先々週の日米金融政策決定会合では、FRB、日銀ともに0.25ポイントの利上げを決めました。そのため、日米の政策金利の差は結局変わりませんでしたが、利上げを決めた過程や今後のスタンスには大きな差が観られました。FOMCでは全会一致で利上げを決定しています。個人的にはトランプ大統領の指名で議長に就任したウォーシュ議長と、これまでハト派寄りの見解を展開してきたNY連銀のウィリアムズ総裁がどのような判断を下すのかに注目していました。しかし、結果は上述の通り全会一致で利上げを決めた後、ウォーシュ氏は会見でこのように述べていました。「6カ月、12カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる。この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」と、利上げの理由を説明し、今後も基調的な物価上昇が続くならば、利上げを継続するとの印象を残していました。一方日銀の決定会合では浅田、佐藤2名の審議委員が利上げには反対票を投じていました。2名の委員は共に高市首相の指名で審議委員に就任した人物で、首相が利上げを望まないことを代弁しているとも言われています。今回の利上げは、6月の利上げからわずか3カ月しか経過していない中での決定でした。このまま年内さらに1回の利上げを無風にこなせるのか、はなはだ疑問が残ります。仮に10月に利上げを行えば、これまで半年に1回のペースだった利上げが3カ月に短縮され、さらに「連続利上げ」ということになります。上記2名のハト派の委員を抱える中、果たしてそこまで積極的に利上げがきるのか、疑問です。
膠着状態の続くイラン情勢は、米国とイランの主張に隔たりがあり、このままでは11月3日の中間選挙までに終わる可能性はほとんどないというが大方の見方のようです。だとすれば、原油価格が大きく下がる見込みはなく高止まりすると予想されます。言い変えれば、これがインフレをさらに加速させる可能性がありそうです。今週末は「米9月の雇用統計」が発表されます。非農業部門雇用者数(NFP)は約9万人増加すると見込まれています。8月のそれは3月以来の大きな伸びとなっていました。失業率は4.1%にとどまる見通しです。イラン戦争終結の糸口が見つからず、原油が高止まりしている割には、個人消費などが堅調に推移しており、労働市場が巡行速度で推移するとすれば、FRBとしてはインフレのみに全力投球できます。最近の雇用が拡大している背景には、当然ながら景気そのものの強さがあり、需要関連の指標は旺盛な設備投資が続いているほか、個人消費も改善していることが挙げられます。こうした状況を背景に、米金融当局は政策の焦点をインフレに明確に移すことが可能になったということです。
国連の存在意義が問われて久しいですが、グテレス事務総長の2期10年に及ぶ任期が終了します。最後の会見でグテレス氏は、「国連事務総長は本当に力がない」と、自戒の言葉を述べていました。グテレス氏が事務総長に就任したのが2016年でしたが、時を同じくして2017年1月にはトランプ氏が大統領に就任しており、「アメリカファースト」を掲げました。その後バイデン氏と4年間対峙し、そして最後の2年開は再びトランプ氏です。グテレス氏は最後の会見でこう漏らしていました。「軍隊もなく情報機関もなく、お金もない。持つのは発信力と招集能力だ」と話していました。任期中の半分以上はトランプ氏に振り回されたことになります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
