今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
9月25日 〜 10月1日
ドル/円
145.50〜150.00
ユーロ/円
154.00〜160.00
豪ドル/円
93.00〜97.00

ドル円がジリジリと上昇し、148円台半ばまでドル高が進みました。FOMCではパウエル議長のタカ派寄りの発言があり、日銀金融政策決定会合では現状維持を決め、植田総裁の発言も政策変更を示唆するものではなかったことがドル円を高水準に押し上げる状況になっています。ただ「政策変更の可能性が最も高いのは10月会合」との声が依然より有り、まだ年内の動きは不透明です。ドル円は年初来高値を更新し続けているとはいえ、その動きは極めて緩慢で、異例とも言えます。今月5日に147円70銭台までドル高が進み年初来高値を更新して以来、今日で12回も147円70銭超える水準を付け、更新し続けてはいるものの、ドルの高値は本日東京時間に記録した148円48銭になっています。わずか20銭以内で高値更新を刻み続けていることになります。言うまでもなく、これは金融当局による「市場介入」を警戒してのことです。これまでに、鈴木財務相や神田財務官による「口先介入」はたびたびありましたが、いまだ「実弾介入」は実施されていません。

これまでに何度も触れたように、当局としても投資家が待ち構えている時に介入を行っても、その効果が限定的であることは十分分かっており、よい効果のあるタイミングを模索しているものと推察されます。日米金利差が拡大傾向にあることから、力ずくの介入を行ってもドル高の流れが変わる可能性は低く、かといって、このまま円安を放置するわけにもいかず、当局も難しい対応を迫られています。神田財務官は先週の「口先介入」で、「行き過ぎた変動には適切な対応をあらゆる手段を排除せず取っていく。引き続き高い緊張感を持って市場を監視・注視する」と述べ、かなり使う言葉もきつくなった印象です。このまま円安が進めば、「市場介入」に踏み切る可能性は高いと思いますが、一方で上でも触れたように円安のスピードが極めて遅く、「過度の変動」とは考えにくいことから、介入のタイミングを掴むのが難しいのも事実です。やはり「150円が一つの焦点」になろうかと思います。150円を突破するようだと、円安に勢いが付くことも考えられ、その前に介入に出るのかどうかという点です。

日米中銀の2大イベントを終えたものの、水準的にも今週は引き続き荒っぽい動きを加速させそうな材料が有ります。FRBがより重視していると言われる個人消費支出(PCE)価格指数の発表が29日(金)にあります。変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は、前年同月比予想で「3.9%」と、前月の「4.2%」を下回り、およそ2年ぶりに「4%」を割り込むと予想されています。予想通りの数字であれば、FRBをひとまず安心させることになろうかと思いますが、先週のFOMCではメンバーの予想する政策金利の中央値(ドットプロット)は「年内に少なくともあと1回の利上げ」を示唆していました。果たしてその見通しに変化を与えることになるのか、注目されます。「また、今週は「ブラックアウト」期間が終了したことで、多くのメンバーによる発言機会が予定されています。これらの発言にも相場は左右されると見られます。また「市場介入」がいつあってもおかしくはない水準で推移しているドル円です。ショートメイクは慎重にならざるを得ませんが、かといって安心してドルを買える水準でもありません。介入がないことが、かえって相場を読みづらくしているとも言えます。

今週の注目材料

  • 9/25(月)
    日 植田日銀総裁、大阪市で講演(14・30)
    日 内田日銀副総裁、全国証券大会で挨拶(15:35)
    独 独9月ifo景況感指数
    米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答に参加
  • 9/26(火)
    米 7月ケース・シラ−住宅価格指数
    米 7月FHFA住宅価格指数
    米 8月新築住宅販売件数
    米 9月コンファレンスボード消費者信頼感指数
    米 9月リッチモンド連銀製造業景況指数
  • 9/27(水)
    豪 豪8月消費者物価指数
    日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(7月27日、28日分)
    日 7月景気先行指数(CI)(改定値)
    日 7月景気一致指数(CI)(改定値)
    独 独10月GFK消費者信頼調査
    米 8月耐久財受注
  • 9/28(木)
    豪 豪8月小売売上高
    独 独9月消費者物価指数(速報値)
    欧 ユーロ圏9月消費者信頼感(改定値)
    欧 ユーロ圏9月景況感指数
    欧 ECB経済報告
    独 独9月消費者物価指数(速報値)
    米 新規失業保険申請件数
    米 4−6月GDP(確定値)
    米 8月中古住宅販売成約件数
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
    米 パウエル・FRB議長。タウンホール会議を主宰
    米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 9/29(金)
    日 9月東京都区部消費者物価指数
    中 9月財新サービスPMI
    中 9月財製造業PMI
    独 独9月雇用統計
    欧 ラガルド・ECB総裁、イベントで講演
    英 英4−6月期GDP(改定値)
    英 英8月消費者信用残高
    米 8月個人所得
    米 8月個人支出
    米 8月PCEデフレータ(前月比)
    米 8月PCEデフレータ(前年比)
    米 8月PCEコアデフレータ(前月比)
    米 8月PCEコアデフレータ(前年比)
    米 9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
    米 9月シカゴ購買部協会景気指数
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 9/30(土)
    中 9月中国製造業PMI
    中 9月中国サービス業PMI
  • 10/1(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。