「米金利、WTI、反落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円の上昇は一服。原油価格が下がり、米金利が低下したことで155円34銭までドルが売られる。ただその後は反発し、156円手前までドルが買われる。本日の日銀決定会合の結果と、植田総裁の会見が焦点に。
- ユーロドルは水準を切り下げ、終始1.14台で推移。
- 株式市場では金利低下を好感し、これまで売られていた銘柄が買い戻される。ナスダックは大きく反発し、前日比439ポイント上昇
- 債券は反発。長期金利は5%を割り込み、4.93%台まで低下。
- 金は続伸。原油も続落し、一時は100ドルを割り込む場面も。
9月フィラデルフィア連銀景況指数 → 37.8
新規失業保険申請件数 → 19.6万件
8月住宅着工件数 → 127.5万件
8月建設許可件数 → 139.4万件
8月中古住宅販売成約指数 → 0.3%
***********************
| ドル/円 | 155.34 〜 156.10 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1473 〜 1.1498 |
| ユーロ/円 | 178.79 〜 179.15 |
| NYダウ | +316.14 → 51,778.04ドル |
| GOLD | +12.20 → 4,399.70ドル |
| WTI | −0.52 → 101.91ドル |
| 米10年国債 | −0.092 → 4.930% |
本日の注目イベント
- 日 8月全国消費者物価指数
- 日 日銀金融政策決定会合
- 日 植田日銀総裁記者会見
- 独 独8月生産者物価指数
- 欧 ユーロ圏7月経常収支
- 英 英8月小売売上高
- 米 8月鉱工業生産
- 米 8月設備稼働率
- 米 8月景気先行指標総合指数
本日のコメント
やはり昨日の東京時間ではドルの上値は重く、ジリ安の展開でした。その後のNYでは、WTI原油価格が一時100ドルを割り込み99ドル台まで下落したことで、米金利が低下。ドル円も155円34銭まで売られる場面がありました。これまでの一連の動きが巻き戻された形でしたが、それでもドル円は156円手前まで反発してNYでの取引を終えています。昨日のコメントでも述べたように、まだこのままドルが160円に向かう地合いでないことは明らかです。本日は、日銀の金融政策決定会合がありますが、0.25ポイントの利上げは確実で、おそらく「全会一致」で決定されるものと思います。注目は午後3時半から行われる植田総裁の会見内容です。今回利上げが実施されれば、6月の利上げからわずか3カ月後に利上げを決めることになり、これまで、ある意味暗黙の了解だった「半年に1回程度の利上げスタンス」が崩れることになります。焦点は、この先もこのペースで利上げが継続されるのかどうかです。今後も積極的に利上げを継続するというメッセージが総裁の口から発せられない限り、円が再び売られることにもなりかねません。一方で、そのような姿勢を見せれば、ベッセント財務長官の圧力に屈したと受け止められることにもなり、難しい判断を迫られます。先のG20会合後の「植田・ベッセント会談」でも利上げすべきとの要請があったと思われます。現在の円安の背景の一つに日本の低金利がある以上、ここはしっかりと「利上げスタンスを継続する」といった、積極的な姿勢を示すべきでしょう。
EUの行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は16日、フランス・ストラスブールの欧州議会で行った一般教書演説で、カナダをEU初の「準加盟国」とすることを提案し、出席したカーニー・カナダ首相に対し、この構想で協力したい考えを示したことに関して、トランプ大統領は不快感を示しました。「カナダをEUの準加盟国とする動きが米国に有害だと判断した場合、EUからの輸入品に新たな関税を課すか、一部の貿易を停止する可能性もある」と、トランプ氏は語っていました。トランプ氏は16日、この提案について記者団から問われ、「彼らがそうするなら、それが少しでも敵対的な行為だと私が判断すれば、非常に重い関税を課すか、欧州との多くの分野で貿易を停止する」と述べ、さらに「善意なら問題ないが、欧州が悪意を持ってそうするのであれば、欧州に非常に重い関税を課す」と述べていました。ブルームバーグは、「トランプ氏は16日、カナダ製品を米連邦政府の調達対象から制限するとの警告を実行に移し、北の隣国に対する圧力をさらに強めた。カナダ政府は、EUを含む世界各国・地域との経済関係を強化する意向を明確にしている。複数年にわたる戦略転換の一環として、主に南の米国に向いていた貿易の流れを東西にも振り向けることを目指している。ただ、カナダをEUの『準加盟国』とする提案については、それが具体的に何を意味するのかを含め、不透明な点が多い。交渉に数年を要する可能性もある」と報じています。トランプ氏が、カナダだけではなく、EUをも高関税を武器に敵にまわすとも思えず、これまでの常套手段である一種の「脅し」と捉えていますが、「MAGA」政策を掲げて突き進むトランプ氏のこと、どうなるのか予断は許しません。
ケビン・ウォーシュ氏率いる米金融当局は、5月の同氏就任から4カ月足らずで、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.75−4%に引き上げることを全会一致で決定しました。会見でウォーシュ氏は、インフレへの懸念を改めて表明し、「6カ月、12カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる。この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」と、2%を超えるインフレを許容しない強い姿勢を見せました。この決定に市場からは、「今回の決定を受け、FRB議長への信頼を大きく高めている」といった声が高まっていますが、足元の原油高を受け、この先もインフレが進行する可能性が高いと予想されています。仮にCPIなどが今後も高水準を維持していた場合、次回10月28−29日に行われるFOMC会合でも連続利上げを実施できるのかどうか、疑問も残ります。今回の利上げに関して、トランプ大統領は自身が指名したウォーシュ議長に対して、あからさまな批判はしませんでしたが、次回10月の会合はトランプ氏にとっても極めて重要な「中間選挙」の数日前にあたります。仮に、ここで再び利上げを決めるようだと、「トラの尻尾」を踏むこととなり、今度はトランプ氏も黙ってはいない可能性が高いと予想しています。断固としてインフレに対峙し、FRB議長としての職務を遂行するのか、あるいはトランプ氏の怒りをかうのか、今後もウォーシュ氏の板挟みは続きそうです。
