今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「青森県の地震で円下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • FOMCを控えドル円は小動きの中、米金利の上昇と青森県で発生した地震の影響から円売りドル買いが優勢に。一時は155円99銭まで円売りが進む。
  • ユーロドルは1.16台前半から半ばで推移。
  • 株式市場では3指数が揃って下落。M&Aの案件が多く発表されたが株価の押し上げ材料にはならず。
  • 債券も売られ、長期金利は4.16%台に上昇。
  • 金は売られ、原油も反落。
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11月NY連銀インフレ期待 → 3.20%
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ドル/円 155.41 〜 155.99
ユーロ/ドル 1.1617 〜 1.1657
ユーロ/円 181.07 〜 181.49
NYダウ −215.67 → 47,739.32ドル
GOLD −25.30 → 4,212.70ドル
WTI −1.20 → 58.88ドル
米10年国債 +0.029 → 4.164%

本日の注目イベント

  • 豪 豪11月NAB企業景況感指数
  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 日 植田日銀総裁、フィナンシャル・タイムズ(FT)のイベントで講演
  • 独 独10月貿易収支
  • 独 独10月経常収支
  • 米 10月雇用動態調査(JOLTS)求人件数

本日のコメント

昨日夜11時過ぎ、青森県東方沖を震源とする強い地震が発生しました。マグニチュードは当初発表の7.4から7.6に更新されています。震源の深さは約50キロメートルで、気象庁は北海道や青森県、岩手県の太平洋沿岸に津波警報を発令しました。この地震の一報を受け、ドル円は155円台半ばから155円99銭まで円売りが強まり、材料もなく値動きも乏しかった市場が動きました。「災害大国」の日本では常にこの種のリスクがあろうかと思います。

ニューヨーク連銀は米消費者の「11月のインフレ期待」を発表しました。1年先のインフレ期待は「3.2%」でほぼ変わらず。3年先と5年先は「3.0%」にとどまっています。失業する可能性については「13.8%」と、今年の最低水準でした。FRBは明日のFOMC会合で、労働市場の悪化を回避すべく、3会合連続の利下げを決定すると広く予想されています。ただし、幾人かのFRB当局者は、関税が持続的な物価上昇につながり得るとの懸念を表明しており、「利下げは確定的」とは思いますが、注意するにこしたことはありません。今回の調査では、消費者が労働市場に関して10月時点よりも楽観を強めたことが示されました。1年後に失業率が上昇するとの見方が後退したほか、依然として物価は高止まりしていることから、家計の悪化を報告した消費者の割合は上昇していました。現在の家計状況が1年前よりも悪化したと答えた比率は「39%」と、2年ぶりの高水準となっています。

次期FRB議長に指名される可能性の高いハセット国家経済会議(NEC)委員長は8日、FRBが向こう6カ月の金利誘導見通しを示すのは無責任だとし、経済指標に沿って柔軟に判断する重要性を強調しました。ハセット氏は経済専門局のCNBCで、「FRB議長の仕事は、データを注視し、それに応じて政策を調整し、なぜその行動を取るのか説明することだ」と発言。「従って、『今後6カ月にこうする』とあらかじめ言明するのは無責任だろう」と述べていました。またその上で、「利下げ回数の話で期待を裏切りたいわけではないが、私が言えることはデータを注視する必要があるということだ」と続けていました。政策金利は現在3.75−4%の水準ですが、FRBは明日、これを0.25ポイント引き下げると予想しています。ハセット氏はパウエル議長について、今週の利下げに向けてFOMC内のコンセンサス形成を進める上で「メンバーの意見をうまくまとめてきた」と評価し、「金利は引き続き下げていくべきだが、慎重に、データを注視しながら進める必要がある。これに関してはパウエル氏も私と同じ考えだと思う」と話していました。

