全米自動車協会(AAA)が公表した日次データによると、米国のガソリン小売価格が20日、1ガロン(約3.8リットル)4ドルを再び上回ったとのことです。一時は3.79ドルまで低下したものの、7月上旬から再び上昇基調に転じています。背景には、ロシアの大幅な石油精製能力の低下や米国の輸入の低迷、そしてガソリン在庫のひっ迫があるとの分析です。また、夏のドライブシーズンの最盛期を迎え、需要が比較的底堅く推移したことも影響しています。加えて、先週から米国とイランの軍事衝突が激化する中、輸送用燃料の世界的な需給のひっ迫がさらに深刻化し、原油価格を押し上げています。NY連銀のウィリアムズ総裁は9日の講演で、「インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば金融政策で対応する必要がある」と話し、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」と述べ、「インフレはピークを過ぎた」との認識を示しましたが、果たして読み通りにいくのでしょうか。WTI原油価格の上昇は、以前ほどの急騰は見せませんが、すでに83ドル台(直近安値は67ドル台)まで上昇しており、今後ガソリン価格を押し上げる公算が高いと思われます。従って、インフレ圧力は依然として払拭されていないと考えておくべきかと思います。米兵3人の死亡を受け、トランプ大統領がイランに対して大規模な攻撃を指示する日も遠くないように思えます。
来週28、29日に開催されるFOMCでは、政策金利の据え置きが予想されていますが、次回の9月会合(18−19日)では利上げに踏み切る可能性も排除できません。ウォーシュ議長は先に行われた議会証言で、「インフレは容認しない」と、自身の任期中にインフレは放置しないと明言していました。また、6月のCPIとPPIの伸びが市場予想を下回ったことに関しても、「任務完了と言うには程遠い」とし、「粘着的な物価を、粘着的でなくすることが私のコミットメントだ」と述べていました。新FRB議長には利下げをしてもらいたいと言っていたトランプ大統領に指名された経緯を踏まえると、議会証言での発言はインフレ抑制に向けた強い姿勢を印象づけました。筆者自身、ウォーシュ新議長については、その影響を懸念していましたが、これらの発言を聞いて、「杞憂だった」と安心しましたが、一方でトランプ氏から「解任」されるリスクも高いのかもしれません。16日にはジェファーソンFRB副議長が一歩踏み込み、「インフレが近く鈍化しなければFRBは利上げを検討する可能性がある」と述べていました。一方、「現時点では、金融政策は引き続き適切な位置にある」との見解も示していました。
高市首相の支持率が急落しているようです。朝日新聞が7月18、19日の両日に実施した全国世論調査によれば、高市内閣の支持率は「53%」と、内閣発足後初めて「60%」台を割り込みました。支持率の低下は朝日の調査だけではありません。毎日新聞でも不支持率が「44%」となり、支持率(41%)を逆転しており、テレビ朝日も「49.2%」、時事通信も「49.0%」と軒並み過去最低でした。高市氏の強気の姿勢は、高い支持率を味方にしたもので、党内でも反対意見を口にする人はいない、「高市一強」の状況のようです。「責任ある積極財政」といいう御旗を掲げまい進する政権に、為替市場では円安が進み、債券市場でも国債が売られ長期金利が「2.9%」と、およそ30年ぶりの高水準を記録したのはまだ2週間ほど前のことです。日経新聞は先週末の記事で、足元の円安を「高市円安」と呼んでいました。今週は材料もなく、23日(木)の「7月コンファレンスボード消費者信頼感指数」が注目される程度です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
