今月15−16日に開催されるFOMCで、利上げがあるのかどうかが注目されていますが、先週末に発表された「米8月の雇用統計」の結果では、一歩「利上げへ」と前進したようです。非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想の3倍に増加したうえ、6月、7月ともに上方修正され、これで直近3カ月平均では「約7.1万人の増加」となり、労働市場は堅調に推移していることが示唆されました。もっとも、市場の反応はそれほど利上げには前向きではなかったようです。米金利が上昇し、株価も売られましたが、動きは限定的でした。ドル円に関しても発表後、円は1円程度の下落に収まっています。一部には、「年末までに3回あるFOMCで、0.25%の利上げが2回あると予測する」(米大手保険ネーション・ワイド)といった声もありましたが、これは、現時点では少数派に属しています。
理由の一つに、トランプ大統領の「執拗な利下げ圧力」があると考えられます。ウォーシュ議長は元々、トランプ氏に指名されて議長に就任した経緯があり、指名者であるトランプ氏の意向を簡単には無視できないのではといった憶測もあります。因みに、ウォーシュ氏の妻は、米化粧品大手「エスティ・ローダー」の創業者一族で大富豪のロン・ローダー氏の娘ジェーン・ローダー氏です。米フォーブス紙によれば、ジェーン氏の純資産は27億ドル(約4212億円)と推定されています、ジェーン氏の父であるロン・ローダー氏は、トランプ氏の元同級生であり、かつ有力な支持者であることも報じられています。ウォーシュ氏を「歴代で最も裕福な議長」と称されるのも、こうした理由と関係があるようです。とは言え、ウォーシュ氏は先月のジャクソンホールでの講演で、「インフレ率を2%の目標に戻す」と改めて表明し、「この目標は確固として変わらないものだ」と述べ、「基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」と、インフレに対しては毅然として立ち向かう姿勢を見せていました。同氏がFRB議長としての矜持を前面に出すのであれば、利上げの可能性は十分あり得ると思います。そして、それでもトランプ氏は、同氏を「Mr. too late」などと、パウエル氏と同様にこき下ろすことはないのかもしれません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
