米国とイランとの戦争が3カ月を経過し、なかなか停戦合意に至らない中でも、いずれ近いうちに合意が見られるとの期待から、ドル円がなかなか円高方向に舵を切らない状況が続いています。その理由の一つと言えるのが、日本株の急騰です。NY株式市場でもナスダックとS&P500が連日最高値を更新していますが、年初からの日本株の上昇は突出しています。債券は「安全資産」で株式は「リスク資産」ですから、そのリスク資産の株が買われると、為替市場でも同じように「リスク通貨」が買われ、「安全通貨」が売られる傾向があります。「円」を「安全通貨」と呼べるのかどうかについては様々な見方がありますが、主要通貨の金利水準という観点からすれば、円は超低金利通貨であることはまちがいなく、米ドルや豪ドルなど高金利通貨とは大きく異なります。株高により、投資家がリスクを取れる状況になると、為替市場でもリスクを取りながらも、より高金利の通貨が選好され、低金利の円が売られ易い状況になります。日経平均株価は、週明け1日の取引でも前場では800円程上昇し、初の6万7000円台に乗せる場面がありました。
ブルームバーグでは、通常、米大統領選や毎回午後3時半から予定されている日銀決定会合後の植田総裁の会見など、重要なイベントが行われる際には、その1時間ほど前から「TOPLiveブログ」と称する特別サイトを開設し、そのイベントに関するあらゆる情報や、実際の値動きを為替だけではなく、株式や債券、さらに商品についてもライブで報道することがあります。今朝は、驚いたことに「TOPLiveブログ」で日本の株式市場の実況中継を行いました。筆者がブルームバーグを使い始めて20年位になりますが、日本株に関して「TOPLiveブログ」が開設されるのは初めてのことと思います。要は、それほど日本株の動きが注目されているということで、為替は完全に「蚊帳の外」状態です。ただ、日経平均株価が異常なほど上昇していても、買われているのは一部の「半導体銘柄」で、それ以外の銘柄はむしろ下げているものもあり、「二極化」が進んでいるようです。
円は対ドルだけではなく、再び主要通貨に対して弱含む展開です。ユーロ円は185円台後半、ポンド円は214円台半ば、さらに豪ドル円も114円台半ばまで上昇してきました。ここは、現行の金利水準や今後の利上げスタンスが「その差」になっています。ユーロ圏では今月の理事会での利上げ確率が高まっており、仮に利上げが見送られたとしても、年内2回程度の利上げが見込まれています。また、豪ドルではすでに3回連続で利上げを実施しています。一方日銀は前回の会合では利上げを見送りましたが、今月の会合では利上げを実施すると予想しています。ただ、これも織り込み済みの可能性があることから、注意が必要です。今週末には「米雇用統計」の発表がありますが、それまでドル円は158円50銭から160円の間でのもみ合いと予想していますが、仮に同数字が上振れするようだと、再び介入との闘いになるかもしれません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
