドル 1.1401 〜 1.1430
ユーロ/円 184.58 〜 185.10
NYダウ +306.62 → 52,182.74
GOLD −57.40 → 4,038.90ドル
WTI +1.52 → 70.75ドル
米10年国債 +0.006 → 4.374%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
  • 日 5月鉱工業生産
  • 日 5月失業率
  • 中 6月中国製造業PMI
  • 中 6月中国サービス業PMI
  • 独 独6月雇用統計
  • 独 独6月消費者物価指数(速報値)
  • 英 英1−3月期GDP(改定値)
  • 英 英1−3月期経常収支
  • 米 4月S&P Cotality CS20−City YoY NSA
  • 米 4月FHFA住宅価格指数
  • 米 6月コンファレンスボード消費者信頼感指数
  • 米 5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数

本日のコメント

ドル円は小刻みに上昇し、NYでは1986年12月以来となる161円98銭までドル高が進みました。ほぼ40年ぶりのドル高水準ですが、先週記録したドルの高値からはわずか、「3銭の更新」でした。この辺りに、現在のドル円が置かれている状況が鮮明に表れています。つまり、原油高にも関わらず米国の雇用は好調で、FRBの焦点はインフレに限定されています。そのため利下げ局面は終わり、年内に最低でも1回、インフレの動向によっては2回の利上げも考えられるのが米国です。一方、利上げペースが極めて緩やかで、常に財政懸念が付きまとう日本。昨日の「骨太の方針案」で、日銀による『適切な金融政策運営』を巡っては、昨年の方針にはなかった『非常に重要』との文言が加わったことで、市場は「利上げを続ける日銀をけん制する動き」と捉え、円売り材料になった可能性もあります。しかし円売りがさらに加速しそうな中でも、「いつ介入があってもおかしくはない」状況が「3銭の更新」を生み出しています。ここまで来ても、当局の介入が見られないことに、やや不気味さを覚えますが、2日後には「米6月の雇用統計」が控えています。当局が、この結果を見極めたいと考えているのかもしれません。雇用がさらに好調であれば、それが材料となり162円を優に超える可能性があります。ますます動きにくくなっていますが、夕方5時以降が決戦場になっている状況が続いています。ブルームバーグは、「足元の円相場は下落基調にあり、日本経済はデフレからの完全脱却に向けた動きが続く。円安は輸出企業の収益を押し上げ、日本株は史上最高値圏で推移。一方、ドル建てで取引される原油や天然ガスなどの輸入コストは膨らみ、食品からガソリンまで幅広い価格上昇を通じて家計を圧迫し、高市早苗首相率いる政権の支持率を損なう恐れもある」とし、「相場が速やかに反転しなければ、為替介入も目前だ。ただ、介入をしたとしても日米の金利差という問題に対処しなければ、一時しのぎに過ぎない」といった市場関係者の言葉も紹介していました。

米連邦最高裁判所は29日、トランプ大統領によるクックFRB理事の即時解任を求める申し立てを退けました。トランプ氏は立証されていない住宅ローン詐欺疑惑を理由にクック氏の解任を求めており、クック氏はこれを不服として提訴していました。最高裁は訴訟の審理が続く間、職務を続行することを認める判断を下しました。決定は5対4で、ロバーツ長官とカバノー判事が、リベラル派の判事3人とともに多数派に加わったことでトランプ氏による解任が否決されました。ロバーツ長官は、「金融政策は政治的干渉を受けるべきではない」と述べ、中央銀行の独立性を認めた格好です。ブルームバーグによると、最高裁は、トランプ氏がクック氏を解任しようとする前に、事前通知や意見を述べる機会を与えなかった点を問題視し、一方で、仮に疑惑が事実だった場合、それが14年の任期途中でクック氏を解任する十分な理由となるかどうかについては判断を示さなかったとしています。クック氏は声明で、今回の判断は「何世代にもわたり健全な経済運営を支えてきた原則を確認するものだ。すなわち、FRBは政治的干渉を受けることなく、あらゆる政策判断を証拠と独立した判断に基づいて行わなければならないという原則だ」と述べています。一方、トランプ氏は、最高裁の判断を受けて「不正行為を働いた人物が米経済に関わる重要な意思決定を行うことがないよう、直ちに適切な措置を講じる」と、依然として強気な姿勢を見せています。

