今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ウォーシュ議長の講演待ち」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は引き続き159円台で変わらず。上にも下にも動けず、今夜11時のウォーシュFRB議長の講演内容を見極めたいとする雰囲気が広がる。
  • ユーロドルも1.16台でもみ合い変化なし。
  • 株式市場では、前日決算発表を行ったエヌビディアが大きく買われ、相場全体を牽引。ナスダックは411ポイント上昇し、同社株は一時10%上昇する場面も。
  • 債券は続落し、長期金利は4.67%台に上昇。
  • 金は反発し、原油も買われる。
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新規失業保険申請件数 → 20.3万件
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ドル/円 159.25 〜 159.46
ユーロ/ドル 1.1640 〜 1.1660
ユーロ/円 185.49 〜 185.81
NYダウ +105.56 → 53,569.44ドル
GOLD +10.70 → 4,664.00ドル
WTI +1.30 → 83.53ドル
米10年国債 +0.03 → 4.676%

本日の注目イベント

  • 日 8月東京都区部消費者物価指数
  • 日 7月失業率
  • 独 独7月輸入物価指数
  • 独 独8月雇用統計
  • 欧 ユーロ圏8月景況感指数
  • 欧 ユーロ圏8月消費者信頼感指数(確定値)
  • 米 8月シカゴ購買部協会景気指数
  • 米 8月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
  • 米 ウォーシュ・FRB議長講演(ワイオミング州ジャクソンホール)
  • 加 カナダ4−6月期GDP

本日のコメント

ドル円はますます膠着状態です。市場参加者の多くは、今夜11時からワイオミング州ジャクソンホールで行われるウォーシュFRB議長の講演をきっかけに動きが出ることに期待していますが、その可能性はそれほど高くはないと予想しています。ウォーシュ氏は、もともとFRBによる積極的なフォワードガイダンスには消極的であったことから、今後の金融政策に関してその方向性を示唆することはない可能性があります。もちろん予想外の発言があれば、エネルギーが溜まっているだけに、市場は大きく動きますが、あまり期待しない方が良いようです。昨日埼玉県で行われた氷見野日銀副総裁の講演も同じく、これまでの植田総裁の発言と変わったところは特になく、9月利上げを確信させるものではありませんでした。個人的には、9月利上げにもっと前向きな発言を予想していました。

トランプ政権の通商交渉トップであるグリアUSTR代表は、カナダ放送協会(CBC)とのインタビューで、「カナダは米国の酒類や蒸留酒の販売を禁止した。われわれはカナダからの輸入品を何も禁止していない。カナダは特定の米国製自動車の輸入に上限を設け、各州の調達から特定の商品やサービスを排除している」と述べた上で、「繰り返すが、われわれはこうした禁止措置を講じたことはなく、かなり極端なものだ。しかし、われわれも同様の措置を講じる必要があるのかもしれない」と述べ、一部のカナダ産品の禁輸を検討する可能性を示唆しました。これまではなかったほど米国とカナダとの通商対立は激化し、新たな段階に入る可能性が出てきたようです。加えて、オンタリオ湖の名称変更は半分冗談かと思っていましたが、トランプ大統領は27日、オンタリオ湖を「アメリカ湖」に改称する措置に署名し、「即時発効」するとしています。上述のように、通商交渉が決裂する中、カナダとの対立を一段と先鋭化させています。今回の措置で、内務省に対して30日以内に連邦政府のデータベースや資料での名称を変更するよう指示しました。隣国カナダにどのようなメッセージを送るのかとの問いには、「カナダは長い間、貿易で米国から不当に利益を得てきた」と述べていました。ブルームバーグは、「オンタリオ湖は五大湖の一つで、米ニューヨーク州とカナダ・オンタリオ州の間に位置し、両国の国境にまたがっている。トランプ氏による一方的な改称をカナダ側が拒否するのはほぼ確実だ。トランプ氏が今週初めに改称の可能性に言及した際、カナダのジョリー産業相は『われわれはこれからもオンタリオ湖と呼び続ける。以上だ』と述べていた。トランプ氏の署名後、この日の記者会見で改めてこの問題について質問されたが、それ以上のコメントは控えた」と報じています。トランプ氏は昨年、メキシコ湾を「アメリカ湾」に改称し、これも主要貿易相手である隣国メキシコへの当てつけと受け止められた経緯があります。ただ、名称変更は連邦政府の文書や通信に適用されましたが、メキシコを含む他国では広く認められてはいません。

今朝の日経新聞は、「ドル売りサイン点灯」との見出しで、ドル円では、ドル高トレンドが転換した可能性が示唆されているとの記事を掲載しています。理由には、FRBによる利上げが年内1回であり、しかもそれは市場にはすでに織り込まれていることを挙げています。またテクニカルでも、筆者も基本としている「一目均衡表」で「三役逆転」が示現したことを挙げ、さらに「ドル指数」でも、ローソク足が重要な「200日移動平均線」を下抜けしたとしています。いずれもテクニカルでは納得させられるものですが、今回ドル高円安が急速に進行した最大の要因である「日本の財政悪化懸念」に重きが置かれていません。今回の「三役逆転」も、いわば介入という「力」でゆがめられた結果であって、そのまま受け入れるにはやや違和感もあります。「テクニカルは正しい」ということを前提とすれば、ドル高傾向転換の可能性も否定できませんが、筆者は、「日本の積極財政」、「ロシアとウクライナ戦争」、さらには原油価格の下落を阻む「イラン戦争」など、依然としてドルが有利な立場であることは変わっていない。また、今後の日米金融政策の方向性も並行で、むしろインフレが加速した場合には、FRBの方がより機動的だと思われる。つまり、周りを見渡しても何ら変わったところはなく、当局の介入が最大の円高要因であることに変化はないと考えています。ただそれでも、ここ2週間程は159円台半ばで、ことごとく上昇が抑えられていることを考慮して、「円高」へのリスクも頭の片隅に置いておくことは必要かもしれません。

本日のドル円は158円〜160円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/13 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 --------
8/13 ハマック・クリーブランド連銀総 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 --------
8/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
7/29 FOMC声明文 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。
7/29 ウォーシュ・FRB議長 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。
7/23 ラガルド・ECB総裁 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。
7/16 ローガン・ダラス連銀総裁 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 --------
7/14 ウォーシュ・FRB議長 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 --------
7/13 ウォラー・FRB理事 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。
7/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 --------
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和