「ドル円は再び160円台半ばまで買われる」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- アジア市場の朝方には159円73銭前後まで売られたドル円は、その後160円台を回復。NYでは株価の大幅上昇もあり、160円40銭までドル高に。
- ユーロドルは続伸し1.16台を回復。
- 株式市場では「イランとの和平合意成立」の報道に、3指数が揃って3日続伸。ダウは468ドル買われ最高値を更新。
- 債券は小幅に買われ、長期金利は4.35%台で推移。
- 金は大幅に続伸。原油は一時3カ月ぶりに80ドルを割り込んだが、80ドル台に乗せて引ける。
6月NY連銀製造業景況指数 → 5.7
5月鉱工業生産 → 0.1%
5月設備稼働率 → 76.2%
6月NAHB住宅市場指数 → 35
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| ドル/円 | 160.03 〜 160.40 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1584 〜 1.1620 |
| ユーロ/円 | 185.75 〜 186.02 |
| NYダウ | +468.77 → 51,671.03 |
| GOLD | +112.80 → 4,351.60ドル |
| WTI | −4.13 → 80.75ドル |
| 米10年国債 | −0.006 → 4.473% |
本日の注目イベント
- 豪 RBA、キャッシュターゲット
- 日 日銀金融政策決定会合
- 日 内田副総裁記者会見
- 中 中国5月小売売上高
- 中 中国5月鉱工業生産
- 独 独6月ZEW景気期待指数
- 米 5月輸入物価指数
- 米 5月輸出物価指数
- 米 5月住宅着工件数
- 米 5月建設許可件数
本日のコメント
昨日早朝の「パキスタン首相、米国とイランとの間で和平合意が成立したと発表」とのニュースに、金融・商品市場は大きく反応しました。日経平均株価は一時3500円程買われ、7万円の大台に迫る水準まで上昇。その影響もあり、NYでもダウは一時700ドル程上昇。引け値では上昇幅を縮小しましたが、それでも最高値を更新しています。WTI原油価格も一時80ドル台を割り込み、3カ月ぶりの安値を記録しました。原油価格の低下が、米国のインフレ懸念を後退させたことも株価にとっては追い風となったようです。結局、今回の中東情勢の進展は市場の「リスクオン」を加速させたと言えます。ドル円は再び160円台半ばまで上昇し、先週末の水準とほとんど変わっていません。リスクオンは株価と金を上昇させ、円は対ドルだけではなく、ユーロなどに対しても売られ、再び円全面安の展開でした。
トランプ大統領は、フランスで開かれているG7首脳会議で、ホルムズ海峡の航行は確保されるとの認識を示しました。マクロン仏大統領の横に座ったトランプ氏は「すでに多くの航路が利用可能になっている」と述べました。ただ、トランプ氏とG7首脳との間では認識が異なっているようです。欧州各国は、トランプ氏が約束するような航行再開に懐疑的な見方を崩していません。さらに、機雷除去や哨戒活動への協力を判断するには、まず合意内容の詳細を見極める必要があると考えているようです。ブルームバーグは、匿名を条件に語ったG7当局者の1人の話として、「イラン情勢への対応を巡り加盟国の共通見解をまとめるのは難しい状況だ。共同声明の採択を見込む声も少なく、トランプ政権下では共同声明の発表自体が難しい課題となっている」と伝えています。またトランプ政権内でさえ、ホルムズ海峡の航行が直ちに正常化するとの見方は共有されていないとして、「米政府高官の1人は、船舶の往来が大幅に増えるまでに最大2週間かかる可能性があり、米国とイスラエルが2月にイランを攻撃する前の水準に戻るには、なお時間を要するとの見方を示した。同高官によると、海峡には除去が必要な機雷が残っているほか、船会社ごとにホルムズ海峡航行に対するリスク許容度は異なる」といった記事を配信しています。ペルシャ湾では、ホルムズ海峡開放を待つ船舶が相当数集結しており、原油を載せたタンカーだけでも98隻航行を待っているとの報道もあります。覚書については、トランプ氏、バンス氏、イランのガリバフ国会議長はすでに暫定合意にオンラインで署名しており、正式な署名式典は19日に予定されています。詳しい合意文書の内容については、「19日以降のどこかの時点で公表される可能性がある」と、トランプ氏は述べています。
本日は日銀金融政策決定会合が開催され、協議に要した時間にもよりますが、通常であれば11時過ぎには結果が発表されます。0.25ポイントの追加利上げは間違いないと思われますが、焦点は15時半から行われる会見です。今回は植田総裁が入院していることから内田副総裁が記者会見に臨みます。利上げはほぼ織り込まれていると見られることから、少なくとも「この先も金融緩和の度合いを積極的に調整していくことに変わりはない」といった「ややタカ派的」なメッセージが必要かと思います。これまでに何度も、会見の度に円が売られた経緯があるため、ピンチヒッターの内田氏も十分その辺りは認識していると思いますが、ホルムズ海峡の開放が見えてきた中でも円が売られているのが足元の現状です。言葉選びは慎重になると予想されます。本日のドル円は159円50銭〜161円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/11 | ラガルド:ECB総裁 | 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 | -------- |
