今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米7月のCPIは予想通り」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米7月のCPIは市場予想通りだったが、インフレが鈍化傾向を示していたことでドル売りが先行。ドル円は158円69銭まで売られたが、その後は買い戻され元の水準に。
  • ユーロドルは買われ1.1566まで上昇したものの、上値が重い展開。
  • 株式市場はまちまち。ダウは3日続落したが、他の2指数は3日続伸。
  • 債券は小幅に売られ、長期金利は4.69%台で推移。
  • 金は4日続伸。原油も小幅高。
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7月消費者物価指数 → 3.4%(前年同月比)
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ドル/円 158.69 〜 159.54
ユーロ/ドル 1.1520 〜 1.1566
ユーロ/円 183.47 〜 183.83
NYダウ −21.58 → 53,770.27ドル
GOLD +26.40 → 4,467.50ドル
WTI +0.07 → 83.27ドル
米10年国債 +0.004 → 4.692%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏6月鉱工業生産
  • 英 英4−6月期GDP(速報値)
  • 英 英6月鉱工業生産
  • 米 7月生産者物価指数
  • 英 英6月貿易収支
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演

本日のコメント

米7月の総合消費者物価指数(CPI)は前月比で「0.1%」上昇。前年同月比では「3.4%」上昇と、両指数とも市場予想と一致していました。ただ、物価上昇率が鈍化傾向を示し、利上げ観測が弱まったためドル売りが先行し、ドル円は一時158円69銭まで下落しました。それでも、イラン情勢の不透明さや日本の財政悪化懸念が払拭できていないことを手掛かりにドルは反発。結局ドル円は、発表前の159円台前半より円安が進み、159円54銭まで買われています。株式相場は上昇して始まり、米国債利回りは低下。金利スワップ市場では、10月の利上げ確率が前日の約75%から約60%に低下しましたが、利上げは12月までに完全に織り込まれている状況です。ブルームバーグは、「今回のCPIは、イランとの戦争に伴うエネルギー価格急騰の影響が7月も引き続き薄れたことを示唆している。FOMCは9月15、16両日の会合で利上げの是非を検討する際、インフレ圧力と最近の雇用鈍化をより慎重に見極めることができそうだ。9月会合までには雇用とインフレに関する統計がさらに発表される。今月後半にワイオミング州ジャクソンホールで開かれる年次経済シンポジウムでのウォーシュFRB議長の発言にも注目が集まっている」と伝えています。ジャクソンホール会合は、8月27〜29日まで開催される予定です。先週末の雇用統計と今回のCPIでは、ともにドル売りが先行しましたが、最後はドルが買われる展開です。根底には高市政権の財政拡大政策があり、来年4月から実施されるとみられる「食料品の消費税1%」への減税も財源が不明で、これも財政悪化懸念を増幅させています。因みに、先週10日に財務省が発表した、国債と借入金、政府短期証券を合わせた、いわゆる「国の借金」は、2026年6月末時点で「1346兆6833億円」と、過去最大を更新していました。

ブルームバーグは、イラン国内で戦争への対応を巡って数週間にわたり激しい内紛が公然と繰り広げられていると伝えています。穏健派のペゼシュキアン大統領が、暗礁に乗り上げた米国との和平合意を支持しているとして、強硬派から辞任を要求されているようです。これに対し、圧力にさらされている同氏は長時間にわたるテレビインタビューに応じ、自らの意見を変えるつもりはないと表明しています。ペゼシュキアン氏は先週、モジタバ・ハメネイ師と連絡を取るのは「非常に難しい」と国営テレビで語ったことで、3月に最高指導者に就任して以来、公の場に姿を見せていないモジタバ師の所在を巡る臆測が再び広がりました。しかし、ペゼシュキアン氏は10日までに国営放送に対し、実際にはモジタバ師と最近、「7−8時間」にわたって会談したと説明。これについて、「非常に良い会談だった」とテヘランで開かれた政治各派の代表らとの会合に際して述べ、悪化する国民生活への対応策や、モジタバ師が最も強く懸念する国内の「団結と結束」を話し合ったと主張しています。「モジタバ師の負傷の程度は明らかにされていない一方ペゼシュキアン氏は10日、モジタバ師は完全に健康だと主張。しかし、同師が公の場から姿を消していることで権力の空白が生じ、以前から見られていた各派の政治的対立が激化し、それが公の場にも表れてきている」とブルームバーグは伝えています。イランでは、最高指導者であるモジタバ師の意見が大統領よりも上で、革命防衛隊などが強く支持する同師と、穏健的な大統領や外相との間で対立があるとの見方もあります。

このような状況の中戦争は6カ月目に入り、戦闘自体は落ち着いたものの、仲介役のパキスタンとカタールが目指す持続的な和平の実現はますます難しくなっている模様です。トランプ大統領はここ数カ月、イランへの攻撃再開をちらつかせる一方で、停戦協議の進展に自信を示すなど、姿勢が揺れ動いています。12日には「ホルムズ海峡を完全に掌握している」とSNSに投稿しましたが、イランは海峡を航行する船舶を攻撃することで、このような主張を繰り返し否定してきました。パキスタンのハワジャ国防相は11日、イスラマバードでブルームバーグの取材に対し、米国とイランは「何らかの合意に近づいている」と述べましたが、詳細は明らかにしていません。このままでは双方とも折れることはなく、「少なくともこの状況は11月の中間選挙まで続く」との見方も、有力視されています。戦争が続き、巨額の財政赤字が見込まれる中、昨日行われた米10年債の入札では、最高落札利回りが「4.683%」と、金融危機以来の高さとなり、話題を集めています。

ボストン連銀のコリンズ総裁は、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」と述べ、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」と指摘しました。また、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」と語っています。現在はFOMCで投票権を持たないコリンズ氏ですが、「ディスインフレが徐々に定着すると予想して」、7月会合では政策金利の据え置きを支持していました。

本日のドル円は158円50銭〜160円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/2 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
7/29 FOMC声明文 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。
7/29 ウォーシュ・FRB議長 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。
7/23 ラガルド・ECB総裁 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。
7/16 ローガン・ダラス連銀総裁 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 --------
7/14 ウォーシュ・FRB議長 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 --------
7/13 ウォラー・FRB理事 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。
7/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 --------
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和