今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円154円割れ」

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場
  • ドル円は夕方の5時前から急落し、わずか30分ほどで154円06銭辺りまでドルが売られる。目立った理由はなかったものの、155円台前半にあった、これまでのサポートが切れたことでドル売りが加速。
  • ユーロドルは1.16台に乗せ、1.1636まで買われる。
  • WTI原油価格は続伸し、92ドル台に乗せる。
ドル/円 154.06 〜 155.57
ユーロ/ドル 1.1620 〜 1.1636
ユーロ/円 179.14 〜 180.82
NYダウ ------ → 53,414.25ドル
GOLD ------ → 4,476.25ドル
WTI +1.16 → 92.64ドル
米10年国債 ------ → 4.782%

本日の注目イベント

  • 豪 豪9月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 豪 豪8月NAB企業景況感指数
  • 日 4−6月GDP(改定値)
  • 日 7月国際収支・貿易収支
  • 日 8月景気ウオッチャー調査
  • 中 中国8月貿易収支
  • 独 独7月貿易収支
  • 独 独7月鉱工業生産
  • 英 英8月小売売上高
  • 米 7月消費者信用残高

本日のコメント

ドル円が大きく売られ、これまでに何度もサポートレベルとして機能してきた155円台前半を割り込み、一気に154円06銭前後まで円高が進みました。NY市場が休場で動きはないと思われたドル円でしたが、夕方5時前辺り、欧州勢が参入する時間からドル売りが加速しました。明確なドル売り材料は見当たりませんが、やはり、筆者もこれまでに何度か本欄で指摘してきた、「155円を割り込むと、ストップロスやオプションのバリアーなどが、ドル売りを加速させる可能性がある」ということだったのか、と思います。因みに、ブルームバーグは、「7日の外国為替市場で円が対ドルで日米の協調介入後に付けた高値を上回り、2月以来の高水準となった。日本銀行の利上げ観測が強まる中、円を巡る市場のセンチメントが急速に好転している」と報じ、さらに「円は一時前営業日比1.4%高の154円06銭まで上昇した。先週は一時160円39銭まで下落していた。この日の動きに明確な要因は見当たらず、一部トレーダーは、米レーバーデーの祝日で相場の振れが増幅されたと指摘する一方、他のトレーダーは1ドル=155円という節目の水準を割り込んだことを理由に挙げた」と伝えていました。やはり、テクニカル的に節目を割り込んだことが、ドル円が一段と下落した大きな理由だったと思われます。

市場は急速に「ドル売りモード」に入ってきたと感じます。これが、一時的なものなのか、あるいは長期スパンに入ったのか、まだ判断できません。今日も、おそらく154円を割り込み、大きくドルが下落する展開を予想しますが、一方で「そんなにドルベアでいいのか」という思いがないわけでもありません。一つは、WTI原油価格の動きです。原油先物相場が祝日で薄商いとなる中でも上昇しています。WTI原油価格は昨日の段階で92ドル台に乗せ、北海ブレントも一時、98ドルを上回る場面もみられました。イランがホルムズ海峡の新たな航路を巡るオマーンとの協議が最終段階に近づいていることが明らかになりながらも、同海峡では船舶への攻撃が相次ぎ、緊張状態が続いています。イランはまた、オマーン沿岸近くを航行する船舶は攻撃対象となり得るとも警告しています。原油価格の上昇は、米国のインフレを加速させる要因であることは言うまでもありません。インフレの加速はFRBによる利上げにつながり、ドル金利が上昇することになります。果たしてこのままドル売りが続くのかは不透明です。従って、FRBが年内に何回利上げするのかは今後のインフレ次第です。同時に、日銀が本当に連続利上げを実施できるのかという点でも、現時点ではまだ不透明だと言えます。

カナダは8日、米国から輸入する数百品目に15−50%の関税を課す構えを崩していません。カーニー首相はトランプ大統領に対抗する姿勢を示すことが、最大の貿易相手国である米国との交渉で最終的にカナダの立場を有利にするとみているようです。米国とカナダの交渉担当者は数週間にわたり、貿易摩擦の緩和に向けた合意を目指して協議し、大枠では折り合ったとみられており、トランプ大統領は8月18日、暫定合意に達したと発表し、詳細を詰めるため3日間の猶予を設けました。しかし、協議は決裂しました。土壇場での見送りがなければ、カーニー政権は米国製の多くの鉄鋼製品に対する関税を25%から50%に引き上げ、オートバイや化粧品、チーズなど、幅広い消費財にも関税を課すことになります。そして、「この措置は、ミシガン、オハイオ両州など、カナダとの取引が多く、11月の中間選挙で激戦が繰り広げられている州の米輸出業者には、特に大きな打撃となる」(ブルームバーグ)とのことです。

ドル円はすでに154円台を割り込んでいます。NYでもこの流れが続けば、153円台割れもないとは言えません。

本日のドル円は153円〜155円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 --------
9/2 高田・日銀審議委員 (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。
9/1 バー・FRB理事 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 --------
8/28 ウォーシュ・FRB議長(ジャクソンホールでのシンポジウムで) 「インフレ率を2%の目標に戻す」、「私の判断基準はこうだ。基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」、「やるべきことがある」、「私はきょう、特定の政策決定ではなく、規律を重んじる決意を持ってここに立っている」と述べ、さらに、「インフレ率が2%を上回っている中、FRBは現時点で、最大の重点を物価に置くべきだと」 ドル円は159円台半ばから160円20銭まで上昇。米金利高、株安が進む。
8/27 ベッセント:財務長官(介入に対するウォーレン上院議員への回答で) 「日本は米国債の主要な保有国だ」、「円相場が無秩序な動きとなれば、ポジションの強制的な巻き戻しを引き起こす。そうなれば、世界の市場を不安定化させ、最終的には米国の家計や企業の借り入れコストを押し上げる可能性がある」 --------
8/13 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 --------
8/13 ハマック・クリーブランド連銀総 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 --------
8/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和