今朝の「アナリストレポート」でも触れましたが、米議会上院は、連邦政府機関の一部閉鎖を終わらせる手続きの評決を実施し、可決しました。これにより、政府機関再開に向け大きく前進したことになります。米上院は9日夜、法案を進めるための手続き上の措置を賛成60、反対40で可決しました。ただ、最終表決の日程はまだ決まっていません。法案は下院でも可決される必要があり、その後、トランプ大統領の署名を経て成立する予定です。合意内容によると、連邦議会は農務省と退役軍人省、議会自体の2026年度(25年10月−26年9月)予算案を可決し、その他の省庁については来年1月30日までの資金を確保する。法案には、休職中の連邦政府職員への給与支払い再開や、州・地方自治体への連邦支払いの再開、閉鎖期間中に一時解雇された政府機関職員の復職措置が盛り込まれています。つなぎ予算が期限内に成立しないまま10月1日からの新会計年度に突入したことで、米政府機関の一部閉鎖は始まりましたが、閉鎖は約7年ぶりのことで、トランプ政権1期目と2期目を通じては3回目でした。この報道を受け、ドル高、株高が進む場面もありましたが、東京時間ではいずれも動きは限定的な範囲にとどまっています。ドル円は一時買われて154台に乗せる場面もありましたが、154円台半ばでは何度もキャップされていることを意識しているせいか、ドルの上昇に勢いは見られません。
日銀の中川審議委員は10日、金融政策運営について、関税政策などの影響を巡る不確実性がなお高い状況を踏まえ、今後のデータや情報を引き続き丁寧に確認し、適切に判断すると、岡山市の講演で述べていました。もともと、「タカ派」、「ハト派」の中間にいると見られている中川氏は、現在の実質金利の水準を踏まえると、日銀の経済・物価の見通しが実現していけば、経済・物価情勢の改善に応じて、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との方針を改めて示しました。内容的には、政策委員の中では最も「ハト派」と見られている植田総裁の発言と大きな差はなく、市場の反応もほとんどない状況でした。10日に公表した10月会合の「主な意見」では、利上げの時期が近づいているとの意見が相次ぎ、中川氏の発言が注目されていましたが、市場ではやや期待外れに失望感も出ていた模様です。
今週13日(木)に「米10月の消費者物価指数」が発表される予定でしたが、今回はどうやら結果は見られる可能性が出てきました。米政府からの労働市場とインフレに関するデータがほとんど入手できない中、12月のFOMC会合での追加利下げ議論も進まない可能性があると、ブルームバーグは指摘していましたが、ようやくその一部が確認されることになりそうです。12月会合での利下げ確率は、先週末よりもやや低下し、現在は「62.8%」となっています。上院での可決を経て、今夜のNY市場がどの程度好感するのか、注目したいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
