今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
7月31日 〜 8月6日
ドル/円
139.00〜143.50
ユーロ/円
154.00〜158.00
豪ドル/円
93.500〜97.00

日銀のイールドカーブコントロール(YCC)は、結局市場に驚きを与えた「サプライズ」でした。長期金利の上限をそれまでの0.5%から一気に1.0%に引き上げました。市場は、「金融緩和政策変更の第一歩」と受け止め、株安円高で反応し、ドル円は一時138円05銭近辺まで売られ、日経平均株価も800円を超えて下落する場面もありました。ただ、その後は両市場とも落ち着きを取り戻し下げ幅を大きき縮小して取引を終えています。ところが、週明けの31日には、円債市場で国債が売られ金利が上昇すると日銀がすかさず買いオペに出動し、市場は「1%の上限を容認したものの、直ぐに金利が大幅に上昇するものではない」との認識を深め、今度は円売り、株式買いで反応しドル円は大きく上昇。NYでは142円70銭までドルが買われ、約3週間ぶりのドル高水準を記録しています。

植田総裁は会合終了後の会見で、0.5%と1%の間での長期金利の上昇を容認したことについて「機動的に過度な金利上昇圧力を抑制する」としながら、「長期金利が1%まで上昇することは想定していない」と述べ、「YCCの柔軟化は金融緩和の持続性を高める」と話していました。また、金融緩和策が円安を誘発するのではとの問いに、「為替をターゲットにしていない」と円安の進行を否定していました。ただ日米金利差が円安の一要因であることは事実で、米金融引き締め政策が本格的な終焉を迎えた時には円高圧力がかかることは容易に想定できることでしょう。円安が進んでいる時が一つのチャンスで、円高が始まってしまった後の政策変更ではさらに円高を加速させてしまうリスクがあります。もっとも上述のように、「為替をターゲットにはしていない」と断言していることから、円相場と金融政策との関係はないのかもしれませんが、どうでしょう。

今週は最重要指標の一つである「7月の雇用統計」が発表されます。「中銀ウィーク」が終わり、夏休みに入ったことから参加者も減ることが予想されます。ただ市場のボラティリティーは下がるどころか、先週末の金融政策発表直後には141円台に載せ、その後は138円ぎりぎりの水準まで急落したように、相変らず荒っぽい動きが続いています。FOMCが終わったことで、地区連銀総裁などの発言機会も多くなります。総じてタカ派の発言を繰り返して来たFOMCメンバーが、どの程度変化を見せるかも注目です。8月は各国中銀の金融政策会合もありませんが、だからこそ注目される「ジャクソンホール会議」が控えています。米金融当局の年内残り3回の会合でさらなる追加利上げがあるのか、あるいは7月の利上げが最後だったのか、を探ることになります。シンポジウムは8月24〜27日(現地時間)の予定で、今年は対面での会議になります。

今週の注目材料

  • 7/31(月)
    日 日銀金融政策決定会合議事録(2013年1−6月開催分)
    中 7月中国製造業PMI
    中 7月中国サービス業PMI
    独 独6月輸入物価指数
    独 独6月小売売上高
    独 独4−6月期GDP(速報値)
    欧 ユーロ圏4−6月期GDP(速報値)
    欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値)
    英 英6月消費者信用残高
    米 7月シカゴ購買部協会景気指数
  • 8/1(火)
    豪 豪6月住宅建設許可件数
    日 6月失業率
    豪 RBA、キャッシュターゲット
    中 7月財新製造業PMI
    独 独7月失業率
    独 独7月製造業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏6月失業率
    欧 ユーロ圏7月製造業PMI(改定値)
    米 7月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
    米 7月ISM製造業景況指数
    米 6月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
  • 8/2(水)
    日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(6月15日、16日分
    米 7月ADP雇用者数
  • 8/3(木)
    豪 豪6月貿易収支
    中 7月財新サービス業PMI
    独 独6月貿易収支
    独 独6月経常収支
    独 独7月サービス業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏7月サービスPMI(改定値)
    欧 ユーロ圏6月卸売物価指数
    英 BOE金融政策発表
    英 ベイリー・BOE総裁会見
    英 BOE金融政策委員会(MPC)議事録
    米 新規失業保険申請件数
    米 7月ISM非製造業景況指数
    米 7月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米 7月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
    米 4−6月雇用コスト指数
    米 6月製造業受注
  • 8/4(金)
    豪 RBA四半期金融政策報告
    独 独6月製造業新規受注
    欧 ユーロ圏6月小売売上高
    米 7月雇用統計
    加 カナダ7月新規雇用者数
    加 カナダ7月失業率
  • 8/5(土)
  • 8/6(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。