11月の米中間選挙を前に、すでに選挙戦は始まっています。支持率の低下にさらされているトランプ大統領は、起死回生をはかるべく、先週テキサス州ダラスで行われた「共和党大会」で、再び「トランプ共和党」をアピールしました。2万人以上も収容できる大きな会場で、トランプ氏は「見るがいい。会場に空席はない。満席で会場に入れない人は、外で大会を見ている」と言い放っていましたが、会場には空席が目立ち、外の群衆はほぼ「反トランプ」の気勢を上げている人たちでした。支持率低下の最大の要因は、言うまでもなく「物価高」です。足元では原油価格が再び急上昇しこの先、物価はさらに上昇しそうな気配です。ブルームバーグによると、米国では、年末に向けて食品の値上げが相次ぎそうだと報じています。米食品大手コナグラ・ブランズや、香辛料・調味料メーカーのマコーミック、さらにはクラムチャウダーで有名なキャンベルズなどが値上げを計画しているとのことです。食品各社は価格を抑えようと努力しましたが、さまざまな要因が重なり、これ以上値上げを先送りすることが難しくなっています。エネルギーや肥料のコスト上昇が続き、輸入品への関税負担も加わりました。エルニーニョ現象は過去76年で最も強くなる見通しで、異常気象で収穫に被害が出たり、貿易が混乱したりすれば、価格に一段の上昇圧力がかかる可能性があります。ガソリン価格の上昇に加え、物価の高騰は市民生活に大きな影響を与え、これが共和党候補に不利に働く可能性があります。直近の予想では、上院はこれまで通り僅差で議席を分け合い、下院では民主党が有利とされています。成人国民全員に5000ドルを支給する「トランプ配当」がどこまで票を集めるのか、興味は尽きません。
ホルムズ海峡の迂回ルートである、紅海のバベルマンデブ海峡が攻撃されたことで、週明けのアジア時間早朝には原油価格が再び上昇し、WTIは102ドル台で取引されています。この動きに、日経平均株価も、前場では1000円以上も下落し、債券市場でも国債が売られ、長期金利は再び3%の大台を記録しています。ドル円も午後には154円台まで買われ、「トリプル安」の様相となるなど、日米金融政策会合前にもかかわらず神経質な展開になっています。 日経新聞は、昨日の朝刊で「日銀、政策金利を1.25%に引き上げ」との見出しで、利上げ確実と報じていました。こうなると、利上げそのものは市場に完全に織り込まれているとみられ、会合後の会見で植田総裁が余程今後も利上げに対して前向きな姿勢を見せないと、円が売られる可能性もありそうです。懇意にしている通信社の記者は「植田さんに、そんなことが出来るだろうか?」と、やや懐疑的でした。一つ気になるのは、先週末に発表されたシカゴのCFTCでは投機筋の円ポジションがついに、ネットで「円買い・ドル売り」になりました。また、明日「今日のアナリストレポート」で触れたいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
