今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円は再び161円台後半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は再び161円台後半まで上昇。昨日の夕方、ブルームバーグはベッセント財務長官のコメントを配信。ドル高支持と思われる内容にドル円は小幅に上昇。NYでは161円84銭まで買われ、再び介入を警戒する水準に。
  • ユーロドルではさらにドル高が進み、一時は1.1325まで下落。
  • 株式市場ではダウは反発したものの、ナスダックとS&P500は3日続落。
  • 債券は大きく買われ、長期金利は4.39%台まで急低下。
  • 金は続落。一時は昨年11月以来となる4000ドルを割り込み、4008ドル台で引ける。原油も大きく下げ、70ドルを割り込む場面も。
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経常収支(1−3月) → −226.8b
5月新築住宅販売件数 → 580千戸
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ドル/円 161.64 〜 161.84
ユーロ/ドル 1.1325 〜 1.1368
ユーロ/円 183.17 〜 183.82
NYダウ +182.06 → 51,848.90
GOLD −140.60 → 4,008.80ドル
WTI −2.87 → 70.34ドル
米10年国債 −0.105 → 4.392%

本日の注目イベント

  • 豪 豪5月雇用統計
  • 日 4月景気先行指数(CI)(改定値)
  • 日 4月景気一致指数(CI)(改定値)
  • 日 田村日銀審議委員、兵庫県金融経済懇談会で講演
  • 独 独7月GFK消費者信頼調査
  • 米 5月個人所得
  • 米 5月個人支出
  • 米 5月PCEデフレータ(前月比)
  • 米 5月PCEデフレータ(前年比)
  • 米 5月PCEコアデフレータ(前月比)
  • 米 5月PCEコアデフレータ(前年比)
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 5月耐久財受注
  • 米 1−3月GDP(確定値)
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、討論会に参加

本日のコメント

昨日の東京時間ではほとんど動きはなかったですが、夕方3時過ぎにブルームバーグが配信した記事にドル買いがやや進みました。記事では、ベッセント米財務長官が23日夜、「強いドル政策」を堅持することと、為替レートだけを単独で見ることは別だとの認識を示したというものです。「ベッセント氏はエコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークでの講演後の質疑応答で、『人々が強いドルについて語るとき、それはブルームバーグ・ドル指数のことではないと思う』と述べ、その上で、『それは税制の予見可能性、規制の予見可能性、エネルギー面の予見可能性のいずれであれ、人々がこの国に来たいと思うような基盤を整備することを意味していると考える』と語った。さらに、強いドルと強力な製造業部門を支持することの間に矛盾はないとの考えを表明。ドイツが工業大国だった時代も、強い通貨の下でそれを実現していたとし、強い通貨によって効率化や技術革新、生産性向上が促されたと指摘した」と報じました。ドル円は、その後の海外市場でも小動きの中堅調に推移し、NYでは161円84銭までドル高が進みました。米長期金利が大きく低下する中でもドルが買われ、ユーロドルでもユーロは1.1325まで売られています。

原油相場が順調(?)に下げています。これで、イラン戦争開始以降の上昇分をほぼ全て失った格好となり、米国とイランが戦争終結に向けて前進している様子が見られたことで、ホルムズ海峡を通過するタンカーが増加していることを反映しています。WTI先物8月限は前日比2.87ドル(3.9%)安の70.34ドルで取引を終えました。米国とイスラエルによる対イラン戦争開始直前が67ドル台でした。ブルームバーグは専門家の意見として、「ホルムズ海峡の航行が維持され、市場の関心がイランを含むOPECの増産余地に移る中、原油価格は急落している。生産拡大と在庫の積み上がりが進むことで、WTIは今後2カ月以内に60ドルを下回る可能性があると予想している」といった声を紹介していました。ホルムズ海峡を通過する原油輸送が増加していることもあり、早くも原油市場の一部では「供給過剰」の兆しが出始めているとの報道も出ました。原油トレーダーらによると、今回の合意以前から、一部の主要市場では供給がやや需要を上回っていたとのことです。戦略備蓄の放出に加え、最大の買い手である中国の需要低迷や、位置情報システムを切った原油タンカーがひそかにホルムズ海峡を通過していたことが背景にあるということのようです。戦争勃発後、WTI原油価格は一時120ドルに迫る水準まで急騰し、その後何度も100ドルを超える水準を繰り返しましたが、結局「ホルムズ海峡閉鎖」を材料にした投機色が強かったことになります。

