「米10年債、30年債金利上昇続く」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は再び158円台に乗せ、NYでは158円30銭まで上昇。GPIFの資産構成の見直しがなかったことで円売りが優勢に。
- フランス国債を中心に売りが拡大したこともあり、ユーロドルは、約1年5カ月ぶりとなる1.1187まで下落。
- 米金利が上昇したにもかかわらず株式市場では3指数が揃って続伸。ハイテク株が買われ、ナスダックは最高値を更新。
- 債券は続落。長期金利は一時5.34%まで上昇。30年債も上昇し、ともに2002年以来の高水準に。
- 金は小幅に続落。原油も続落し90ドルを割り込む。
9月S&Pグローバルサービス業PMI(確報値) → 58.8
9月S&Pグローバル総合PMI(確報値) → 58.4
9月ISM非製造業景況指数 → 54.9
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| ドル/円 | 157.89 〜 158.30 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1187 〜 1.1225 |
| ユーロ/円 | 176.78 〜 177.43 |
| NYダウ | +51.23 → 51,267.90ドル |
| GOLD | −5.50 → 4,156.80ドル |
| WTI | −1.68 → 89.43ドル |
| 米10年国債 | +0.032 → 5.305% |
本日の注目イベント
- 豪 豪10月ウエストパック消費者信頼感指数
- 独 独8月製造業新規受注
- 欧 ユーロ圏8月小売売上高
- 米 8月貿易収支
- 米 ローガン・ダラス連銀総裁講演
- 加 カナダ8月貿易収支
本日のコメント
高市首相は昨日の午後、衆院本会議で所信表明演説を行いました。演説では、財政の持続可能性は、自らが掲げる「責任ある積極財政」を進める上で「当然の前提」だと指摘。債務残高対国内総生産(GDP)比を安定的に引き下げるとの目標の下、「通年の国債発行額を適切にコントロールする」と強調し、経済、物価、税収、金利、利払い費、市場の状況などを総合的に検証すると述べました。その上で、具体的な対応方法については言及しなかったものの、本欄でも既報の通り「経済や市場が想定と異なる動きを示した場合には、その影響を十分に分析し、必要な対応を機動的に講じる」とも述べ、積極財政に伴う財政悪化懸念を払拭することに努めていました。また、2027年4月から実施される消費税減税については、「家計に少しでもゆとりを生み出したい」と述べ、財源についての具体的な言及はないまま、「市場の信認を得られるよう、特別公債(赤字国債)に頼らず確保する」と述べるに留めていました。今回の所信表明演説では想定外の発言もなく、市場への影響はほぼ「無風」でした。
5日の米債券相場では、引き続き債券売りが優勢となり10年債と30年債の利回りはいずれも上昇し、それぞれ「5.34%」および「5.7%」と、2002年以来の高水準に達しました。また、短期債利回りも上昇しています。もっとも、昨日の米金利上昇は、欧州債が大きく売られていることに反応した部分もあります。そして、この影響は日本国債売りにも影響しています。通常金利が上昇すれば、生保など機関投資家にとって投資魅力が増し、購入意欲が高まってくるものですが、現時点ではまだ、金利が上昇すると予想され、価格下落に歯止めがかかっていません。ロシア・ウクライナでの戦争に加え、イラン戦争も終結への道筋が見えてきません。さらに、イエメンのフーシ派が、ここ数カ月はサウジに対する軍事作戦を展開しており、サウジアラビア主導の連合軍の支援を受けるイエメン政府軍は5日、親イラン武装組織フーシ派との戦闘の末、紅海沿岸の都市モカを奪還しています。このように、中東を中心に地政学的リスクはさらに高まっており、インフレ懸念は世界的な規模で広がっています。債券市場ではインフレがさらに高まるとの見方から債券が売られ、金利が上昇する構図が続いています。
ユーロドルの下落が勢いを増しています。昨日のNYでは、1.1187までユーロ安が進み、2025年5月以来の水準まで下落しています。フランスを始め、ベルギー、イタリア、ギリシャ国債などが売られ、これがユーロ安につながっていると見られます。フランス国債については日本が最大の保有国で、機関投資家などが含み損を回避するため同国債を売却し、その代金を円に換えているとみています。一方で「AAA」(トリプルA)の格付けを持つドイツ国債は買われており、「Flight to Quality」(質への逃避)が起きている状況です。
ブルームバーグは、ベッセント財務長官は就任から20カ月が経過し、その間、米経済についてバラ色の予測を繰り返してきたが、ほぼ実現できず、同氏に対する信頼がはげ落ちてきたと報じています。「2025年2月には、住宅市場が数週間以内に『凍結状態を脱する』と述べ、インフレ率もFRBが目標とする2%へ『速やかに下がる』と予想した。4月には、多くの米国民にとって身近なガソリン価格にも言及。『6月20日から9月20日までのどこかで、ガソリン価格は再び3ドルになると楽観している』と語った。経済成長や財政赤字についても、同様に明るい見通しを示してきた。しかし今のところ、そうした予測の多くは外れている。借り入れコストの上昇が重しとなり、住宅市場は依然として低迷。8月の中古住宅販売は約1年ぶりの低水準に落ち込み、住宅建設も新型コロナ禍以来の低水準となった」と、厳しく批判しています。米国とイスラエルによる対イラン攻撃という不測の事態があったものの、それでもトランプ政権の重鎮の一人として、現実を直視した悲観的なことは言えないのでしょう。9月30日に公表されたデータでは、物価上昇率は鈍化したものの、なおFRBの目標である2%を大きく上回っています。
