今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
9月4日 〜 9月10日
ドル/円
143.00〜148.00
ユーロ/円
154.00〜160.00
豪ドル/円
92.00〜96.00

8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想を上回ったものの、「18.5万人」でした。これで5月の「30.6万人」を最後に3カ月連続で、労働市場の堅調さのメドと言われる「20万人」を下回ることになりました。今年1月の「47.2万人」の増加で始まった、これまでの1−5月までとは明らかに様相が異なってきました。7月のJOLTS(求人件数)も予想に届かったように、米国の人手不足は徐々に解消に向かっていると思われますが、労働市場が変調をきたして来たのかどうかは、もうしばらくは、発表されるデータを確認する必要があるかもしれません。海外からも8月の結果を受けて、「雇用統計とJOLTSのデータは、労働市場が均衡を取り戻しつつあることを示し、FRBが今後追加利上げを行わず政策金利の長期据え置きフェーズさらにシフトしていくとの考えを裏付けるものだ」との評価もあります。少なくとも3カ月連続で20万人を下回る結果を示したことは、労働市場の拡大傾向には終止符が打たれた可能性が高いと判断しています。この傾向が正しければ、いずれ賃金上昇傾向も止まり、ひいては好調な個人消費にも影響が出て来るかもしれません。FRBにとっても1年半におよぶインフレとの長い闘いで、ようやくゴールが手に届くところにまで迫っていると言えるかもしれません。

問題は、これでドル高の勢いが変わるのかどうかです。先週末のNYでは一旦144円台半ばまで売られた後、146円台前半まで急速に反発したことで、短期的な動きを示す「1時間足」より長いチャートでは全てドル上昇を示唆する形状になっています。先週は一時ドル円が147円台前半まで買われる局目はありましたが、それを除けばここ3週ほどは概ね144円台半ばから146円台半ばで推移しており、ドル高傾向を見せているとはいえ、一進一退の動きが続いています。今週は「雇用統計」のような重要指標はありませんが、19−20日開催のFOMCに合わせ、「ブラックアウト期間」前にあたるため、多くのメンバーの講演等が予定されています。雇用関連指標の下振れを受け、どの程度のメンバーがフィラデルフィア連銀のハーカー総裁のような「ハト派」に傾くのか、あるいは依然として「タカ派」姿勢を維持するのかが一つの焦点になります。7日(木)には、そのハーカー総裁の講演の他、FOMC会合で議長を務めるNY連銀のウィリアムズ総裁の発言機会もあり、注目したいと思います。

日米とも株価が再び堅調に推移しています。取り分け、日経平均株価は週明け4日も堅調に推移しており、このままプラスで引ければ6日続伸ということになり、指数も3万3000円に迫る勢いです。株高はリスクオンについながり易く、このまま今週も堅調に推移するようだと、「円安材料」の一つとして捉えられることにもなります。「秋の陣」に向け、ドル円相場は依然として不透明で、混沌としていますが、そろそろ確かな動きにつながるデータが欲しいものです。

今週の注目材料

  • 9/4(月)
    独 独7月貿易収支
    独 独7月鉱工業生産
    米 株式、債券市場休場(レーバーデー)
  • 9/5(火)
    豪 豪4−6月期経常収支
    豪 RBA、キャッシュターゲット
    中 8月財新コンポジットPMI
    中 8月財新サービス業PMI
    欧 ユーロ圏7月卸売物価指数
    欧 ユーロ圏8月総合PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏8月サービスPMI(改定値)
    米 7月製造業受注
    米 第78回国連総会開幕(NY)
  • 9/6(水)
    豪 豪4−6月期GDP
    日 日銀の高田審議委員講演(下関市)
    独 独7月製造業新規受注
    欧 ユーロ圏7月小売売上高
    米 7月貿易収支
    米 8月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米 8月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
    米 8月ISM非製造業景況指数
    米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
    米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演
    米 ローガン・ダラス連銀総裁、イベントに参加
  • 9/7(木)
    豪 豪7月貿易収支
    日 7月景気先行指数(CI)(速報値)
    日 7月景気一致指数(CI)(速報値)
    日 日銀の中川審議委員講演(高知市)
    中 中国 8月貿易収支
    中 中国8月外貨準備高
    独 独7月貿易収支
    独 独7月鉱工業生産
    欧 ユーロ圏4−6月期GDP(確定値)
    米 新規失業保険申請件数
    米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁イベントに参加
    米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
    加 カナダ7月住宅建設許可件数
  • 9/8(金)
    日 4−6月GDP(改定値)
    日 7月国際収支・貿易収支
    日 8月景気ウオッチャー調査
    独 独8月消費者物価指数(改定値)
    米 7月消費者信用残高
    米 4−6月期家計純資産変化
    加 カナダ8月失業率
  • 9/9(土)
    中 中国8月消費者物価指数
    中 中国8月生産者物価指数
    印 G20サミット(ニューデリー、10日まで)
  • 9/10(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。