先週14日(木)、日銀の増一行審議委員が鹿児島県の講演を行いました。金融政策運営について、「景気下振れの兆しが明確にならなければ、できるだけ早期の利上げが望ましい」と、利上げに積極的な発言を行いました。増氏は未だに緩和的環境であることは確かとし、金融政策正常化を完成させる過程として、経済・物価・金融情勢に応じて引き続き利上げで緩和度合いを調整していくことになると説明。その上で「景気下振れの兆しがはっきりとした数字で表れないのであれば、『できる限り早い段階』での利上げが望ましい」と述べていました。また、日銀が政策判断で重視している一時的な要因を除いた基調物価の動向に関しても、「まだ2%の下にいるものの、かなり2%に近付きつつある」との認識を示し、「インフレに入っていることは確かだ。大切なことは適時・適切な利上げによって基調的な物価上昇率が2%を超えないように抑えること」だと指摘していました。かなり分かりやすく説明をしていたと思います。
日銀は4月28日の決定会合で政策金利の据え置きを決めましたが、その際3名の審議委員が利上げを主張し、反対票を投じていたことが明らかになっています。政策決定会合は、総裁を含む9人の政策委員の多数決で決まります。今回増委員が「利上げすべき」としたことで、利上げ賛成派は4名となり、あと1名が利上げ賛成に傾けば、たとえ日銀執行部が据え置きを主張したとしても「5対4」で利上げが決まることになります。その意味では、今回増氏が利上げを主張した意味は軽くはありません。今週21日(木)には小枝審議委員が福岡県で講演を行います。小枝委員は、ニュートラルと見られていますが、極めて注目度が高いと思われます。もし、小枝委員が利上げ支持に回れば、次回会合での利上げの確率はかなり高まることになります。
もっとも、筆者は植田総裁など、日銀執行部の考えもすでに利上げに傾いており、6月会合での利上げ確率は極めて高いと予想しています。 日銀の追加利上げは円買い材料にはなりますが、おそらくその時分には「織り込み済み」として意識され、材料にならない可能性もあります。週明けのWTI原油価格は一段と上昇し、107ドル台に乗せています。「原油高→ドル需要の拡大→財政懸念の拡大→ドル買い円売り」の構図が定着する懸念もあり、仮にイラン戦争が終結しても、加速度的に円高に振れる可能性は低そうです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
