今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「WTI原油価格は102ドル台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米金利高、原油高にドル円は続伸。154円台を回復し、一時は154円67銭までドルが買われる。8月のPPIが予想を上回ったこともドルをサポート。
  • ドル高が進み、ユーロドルは1.1592まで下落。ECBの利上げも想定内と受け止められる。
  • 米金利が大幅に上昇したことで、主要3指数は揃って4日続落。ダウは316ドル下げ先週末からの下げは1600ドルと、大幅に下落。
  • 債券は大きく売られ、長期金利は4.96%台へと大きく上昇。
  • 金は続落。原油は中東情勢の不透明さを背景に大幅に続伸。一時は103ドル台に乗せ、最後は前日比6.7%高の102ドル48セントで引ける。
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新規失業保険申請件数 → 20.6万件
8月生産者物価指数 → 5.4%(前年同月比)
8月中古住宅販売件数 → 398万件
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ドル/円 153.85 〜 154.67
ユーロ/ドル 1.1592 〜 1.1631
ユーロ/円 178.75 〜 179.42
NYダウ −316.56 → 52,064.10ドル
GOLD −53.40 → 4,407.30ドル
WTI +6.43 → 102.48ドル
米10年国債 +0.122 → 4.963%

本日の注目イベント

  • 英 英7月鉱工業生産
  • 英 英7月貿易収支
  • 米 8月消費者物価指数
  • 米 9月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 米 8月財政収支

本日のコメント

トランプ大統領はテキサス州ダラスで開いた共和党大会で演説を行い、「もし(中間選挙に)負けたら、安全な国境も減税策も安心・安全も富も失う。あなたたちは地獄を経験するだろう」と支持者を脅し、その上で、「われわれの経済が驚異的な強さと成功を収めていることから、米国の成人市民全員に5000ドル(約77万円)の配当を支給する」と表明。「これはトランプ配当と呼ばれることになる」とし、「あとは勝つだけだ」と述べました。またイランとの戦争についても、「イランとの戦争に勝てば石油は下がる。ホルムズ海峡は支配している」と主張していました。ただその後、側近のバンス副大統領やルビオ国務長官を含む政権幹部は、「イラン戦争は大統領任期の終わる2029年1月まで続く可能性がある」と、トランプ氏に伝えています。常に楽観的な物言いをするトランプ氏を諫めた格好です。

長引くイラン戦争の終結が見通せないことを背景に、この日のNY市場は大きく動きました。高騰を続けるWTI原油価格は、この日100ドル台に乗せ、一時は103ドル台まで急騰しました。さらにこの日発表された「米8月の生産者物価指数(PPI)」が前月比「0.4%」、前年同月比「5.4%」と上昇しており、エネルギー価格の上昇に伴い、インフレ圧力が再び高まっていることを示していました。同時に7月分も「4.7%」から「4.8%」に上方修正されています。加えて、上述の「トランプ配当」の影響から財政懸念がさらに高まり、米長期金利が急騰。ドル円は金利高を受け154円67銭までドル高が進みました。「米10年債利回りは一時11bp上昇して4.95%と、2023年10月以来の高水準を付けた。国債利回り上昇の主因は原油価格の急伸だ。米国とイランの戦争が長期化する兆しを受け、北海ブレント先物も前日比6.42ドル高の107.63ドルで終了」(ブルームバーグ)となっています。これらの影響から、低下傾向を見せていた今月のFOMC会合での利上げ確率は上昇し、現時点では「72.5%」となっています。今夜発表のCPIが上振れするようだと、利上げの可能性はさらに高まることになり、ドル円も155円台まで戻ることも考えられます。仮に、同指標が予想よりも低い結果であっても、上記原油価格の高騰は今後のインフレにとっては「あなどれない」水準だと言えます。

昨日、ベッセント財務長官の「胴元発言」について触れましたが、同発言は思った以上に話題を集めています。筆者が毎週出演している「日経ラジオ」の番組では、MCの岸田さんから「佐藤さん、ベッセント財務長官の胴元発言は市場にどのように影響しますか?」と尋ねられたり、ある外資系証券会社の担当者は「なんて傲慢な発言なんだ」とあきれかえっているなど、影響がありました。米金利の高騰に、ベッセント氏の尻に火がついたということでしょう。その米長期金利は、米財務省が10日実施した長期債の買い戻しでは、購入額が市場の予想を下回ったことで、さらに国債売りが強まり、利回りは上で述べた通りでした。今回は、ベッセント氏が買い戻し規模の増額を発表して以降、初めて行われたオペでしたが、購入額は事前に示していた上限の60億ドル(約9260億円)には届かない、51億9000万のドル買い戻しに終わっています。

予想通り、ECBは昨日の政策委員会で、中銀預金金利を25ベーシスポイント引き上げ、「2.50%」とすることを決定しました。インフレ率がECB目標の2%を大幅に上回る状況が続くことに対応したものです。ECBの利上げは6月以来2会合ぶりで、今年2回目となりますが、中銀の中では素早い行動と言えます。ECBは声明で「中東での戦争は引き続きインフレ圧力を生み出しており、インフレ率は長期にわたって目標を大幅に上回る見通しだ。先行きは依然として極めて不透明で、インフレには上振れリスク、経済成長には下振れリスクがある」とし、足元の原油価格の高騰をかなり意識したものでした。ラガルド総裁は会合後の記者会見で、「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」と説明し、今後の政策対応については「毎回の会合で判断する」と、述べていました。また、市場の利上げ観測について問われ、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現することだ」と、述べるにとどめていました。

本日のドル円は153円〜155円80銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/10 ラガルド・ECB総裁 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 --------
9/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 --------
9/2 高田・日銀審議委員 (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。
9/1 バー・FRB理事 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 --------
8/28 ウォーシュ・FRB議長(ジャクソンホールでのシンポジウムで) 「インフレ率を2%の目標に戻す」、「私の判断基準はこうだ。基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」、「やるべきことがある」、「私はきょう、特定の政策決定ではなく、規律を重んじる決意を持ってここに立っている」と述べ、さらに、「インフレ率が2%を上回っている中、FRBは現時点で、最大の重点を物価に置くべきだと」 ドル円は159円台半ばから160円20銭まで上昇。米金利高、株安が進む。
8/27 ベッセント:財務長官(介入に対するウォーレン上院議員への回答で) 「日本は米国債の主要な保有国だ」、「円相場が無秩序な動きとなれば、ポジションの強制的な巻き戻しを引き起こす。そうなれば、世界の市場を不安定化させ、最終的には米国の家計や企業の借り入れコストを押し上げる可能性がある」 --------
8/13 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 --------
8/13 ハマック・クリーブランド連銀総 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 --------
8/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和