今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「日米の長期金利急低下」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は158円を挟みもみ合い。債券が買われ米金利が低下したことで久しぶりの「リスク回避の円買い」が出た模様。ドル円は157円55銭まで売られる。
  • ユーロドルも反発。1.12台を回復し、1.1224まで上昇。
  • 株式市場はAI企業「コアウィーブ」への信用不安が広がったものの、ダウは556ドル上昇。ただその影響もあり、他の2指数は小幅高に留まる。
  • 債券は買われ、長期金利は5.05%に低下。安全資産の債券が見直され、同金利は一時5.03%まで低下。
  • 金は反発。原油は続伸し、97ドル台に。
*******************
9月生産者物価指数 → 1.3%
10月NY連銀景況指数 → 25.5
9月小売売上高 → 0.8%
新規失業保険申請件数 → 19.9万件
*******************
ドル/円 157.55 〜 158.25
ユーロ/ドル 1.1189 〜 1.1224
ユーロ/円 176.69 〜 177.42
NYダウ +556.21 → 52,177.69ドル
GOLD +62.20 → 4,170.10ドル
WTI +2.88 → 97.97ドル
米10年国債 −0.127 → 5.058%

本日の注目イベント

  • 日 内田日銀副総裁、全国信用金庫大会で挨拶(植田総裁の挨拶代読)
  • 欧 ユーロ圏9月消費者物価指数(改定値)
  • 欧 ユーロ圏8月貿易収支
  • 米 9月輸入物価指数
  • 米 9月輸出物価指数
  • 米 9月鉱工業生産
  • 米 9月設備稼働率
  • 米 ウォーシュ・FRB議長、IMFゲオルギエバ専務と対談
  • 加 カナダ9月住宅着工件数

本日のコメント

前日、米クラウド企業「コアウィーブ」の信用不安が拡大し、AI株を中心に株価が大きく下落。リスク回避の動きから債券が買われ金利が低下し、ドル円でも円買いが優勢な展開でしたが、昨日はやや落ち着いたようです。「エアウィーブ」なら、ベッドの宣伝で聞いたこともありますが、「コアウィーブ」は初めて耳にする企業名です。その「コアウィーブ」の信用リスクが拡大し、同社の株や債券が大きく売られ、これがリスク回避の流れを強めています。昨日の東京市場もその影響を受け、日経平均株価は一時3600円安と過去3番目となる下落幅を記録し、安全資産の債券が買われたことで長期金利は、2.95%台まで低下しました。昨日のNYではやや落ち着きを取り戻しましたが、それでも、ダウが大幅に買われた一方、ナスダックは小幅高でした。そして、債券は続伸し、長期金利は5.03%まで低下する場面もありました。行き過ぎたAI投資への反動と受け止めていますが、それでも地政学的リスクは続いていることから、原油価格は一段と上昇しています。

昨日、熊本県金融経済懇談会で講演した日銀の小枝審議委員は講演で、現在の金融環境は緩和的だとし、「物価上昇リスクが相応にある中で、利上げに過度に慎重になることはない」と発言しました。また、今後の利上げについて、「経済・物価の状況をみながら、政策金利を適時に調整していくべきだ」と指摘。その上で、「金利のある社会で、金融環境の分析は視野を広げることも重要」との考えを示しました。小枝氏は、昨年3月に日銀審議委員に就任し、就任後に決定した3回の利上げすべてで賛成票を投じていることから「タカ派」とみられており、今回の講演内容にサプライズはありませんでした。ただ、それでも昨日の午前のドル円相場は小枝氏の発言を受け、一時157円50銭台までドルが売られました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、トランプ大統領が「エネルギー停戦」を先週呼びかけたのに対応し、3日間にわたりロシアのエネルギー施設に対する攻撃を停止していましたが、これを打ち切ると表明し、トランプ氏の要求に反対した形になりました。ゼレンスキー氏の発表から数時間後、マスク氏率いる米宇宙開発企業スペースXの軍用ネットワーク「スターシールド」のウクライナ軍の利用は通常のサービスが回復した模様です。ゼレンスキー氏は、ロシアのミサイルやドローンによる攻撃から防衛する能力を制限されたとして、トランプ氏とイーロン・マスク氏を非難していました。このところのトランプ氏は、ロシア寄りの発言が目立ち、ロシアから軽油を購入することも決めています。ブルームバーグは、「この決定は、ロシアとウクライナの戦争を1日で終わらせると公約して昨年ホワイトハウスに復帰したトランプ氏とゼレンスキー氏との深刻な亀裂を、いっそう深めそうだ」と伝えていました。