また、下げているのは原油だけではありません。金も昨日のNYでは、3993ドルをつけました。4000ドルの大台を下回るのは昨年11月以来です。金は今年1月にはザラ場で5995ドルまで買われる場面がありました。金利低下に加え、中国など各国中銀が外貨準備の一環として金保有を増やし、さらに宝飾品としての人気と、資産運用先としても持て囃された結果です。すでに高値から33%以上も下落していることから、ここからさらに大きく下げる可能性は低いと見ていますが、FRBの利上げ観測と、地政学的リスクの低下を考えると、「有事の金」が注目され、再度高値を更新するのは簡単ではないと思います。テクニカル的にはすでに「弱気相場」に入っています。

ドル円は再び162円を試す展開です。先日の片山財務相とベッセント財務長官とのオンライン会談の内容は公表されていません。もし会談で為替の水準を巡る合意があれば、片山氏もそれを公表し、「利用」したはずです。合意は、政府・日銀による単独介入よりも効果的な可能性があるからです。穿った見方をすれば、会談では合意を得られなかったのではないかとも思えます。上述のベッセント氏の言葉がそれを物語っているようにも思えます。いずれにしても、当局も介入だけでは円安の流れを変えることはできないことを十分認識しているはずですが、介入しないわけにもいかないので、そのタイミングを模索しているのではと分析しています。

本日のドル円は161円〜162円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/17 ウォーシュ・FRB議長 FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 --------
6/17 FOMC声明文 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 --------
6/17 内田・日銀副総裁 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 --------
6/11 ラガルド:ECB総裁 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 --------
6/9 片山・財務大臣 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 --------
6/4 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 --------
6/4 デーリー・SF連銀総裁 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 --------
6/3 植田・日銀総裁 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。
6/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 --------
6/3 ローガン・ダラス連銀総裁 (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 --------
6/2 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 --------
5/28 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「基調は非常に良好だ。楽観的な現在の政策スタンスは、景気に対してやや抑制的に作用している」、(インフレへの懸念を理由に)「次の政策変更は利下げと同程度に利上げの可能性もあることを示したいと考える当局者が増えている」 --------
5/28 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「FRBの使命は物価安定と雇用の最大化だが、足元ではインフレが目標を上回っている」、「将来的に利上げを検討する可能性や確率はゼロより高くなければならない」 --------
5/21 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、かなり深刻なインフレ問題が生じつつある」、「FRBの二大責務のうち、雇用面についてはおおむね安定している」、「インフレ面に特に注目している」 --------
5/21 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「既に5年以上にわたってインフレ率が目標の2%を上回っている中で、これほど多くの波が押し寄せている。その累積的な影響により、インフレ期待が緩まないかを問う価値がある」、「私にとって重要なのは、企業や消費者、そしてインフレ期待がどこまで耐えられるかという点だ」 --------
5/21 小枝・日銀審議委員 (基調的なインフレ率について)「既に2%ぐらいになってきている」、「政策金利を適切なペースで引き上げて、経済へのトレードオフにも配慮しつつ、物価高への対応を進めていくことが適切だ」、「今後、インフレ率や予想物価上昇率が上昇する場合、実質金利は自然利子率からマイナス方向に一段とかい離しうる。利上げを通じて金利の正常化を進めることが、より重要になる」、(景気見通しについて)「グローバルなIT需要の強さや政府の各種施策の効果などを踏まえれば、現時点で世界金融危機やコロナ禍のような景気の大幅な落ち込みが、見通し期間で生じる蓋然性は低い」 --------
5/20 トランプ・米大統領 「米国はイランとの間で最終段階にある」、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」 原油価格が大きく下がり、株と債券が買われる。ドル円は159円台前半から158円60銭まで下落。
5/19 片山・財務大臣 「断固たる措置を取るときは取る」 ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。
5/19 トランプ・米大統領 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 --------
5/14 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 --------
5/12 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 --------
5/7 デーリー・SF連銀総裁 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 --------
5/7 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 --------
5/7 コリンズ・ボストン連銀総裁 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和