今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「トランプ大統領、『合意が近い』」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は160円59銭まで買われたが、トランプ大統領が再び戦争終結は近いと発言。ドル円は160円を割り込み、159円51銭まで1円ほど下落。
  • ユーロドルは1.15近辺まで下げた後急反発。1.1590まで上昇。
  • 株式市場は停戦合意も近いとの見方から3指数が大きく反発。ナスダックは2.5%上昇し、S&P500も127ポイント買われる。
  • 債券は買われ、長期金利は4.46%台へと急低下。
  • 金は5日続落。原油も2ドルを超える下落で87ドル台に。
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5月生産者物価指数 → 1.1%
新規失業保険申請件数 → 22.9万件
1−3月期家計純資産 → 113b
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ドル/円 159.51 〜 160.59
ユーロ/ドル 1.1503 〜 1.1590
ユーロ/円 184.64 〜 185.27
NYダウ +929.97 → 50,848.75
GOLD −19.30 → 4,114.00ドル
WTI −2.32 → 87.71ドル
米10年国債 −0.091 → 4.461%

本日の注目イベント

  • 日 4月鉱工業生産(確定値)
  • 独 独5月消費者物価指数(改定値)
  • 英 英4月鉱工業生産
  • 英 英4月貿易収支
  • 米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 加 カナダ1−3月期設備稼働率

本日のコメント

昨日のコメントで、トランプ大統領がイランとの戦争終結を巡り、すでに38回もの楽観的な発言を繰り返してきたことを紹介しましたが、「39回目」の「楽観発言」が出ました。ただ、今回は市場の反応がかなり大きく、そこからすれば「今度は本当か」として捉えられる可能性もないとは言えません。

トランプ大統領は米軍が前日、対イラン軍事攻撃を再開すると述べ、主要な石油輸出拠点であるカーグ島を含め、イランのエネルギーインフラを「そう遠くない将来」に掌握する意向を表明していました。トランプ氏は「米国は今夜、イランに非常に激しい攻撃を加える。イランの海軍と空軍、レーダー、防空システムなどあらゆる防衛・攻撃能力は壊滅した!」とSNSに投稿しました。さらに「そう遠くない将来のある時点で、われわれはカーグ島と他の石油インフラ拠点を掌握し、ベネズエラで行ったのと同様に、イランの石油・ガス市場を完全に支配することになる」とも述べていました。ところが、その数時間後、トランプ氏は一転して、攻撃計画を中止したと明らかにしました。トランプ氏は「イランとの協議が同国指導部の最高レベルにまで持ち込まれ、承認されたことを踏まえ、今夜予定していた攻撃と空爆を米大統領として中止した」と、その理由を再びSNSで述べました。さらに、投稿から数時間後にトランプ氏は大統領執務室で記者団に対し、「バンス副大統領が出席する形で今週末にも欧州で署名が行われる可能性がある」と語っています。また、イランの最高指導者が合意に応じたのかと問われると、トランプ氏は「答えはイエスだと理解している」と述べ、「イランとの戦争について素晴らしい和解を実現した。文書の最終調整を行うが、今後数日以内に完了するはずだ」と付け加えています。一方、イランの準国営ファルス通信は関係者の話として、「米国との合意文書について当局はまだ承認していない」と報じていました。相変わらず双方の言い分には違いがありますが、今回は「合意文書に署名」といった言葉も出ていることで、停戦終結が近いと予想していますが、どうでしょう?トランプ氏は、イスラエルのネタニヤフ首相のほか、UAE、サウジアラビア、バーレーン、クウェートの首脳と協議したとも明らかにし、さらにトルコのエルドアン大統領との協議も予定しているとのことです。

トランプ大統領の投稿を受けて、WTI原油価格は大きく下げ、87ドル台まで売られました。また債券は買われ、長期金利が大きく低下したことでドル円でも円を買う動きが強まり、ドル円は159円51銭まで下げています。日足チャートでは「転換線」を割り込みましたが、160円近辺まで値を戻していることで、同線近辺でもみ合っています。前日大きく下げたNY株式市場は主要3指数が大幅反発。日経先物も大きく買われています。

