今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
10月2日 〜 10月8日
ドル/円
147.00〜151.00
ユーロ/円
155.00〜160.00
豪ドル/円
94.00〜97.00

先週は週後半に149円71銭までドル高が進み、いよいよ「150円台テスト」の足場が固まったかと思われましたが、週末には一時148円台半ばまで押し戻される場面もあり、「おやっ」と思いました。しかし再び切り替えてドルが上昇し、本日月曜日には149円81銭までドルが買われ、やはりこの相場は「150円台を見ないと、収まらない相場」のように思えてきます。今朝のコメントでも触れましたが、FOMC会合でもその発言が注目されるNY連銀のウィリアムズ総裁が「米金利はピークに近い可能性」を示唆している状況にもかかわらず、ドル高の勢いは衰えていません。

もっとも、いくら米金利がピークに近いといっても、FRBが直ぐに利下げに転じるわけでもなく、日米金利差は足元でも5%を超えており、一方の相手である日銀がマイナス金利解除など、政策変更に踏み切らない限り「絶対的な金利が存在する」ことから、円高方向には転じにくいようです。また、今日まで政府・日銀の実弾介入が見られないことから、150円台までの円安も許容している可能性が高くなっています。150円という「大台」の前に介入があるのかどう注目してきましたが、どうやら通貨当局は150円台に乗せ、投資家が安心し切ったタイミングで実弾介入に踏み切る公算が高まってきたと考えます。ドルブル派の投資家の中には「150円は単なる通過点」という見方もあるようですが、150円という節目はそれなりに重要かと思います。150円台に入れば、介入警戒感はますます高まりますが、一方で円安がさらに加速する可能性もないとは言えません。そうなると、意識されるのは昨年10月に記録した「151円95銭」です。この水準を抜ければ上方はほとんど青天井になることから、円安が一段と進む可能性があります。

今週は「ADP雇用者数」に「雇用統計」、それに「ISM製造業景況指数」といった重要指標の発表があります。ここで10月末のFOMCでの利上げの可能性を探ることになります。9月のFOMCでは政策金利の引き上げは見送られましたが、FOMCメンバーの予想する今年末の政策金利の予想値では「年内に少なくともあと1回の利上げを示唆」していました。また今週は多くのFOMCメンバーによる発言機会があります。取り分け、本日(2日)はパウエル議長による発言があり、いつものように注目されます。メンバーの追加利上げを巡る認識も分かれる状況の中、利上げの終盤を予想するメンバーがどの程度いるのかも重要な要因になります。また同時に注目したいのが原油価格の動向です。足元では原油価格の上昇は明らかに「ドル高・円安要因」です。先週はWTI原油価格が一時95ドル台まで急騰しました。原油価格の上昇は米インフレ抑制には大いに逆風となり、米金利上昇に伴いドル高に振れ易くなります。同時に日本の貿易赤字の拡大にもつながり、ドル買い需要の増大を生むといった構図です。今週はいよいよ150円台テストの可能性が高まったとみますが、どうでしょうか。

今週の注目材料

  • 10/2(月)
    日 7−9月期日銀短観・大企業製造業業況判断
    日 7−9月期日銀短観・大企業製非造業業況判断
    独 独9月製造業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏8月失業率
    欧 ユーロ圏9月製造業PMI(改定値)
    英 英9月製造業PMI(改定値)
    米 9月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
    米 9月ISM製造業景況指数
    米 パウエル・FRB議長とハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、円卓会議に参加
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会で司会
    米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
  • 10/3(火)
    豪 豪8月住宅建設許可件数
    豪 RBA、キャッシュターゲット
    独 独9月サービス業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏9月総合PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏9月サービスPMI(改定値)
    欧 ユーロ圏8月小売売上高
    欧 ラガルド・ECB総裁講演
    米 9月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米 9月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
    米 9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
    米 8月製造業受注
    米 9月ISM非製造業景況指数
    米 9月自動車販売台数
    米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 10/4(水)
    豪 豪8月住宅建設許可件数
    豪 RBA、キャッシュターゲット
    独 独9月サービス業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏8月卸売物価指数
    欧 ユーロ圏9月総合PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏9月サービスPMI(改定値)
    欧 ユーロ圏8月小売売上高
    欧 ラガルド・ECB総裁講演
    米 9月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米 9月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
    米 9月ADP雇用者数
    米 8月製造業受注
    米 9月ISM非製造業景況指数
    米 ボウマン・FRB理事、会議で挨拶
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、シンポジウムで挨拶
  • 10/5(木)
    豪 豪8月貿易収支
    独 独8月貿易収支
    独 独8経常収支
    米 新規失業保険申請件数
    米 8月貿易収支
    米 メスター・クリーブランド連銀総裁、シンポジウムに参加
    米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
    加 カナダ8月貿易収支
  • 10/6(金)
    日 8月景気先行指数(CI)(速報値)
    日 8月景気一致指数(CI)(速報値)
    独 独8月製造業新規受注
    米 9月雇用統計
    米 8月消費者信用残高
    加 カナダ9月新規雇用者数
    加 カナダ9月失業率
  • 10/7(土)
  • 10/8(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。