日本では3連休を終え、明日(20日)からFOMC会合が開催され、日本時間21日午前3時には政策金利の発表があります。そして引き続き21−22日には日銀金融政策決定会合があり、場合によっては秋以降今年末までの相場展開に大きな影響を与えることになるかもしれません。
今回の日米中銀の会合では、これまでと異なり日銀の方がより注目度が高いのかもしれません。FOMCではほぼ利上げはないとの見方でいいと思いますが、残りの11、12月会合では、少なくともどちらか一方の会合で利上げに踏み切るとの観測がメインになっています。先週発表されたCPIやPPIなどの指標が予想を上回る強い数字となったことがその理由ですが、現時点では11月の会合で利上げを行うとの見方がコンセンサスと言えます。焦点は、今会合後のパウエル議長の会見です。依然としてインフレについては慎重な言い回しを行うと見られますが、メンバーの中ではフィラデルフィア連銀のハーカー総裁に加え、FOMCメンバーの中でも重鎮の一人であるNY連銀のウイリアムズ総裁もハト派寄りの発言を行っていることから、パウエル議長が今後の残り2回の会合での利上げについてどのような認識を持っているのかという点が重要になってきます。
そして日銀決定会合では何らかの動きがあるのではないかとの見方も強まっています。田村、高田両審議委員の発言に変化が見られるほか、読売新聞とのインタビューで植田総裁も「物価目標の実現が見えてくるのは、賃金と物価の好循環が金融緩和を止めても自律的に回っていく状況だ」、「十分だと思える情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではなくなった」と述べたことが俄然注目されています。ドル円はこの発言内容が報じられ一時は144円台後半まで円高が進んだことは記憶に新しいところです。もっとも、この発言は「円安をけん制することが目的であって、決して直ぐに金融政策の修正や変更に結びつくものではない」と言った見方がその後は浮上し、ある程度の支持を集めました。ブルームバーグは植田総裁の姿勢を、「投資家をパニックに陥れたり、住宅所有者の有権者、企業経営者が自身を任命した岸田首相に反発したりするのを避けるため、正常化に向けた環境を水面下で構築している。緩和の縮小ペースが遅すぎれば円は安値を更新する可能性がある一方、急ぎ過ぎれば景気の腰を折り、デフレ不況を再び招く恐れがある。そのため、混乱を最小限に抑えながら金融政策の正常化に向って歩みを進めるであろう」と予想しています。テクニカルでは依然としてドル高基調が変わらない中、二つの金融政策会合を経て、センチメントが変わるのか、あるいはさらにドル高を加速させていくのか重要な局面と考えます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。