今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円、3週間ぶりに158円台を回復」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円はアジア時間では157円台半ばから後半で推移していたが、NYでは「9月のPMI」が予想を上回ったことでドルが上昇。ドル円は約3週間ぶりに158円40銭まで買われる。
  • ユーロドルも続落。ユーロは1.1371まで売られ、2ヵ月ぶりの水準に。
  • 米金利の上昇に、株式市場では3指数が揃って下落。ダウは352ドル下げ、S&P500も58ポイント安。
  • 債券はPMIの上振れに大きく下落。長期金利は5.11%台まで上昇し、10月利上げの確率も68%まで上昇。
  • 金は続落。一時は90ドル台を割り込んだ原油価格は92ドル台に上昇。
******************************
9月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 57.0
9月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 58.7
9月S&Pグローバル総合PMI(速報値) → 58.4
******************************
ドル/円 157.78 〜 158.40
ユーロ/ドル 1.1371 〜 1.1415
ユーロ/円 180.00 〜 180.42
NYダウ −352.10 → 51,511.59ドル
GOLD −58.00 → 4,318.40ドル
WTI +1.64 → 92.16ドル
米10年国債 +0.153 → 5.114%

本日の注目イベント

  • 豪 豪8月雇用統計
  • 独 独9月ifo景況感指数
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 経常収支(4−6月)
  • 米 8月新築住宅販売件数
  • 米 米中首脳会談・晩餐会(ワシントン)
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会に参加
  • 米 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁講演
  • 米 ハマック・クリーブランド連銀総裁講演

本日のコメント

昨日のNYでは、ドルが主要通貨に対して全面高となり、ドル円は一時158円40銭まで買われました。「9月のPMI」が2021年以来およそ5年ぶりの高水準となり、FRBが利上げを継続するとの見方が強まったことが背景でした。今月の会合で0.25ポイントの利上げを決めたばかりですが、市場は10月の利上げを織り込み始め、その確率は「68.6%」まで上昇してきました。個人的には次回FOMCでの連続利上げの可能性は低いと見ており、利上げがあるとすれば12月と考えています。ただ、今後も好調な経済指標が続けばその可能性もないとは言い切れません。雇用が安定しており、ここが崩れないことを前提としていますが・・・。ブルームバーグは、「ファンダメンタルズは一段のドル高を示唆している。PMIの上振れで米経済の底堅さが改めて意識された。夏場に見られた米経済指標の弱含み傾向は後退し、FRBの利上げ観測は他国・地域よりも根強い」といった意見を紹介していました。確かに、今回の利上げ決定は「全会一致」でした。一方、同じく0.25ポイントの利上げを決めた日銀では、政治的配慮があったとしても「2名の反対」があったことが明らかになっており、「連続利上げ」という点では、FRBに分がありそうです。

カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は18日、コロラド州でのイベントで、「FRBにはインフレ抑制に向けてまだやるべきことがあり、今週の措置(利上げ)はその方向への一歩だった」と指摘。「原油高はインフレ率を押し上げる重要な要因となっているが、インフレの問題がエネルギーだけではないことを認識する必要がある」と話していました。また、FRBのもう一つの責務である労働市場については、「均衡しているようだ」とし「経済成長は堅調だ」との認識を示しました。FOMCメンバーが公表した予測では、年内に少なくともあと1回の利上げを見込んでいる結果となっています。シュミッド総裁はこれまでに、政策当局者が9対3で政策金利の据え置きを決めた7月の会合でも、「自身が議決権を有していたら利上げを支持していただろう」と述べていました。一方で、米国家経済会議(NEC)のハセット委員長は23日、ジョージタウン大学でのイベントで、「最近のコアインフレ率が年率2%となるなかで、なぜ利上げするのか」と述べ、FRBのウォーシュ議長については「異例なほど党派性の強いFRBを運営している」と、批判しています。さらにハセット氏は、「FRB議長や副議長は通常、任期満了時にFRBを去るが、その慣例が守られていない」と指摘。現FRB理事のパウエル氏とバー氏を例に挙げています。ウォーシュ氏、パウエル氏、バー氏を含むFOMCで投票権を持つ全メンバーが先週の政策金利の引き上げに賛成していましたが、ハセット氏は経済指標に対する自身の見方を踏まえ、「なぜそうしたのか懸念している」と述べていました。

トランプ大統領は国連総会が開催されているNYで、米国とイランの代表者が停戦の糸口を探るため接触したことを明らかにしました。「3時間にわたる協議で、非常にうまくいった」と話しています。事実上両国の交渉は中断されており、双方がホルムズ海峡の主権を巡る主張に大きな溝があり没交渉になっています。トランプ政権では、原油価格の上昇が金利上昇につながり、さらに保有する兵器も不足しているとされ、中間選挙を前に追い込まれた格好です。一方イラン側も、ホルムズ海峡を米軍が閉鎖していることで、原油の輸出ができず代金が入って来ないことから経済は疲弊している模様です。加えて、米国の経済制裁もあり、通貨は下落基調です。イランとしても、このままでは米国の大規模攻撃を待つばかりとなり、解決の糸口を模索している状況です。米国との再交渉に向けて一歩踏み出したかに見えますが、イランのペゼシュキアン大統領は23日国連総会で演説し、「全ての国がホルムズ海峡の恩恵を受ける一方で、同海峡を歴史的に守ってきたイランが抑圧的な制裁によって恩恵を奪われることは受け入れられない」と述べました。さらにペゼシュキアン氏は、「イランは約7カ月にわたる米国との紛争を終結させるため協議を再開する用意があるものの、脅しには応じない」と表明。また、同国は核兵器の開発には一切関心がないとした上で、「経済発展に向けて核技術を開発する権利を放棄するつもりはない」と発言。米国と再交渉の可能性が高まった中、水をさす発言でした。トランプ大統領も国連総会で演説を行っています。トランプ氏は、「歴史上最も並外れた国家の大統領として、将来的に増大すると知りながら危険を放置するつもりはない。他の指導者は口ばかりだが、自分は行動した」と自画自賛に終始していました。