| 6/9 | 片山・財務大臣 | 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 | -------- |
| 6/4 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 | -------- |
| 6/4 | デーリー・SF連銀総裁 | 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワードガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 | -------- |
| 6/3 | 植田・日銀総裁 | 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 | ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。 |
| 6/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 | -------- |
| 6/3 | ローガン・ダラス連銀総裁 | (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 | -------- |
| 6/2 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 | -------- |
| 5/28 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「基調は非常に良好だ。楽観的な現在の政策スタンスは、景気に対してやや抑制的に作用している」、(インフレへの懸念を理由に)「次の政策変更は利下げと同程度に利上げの可能性もあることを示したいと考える当局者が増えている」 | -------- |
| 5/28 | ムサレム・セントルイス連銀総裁 | 「FRBの使命は物価安定と雇用の最大化だが、足元ではインフレが目標を上回っている」、「将来的に利上げを検討する可能性や確率はゼロより高くなければならない」 | -------- |
| 5/21 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「現在、かなり深刻なインフレ問題が生じつつある」、「FRBの二大責務のうち、雇用面についてはおおむね安定している」、「インフレ面に特に注目している」 | -------- |
| 5/21 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「既に5年以上にわたってインフレ率が目標の2%を上回っている中で、これほど多くの波が押し寄せている。その累積的な影響により、インフレ期待が緩まないかを問う価値がある」、「私にとって重要なのは、企業や消費者、そしてインフレ期待がどこまで耐えられるかという点だ」 | -------- |
| 5/21 | 小枝・日銀審議委員 | (基調的なインフレ率について)「既に2%ぐらいになってきている」、「政策金利を適切なペースで引き上げて、経済へのトレードオフにも配慮しつつ、物価高への対応を進めていくことが適切だ」、「今後、インフレ率や予想物価上昇率が上昇する場合、実質金利は自然利子率からマイナス方向に一段とかい離しうる。利上げを通じて金利の正常化を進めることが、より重要になる」、(景気見通しについて)「グローバルなIT需要の強さや政府の各種施策の効果などを踏まえれば、現時点で世界金融危機やコロナ禍のような景気の大幅な落ち込みが、見通し期間で生じる蓋然性は低い」 | -------- |
| 5/20 | トランプ・米大統領 | 「米国はイランとの間で最終段階にある」、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」 | 原油価格が大きく下がり、株と債券が買われる。ドル円は159円台前半から158円60銭まで下落。 |
| 5/19 | 片山・財務大臣 | 「断固たる措置を取るときは取る」 | ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。 |
| 5/19 | トランプ・米大統領 | 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 | -------- |
| 5/14 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 | -------- |
| 5/12 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 | -------- |
| 5/7 | デーリー・SF連銀総裁 | 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 | -------- |
| 5/7 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 | -------- |
| 5/7 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



