先週、150円台乗せをテストしたドル円は、結局149円95銭までは買われましたが、150円には届いていません。週明けの東京市場では149円台半ばで取引が始まりましたが、好調だった日経平均株価が大きく下げたことや、米政府機関の閉鎖リスクを背景に全般的にドルが売られ、昼にかけては149円台を割り込む場面もありました。ただドル円の方向性は依然として明確ではありません。先週は急速に高まった利下げ観測の修正からドルが買われましたが、今週は注目材料も多く、その内容次第ではどちらにも振れる可能性がありそうです。
注目材料としては先ず「8月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数」と「9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数」があります。特に雇用市場の動向示す「JOLTS」は注目されます。7月の雇用統計が大きなサプライズだったことで利下げ観測が強まり、その後のFOMCでの利下げ決定、さらにドットチャートで示された水準から、年内全ての会合での利下げが予想される状況につながりました。それ以降、市場が雇用の状況を示す指標に敏感になったことは、先週の「新規失業保険申請件数」の発表を受けて相場が大きく動いたことでも明確になりました。そして週末には「9月の雇用統計」が発表されます。ブルームバーグは、「米国の9月の雇用者数の伸びは低調で、失業率は約4年ぶりの高水準で横ばいとなる見通しだ。労働市場の軟化が続くことになる」と予想しています。市場予想の非農業部門雇用者数(NFP)は、5万人増と予想されており、予想通りだとすると、過去3カ月の平均と同程度となります。失業率は4.3%で、横ばいと見込まれています。雇用統計は10月3日に発表される予定ですが、ただ会計年度末の9月30日までに議会が歳出法案で合意できず政府機関が閉鎖となれば、その発表が遅れることもあり得ます。次回10月のFOMC会合では追加利下げを見込む予想が優勢です。さらに今週は、ジェファーソン副議長やボストン連銀のコリンズ総裁、シカゴ連銀のグールズビー総裁、ダラス連銀のローガン総裁、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁らの発言機会が予定されており、メンバーの追加利下げを巡るスタンスも相場を動かします。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。