今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「中東情勢一段と混迷深める」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は小動きの中、緩やかに上昇する展開。中東情勢の悪化に伴う原油高の影響もあり、158円75銭までドル高が進む。
  • ユーロドルは小幅に下落し、1.1153までユーロ安に。
  • 株式市場はまちまちの動き。金利の動きがなかったものの、ダウは195ドル買われ、他の2指数は小幅安。
  • 債券市場は休場。
  • 金は反落。原油は続伸。中東情勢の悪化とメキシコ湾で発生したハリケーンの影響で93ドル台に。
ドル/円 158.58 〜 158.75
ユーロ/ドル 1.1153 〜 1.1182
ユーロ/円 176.89 〜 177.36
NYダウ +195.60 → 51,850.55ドル
GOLD −25.70 → 4,190.60ドル
WTI +1.89 → 93.74ドル
米10年国債 ------ → 5.238%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
  • 豪 豪9月NAB企業景況感指数
  • 独 独9月消費者物価指数(改定値)
  • 米 9月中古住宅販売件数
  • 米 9月財政収支
  • 米 ウォラー・FRB理事講演
  • 米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演
  • 米 決算発表 → ゴールドマン、J&J、JPモルガン、ウェルズファーゴ、シティグループ

本日のコメント

中東情勢が一段と混迷を増し、WTI原油価格が再び93ドル台に乗せてきました。サウジアラビアの首都リヤドにある国際空港で10日、イエメンのフーシ派による攻撃で、12人が死亡し309人が負傷しました。フーシ派は、「迎撃失敗の責任はサウジ側にある」との声明を出しています。11日の攻撃でも1人が死亡し、11人が負傷。フーシ派は攻撃について直ちに犯行を認め、イエメンの首都サヌアの空港への空爆など、「サウジによる攻撃への報復だ」と主張しています。10日の死者には米国人1人も含まれており、トランプ大統領にも行動を求める圧力が強まっている状況です。トランプ氏は同日、米国がフーシ派への攻撃に加わるかと問われ、「そうするかもしれない。検討する」と答えていました。トランプ氏とすれば、11月3日の中間選挙を前にして「攻撃は避けたいところ」だと思われますが、逆に米国人に被害が及んでいることで、行動を起こさないと非難されるリスクもあり、板挟みの状況かもしれません。この一連の動きに、WTI原油価格は再び93ドル台まで上昇しています。ペルシャ湾での石油輸送ではイラン側から攻撃される可能性が高いため、かなりの原油がアラビア半島を横断するパイプラインを通じて紅海側のバベルマンデブ海峡を利用するルートから輸送されています。同海峡はフーシ派が制圧しており、フーシ派の攻撃がさらに激化するようだと、こちらのルートからの石油輸送にも大きな支障が出そうです。

ロシアとウクライナの戦争も、終結するどころかさらに激化しています。ロシアがウクライナのガス生産施設を攻撃したことで、ウクライナもロシアの製油所を攻撃しており、双方とも攻撃の対象をエネルギー施設に集中し始めたようです。ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアがエネルギー停戦に合意しない限り、同国に対する長距離攻撃を続ける」と12日に述べています。トランプ大統領はこの前日、ロシアとウクライナがエネルギー施設への攻撃を互いに停止することで合意したと主張しましたが、ゼレンスキー氏はロシアが停戦に違反したと説明しています。ただ、このところ、トランプ氏はロシアからの軽油の輸入を決めるなど、ロシア寄りに傾いてきたとの指摘があるように、「ウクライナは新しい大統領を迎える時がきた」と述べ、ゼレンスキー氏の辞任を促す発言を行っています。

明日14日には「米9月の消費者物価指数(CPI)」が発表されますが、クリーブランド連銀のハマック総裁は12日、クリーブランドで開かれた全米企業エコノミスト協会の年次総会で「対応を先送りして後で大幅な軌道修正を迫られるリスクを負うより、可能であれば、小幅な調整を比較的速やかに行う方が望ましいと考えている」と述べ、次期会合での利上げ支持まで踏み込んだ発言はしませんでしたが、金融政策を小幅かつ頻繁に調整することがインフレ期待の安定に役立つとの考えを示しました。今年の金融政策決定で投票権を持つハマック氏は、インフレ圧力はエネルギー分野に限らないと指摘。関税引き上げの影響に加え、AI向けインフラ整備に伴う電力やテクノロジー部品への需要増加もインフレ圧力の要因として挙げていました。ハマック氏は先に、今月27−28日の次回会合までに、当局者が検討すべき情報がさらに出て来ると述べており、14日発表のCPIもその一つとなります。次回FOMC会合での利上げの可能性を巡っては、明日発表のCPIの結果次第ではありますが、筆者は現時点では依然「利上げはない」との予想を維持しています。日米とも金融当局者は、前回利上げを行った効果を見極める方が得策との考えを持っているとみています。

これまで158円台半ば付近で上値がキャップされていたドル円でしたが、昨日のNYではややそのキャップを上抜けした印象です。もちろんまだ完全上抜けしたわけではありませんが、この1週間、ほとんど動きのなかったドル円が、やや上方を試す動きを見せたと思います。上記、「中東情勢の悪化」と「原油価格の上昇」がドルをサポートしている状況です。

本日のドル円は157円90銭〜159円程度を予想します。

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What's going on?

