先週のドル円は週央に162円70銭台まで円安が進みましたが、週末には161円台前半まで落されました。依然としてドルが底堅い動きを見せてはいますが、ドルが強い根拠が、これまでの「有事のドル買い」から、「日本の財政悪化懸念」の方にやや軸足が移ったようにも思えます。中東情勢の不透明感は払拭されてはいませんが、日本の債券市場で、「骨太の方針」を巡り日銀の利上げをけん制させるような文言が挿入されるとの報道から10年債が大きく売られ、長期金利が30年ぶりに「2.9%」に達したことで円売りが進みました。ただ、その後片山財務相が「金融政策は日銀に委ねるべきだ」と述べたことで、同金利が急低下。ドル円も歩調を合わせるかのように、161円台前半まで円を買い戻す動きがありました。結局、ここから上へも下へも動きにくい状況は変わっていません。
今週は、米国のインフレ指標とウォーシュFRB議長の議会証言に注目が集まりそうです。「米6月の消費者物価指数」(CPI)は14日(火)に発表されます。イラン戦争に伴う原油価格の上昇を受け、インフレが再燃しましたが、その後米国とイランが覚書を交わし、60日間の停戦合意に達したため、原油価格が大きく下落。6月のCPIは、前月比で「−0.1%」、前年同月比で「3.8%」と、いずれも5月からは鈍化が予想されています。また、「米6月の生産者物価指数」(PPI)も同様に、前月比、前年比ともに鈍化が予想されています。インフレ再燃も一服といったところでしょうか。仮に予想通りの結果であれば、FRBの利上げ観測も低下して来る可能性があります。ただ、単月を確認するだけということもあり、年内少なくとも1回の利上げ予想は維持したいところです。
ウォーシュFRB議長は、明日の下院金融委員会を皮切りに2日間にわたり議会で証言する予定です。議長は、5月に就任する前から連邦準備制度の「レジームチェンジ(体制変革)」を訴え、政策運営の手法を抜本的に見直す必要性を主張していました。先週9日の発表文では、「各作業部会は金融当局者の手段・手法や分析ツール、政策アプローチについて、改善の余地があるかどうかを慎重に検討する」と指摘。「目標は明確だ。この重要な時期において、連邦準備制度がその使命を最も効果的に果たせる体制を確保することだ」と説明しています。その上で、ウォーシュ議長は、作業部会の責任者として複数の元当局者を起用しました。2008−09年の金融危機時にイングランド銀行を率いた元総裁のマーヴィン・キング氏や、政治介入からブラジル中銀の独立性を守ったことで知られる元総裁のアルミニオ・フラガ氏などを指名しています。FRBの制度改革を提唱しながら、 AIブームが経済に及ぼす影響にも言及する模様です。また、これまでも主張してきた、FRBが発信するフォワードガイダンスの縮小についても言及するものとみられます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