経済協力開発機構(OECD)は、2027年のインフレ率は世界各地で予想を上回る見通しで、米国やオーストラリアなどで一段の金融引き締めが必要になるだろうとの見通しを発表しました。OECDが23日に発表した報告書では、「中国とサウジアラビアを除く全てのG20のインフレ率見通しについて6月の予測から引き上げ、これに金融政策で対応せざるを得なくなる可能性があると指摘した。エネルギー価格の新たなショックや予想以上に強い需要圧力を受け、インフレ率はすでに多くの国・地域で目標値を上回っている。基調的なインフレ圧力を持続的に抑えることが、中央銀行には求められる」(ブルームバーグ)としました。

先週末の日銀決定会合では予想通り政策金利の引き上げが決定され、ドル円は直後から上昇。157円台まで買われた後、「政策の局面が変わった」との、植田総裁の発言で156円台まで押し戻される場面もありましたが、その後再び上昇に転じ158円前後まで買われました。ただ、そこで「レートチェック」があった模様です。やや意外でしたが、連休に入ることもあり、ドル高の流れをけん制したようです。ドル円は再び上昇基調に入ろうとしていますが、まだ160円は遠いと思われます。ポイントになるのは、やはり米国のインフレが加速するかどうかでしょう。日米中銀ウイークが終わり、やや材料難というところで、155−160円のレンジ内でもみ合いを予想しています。

本日のドル円は157円50銭〜158円80銭程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/23 ハセット・米国家経済会議(NEC)委員長 「最近のコアインフレ率が年率2%となるなかで、なぜ利上げするのか」、(ウォーシュ議長については)、「異例なほど党派性の強いFRBを運営している」、「FRB議長や副議長は通常、任期満了時にFRBを去るが、その慣例が守られていない」、「なぜそうしたのか懸念している」 --------
9/18 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「FRBにはインフレ抑制に向けてまだやるべきことがあり、今週の措置はその方向への一歩だった」、「原油高はインフレ率を押し上げる重要な要因となっているが、インフレの問題がエネルギーだけではないことを認識する必要がある」、「均衡しているようだ」、「経済成長は堅調だ」 --------
9/16 フォンデアライエン・欧州委員長 「欧州とカナダは民主主義を信じている。権力は、最も強い者、最も裕福な者、最も声の大きい者のものではない」 --------
9/16 ウォーシュ・FRB議長 「金融・信用環境をわれわれの最終的な目標により整合させるため、緩和の度合いを幾分縮小した」、「6カ月、112カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる」、「この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」 ややタカ派的なトーンだったことで、ドル円は156円台に乗せ、156円42銭まで上昇。
9/16 FOMC声明文 「委員会は米連邦準備制度理事会(FRB)の二大責務を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25ポイント引き上げ、3.75−4%にすることを決めた。委員会は、銀行システム内に十分な準備預金を維持する方針を継続している。経済活動は堅調なペースで拡大しつつある。地政学的な動向などを背景に、不確実性は引き続き高いものの、国内支出は底堅く推移している。生産性の伸びは力強く、設備投資は堅調だ。雇用の伸びは労働力に見合うペースを維持しており、失業率はほぼ変わっていない」、「インフレは高止まりしている。本日の政策措置は、委員会の目標である2%に向けた、より速やかな回帰を支えるだろう。委員会は物価安定を実現する」 --------
9/15 ベッセント・財務長官 「円高は米国の輸出にとって好都合だ。円が強くなれば、日本政府が為替介入の資金を捻出するために米国資産を売却する必要もなくなる」、「ごくわずかな額で、日本の政策を支持する姿勢を示すことができた」、「介入の目的ではなかったものの、米財務省は円買い介入によって数千万ドルの利益を上げた」 --------
9/10 ラガルド・ECB総裁 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 --------
9/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 --------
9/2 高田・日銀審議委員 (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。
9/1 バー・FRB理事 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 --------
8/28 ウォーシュ・FRB議長(ジャクソンホールでのシンポジウムで) 「インフレ率を2%の目標に戻す」、「私の判断基準はこうだ。基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」、「やるべきことがある」、「私はきょう、特定の政策決定ではなく、規律を重んじる決意を持ってここに立っている」と述べ、さらに、「インフレ率が2%を上回っている中、FRBは現時点で、最大の重点を物価に置くべきだと」 ドル円は159円台半ばから160円20銭まで上昇。米金利高、株安が進む。
8/27 ベッセント:財務長官(介入に対するウォーレン上院議員への回答で) 「日本は米国債の主要な保有国だ」、「円相場が無秩序な動きとなれば、ポジションの強制的な巻き戻しを引き起こす。そうなれば、世界の市場を不安定化させ、最終的には米国の家計や企業の借り入れコストを押し上げる可能性がある」 --------
8/13 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 --------
8/13 ハマック・クリーブランド連銀総 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 --------
8/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和