今週は日米欧で政策会合があり、加えて日米、米中の首脳会談も予定されています。金融政策については先ず、29日にFOMC会合が開催されます。今回の会合ではほぼ「0.25ポイントの利下げ」が決定される見込みで、9月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことで、より大幅な利下げもないとは言えませんが、0.25ポイントでしょう。これが0.5ポイントであれば、サプライズと言えます。焦点は次回12月会合でも追加利下げがあるのかどうかという点です。現時点での12月会合での利下げ確率は「98.4%」と、市場はほぼ連続利下げがあると予想しています。ただ、その割にはドル円が下げず、むしろは今日の東京市場午前中では153円18銭前後までドル高が進む場面もありました。「今日のアナリストレポート」でも指摘したように、株高が円売りにつながっています。今日前場の東京株式市場では、米中関税協議を巡るリスクが後退し、日経平均株価は初めて「5万円の大台」に乗せ、5万300円台まで買われています。株価の動きには今後も注意が必要です。
一方、30日の日銀政策決定会合では利上げの可能性はほぼないと見られます。高市政権が発足したばかりである他、高市政権による積極財政が予想され、不確実性が高まっています。城内経済財政政策担当相は26日、経済対策の策定に伴う今年度補正予算の規模について「現時点では全く白紙」としながらも、「経済指標が良くなったというだけでは駄目であり、実際に負担感が軽減された実感を持てる施策を目指す」と述べていました。また、片山財務相はブルームバーグなどとのインタビューで、「やむを得ない場合には国債の増発も検討する」と発言しています。日銀政策員会の中でも、植田総裁など執行部は利上げに慎重である一方、審議委員の中ではすでに3名が「利上げの機は熟した」との見方に傾いていますが、それでも日銀は動けないと予想しています。こちらも利上げに動けばサプライズですが、今回の会合だけではなく12月会合についても、利上げ確率は「32.8%」と、低水準にとどまっています。ECBの金融政策が最も予想しづらい状況ですが、30日の会合では据え置きと予想しています。インフレ率はほぼ中銀目標に近く、景気を刺激も抑制もしない現在の状況に多くの政策委員は満足しています。
明日28日には日米首脳会談が予定されています。ロイター通信は、日米首脳会談で、日本側が対米投融資の案件候補を複数提示し、大豆や液化天然ガス(LNG)、フォード車など米国産品の購入を伝える方向で調整していると、報じていました。また、防衛費の増額方針を示すことも検討しているようです。トランプ大統領への手土産として、高市首相から防衛費の増額が示される可能性もありそうです。仮に具体的な数字が示されるようだと、債券が売られ金利が上昇し防衛関連株が買われるでしょう。為替には直接影響はないように思われますが、株価が上昇すれば上で説明したような可能性があります。
いずにしても今週はイベントが多く、ドルが強含む可能性が高いと予想しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
