今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
8月21日 〜 8月27日
ドル/円
142.00〜147.00
ユーロ/円
154.00〜159.00
豪ドル/円
92.00〜96.00

今週末には世界中が注目しているジャクソンホール会議で、パウエル議長の基調講演があります。例年8月は主要中銀の政策会合がないことから、このジャクソンホール会議での発言が注目されるようになっています。本会議は、カンザスシティー連銀が8月に避暑地ジャクソンホールで開催するシンポジウムで、すでに夏の恒例イベントになっています。今年は特に、これまでの利上げ効果による一時9%を超えていた米インフレ率が3%近くまで鈍化して来たものの、再び上昇気配があるため、今後の金融政策を巡って非常に注目されています。インフレ指標の上昇圧力は緩和傾向を示している一方、労働市場や個人消費はなお堅調に推移していることから、今後のさらなるインフレ鈍化には不透明感が付きまといます。

このような状況の中、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナリストは、「パウエル議長はワイオミングで、引き締めサイクル終了を示唆する一方で、金利をより高い水準により長くとどめる必要性を強調するというより、よりバランスの取れたトーンを打ち出すとわれわれは予想している」と述べています。筆者は、これよりもなお「タカ派寄りの」の発言があるのではないかと考えています。FRBとしては、インフレ率が目標の2%に低下すると見込める確実なデータを入手するまでは、慎重な姿勢を崩さないのではないかと予想しています。

ジャクソンホールが終われば、いよいよ9月に入り、今年も3分の2が終わることになります。今年を振り返るのは時期尚早ですが、今年は早い時期にもっと円高が進むと、筆者も含めて多くの専門家が予想していました。米国のインフレが徐々に収まり、日本の金融緩和策が解除されるというのが、その最大の論拠でした。前者は予想通りで1月には127円台までドル売りが進みましたが、それ以降はそこから10円程反発し、137円台を付け再び下落しました。しかし7月以降の急激なドル高は想定外でした。4月に日銀総裁が替わり、早期の金融政策の修正に期待感も膨らみましたが、植田総裁のこれも想定外のタカ派発言が円売りに拍車をかけました。YCCの柔軟化で1%まで長期金利の上昇を許容しましたが、結局日銀による金融緩和策の解除までには「依然長い道のりがある」との観測が、市場の現実的なコンセンサスになったことが円が大きく反発しない背景になっています。

ただ、9月以降は余程の事がない限り日銀のさらなる修正は不可避かと思われ、FRBによる利上げもあと残り1回か2回で、1回の可能性の方が高いと予想しています。そう考えると、ドル円の上値も残り4カ月で昨年の高値を抜くことはないと考えていますが、どうでしょう・・・・。想定外の事象が容易に起こり得ることから、今後発表されるデータを確認しながら相場の予想は柔軟に対応する必要がありそうです。

今週の注目材料

  • 8/21(月)
    韓 米韓軍事演習(31日まで)
    独 独7月生産者物価指数
  • 8/22(火)
    日 日銀、基調的なインフレ率を補足するための指標
    欧 ユーロ圏6月経常収
    英 英4−6月期GDP(確定値)
    米 7月中古住宅販売件数
    米 8月リッチモンド連銀製造業景況指数
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、イベントで開会の挨拶
  • 8/23(水)
    独 独8月サービス業PMI(速報値)
    独 独11月総合PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏8月消費者信頼感指数
    欧 ユーロ圏8月製造業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏8月総合PMI(速報値)
    英 英8月製造業PMI(速報値)
    英 英8月サービス業PMI(速報値)
    米 7月新築住宅販売件数
    米 8月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
    米 8月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
    米 8月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
    米 共和党大統領候補者討論会(ウィスコンシン州、ミルウォーキー)
    加 カナダ6月小売売上高
  • 8/24(木)
    トルコ トルコ中銀政策金利発表
    米   新規失業保険申請件数
    米   7月耐久財受注
    米   ジャクソンホール会合(26日まで)
  • 8/25(金)
    日 8月東京都区部消費者物価指数
    独 独4−6月期GDP(改定値)
    独 独8月ifo景況感指数
    米 8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
    米 パウエル議長、ジャクソンホールで講演
  • 8/26(土)
  • 8/27(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。