「今日のアナリストレポート」でも、11月の米中間選挙のことに触れましたが、同選挙まで3カ月を切りました。トランプ大統領への支持率が大きく低下していますが、最大の要因はガソリン価格に代表されるように、「物価高」です。起死回生をはかるには、継続中のイラン戦争を一気に終息させるか、物価を下げるしかありません。特に物価高は深刻で、好調な株式市場の影響もあり、米国民の間では「格差」はさらに広がっており、貧富の差は拡大の一途です。
ブルームバーグによると、トランプ大統領は2期目に入って以降、公約に掲げた米経済の「黄金時代」はすでに到来していると繰り返し主張してきましたが、「有権者がそうした見方に同意していることを示す材料はほとんどない」とのことです。「中間選挙まで3カ月を切り、選挙戦が本格化するなか、トランプ氏の認識と有権者の受け止めの隔たりが鮮明になってきた。議会の支配権維持を目指す共和党にとっても、この隔たりが重荷になりつつある。トランプ氏の楽観的な見方とは裏腹に、有権者の間では生活費の高騰やイラン戦争の影響への不安が広がる」と伝えています。リアル・クリア・ポリティクス(RCP)の世論調査平均によると、トランプ氏の政権運営に対する支率は「39%」にとどまり、インフレ対応への支持率はさらに低い「30%」との結果です。また、英誌エコノミストと調査会社ユーガブの最新世論調査では、米国人の「31%」がインフレと物価を最も重要な問題に挙げ、2位の雇用・経済を17ポイント上回る関心の高さだったとされています。トランプ氏は選挙演説で、物価高に対する有権者の懸念を認める一方、バイデン前大統領への批判を今も続けています。8月5日にはラスベガスでの演説で、「忘れないでほしい。我々が引き継いだのは米国史上最悪のインフレだった」とし、「我々は物価を引き下げた。いまの状況に誰もが驚いている」と、自画自賛していました。「確かにバイデン氏の任期中、消費者物価の上昇幅は過去40年間の歴代大統領で最大だった。ただ、トランプ氏の就任時には、物価上昇のペースは鈍化していた。トランプ氏は就任『初日』に物価を引き下げると公約したが、今年に入ってインフレは再び加速している」と、ブルームバーグは厳しく論じています。「私が大統領になれば、1日でロシアとウクライナの戦争を終わせる」と豪語した、あのロジックと同じものです。
ドル円は、相かわらず介入がなければ上昇しそうな状況です。160円に近づくと、協調を含めた介入警戒感が高まり、円の下落を抑制しており、一方下値では日本の財政懸念観測を基に、根強い円売りと、旺盛なドル買い需要がドルを支えている構図になっています。今週は、これといった重要イベントはなく、動きも限定されそうです。ただ油断することなく、来週のジャクソンホールを待ちたいと思います。チャートでは明確な方向感はなく、もみ合いになっています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