財政懸念と政治的リスクの広がりから国債が大きく売られ、一部からは「ユーロ危機の再来」との声も聞かれるフランスですが、現時点では来春の大統領選で最も勝利する可能性が高いルペン氏も、大統領選を意識してか、自身の過激な発言を封印しているようです。フランス国債がさらに売られた場合、ECBが同国の債券を無制限に買い入れる「伝達保護措置(TPI)」の発動について、前ECB総裁のマリオ・ドラギ氏は、ECBがフランスを支援するため、近く市場介入に踏み切る可能性は低いとの見通しを示しました。当時のECB総裁としてユーロ圏債務危機への対応を担ったドラギ氏は、インタビューで、現在のユーロ圏は危機が再来するような状況には程遠く、「介入のハードルは高い」と発言しました。「当時はどちらかと言えばデフレで、少なくともインフレ率はゼロをわずかに上回る程度だった。一方、今はインフレ率が高く、しかも上昇している。ECBにとって最優先なのは物価安定を維持するという責務だと思う」と述べていました。また、「ある国が財政是正手続きの対象となっている場合に、こうした手段を利用できないという規定はない」としながらも、「ただ、その場合は利用のハードルがやや高くなるのは確かだ」と指摘。ECBによる支援の可能性がフランス国内の議論の焦点となっていることについても、「特定の国の政治的な内紛に巻き込まれたくないだろう。これも、ECB当局者が介入をためらう理由になる」と話していました。

