今朝の「今日のアナリストレポート」でも予想したように、今日の東京市場では「ドル高円安」が大きく進み、ドル円はジリジリと買われ、午後東京株式市場の後場が始まると同時に150円台に乗せました。約2ヵ月ぶりの150円台ですが、日経平均株価が先週末比2000円以上も値上がりしていることも影響しています。いずれも、「高市効果」あるいは「高市ラリー」とでも言うのでしょうか。問題はこの相場がどこまで続くのか、その持続性です。
上値では、8月1日に記録した150円92銭が視野に入ってきます。145―150円のレンジを再度上抜けしました。よくよく考えてみると、今年に入ってのドル下落局面で150円台以上に反発するのは、3月、8月に続き今回で3度目になります。FRBによる利下げスタンスの継続。あるいは、先週末の植田総裁の講演でやや期待感が削がれたものの、依然として10月会合での利上げ観測がある中でのドル高の進行です。株高、円安が一段と進めば、よりその可能性は高まりますが、一方テクニカルでは明らかにドル上昇を示唆しています。上記日米中銀が想定通りの行動に出れば、ドル上昇に急ブレイキがかかるでしょう。果たして「三度目の正直」ということになるのでしょうか・・・・。
ブルームバーグの配信記事に、今後の相場動向を考える上でヒントになる記事がありました。「自民党総裁選で高市早苗前経済安全保障担当相が予想外の勝利を収めたことを受け、為替・株式・債券の各市場で『高市トレード』と呼ばれる動きがあるが、その『高市トレード』とは、いったい何を意味し、どのような投資心理が背後で働いているのだろうか」という記事です。「『高市トレード』とは、高市氏の政策スタンスを手がかりに、為替・株式・債券が連動して動く市場の反応を指す。 典型的な形は、円安・株高・債券安(長期金利上昇)の3点セットだ」と、その概要を示しながらも、「実は明確なルールや数値基準はない。『アベノミクス相場』などと同様に、市場参加者が高市氏の政策スタンスを手がかりに相場を語る際の略称的な表現として使われているにすぎない」と説明。「そのため、時期や状況によっては円高や株安など、異なる反応を含めて語られる場合もある。つまり『高市トレード』という言葉自体が円安・株高・債券安を意味するのではなく、市場心理を映す柔軟な概念といえる」としています。
その上で記事は、「高市氏の政策がどこまで実行されるか、また誰が財務相に就任するかなど、政権運営次第で市場の反応は変わる可能性がある。財政規律を重視する人事が行われれば債券市場は落ち着くが、積極財政が進めば超長期金利が一段と上昇する展開もあり得る。『高市トレード』は、政策への期待と警戒のバランスの上に成り立つ。高市氏の政策スタンスや日銀の対応が変われば、相場の方向は逆転する可能性もある。アベノミクスを想起させる政策と、財政拡張への懸念が交錯するもろ刃の市場現象として、各種政策への思惑や期待の持続性、実現可能性を含めて当面の市場の衆目を集めることになりそうだ」と分析していました。
まさにその通りです。「ワークライフバランスを捨てる」と豪語した高市氏が、どこまでやるのか見ものです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。