本日のドル円は155円〜157円程度を予想します。
佐藤正和の書籍紹介
これだけ! FXチャート分析 三種の神器 |
チャートがしっかり読めるようになるFX入門 |
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 9/16 | フォンデアライエン・欧州委員長 | 「欧州とカナダは民主主義を信じている。権力は、最も強い者、最も裕福な者、最も声の大きい者のものではない」 | -------- |
| 9/16 | ウォーシュ・FRB議長 | 「金融・信用環境をわれわれの最終的な目標により整合させるため、緩和の度合いを幾分縮小した」、「6カ月、112カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる」、「この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」 | ややタカ派的なトーンだったことで、ドル円は156円台に乗せ、156円42銭まで上昇。 |
| 9/16 | FOMC声明文 | 「委員会は米連邦準備制度理事会(FRB)の二大責務を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25ポイント引き上げ、3.75−4%にすることを決めた。委員会は、銀行システム内に十分な準備預金を維持する方針を継続している。経済活動は堅調なペースで拡大しつつある。地政学的な動向などを背景に、不確実性は引き続き高いものの、国内支出は底堅く推移している。生産性の伸びは力強く、設備投資は堅調だ。雇用の伸びは労働力に見合うペースを維持しており、失業率はほぼ変わっていない」、「インフレは高止まりしている。本日の政策措置は、委員会の目標である2%に向けた、より速やかな回帰を支えるだろう。委員会は物価安定を実現する」 | -------- |
| 9/15 | ベッセント・財務長官 | 「円高は米国の輸出にとって好都合だ。円が強くなれば、日本政府が為替介入の資金を捻出するために米国資産を売却する必要もなくなる」、「ごくわずかな額で、日本の政策を支持する姿勢を示すことができた」、「介入の目的ではなかったものの、米財務省は円買い介入によって数千万ドルの利益を上げた」 | -------- |
| 9/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 | -------- |
| 9/2 | 高田・日銀審議委員 | (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 | ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。 |
| 9/1 | バー・FRB理事 | 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 | -------- |
| 8/28 | ウォーシュ・FRB議長(ジャクソンホールでのシンポジウムで) | 「インフレ率を2%の目標に戻す」、「私の判断基準はこうだ。基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」、「やるべきことがある」、「私はきょう、特定の政策決定ではなく、規律を重んじる決意を持ってここに立っている」と述べ、さらに、「インフレ率が2%を上回っている中、FRBは現時点で、最大の重点を物価に置くべきだと」 | ドル円は159円台半ばから160円20銭まで上昇。米金利高、株安が進む。 |
| 8/27 | ベッセント:財務長官(介入に対するウォーレン上院議員への回答で) | 「日本は米国債の主要な保有国だ」、「円相場が無秩序な動きとなれば、ポジションの強制的な巻き戻しを引き起こす。そうなれば、世界の市場を不安定化させ、最終的には米国の家計や企業の借り入れコストを押し上げる可能性がある」 | -------- |
| 8/13 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 | -------- |
| 8/13 | ハマック・クリーブランド連銀総 | 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 | -------- |
| 8/12 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 | -------- |
| 8/11 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 | -------- |
| 8/5 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 | -------- |
| 8/5 | クック・FRB理事 | 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 | -------- |
| 8/4 | ベッセント・財務長官 | 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 | -------- |
| 8/3 | ベッセント・財務長官 | (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 | -------- |
| 8/3 | 片山・財務相 | (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



