週末に行われた報道各社の世論調査で高市内閣の支持率が軒並み下落し、発足以来最低を記録していました。皇室典範改正問題に加え、物価高対策への厳しい評価が影響したようです。読売新聞が24−26日に行った調査では12ポイント減の57%と、初めて50%台となり、日本経済新聞とテレビ東京が同時期に行った調査でも58%と前回の68%から下落していました。それ以前に行われた毎日新聞、朝日新聞、時事通信社の世論調査でも支持率は軒並み急落しており、全てのメディアの調査で高市政権への支持率の下落傾向が裏付けられた形です。高市首相は27日午前の衆院予算委員会で内閣支持率下落の要因について問われ、「自らが分析することは困難で、分からない」と答えていました。高い支持率を背景に「高市一強」が続いていましたが、支持率の急低下は、今後の政策運営にも影響を及ぼしかねない状況になってきた可能性があります。
昨日の夜行われた首相官邸での会見を聞いていましたが、総じて記者からの厳しい質問には正面からは答えていない印象でした。驚いたのは、「デフレを脱却したと言える状況ではない」という発言です。先週末に発表された6月の全国の消費者物価指数(CPI)は、総合で1.7%、コアで1.6%でした。日銀目標の2%は下回っていましたが、ガソリン価格の政府援助が大きく影響しており、政府内では夏場以降の補助金の見直しや、170円以下に抑えられている価格を175円に引き上げ、消費者にも応分の負担をしてもらう案などが検討されており、夏以降CPIは再び上昇傾向を強めると見られています。高市氏があえて「デフレを脱却したと言える状況ではない」と発言した背景には、「利上げはいやよ」といったニュアンスが込められているのかもしれませんが、仮に現在も依然としてデフレが続いているとすれば、物価高対策や、その一環として実施予定の「食料品の消費税ゼロ」といった対策とも相容れないことになります。先週発表された「骨太の方針」では、最終的には日銀の利上げをけん制する文言の挿入は回避され、「金融政策は日銀に委ねる」という文言に修正されましたが、「高市円安」(日経新聞)によって全ての輸入原材料が値上がりしている中、高市氏が、今後も一貫して自身の考える政策を推し進めていくようなら、市場からはさらに厳しい結果が突き付けられ、日銀が急激な利上げに追い込まれる可能性もあります。
片山財務相は28日の記者会見で、高市政権は発足以来、物価高対策について「次々に手を打っている」と述べていました。首相については、「実現したい政策が山ほどあるので総理になった人だ」と発言。「成長のボタンを押し続けることに資することであれば何でもやる」と、高市内閣を擁護する発言を行っていましたが、同内閣の重要閣僚を担っている片山氏、当然の発言でしょう。163円台で推移しているドル円については、「円安は実需面でメリットもデメリットもある。必要に応じていつでも措置が取れるということは、日米ともに一緒だと思う」と発言。協調介入の可能性については「介入自体について通常申し上げることはない」などと、明言を避けていました。こちらについては、依然として「不気味さ」が残ります。
今週は「中銀ウイーク」です。日米共に政策金利の据え置きで決まりかと思いますので、どちらも会合後のトップの会見内容が注目されます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
