ドル円は先週末のNY市場で、7月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回る結果であったことから、FRBによる利上げが継続されるとの観測が強まり、145円ちょうどまでドル高が進みました。7月中旬には137円台前半まで売られたドル円は、1カ月で8円もの「ドル高円安」が進み、6月に記録した年初来高値に迫る状況でした。週明けの東京市場では朝方にドル買いの勢いが残っていたのか、一時145円22銭までドルが買われ、上記「年初来高値」を若干ですが、更新しています。その後はやや水準を下げてはいますが、当局の介入を試すような動きとも見られます。
ドル買いを仕掛ける言い分としては「日米金利差の拡大」をその理由の一つに挙げています。足下の10年債利回りを見ると、米国債は4.165%、日本の10年債は0.617と、長期金利で比較した場合の金利差は「3.548%」になります。ただ、10月にドルの高値を付けた際には「3.97%」程度ありました。日銀がイールドカーブコントロール(YCC)修正を12月に0.25%から0.5%に、さらに7月会合では0.5%から1%への引き上げを決めたことで、相対的に日本の長期金利の上昇が一段と進んでいると言えます。もっとも、為替相場は金利差だけでは測れない部分も当然あります。その意味では8月1日に格付け会社「フィッチ・レーティングス」が米国の長期債を「AAA」から「AA+」に格下げしたことは本来ドル売り材料でしたが、格下げによって金利が上昇したことに、市場はより敏感に反応したと言えます。
個人的にはここから一段とドル高が進むとは考えていませんが、テクニカルを見る限りほぼ全てのもので「ドル高を示唆」しています。ドルロングで向かった場合、利益が取れる場合には、早めに取っておくべきでしょう。今週は日本サイドでは「お盆休み」を終えて、週後半には市場参加者も戻って来るころです。取り分け重要な経済指標の発表はありませんが、それでも今年は値動きが大きく、夏場と言えどもそこそこの値幅はありそうです。まだショートを振るタイミングではないかもしれませんが、ドルロングには注意しながらのトレーディングになりそうです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。