今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
12月22日 〜 12月28日
ドル/円
155.00〜158.50
ユーロ/円
182.00〜186.00
豪ドル/円
103.00〜106.00

FRBによる利下げに続き先週末には日銀が利上げを実施し、日米金利差縮小に一歩前進しましたが、双方ともすでに市場に織り込まれていたことで相場への影響はなく、むしろ反対に円安方向に大きく振れました。ドル円は今年11月20日に記録した157円89銭に迫る水準まで「ドル高円安」が進みました。週明け東京市場でも介入警戒感からドルの上値をやや重くはしていますが、157円台前半で推移しています。日経平均株価が再び5万円台を回復しており、債券市場では一段と債券が売られ、長期金利は一時2.097%台まで上昇しました。円の金利が上昇すれば、本来は円高要因になりますが、債券と為替に関しては「日本売り」の様相となっています。これで株式も売られるようだと、いわゆる「トリプル安」となり、「日本売り一色」となりますが、今の所その状況は回避できているようです。

財務省の三村淳財務官は、先週の日本銀行による利上げ後に円安が進んでいることを受け、「一方向で急激な動きが見られるので憂慮している」と述べています。その上で、「行き過ぎた動きには適切な対応を取りたい」と強調していました。市場はややこの発言に反応しましたが、今のところ反応は限定的です。これに先立ち片山財務相も19日夜、日銀の政策決定後に円安が進んだことを受け、「この半日、数時間は一方的で急激な動きがあるので憂慮している」と市場をけん制。「行き過ぎた動きに対しては適切に対応を取っていく」との姿勢を示していました。両者はいずれも「憂慮」という言葉を使用していましたが、使う言葉の強さによって、介入の可能性が高まることから、注意したいところです、とりわけ、三村財務官の発言には注意が必要です。介入する際、最終的にその判断を下すのが「財務官」だと言われているからです。また、木原官房長官も同様な発言を行い、足元の円安をけん制しています。介入警戒感は、これまで以上に高まっている可能性があります。

円安の進み方もさることながら、筆者は円金利の上昇スピードの方が心配されると考えています。長期金利は先週金曜日に「2%の大台」に乗せたと思ったら、本日月曜日にはさらに10bpほど上昇し、2.1%に迫っています。債券は高市政権の積極的な財政政策に加えて、市場では「買い手不在」の状況が需給バランスを崩しています。アベノミクスでの強力な金融緩和とゼロ金利政策の号令の下、債券市場では日銀が一手に買い方に回り、金利上昇を抑えてきました。日銀は国債発行額の54%ほど買い入れ、長期金利をマイナスに抑え込みましたが、現在は償還額が新規購入額を上回っており、保有額も徐々に減少しています。日銀は今後も保有額を減らす方針を掲げており、新規発行額は増える一方、積極的に購入する買い不在であることから債券には売り圧力がかかり、価格は低下。それにともなって金利が上昇しているのが債券市場の実情です。2%を超えた長期金利は、一線で活躍している債券トレーダーにとっても「未知の世界」であって、どこまで上昇するのか手探りの状況です。今週は、市場参加者が減少する中、動きが荒っぽくなる可能性もあり、注意してください。

来週の本レポートは年末・年始のため、お休みとさせて頂きます。新年は1月5日(月)からとなります。

今週の注目材料

  • 12/22(月)
    英 英7−9月期GDP(改定値)
    英 英7−9月期経常収支
  • 12/23(火)
    豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
    独 独11月輸入物価指数
    米 10月耐久財受注
    米 7−9月GDP(速報値)
    米 10、11月鉱工業生産
    米 10、11月設備稼働率
    米 12月コンファレンスボード消費者信頼感指数
  • 12/24(水)
    日 10月景気先行指数(CI)(改定値)
    日 日銀金融政策決定会合議事録(10月29―30日分)
    米 新規失業保険申請件数
    米 株式・債券市場、短縮取引
  • 12/25(木)
    日 植田日銀総裁講演
    米英欧クリスマス休暇
  • 12/26(金)
    日 11月失業率
    日 11月鉱工業生産
    英欧・香港など休場
  • 12/27(土)
  • 12/28(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。