「FOMC、政策金利据え置きを決定」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は続伸し、4月30日の介入時点の水準を上回る160円80銭近辺まで上昇。FOMCでは政策金利が据え置かれたものの、年内の利上げ確率が高まり、ドルが買われた。
- ドルが買われ、ユーロドルは1.15を割り込み、1.1478と、3月下旬の水準まで下落。
- 利上げ観測が高まり、主要3指数は揃って大幅に下落。ナスダックは354ポイント下げ、今週上場したスペースXも売られる。
- 債券価格も下げ、長期金利は4.48%台まで上昇。
- 金は4日続伸。原油は小幅に反発。
5月小売売上高 → 0.9%
5月中古住宅販売成約指数 → 3.8%
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| ドル/円 | 160.20 〜 160.80 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1478 〜 1.1602 |
| ユーロ/円 | 184.54 〜 185.95 |
| NYダウ | −507.12 → 51,492.55 |
| GOLD | +27.00 → 4,381.40ドル |
| WTI | +0.74 → 76.79ドル |
| 米10年国債 | +0.047 → 4.487% |
本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏4月経常収支
- 英 英5月失業率
- 英 英ILO失業率(2−4月)
- 英 BOE金融政策発表
- 米 6月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 5月景気先行指標総合指数
- 米 新規失業保険申請件数
本日のコメント
17日のFOMC会合では、市場予想通りフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを、3.50−3.75%で据え置くことを決めました。
今回の会合ではメンバーによる金利見通しも発表されましたが、思った以上に見方が分かれていました。19人のメンバーのうち9人が年内に少なくとも0.25ポイントの「利上げを1回」実施すると予想し、このうち6人は「少なくとも2回」の利上げを見込んでいました。一方、別の9人は据え置き、または利下げを予想しており、ウォーシュ新議長は、自身の金利見通しの提出を見送っています。会合後に公表された声明文では、「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」と表明し、「経済成長については引き続き堅調」との認識を示しました。今回の声明文は、これまでと比べ短いものとなっていましたが、これについてブルームバーグは、「FRBのコミュニケーション戦略の見直しを表明しているウォーシュ氏の下で、今後見られる変化の兆しかもしれない」とコメントしていました。ウォーシュ氏は会見で、「FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」と発表しました。
作業部会は、1.コミュニケーション、2.バランスシート、3.FRBの「既存データソースの利用と依存」、4.生産性と雇用、5.FRBにおける「インフレの枠組み」を検証する、といった5つです。ウォーシュ氏はまた、2%のインフレ目標を見直すことを否定。「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」と述べました。FRB当局者は中東紛争が始まった直後の3月に公表した経済予測に、複数の修正を加えています。見通しの中央値では、2026年のインフレ率予想は2.7%から3.6%へ上昇しました。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアインフレ率見通しも、2.7%から3.3%へ引き上げられ、イラン戦争が終結に近付いている中でも、インフレ率の上昇は避けられないとの見方を維持していました。その結果、成長率見通しの中央値は、3月予測の2.4%から2.2%へと引き下げています。フランスでG7首脳会議に出席中のトランプ大統領は記者団から、FRBが政策金利の据え置きを決めたことについて問われ、「別に構わない。どうであれ」と述べ、利上げの可能性について質問されると、「信じ難い話だ。それは経済の重しになるし、極めて異例だ」と答えています。そして、「ただ、今はあそこに非常に優秀な人物がいる。だから私は彼が望むことに従う」と、自身が任命したウォーシュ氏を非難することはしませんでした。
今回の決定を受け、金利先物市場では10月の利上げをほぼ織り込む動きになっています。ウォーシュ議長が会見で、どの程度トランプ氏を意識した発言をするのか注目されていましたが、今回の発言を聞く限り、極めて正当派であるとの印象を残しました。市場では、やや「タカ派」の結果に、好調だった株式が大きく売られ、債券も売られたことで金利が上昇。ドル円は一時160円80銭近辺まで買われました。これは、4月30日に当局が市場介入に踏み切った水準である、160円73銭前後を上回る円安水準です。今日の東京時間から、さらに介入警戒感が高まります。米雇用統計やCPI、PPIさらには日米の金融政策会合といった重要イベントを終えてもなお、円安傾向は止まりません。現時点ではやはり、当局による介入しか円買材料が見当たらないのが実情ということです。
本日のドル円は159円80銭〜161円30銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/17 | ウォーシュ・FRB議長 | FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 | -------- |
| 6/17 | FOMC声明文 | 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 | -------- |
| 6/17 | 内田・日銀副総裁 | 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 | -------- |
| 6/11 | ラガルド:ECB総裁 | 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 | -------- |
| 6/9 | 片山・財務大臣 | 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 | -------- |
| 6/4 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 | -------- |
| 6/4 | デーリー・SF連銀総裁 | 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 | -------- |
| 6/3 | 植田・日銀総裁 | 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 | ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。 |
| 6/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 | -------- |
| 6/3 | ローガン・ダラス連銀総裁 | (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 | -------- |
| 6/2 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 | -------- |
| 5/28 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「基調は非常に良好だ。楽観的な現在の政策スタンスは、景気に対してやや抑制的に作用している」、(インフレへの懸念を理由に)「次の政策変更は利下げと同程度に利上げの可能性もあることを示したいと考える当局者が増えている」 | -------- |
| 5/28 | ムサレム・セントルイス連銀総裁 | 「FRBの使命は物価安定と雇用の最大化だが、足元ではインフレが目標を上回っている」、「将来的に利上げを検討する可能性や確率はゼロより高くなければならない」 | -------- |
| 5/21 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「現在、かなり深刻なインフレ問題が生じつつある」、「FRBの二大責務のうち、雇用面についてはおおむね安定している」、「インフレ面に特に注目している」 | -------- |
| 5/21 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「既に5年以上にわたってインフレ率が目標の2%を上回っている中で、これほど多くの波が押し寄せている。その累積的な影響により、インフレ期待が緩まないかを問う価値がある」、「私にとって重要なのは、企業や消費者、そしてインフレ期待がどこまで耐えられるかという点だ」 | -------- |
| 5/21 | 小枝・日銀審議委員 | (基調的なインフレ率について)「既に2%ぐらいになってきている」、「政策金利を適切なペースで引き上げて、経済へのトレードオフにも配慮しつつ、物価高への対応を進めていくことが適切だ」、「今後、インフレ率や予想物価上昇率が上昇する場合、実質金利は自然利子率からマイナス方向に一段とかい離しうる。利上げを通じて金利の正常化を進めることが、より重要になる」、(景気見通しについて)「グローバルなIT需要の強さや政府の各種施策の効果などを踏まえれば、現時点で世界金融危機やコロナ禍のような景気の大幅な落ち込みが、見通し期間で生じる蓋然性は低い」 | -------- |
| 5/20 | トランプ・米大統領 | 「米国はイランとの間で最終段階にある」、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」 | 原油価格が大きく下がり、株と債券が買われる。ドル円は159円台前半から158円60銭まで下落。 |
| 5/19 | 片山・財務大臣 | 「断固たる措置を取るときは取る」 | ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。 |
| 5/19 | トランプ・米大統領 | 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 | -------- |
| 5/14 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 | -------- |
| 5/12 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 | -------- |
| 5/7 | デーリー・SF連銀総裁 | 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 | -------- |
| 5/7 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 | -------- |
| 5/7 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