ECBは予想通り11日の政策委員会合で、政策金利である中銀預金金利を0.25ポイント引き上げ、2.25%にすることを決めました。ECBによる利上げは2023年9月以来2年9ヵ月ぶりのこととなります。インフレ圧力が強まる中、イラン戦争の影響が収まるのをこれ以上待つことはできないとの判断を下しました。インフレに対してはドイツ連銀(ブンデスバンク)を中心に歴史的にも根強い警戒感がありますが、いつものことですが、ECBの対応の早さに感心させられます。ユーロ圏のインフレ率は今年2月には中銀目標の「2%」を下回る「1.9%」まで低下しましたが、イラン戦争の影響を受けた3月からは再び上昇に転じ、5月には「3.2%」(速報値)まで上昇しました。

ラガルド総裁は会合後の記者会見で、「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」と指摘。決定は全会一致だったことを明らかにし、利上げが予防的な措置だったとの見方を否定しました。ラガルド氏は、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調しました。その上でラガルド氏は、「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」と述べ、次回7月の会合でも追加利上げの可能性は排除しない姿勢を見せていました。ユーロドルは利上げ発表後も、利上げが織り込まれていたせいか、1.15台前半から半ばでほとんど動いていませんでしたが、上述のトランプ氏の攻撃中止発言で大きく買われました。

仮に停戦合意が実現すれば、原油価格のさらなる低下によりドル円でも円高方向に振れると思われますが、ただ期待するほど円高が進むとも思えません。原油価格に翻弄される円ではありますが、原油価格が全てではありません。また、原油価格が攻撃開始前の70ドル以下まで低下するには、供給量の問題もあり、かなり時間を要すると思われます。先ずは週末に向け、停戦合意があるのか、期待したいところです。

本日のドル円は158円80銭〜160円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/11 ラガルド:ECB総裁 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 --------
6/9 片山・財務大臣 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 --------
6/4 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 --------
6/4 デーリー・SF連銀総裁 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワードガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 --------
6/3 植田・日銀総裁 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。
6/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 --------
6/3 ローガン・ダラス連銀総裁 (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 --------
6/2 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 --------
5/28 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「基調は非常に良好だ。楽観的な現在の政策スタンスは、景気に対してやや抑制的に作用している」、(インフレへの懸念を理由に)「次の政策変更は利下げと同程度に利上げの可能性もあることを示したいと考える当局者が増えている」 --------
5/28 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「FRBの使命は物価安定と雇用の最大化だが、足元ではインフレが目標を上回っている」、「将来的に利上げを検討する可能性や確率はゼロより高くなければならない」 --------
5/21 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、かなり深刻なインフレ問題が生じつつある」、「FRBの二大責務のうち、雇用面についてはおおむね安定している」、「インフレ面に特に注目している」 --------
5/21 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「既に5年以上にわたってインフレ率が目標の2%を上回っている中で、これほど多くの波が押し寄せている。その累積的な影響により、インフレ期待が緩まないかを問う価値がある」、「私にとって重要なのは、企業や消費者、そしてインフレ期待がどこまで耐えられるかという点だ」 --------
5/21 小枝・日銀審議委員 (基調的なインフレ率について)「既に2%ぐらいになってきている」、「政策金利を適切なペースで引き上げて、経済へのトレードオフにも配慮しつつ、物価高への対応を進めていくことが適切だ」、「今後、インフレ率や予想物価上昇率が上昇する場合、実質金利は自然利子率からマイナス方向に一段とかい離しうる。利上げを通じて金利の正常化を進めることが、より重要になる」、(景気見通しについて)「グローバルなIT需要の強さや政府の各種施策の効果などを踏まえれば、現時点で世界金融危機やコロナ禍のような景気の大幅な落ち込みが、見通し期間で生じる蓋然性は低い」 --------
5/20 トランプ・米大統領 「米国はイランとの間で最終段階にある」、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」 原油価格が大きく下がり、株と債券が買われる。ドル円は159円台前半から158円60銭まで下落。
5/19 片山・財務大臣 「断固たる措置を取るときは取る」 ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。
5/19 トランプ・米大統領 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 --------
5/14 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 --------
5/12 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 --------
5/7 デーリー・SF連銀総裁 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 --------
5/7 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 --------
5/7 コリンズ・ボストン連銀総裁 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和