新しいステージである「162円台」に、あと2銭と迫ったドル円ですが、上述のように、仮に介入があったとしても、この流れが変わることはないというのが筆者も含め、大方の見方だろうと思います。それでも、当局とすれば介入しないわけにはいかないのが現状かと思います。日本の財政基盤のもろさが一因なのは言うまでもありませんが、加えて「国力の差」、「国の勢い」も根底にあるのではないでしょうか。軍事力、経済力、あるいは技術力、イノベーションを起こす力、それらは全て米国に集中しているといっても過言ではありません。先日ブルームバーグのセミナーで、シリコンバレーを拠点としているベンチャーキャピタルの幹部(日本人)の話を聞く機会がありました。彼らはオ―プンAIのアルトマン氏のようないわば「天才」のリストを持っていて、その数は100人にのぼるそうです。その中から将来有望な「シーズ」を探して、段階的に資金を提供し、最後は「IPO」で「エグジット」というのが彼らの基本戦略です。その100人にもすでに、どの程度有望かといった「スコア」が付けられているそうです。

本日のドル円は160円50銭〜162円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/17 ウォーシュ・FRB議長 FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 --------
6/17 FOMC声明文 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 --------
6/17 内田・日銀副総裁 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 --------
6/11 ラガルド:ECB総裁 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 --------
6/9 片山・財務大臣 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 --------
6/4 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 --------
6/4 デーリー・SF連銀総裁 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 --------
6/3 植田・日銀総裁 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。
6/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 --------
6/3 ローガン・ダラス連銀総裁 (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 --------
6/2 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 --------
5/28 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「基調は非常に良好だ。楽観的な現在の政策スタンスは、景気に対してやや抑制的に作用している」、(インフレへの懸念を理由に)「次の政策変更は利下げと同程度に利上げの可能性もあることを示したいと考える当局者が増えている」 --------
5/28 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「FRBの使命は物価安定と雇用の最大化だが、足元ではインフレが目標を上回っている」、「将来的に利上げを検討する可能性や確率はゼロより高くなければならない」 --------
5/21 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、かなり深刻なインフレ問題が生じつつある」、「FRBの二大責務のうち、雇用面についてはおおむね安定している」、「インフレ面に特に注目している」 --------
5/21 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「既に5年以上にわたってインフレ率が目標の2%を上回っている中で、これほど多くの波が押し寄せている。その累積的な影響により、インフレ期待が緩まないかを問う価値がある」、「私にとって重要なのは、企業や消費者、そしてインフレ期待がどこまで耐えられるかという点だ」 --------
5/21 小枝・日銀審議委員 (基調的なインフレ率について)「既に2%ぐらいになってきている」、「政策金利を適切なペースで引き上げて、経済へのトレードオフにも配慮しつつ、物価高への対応を進めていくことが適切だ」、「今後、インフレ率や予想物価上昇率が上昇する場合、実質金利は自然利子率からマイナス方向に一段とかい離しうる。利上げを通じて金利の正常化を進めることが、より重要になる」、(景気見通しについて)「グローバルなIT需要の強さや政府の各種施策の効果などを踏まえれば、現時点で世界金融危機やコロナ禍のような景気の大幅な落ち込みが、見通し期間で生じる蓋然性は低い」 --------
5/20 トランプ・米大統領 「米国はイランとの間で最終段階にある」、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」 原油価格が大きく下がり、株と債券が買われる。ドル円は159円台前半から158円60銭まで下落。
5/19 片山・財務大臣 「断固たる措置を取るときは取る」 ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。
5/19 トランプ・米大統領 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 --------
5/14 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 --------
5/12 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 --------
5/7 デーリー・SF連銀総裁 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 --------
5/7 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 --------
5/7 コリンズ・ボストン連銀総裁 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和