今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円NYで162円67銭まで上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 東京時間の朝方、ドル円は162円台に乗せ、比較的速いスピードで162円40銭まで上昇。NYでも円売りは止まらず162円67銭までドル高に。片山財務相のけん制発言にも反応薄。
  • ドルが買われたことで、ユーロドルは1.13台後半まで下落。
  • 株式市場では3指数が揃って買われ、ダウは最高値を更新。
  • 債券は売られ、長期金利は4.46%台に上昇。
  • 金はほぼ横ばい。原油は再び70ドル台を割り込む。
*****************************
4月S&P Cotality CS20−City YoY NSA → 1.14%
4月FHFA住宅価格指数 → −0.1%
6月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 91.2
5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 759.4万件
*****************************
ドル/円 162.02 〜 162.67
ユーロ/ドル 1.1389 〜 1.1437
ユーロ/円 185.04 〜 185.86
NYダウ +136.46 → 52,319.20
GOLD −0.40 → 4,038.50ドル
WTI −1.25 → 69.50ドル
米10年国債 +0.090 → 4.465%

本日の注目イベント

  • 豪 豪5月住宅建設許可件数
  • 日 4ー6月期日銀短観・大企業製造業業況判断
  • 日 4ー6月期日銀短観・大企業非製造業業況判断
  • 中 6月RatingDog製造業PMI
  • 独 独6月製造業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏6月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏6月製造業PMI(改定値)
  • 欧 ラガルド・ECB総裁、ベイリー・BOE総裁、ウォーシュFRB議長、パネル討論会に参加
  • 英 英6月製造業PMI(改定値)
  • 米 6月ADP雇用者数
  • 米 6月ISM製造業景況指数
  • 米 6月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
  • 米 6月自動車販売台数 

本日のコメント

ドル円は昨日の朝方10時前に、それまで壁であった162円台に乗せ、一気に162円40銭までドル高が進みました。それまでは1銭刻みで高値を更新していたドル円でしたが、壁を抜けると、ストップロスのドル買いもあったのか、最近の動きとしてはかなり速いスピードで上昇しました。その後はやや上値を重くしましたが、それでも162円台を割り込むことはなく推移しました。NYでは、米経済指標が良好だったこともありドル買いが続き、一時は162円67銭までドルが買われました。片山財務相は昨日の閣議後の会見で、足元の円安進行に関し、必要に応じて「いつでも適切に対応するということに尽きる」と市場をけん制しましたが、それ以上踏み込んだ発言はみられませんでした。また、木原官房長官も、為替について「必要に応じ、いつでも適切に対応する」と述べていました。ただ、ついに162円台まで上昇した状況でも介入はなく、両氏の「いつでも、適切に・・・」という発言も、むなしく聞こえるだけです。

昨日のコメントでも触れましたが、介入できない理由があるとも思えませんが、要はタイミングの問題で、多くの投資家が介入を待っているような状況下では、なかなか踏み切れないのかもしれません。加えて、明日は「米6月の雇用統計」もあります。「やるなら出来るだけ効率よく」といった当局の考えもあろうかと思いますが、仮に前回と同様、介入によって5円程度円高方向に振れるのだとすれば、160円台では155円台でしたが、165円台では計算上160円ということになります。会見で、発言のトーンが変わったのではないかと問われた片山財務相は、自身のコミュニケーションは一貫しているとの認識を示しました。ただ、これまでたびたび用いてきた「断固たる措置」との表現は、最近では自発的に使うというよりも記者に問われて言及する場面がみられ、昨日の会見でも同様だったようです。「日本の通貨当局によるこれまでの度重なる口先介入は、市場に慣れを与えてしまい、足元でその効果は失われつつある」(ブルームバーグ)とのコメントも見られました。市場介入以外に円を買う材料が見当たらないことは何度も述べてきましたが、高市政権が昨日明らかにした「2040年度に国内民間設備投資230兆円、名目GDPで1100兆円に迫る経済の実現」構想も、結局は「責任ある積極財政」路線の延長と見られ、円売り材料につながった可能性もあります。足元で進行している「円安」にも「どこ吹く風」といった状況で、さらに、利上げをする日銀をけん制するような方針も見られます。「円が売られるのも当然」といった声も聞かれました。

