「ドル円一時159円25銭まで上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は狭い値幅の中乱高下。朝方、ベッセント財務長官の談話が伝えられると158円67銭まで急落。その後再び159円25銭まで上昇したが、今度は片山財務相の介入に対する強い発言が伝えられ、158円台後半に押し戻される。
- ドル高の流れにユーロドルは1ヵ月半ぶりに1.16台を割り込む。
- 株式市場では金利上昇を嫌気して3指数が大きく下落。ダウは322ドル安。
- 債券は反落し、長期金利は一時4.68%台まで上昇。
- 金利高・ドル高を受け金は4日続落。原油は小幅安。
4月中古住宅販売成約指数 → 1.4%
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| ドル/円 | 158.67 〜 159.25 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1593 〜 1.1623 |
| ユーロ/円 | 184.18 〜 184.87 |
| NYダウ | −322.24 → 49,363.88ドル |
| GOLD | −46.80 → 4,511.20ドル |
| WTI | −0.89 → 107.77ドル |
| 米10年国債 | +0.079 → 4.666% |
本日の注目イベント
- 独 独4月生産者物価指数
- 英 英4月消費者物価指数
- 欧 ユーロ圏4月消費者信頼感(改定値)
- 英 英4月生産者物価指数
- 米 FOMC議事録(4月29日分)
本日のコメント
「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」19日に予定されていたイランへの大規模な攻撃を、直前に中止したトランプ大統領は記者団にこう語りました。いつまで待つのかと問われると、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」と答えています。トランプ氏の発言は、イランとの戦闘を再開する可能性を改めて浮上させています。2月末に米国・イスラエルの攻撃を受けて以来、イランはトランプ氏が要求する核開発計画の放棄に応じていないことで、トランプ氏は、4月8日の停戦合意以降、軍事行動の再開を示唆しては撤回する言動を繰り返しています。19日の原油相場は下落しましたが、戦争開始時の水準をなお50%余り上回っています。今回の紛争で石油や天然ガス輸送の要衝であるホルムズ海峡が閉鎖され、世界的にエネルギー価格とインフレが急騰しており、米30債利回りは約20年ぶりに「5.19%」へと跳ね上がっています。日本でも長期金利の上昇が続いており、10年債利回りは「2.8%」に達しています。財政懸念とインフレ加速の見通しから円債が売られ金利が上昇。金利の上昇は歳出に占める国債の割合が高い日本では、財政を一段と悪化させるという理由から、さらに円債が売られるという「負のスパイラル」に陥っている可能性があります。
ホルムズ海峡では船舶の航行が再び減少していますが、市場ではNATOの動きに注目しています。NATOは、「海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖が7月初めまでに解除されない場合、船舶の海峡通過を支援する可能性を検討しているとNATOの高官が明らかにした」と、ブルームバーグが報じています。報道では、「この案は一部加盟国の支持を受けているものの、必要な全加盟国からの支持はまだ確保できていないと、加盟国の外交官は説明した。両者とも匿名を条件に語った。NATOは7月7−8日にアンカラで首脳会議を予定している。19日の記者会見でその可能性について問われたグリンケウィッチNATO欧州連合軍最高司令官は、『政治的な方向性がまず打ち出され、その後で正式に計画が策定される。自分がそれを考えているかと言われれば、当然だと回答する』と述べた」としています。具体的にNATOが商船の安全なホルムズ海峡通過をどのように保障できるのか不明ですが、米軍も船舶の安全な海峡通過を支援する「プロジェクト・フリーダム」を実施したものの、開始から数日で停止に追い込まれた経緯もあります。
ドル円は159円台に乗せました。4月30日の介入以降、159円台乗せはこれで「3度目の挑戦」になります。昨日のNYの朝方にはベッセント財務長官がSNSへの投稿で、「日本銀行の植田和男総裁が日本の金融政策を成功裏に導くとの確信を持っている」と表明。また、ロイター通信とのインタビューで、植田総裁について、日本政府から十分な独立性が与えられれば「必要な対応を取る。植田氏は優れた中央銀行総裁だと思う。必要な対応を取るための余地が与えられれば、日本は優れた金融政策を実現すると確信している」と話しています。この報道で、ドル円は158円67銭まで急落しましたが、いつものように、直ぐに159円台に反発し、159円25銭を付けています。ただその後、今度はパリで開催されていたG7財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、片山財務相が為替動向について、「断固たる措置を取るときは取る」と述べたことが伝えられ、再び158円台後半までドルが売られました。同日閉幕した会議の共同声明では、為替政策について、G7が長く掲げてきた為替レートを人為的に操作しないことや、過度な為替変動が経済に悪影響を及ぼし得ることに言及した「2017年5月の為替相場についてのコミットメント」について、再確認するとの文言が盛り込まれました。片山氏はこれを受け、4月末の大規模介入など日本の為替政策の姿勢について、「総じて理解された」との認識を示しました。このように、狭い値幅の中ドル円は乱高下しましたが、これまで通り、「何もしなければドルが買われる」流れは変わっていません。ベッセント財務長官の発言も、「一般論の域」を超えておらず、特段円安に不快感を示したものではないと受け止められ、片山氏の発言には「いらいら感」も見え隠れしていました。ただ当局としたら、再び160円台乗せだけは阻止したい構えだと受け止めています。従って、ここからのドルロングには注意したいところです。これまでのパターンであれば、夕方4時過ぎ辺りか、あるいは意表をついて、NY市場にかかる時間滞でもあり得るかもしれません。
本日のドル円は158円〜160円程度を予想しますが、介入があれば下値は参考になりません。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 5/19 | 片山・財務大臣 | 「断固たる措置を取るときは取る」 | ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。 |
| 5/19 | トランプ・米大統領 | 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 | -------- |
| 5/14 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 | -------- |
| 5/12 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 | -------- |
| 5/7 | デーリー・SF連銀総裁 | 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 | -------- |
| 5/7 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 | -------- |
| 5/7 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 | -------- |
| 4/23 | 片山・財務大臣 | 「われわれにフリーハンドがある」、「あらゆる可能性が想定される中でも、強い姿勢を貫いていく」、「日本の当局者は米国側と24時間態勢で緊密に連絡を取り合っている」 | -------- |
| 4/6 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「政策当局はかなりの期間、金利を据え置くのが望ましい」、(労働市場が顕著に悪化した場合)、「利下げが必要となるシナリオも想定される」、「インフレ率が目標を上回る状態が続く場合には、利上げが必要になる可能性もある」、「インフレ率は既に5年以上にわたり目標を上回る状態が続いている」、「さらに上昇すれば、2%目標から離れる誤った方向に進んでいることを示す」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