本日のドル円は156円90銭〜158円70銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/1 | ジェファーソン・FRB副議長 | 「先行きを見据えると、今後の政策調整はデータの傾向、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に検討した上で決定すべきだと考えている。同僚と私はそれぞれ独自に判断を下す必要があり、それにはさらに時間がかかる可能性がある」 | -------- |
| 10/1 | ボウマン・FRB副議長 | 「現時点では追加措置を急ぐ必要があるとは考えていない。データを総合的にもっとよく理解する必要があると思うが、リスクには引き続き注意を払う必要がある」 | -------- |
| 9/29 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「経済が私の予測とおおむね整合的な形で推移すれば、インフレ率をより早期に目標水準に下げるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを今年終盤にもう一段引き上げることが適切となる可能性がある」、「10月のFOMC会合が中間選挙に近いことについては、『全く』考慮すべき要因ではない」 | 10月の利上げ確率が後退 |
| 9/24 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「関税やテクノロジー関連の値上がり、燃料費や医療費の上昇など、幅広いコスト上昇圧力が長引いていることで、米国のインフレが定着するリスクが高まった」、「より引き締め的な金融政策が必要になる」 | -------- |
| 9/24 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「相次ぐ供給ショックに見舞われており、インフレ心理が定着するリスクが高まっている」 | -------- |
| 9/24 | ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 | 「この先の状況が私の予想通りに推移すれば、さらに小幅な引き締めが正当化される可能性がある」、「米経済はショックに対して底堅く、生産の伸びは堅調で、労働市場は完全雇用に近いとして、『勢いが増している』兆しがある」 | -------- |
| 9/23 | ハセット・米国家経済会議(NEC)委員長 | 「最近のコアインフレ率が年率2%となるなかで、なぜ利上げするのか」、(ウォーシュ議長については)、「異例なほど党派性の強いFRBを運営している」、「FRB議長や副議長は通常、任期満了時にFRBを去るが、その慣例が守られていない」、「なぜそうしたのか懸念している」 | -------- |
| 9/18 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「FRBにはインフレ抑制に向けてまだやるべきことがあり、今週の措置はその方向への一歩だった」、「原油高はインフレ率を押し上げる重要な要因となっているが、インフレの問題がエネルギーだけではないことを認識する必要がある」、「均衡しているようだ」、「経済成長は堅調だ」 | -------- |
| 9/16 | フォンデアライエン・欧州委員長 | 「欧州とカナダは民主主義を信じている。権力は、最も強い者、最も裕福な者、最も声の大きい者のものではない」 | -------- |
| 9/16 | ウォーシュ・FRB議長 | 「金融・信用環境をわれわれの最終的な目標により整合させるため、緩和の度合いを幾分縮小した」、「6カ月、112カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる」、「この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」 | ややタカ派的なトーンだったことで、ドル円は156円台に乗せ、156円42銭まで上昇。 |
| 9/16 | FOMC声明文 | 「委員会は米連邦準備制度理事会(FRB)の二大責務を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25ポイント引き上げ、3.75−4%にすることを決めた。委員会は、銀行システム内に十分な準備預金を維持する方針を継続している。経済活動は堅調なペースで拡大しつつある。地政学的な動向などを背景に、不確実性は引き続き高いものの、国内支出は底堅く推移している。生産性の伸びは力強く、設備投資は堅調だ。雇用の伸びは労働力に見合うペースを維持しており、失業率はほぼ変わっていない」、「インフレは高止まりしている。本日の政策措置は、委員会の目標である2%に向けた、より速やかな回帰を支えるだろう。委員会は物価安定を実現する」 | -------- |
| 9/15 | ベッセント・財務長官 | 「円高は米国の輸出にとって好都合だ。円が強くなれば、日本政府が為替介入の資金を捻出するために米国資産を売却する必要もなくなる」、「ごくわずかな額で、日本の政策を支持する姿勢を示すことができた」、「介入の目的ではなかったものの、米財務省は円買い介入によって数千万ドルの利益を上げた」 | -------- |
| 9/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 | -------- |
| 9/2 | 高田・日銀審議委員 | (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 | ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。 |
| 9/1 | バー・FRB理事 | 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
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