本日のドル円は157円50銭〜158円80銭程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/15 小枝・日銀審議委員 「物価上昇リスクが相応にある中で、利上げに過度に慎重になることはない」、(今後の利上げについて)、「経済・物価の状況をみながら、政策金利を適時に調整していくべきだ」、「金利のある社会で、金融環境の分析は視野を広げることも重要」 ドル円158円前後から157円50銭台まで下落。
10/13 ボウマン・FRB副議長 「追加措置が必要かどうかを判断する前に、金融環境や経済がどのように推移するかを見極める時間はある」、「現時点では、追加措置を講じることに緊急性は感じていない。時間をかけて、経済がどのように推移していくのかをしっかりと見極める必要がある」 --------
10/13 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「あと1回の利上げを実施するのが適切かもしれないとの見方は変えていない」、「さらなる利上げが必要になると考える理由は、現時点ではない」 米金利が低下し、やや円高方向に振れる。
10/13 植田・日銀総裁 「賃金と物価が緩やかに上昇するメカニズムが定着してきている下で、一時的な要因を除く物価の基調は2%にかなり近づいてきている」、「基調物価を2%程度の水準で安定させていくという観点が、金融政策にとって重要な局面だ」 --------
10/12 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「対応を先送りして後で大幅な軌道修正を迫られるリスクを負うより、可能であれば、小幅な調整を比較的速やかに行う方が望ましいと考えている」 --------
10/8 ウォラー・FRB理事 「経済指標が引き続き予想通りに推移すれば、インフレ率を2%の目標により速やかに戻すため、追加利上げが必要になると予想している」、「しかし利上げをいつ実施するかについては、ある程度の柔軟性がある。連続する会合で利上げする必要はないが、妥当な期間内に実施すべきだ」 --------
10/6 佐藤・日銀審議委員 「段階的に調整していく方針には賛成している」、「個人消費の勢いはそれほど強くない」 --------
10/1 ジェファーソン・FRB副議長 「先行きを見据えると、今後の政策調整はデータの傾向、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に検討した上で決定すべきだと考えている。同僚と私はそれぞれ独自に判断を下す必要があり、それにはさらに時間がかかる可能性がある」 --------
10/1 ボウマン・FRB副議長 「現時点では追加措置を急ぐ必要があるとは考えていない。データを総合的にもっとよく理解する必要があると思うが、リスクには引き続き注意を払う必要がある」 --------
9/29 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「経済が私の予測とおおむね整合的な形で推移すれば、インフレ率をより早期に目標水準に下げるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを今年終盤にもう一段引き上げることが適切となる可能性がある」、「10月のFOMC会合が中間選挙に近いことについては、『全く』考慮すべき要因ではない」 10月の利上げ確率が後退
9/24 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「関税やテクノロジー関連の値上がり、燃料費や医療費の上昇など、幅広いコスト上昇圧力が長引いていることで、米国のインフレが定着するリスクが高まった」、「より引き締め的な金融政策が必要になる」 --------
9/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「相次ぐ供給ショックに見舞われており、インフレ心理が定着するリスクが高まっている」 --------
9/24 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「この先の状況が私の予想通りに推移すれば、さらに小幅な引き締めが正当化される可能性がある」、「米経済はショックに対して底堅く、生産の伸びは堅調で、労働市場は完全雇用に近いとして、『勢いが増している』兆しがある」 --------
9/23 ハセット・米国家経済会議(NEC)委員長 「最近のコアインフレ率が年率2%となるなかで、なぜ利上げするのか」、(ウォーシュ議長については)、「異例なほど党派性の強いFRBを運営している」、「FRB議長や副議長は通常、任期満了時にFRBを去るが、その慣例が守られていない」、「なぜそうしたのか懸念している」 --------
9/18 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「FRBにはインフレ抑制に向けてまだやるべきことがあり、今週の措置はその方向への一歩だった」、「原油高はインフレ率を押し上げる重要な要因となっているが、インフレの問題がエネルギーだけではないことを認識する必要がある」、「均衡しているようだ」、「経済成長は堅調だ」 --------
9/16 フォンデアライエン・欧州委員長 「欧州とカナダは民主主義を信じている。権力は、最も強い者、最も裕福な者、最も声の大きい者のものではない」 --------
9/16 ウォーシュ・FRB議長 「金融・信用環境をわれわれの最終的な目標により整合させるため、緩和の度合いを幾分縮小した」、「6カ月、112カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる」、「この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」 ややタカ派的なトーンだったことで、ドル円は156円台に乗せ、156円42銭まで上昇。
9/16 FOMC声明文 「委員会は米連邦準備制度理事会(FRB)の二大責務を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25ポイント引き上げ、3.75−4%にすることを決めた。委員会は、銀行システム内に十分な準備預金を維持する方針を継続している。経済活動は堅調なペースで拡大しつつある。地政学的な動向などを背景に、不確実性は引き続き高いものの、国内支出は底堅く推移している。生産性の伸びは力強く、設備投資は堅調だ。雇用の伸びは労働力に見合うペースを維持しており、失業率はほぼ変わっていない」、「インフレは高止まりしている。本日の政策措置は、委員会の目標である2%に向けた、より速やかな回帰を支えるだろう。委員会は物価安定を実現する」 --------
9/15 ベッセント・財務長官 「円高は米国の輸出にとって好都合だ。円が強くなれば、日本政府が為替介入の資金を捻出するために米国資産を売却する必要もなくなる」、「ごくわずかな額で、日本の政策を支持する姿勢を示すことができた」、「介入の目的ではなかったものの、米財務省は円買い介入によって数千万ドルの利益を上げた」 --------
9/10 ラガルド・ECB総裁 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 --------
9/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 --------
9/2 高田・日銀審議委員 (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。
9/1 バー・FRB理事 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和