高市首相の「台湾有事」を巡る発言から、悪化の一途を辿っている日中関係ですが、昨日中国軍の戦闘機が航空自衛隊機に初めてレーダーを照射した問題は中国側が日本側の発表に反論する事態となっています。防衛省は沖縄本島南東の公海の上空で中国軍のJ15戦闘機が6日午後、航空自衛隊のF15戦闘機に対し、2度にわたってレーダーを照射したと7日に発表しました。これに対し、中国側は空自機が訓練を妨害したとしており、両国の主張は食い違っている状況です。中国軍機は中国海軍の空母「遼寧」から発艦した模様です。高市首相は7日、今回のレーダー照射について「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」と指摘。「極めて残念」とし、中国側には強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れたとしていました。今後も「冷静にかつ、毅然と対応する」と石川県で語っていましたが、日中関係の悪化は円売り材料につながります。今のところ、この材料で円売りが加速する気配はありませんが、今後さらに悪化するようだと、「地政学リスクの高まり」から円売りにつながる可能性があります。

本日のドル円は155円20銭〜156円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
12/1 植田・日銀総裁 「内外経済・物価情勢や金融資本市場の動向を、さまざまなデータや情報を基に点検・議論し、利上げの是非について適切に判断したい」、(米国経済に関する不確実性が)「数カ月前よりかなり低下した」、「遅すぎることもなく早すぎることもなく、緩和度合いを適切に調整していくことは、日本経済を息の長い成長軌道に乗せるために必要だ」、「政府と日本銀行の取り組みを最終的に成功させることにつながる」、「利上げは緩和的な金融環境の中での調整だ。景気にブレーキをかけるものではなく、安定した経済・物価の実現に向けて、アクセルをうまく緩めていくプロセスだ」 ドル円は156円前後からNYでは154円67銭まで下落。日経平均株価は一時1000円を超える下落。長期金利はおよそ17年ぶりに1.875%まで上昇。
11/21 片山財務大臣 「足元の動きは一方的で急激であると憂慮している」(日米財務相共同声明に沿って適切に対応するとした上で、為替介入は選択肢として)「当然考えられる」 ドル円、やや円高に振れる。
11/20 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「労働市場を支えるために利下げを行えば、高止まりしているインフレの時期を長引かせるリスクがあり、金融市場でのリスクテークを助長する恐れもある」、「次に景気の減速局面が訪れた際には、本来よりも深刻になり、経済への影響がさらに大きくなる恐れがある」 株価は下落し、ドル円は買われる。
11/20 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (インフレについて)、「足踏み状態にあると見受けられ、むしろ悪化の兆しを見せているようだ。だから少し不安を感じている」、「米経済はかなり堅調だが、いずれは『金利を大きく引き下げることができる』状況に戻るだろうと感じている。ただ当面は、利下げを前倒しで進めすぎ、『一時的な現象でインフレ率はまた低下するだろう』との見方に頼るのは少し不安だ」 株価は下落し、ドル円は買われる。
11/20 ハセット・国家経済会議(NEC)委員長 「自分がFRB議長であれば、今すぐに利下げするだろう。データがそのようにすべきだと示していると考えられるためだ」 --------
11/17 ジェファーソン・FRB副議長 「ここ数カ月で経済のリスクバランスが変化したとみている。具体的にはインフレの上振れリスクがやや低下する一方、雇用の下振れリスクが高まっている」 --------
11/17 ウォラー・FRB理事 「基調的なインフレ率がFOMCの目標に近く、労働市場の弱さを示す証拠がある中、12月の会合で政策金利を25ベーシスポイント引き下げることを支持する」、「私の関心は労働市場にある。数カ月にわたる軟化を踏まえると、今週発表される9月の雇用統計や今後数週間に明らかになるデータが、この見方を変える可能性は低い」 --------
11/14 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「追加利下げが労働市場の亀裂を修復する効果は限定的だろう。こうした緊張は、テクノロジーや移民政策の構造的変化に起因する可能性が高い」、「しかしながら、2%の物価目標へのコミットメントが一段と疑問視される中で利下げすれば、インフレに長期的な影響を与える可能性がある」 利下げ観測が後退し、ドル円は153円台半ばから154円台半ばまで上昇。