「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/12 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「対応を先送りして後で大幅な軌道修正を迫られるリスクを負うより、可能であれば、小幅な調整を比較的速やかに行う方が望ましいと考えている」 --------
10/8 ウォラー・FRB理事 「経済指標が引き続き予想通りに推移すれば、インフレ率を2%の目標により速やかに戻すため、追加利上げが必要になると予想している」、「しかし利上げをいつ実施するかについては、ある程度の柔軟性がある。連続する会合で利上げする必要はないが、妥当な期間内に実施すべきだ」 --------
10/6 佐藤・日銀審議委員 「段階的に調整していく方針には賛成している」、「個人消費の勢いはそれほど強くない」 --------
10/1 ジェファーソン・FRB副議長 「先行きを見据えると、今後の政策調整はデータの傾向、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に検討した上で決定すべきだと考えている。同僚と私はそれぞれ独自に判断を下す必要があり、それにはさらに時間がかかる可能性がある」 --------
10/1 ボウマン・FRB副議長 「現時点では追加措置を急ぐ必要があるとは考えていない。データを総合的にもっとよく理解する必要があると思うが、リスクには引き続き注意を払う必要がある」 --------
9/29 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「経済が私の予測とおおむね整合的な形で推移すれば、インフレ率をより早期に目標水準に下げるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを今年終盤にもう一段引き上げることが適切となる可能性がある」、「10月のFOMC会合が中間選挙に近いことについては、『全く』考慮すべき要因ではない」 10月の利上げ確率が後退
9/24 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「関税やテクノロジー関連の値上がり、燃料費や医療費の上昇など、幅広いコスト上昇圧力が長引いていることで、米国のインフレが定着するリスクが高まった」、「より引き締め的な金融政策が必要になる」 --------
9/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「相次ぐ供給ショックに見舞われており、インフレ心理が定着するリスクが高まっている」 --------
9/24 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「この先の状況が私の予想通りに推移すれば、さらに小幅な引き締めが正当化される可能性がある」、「米経済はショックに対して底堅く、生産の伸びは堅調で、労働市場は完全雇用に近いとして、『勢いが増している』兆しがある」 --------
9/23 ハセット・米国家経済会議(NEC)委員長 「最近のコアインフレ率が年率2%となるなかで、なぜ利上げするのか」、(ウォーシュ議長については)、「異例なほど党派性の強いFRBを運営している」、「FRB議長や副議長は通常、任期満了時にFRBを去るが、その慣例が守られていない」、「なぜそうしたのか懸念している」 --------
9/18 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「FRBにはインフレ抑制に向けてまだやるべきことがあり、今週の措置はその方向への一歩だった」、「原油高はインフレ率を押し上げる重要な要因となっているが、インフレの問題がエネルギーだけではないことを認識する必要がある」、「均衡しているようだ」、「経済成長は堅調だ」 --------
9/16 フォンデアライエン・欧州委員長 「欧州とカナダは民主主義を信じている。権力は、最も強い者、最も裕福な者、最も声の大きい者のものではない」 --------
9/16 ウォーシュ・FRB議長 「金融・信用環境をわれわれの最終的な目標により整合させるため、緩和の度合いを幾分縮小した」、「6カ月、112カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる」、「この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」 ややタカ派的なトーンだったことで、ドル円は156円台に乗せ、156円42銭まで上昇。
9/16 FOMC声明文 「委員会は米連邦準備制度理事会(FRB)の二大責務を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25ポイント引き上げ、3.75−4%にすることを決めた。委員会は、銀行システム内に十分な準備預金を維持する方針を継続している。経済活動は堅調なペースで拡大しつつある。地政学的な動向などを背景に、不確実性は引き続き高いものの、国内支出は底堅く推移している。生産性の伸びは力強く、設備投資は堅調だ。雇用の伸びは労働力に見合うペースを維持しており、失業率はほぼ変わっていない」、「インフレは高止まりしている。本日の政策措置は、委員会の目標である2%に向けた、より速やかな回帰を支えるだろう。委員会は物価安定を実現する」 --------
9/15 ベッセント・財務長官 「円高は米国の輸出にとって好都合だ。円が強くなれば、日本政府が為替介入の資金を捻出するために米国資産を売却する必要もなくなる」、「ごくわずかな額で、日本の政策を支持する姿勢を示すことができた」、「介入の目的ではなかったものの、米財務省は円買い介入によって数千万ドルの利益を上げた」 --------
9/10 ラガルド・ECB総裁 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 --------
9/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 --------
9/2 高田・日銀審議委員 (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。
9/1 バー・FRB理事 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和