先週3日の金曜日、日本の10年国債が売られ長期金利は一時2.81%台まで上昇しました。実に30年振りの高水準です。高市政権が計画している「骨太の方針」の原案に、「適切な金融政策運営が『非常に重要』だ」といった、日銀の利上げをけん制するような文言が挿入される見通しとのことで、利上げが遅れるとの見方から債券が売られました。日経新聞はこの動きを「骨太ショック」と称し、7月2日に行われた10年債国債の入札も低調だったと報じていました。30年国債も売られ、同期間の金利は再び4%を超えていました。機関投資家の多くが、「金利はもっと上昇する」と見て、入札を手控えていることが伺えます。10年の金利が2.8%を超える水準は、かつてゼロ金利を経験した筆者にとっては、「魅力的な金利水準」にも思えますが、機関投資家は、もっと金利が上昇(価格が下落)してから購入したいと考えているようです。円金利の上昇は、本来「円高要因」になりますが、今回の金利上昇はいわゆる「悪い金利上昇」と見られ、日本売りの側面もあります。因みに、6日月曜日の長期金利は2.83%台で推移しており、さらに上昇しています。
ドル円は、先週木曜日に162円84銭まで買われましたが、その後の「米6月の雇用統計」の結果を受け、利上げ観測の後退などから、160円48銭まで円が買い戻されましたが、再び162円台まで反発して来ました。片山財務相は引き続き、「断固としてやる時はやる」と、強気の言葉を発していますが、市場からは「仮に介入があったとしても4月のGWの二の舞だ」といった声も聞かれます。上記米雇用統計の結果は、確かに予想を下回ってはいましたが、それでもFRBによる利上げ観測がなくなるほどの内容ではなかったと思います。米国の独立宣言から250周年の節目を祝う記念式典で、トランプ大統領は、好調な株式市場を「米国の黄金時代の幕開けに過ぎない」と形容していましたが、米景気はホルムズ海峡閉鎖に伴うガソリン高にもかかわらず、企業業績も個人消費も下振れの気配はありません。
トランプ大統領は8日、トルコで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせ、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談するようです。ホワイトハウスのケリー報道官によると、トランプ氏は7日にトルコ入りし、エルドアン大統領と会談した後、翌日にNATO首脳会議へ出席するとのことです。トランプ氏はゼレンスキー氏との関係は、これまでにも宇余曲折がありましたが、現在は表面的にはうまくいっているようにみえます。ロシアは先週も、ウクライナの首都キーウに激しい攻撃を加え、多くの死者を出しています。ゼレンスキー大統領は、ロシアからの激しい攻撃を避けるため、パトリオットなど高性能の米軍事兵器の提供を米国に求めています。
トランプ大統領が仮想通貨などに投資し、かなりの利益を得ているとの報道がメディアを賑わせています。ほぼ利益相反行為に当たると思われますが、米国ではこれが許されるようです。大統領就任以来、市場を動かす発言を何度も繰り返しましたが、それも周到に計算された発言なのかもしれません。報道では、「トランプ氏は政権復帰後1年目に、2万1000件を超える有価証券取引を行った」とのことで、「取引は、自らの発言や政策を受けて市場が大きく動いた局面に集中することも多かった」とあります。ブルームバーグは、「2025年の財務情報開示書類によると、取引総額は6億(約972億円)−18億6000万ドル(3013億2000万円)」と、ヘッジファンド並みの金額を動かしています。「開示資料では、取引額は一定の幅で記載されている。対象の多くは、米政府と取引のある大手企業の株式だった。開示書類を分析したところ、トランプ氏は市場が開いている日に平均85件の取引を行っていたことが分かった。2025年の取引の約4分の1は、わずか10営業日に集中していた。その多くは、トランプ氏が政策変更を発表した後、ウォール街で相場変動が大きくなった局面で行われていた。トランプ氏が保有する8つの取引口座では、相反する売買も見られた。200件超の取引では、ある口座で株式を買い付けた同じ日に、別の口座で同じ銘柄を売却していた」。まさに得意の「ディール」です。歴代大統領の中でも、最も資産家です。因みに保有株式の上位はアップル、エヌビディア、ブロードコム、マイクロソフト、テスラなど、いずれもS&P500指数の主要構成銘柄に加え、軍事産業のロッキード・マーチンなどもあるようです。自分の発言で相場が動くわけですから、これほど確かな「ディール」はありません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