11/14 ローガン・ダラス連銀総裁 「インフレ率が想定を上回るペースで鈍化している、あるいは労働市場がこれまでの緩やかな減速以上の冷え込みを見せているという確かな証拠が得られない限り、追加利下げを支持するのは難しいと思う」 利下げ観測が後退し、ドル円は153円台半ばから154円台半ばまで上昇。
11/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 この極めて不確実な環境下では、インフレと雇用のリスクを均衡させるため、しばらくの間は政策金利を現行水準に維持するのが適切となる公算が大きい」 --------
11/13 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「総合的に判断すると、インフレ率をFRB目標に向かって引き下げる圧力を維持するため、幾分景気抑制的な姿勢を続ける必要がある」、「私は労働市場を懸念している。低中所得層や時給で働く人たちと話すと、彼らが本当に苦しんでいることが分かる」、「根強い高インフレが現在あり、最終的にこの状態は今後10年間の大半において続くだろう。経済状況が変化しない限り、これ以上の利下げを支持することはない」 株安・債券安が進み、米金利が上昇したことでドル円は154円台で底堅く推移。
11/13 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「金融政策が過度に緩和的にならずに追加利下げを行う余地は限られているため、慎重に対応を進める必要がある」 株安・債券安が進み、米金利が上昇したことでドル円は154円台で底堅く推移。
11/13 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「公表されたデータはおおむね同じ傾向を示しており、12月会合についてはデータ次第では利下げを主張することも、据え置きを支持することもあり得る。現時点では見極めが必要だ」 株安・債券安が進み、米金利が上昇したことでドル円は154円台で底堅く推移。
11/13 デーリー・SF連銀総裁 「『利下げはしない』と断言するのも、『利下げする』と断言するのも、どちらも時期尚早だ。政策の方向性は中立的に見える」 株安・債券安が進み、米金利が上昇したことでドル円は154円台で底堅く推移。
11/6 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレ面で問題が生じていても、それを確認できるまでにはかなり時間がかかるだろう」、「だからこそ、私は一層の不安を感じている」 --------
11/6 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「高いインフレを引き続き懸念しており、政策はこれに対抗する方向で運営されるべきだ」、「われわれの責務は目標未達であり、その規模と長さ、リスクを比較すると、私にとってはインフレの方がより差し迫った懸念事項だ」とし、「インフレを適切なタイミングで2%に戻すには、政策金利に関してやや景気抑制的なスタンスを維持することが必要だ」 --------
11/4 デーリー・SF連銀総裁 「今後入ってくる情報を慎重に見極め、予断を持たずに判断する。リスクのバランスを取りながら、経済がソフトランディングを実現できるようにすることを意味する」 --------
11/4 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「私はインフレの方を心配している。4年半にわたって目標を上回って推移しており、好ましくない方向に進んでいる12月会合でどうするかは、まだ決めていない。インフレ鈍化に合わせて金利を引き下げていくのが、恐らく最も慎重な対応だろう」 --------
11/4 クック・FRB理事 「今後の政策はあらかじめ決められた道筋をたどるわけではない。われわれは現在、2つの使命の双方でリスクが高まっている局面にある」、「雇用に対する下振れリスクの方が、インフレの上振れリスクよりも大きいと考えている」 --------
11/4 ミラン・FRB理事 「FRBは過度に景気抑制的であり、中立水準が現行政策よりかなり低いところにある。FOMCの一部メンバーに比べてインフレに関し楽観的である自身の見通しを踏まえると、金融政策を景気抑制的に維持する理由を見いだせない」、「しばらく隠れていた信用問題が突如として表面化した。一見すると相関関係のないような問題が続けて起きている。これは金融政策スタンスについて何かを示唆している」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和