米連邦最高裁判所は30日、米国内で生まれた子供に原則として国籍を与える「出生地主義」を見直す大統領令について、「違憲」との判断を下しました。これにより、トランプ大統領が掲げていた移民政策の柱の一つが無効となります。前日、同裁判所がトランプ氏によるクックFRB理事の即時解任を求める申し立てを棄却したことに続き、トランプ氏にとって「敗北」が続きました。ロバーツ長官は、「市民権とは、過去も現在も、権利を持つ権利、すなわち私たちの政治共同体に自由に参加する権利だった」と指摘。「憲法修正第14条の起草者たちは、この国で生まれた全ての人々にその約束を広げた。私たちは今日、その約束を守る」と述べています。ブルームバーグは、「今回の訴訟では、米国人であることの意味そのものが問われた。トランプ氏の大統領令は、出生地主義に基づく市民権の付与を、少なくとも片方の親が米国市民またはグリーンカード(永住権)保有者である子どもに限定しようとする内容だった。この措置により、毎年生まれる推計25万人の非正規移民や一時滞在者の子どもが影響を受けるとみられていた」とコメントしています。

新しく日銀の審議委員に就任した佐藤綾野氏が昨日、就任記者会見を行いました。佐藤氏は、物価情勢について「多少の上振れリスクは観察されるが、まだノルム(慣行)としてそれほど強いものではない」と指摘。中東情勢の緊張や原油価格の上昇が与える影響は、景気の下振れと物価の上振れの双方に注意が必要とし、「現時点でどちらのリスクが大きいかは断定できる状況ではない」と述べていました。次回の会合から始まる佐藤氏の投票行動は、高市政権が日銀に送り込む政策委員の判断が、先行きの金融政策運営に与える影響を占う試金石になり得るといった見方も多く、どこかの国の大統領の行動にも似てきました。前回6月の会合では、高市氏が首相として初めて指名した浅田審議委員が、利上げに対して唯一の反対票を投じていました。来年にはタカ派で知られる田村、高田両審議委員が任期を迎えます。次期審議委員に誰が就任するのか、今から市場の話題になっています。

162円台でも介入が見られないことで、介入水準は163〜165円になってきたのかもしれません。筆者も「オオカミ少年」にはなりたくありませんが、やはり「いつ介入があってもおかしくはない」と考えています。

本日のドル円は161円50銭〜163円50銭程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/17 ウォーシュ・FRB議長 FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 --------
6/17 FOMC声明文 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 --------
6/17 内田・日銀副総裁 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 --------
6/11 ラガルド:ECB総裁 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 --------
6/9 片山・財務大臣 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 --------
6/4 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 --------
6/4 デーリー・SF連銀総裁 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 --------
6/3 植田・日銀総裁 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。
6/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 --------
6/3 ローガン・ダラス連銀総裁 (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 --------
6/2 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 --------
5/28 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「基調は非常に良好だ。楽観的な現在の政策スタンスは、景気に対してやや抑制的に作用している」、(インフレへの懸念を理由に)「次の政策変更は利下げと同程度に利上げの可能性もあることを示したいと考える当局者が増えている」 --------
5/28 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「FRBの使命は物価安定と雇用の最大化だが、足元ではインフレが目標を上回っている」、「将来的に利上げを検討する可能性や確率はゼロより高くなければならない」 --------
5/21 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、かなり深刻なインフレ問題が生じつつある」、「FRBの二大責務のうち、雇用面についてはおおむね安定している」、「インフレ面に特に注目している」 --------
5/21 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「既に5年以上にわたってインフレ率が目標の2%を上回っている中で、これほど多くの波が押し寄せている。その累積的な影響により、インフレ期待が緩まないかを問う価値がある」、「私にとって重要なのは、企業や消費者、そしてインフレ期待がどこまで耐えられるかという点だ」 --------
5/21 小枝・日銀審議委員 (基調的なインフレ率について)「既に2%ぐらいになってきている」、「政策金利を適切なペースで引き上げて、経済へのトレードオフにも配慮しつつ、物価高への対応を進めていくことが適切だ」、「今後、インフレ率や予想物価上昇率が上昇する場合、実質金利は自然利子率からマイナス方向に一段とかい離しうる。利上げを通じて金利の正常化を進めることが、より重要になる」、(景気見通しについて)「グローバルなIT需要の強さや政府の各種施策の効果などを踏まえれば、現時点で世界金融危機やコロナ禍のような景気の大幅な落ち込みが、見通し期間で生じる蓋然性は低い」 --------
5/20 トランプ・米大統領 「米国はイランとの間で最終段階にある」、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」 原油価格が大きく下がり、株と債券が買われる。ドル円は159円台前半から158円60銭まで下落。
5/19 片山・財務大臣 「断固たる措置を取るときは取る」 ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。
5/19 トランプ・米大統領 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 --------
5/14 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 --------
5/12 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 --------
5/7 デーリー・SF連銀総裁 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 --------
5/7 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 --------
5/7 コリンズ・ボストン連銀総裁 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和