今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
10月30日 〜 11月5日
ドル/円
147.50〜151.50
ユーロ/円
155.00〜160.00
豪ドル/円
93.00〜97.00

先週のドル円は米金利の上昇を支えに、今月3日に記録したドル円の年初来高値150円16銭を試し、さらにその前後でも介入らしき動きがなかったことから、一気に150円77銭辺りまでドル高が進みました。日本の長期金利も上昇してはいますが、絶対的な日米金利差に大きな変化は見られないこともあり、依然として緩やかなドル高基調は続いています。ドルが売られても下値は限定的であるため、結局ドル円の動きはドルの底堅さと介入警戒感に挟まれた狭いレンジでの動きに収まっていますが、今週は日米で重要な金融政策会合が開催され、週末には「10月の雇用統計」も控えていることから、データ次第ではこれまでと異なる大きな動きがあるかもしれません。

さらに今週注目されていることに、31日に財務省から発表される「10月の為替介入実績」があります。今月3日にドル円が150円16銭辺りまで買われた際、そこを頂点に一気に147円台まで急落した動きは記憶に新しく、市場では「政府・日銀による介入か」と一時大きな話題になりました。財務省の神田財務官は介入の有無を尋ねられ、「ノーコメント。言わないのが普通だ。(言って)得なことは一つもない」と詳しいことは避けていました。あの急激な動きから判断すると、実弾介入があったにしてはその影響は少なすぎるし、反対に何かないとあれほど急速にドルが下落することもないことから、「レートチェック」の可能性が高いと思っていますが、実弾介入があったかどうかは実績発表で明らかになります。仮に介入があったとしたら、やはり150円台が介入実施水準と受け止められ、今後150円台までドル円が上昇した際には警戒感が一層強まることになりそうです。一方、介入の実態がないとすればやや安心感も出てくるでしょう。そして次の介入水準を探ることになります。その水準は言うまでもなく昨年10月に実施した151円95銭前後ということになります。

日銀決定会合については今朝の「アナリストレポート」でも触れましたが、今回は少なくとも9月会合よりは何か動きがある可能性が高いと考えています。止まらない円安と円の長期金利の上昇は「日銀は動くべきだと」する「催促相場」の一環とも捉えることが出来そうで、先週末に発表された10月の東京都区部のコアCPIの上振れや、基調的インフレ率の上昇など、日銀に対する政策修正圧力もこれまでにないほど高まっていると考えられます。突如勃発したイスラエルとハマスとの戦争も原油価格上昇要因と見られ、今後イランなど中東諸国を巻き込むようだと、原油価格が90ドルを超え100ドルに迫る可能性もあり、日本を含む先進国のインフレを再燃させることも十分想定されます。中東情勢からも目が離せません。

11月1日に発表されるFOMCについては、現時点では2会合連続の据え置きが濃厚です。FOMCメンバーの中に、米政策金利は高水準まで引き上げられたことから、その効果を確認すべきだといったハト派が増えてきたことも挙げられますが、ここからさらに米金融当局が引き締めを強化する蓋然性は確認されないと思われます。ドル高基調が続きながらも、150円近辺で足踏みが続く相場にそろそろ変化が出てもいい材料が揃っており、これから年末に向けてのドル円を読む上でも注目される週になります。

今週の注目材料

  • 10/30(月)
    豪 豪9月小売売上高
    独 独7−9月期GDP(速報値)
    独 独10月消費者物価指数(速報値)
    欧 ユーロ圏10月景況感指数
    欧 ユーロ圏10月消費者信頼感指数(確定値)
    英 英9月消費者信用残高
  • 10/31(火)
    日 9月失業率
    日 9月鉱工業生産
    日 日銀金融政策決定会合
    日 植田日銀総裁記者会見
    中 10月中国製造業PMI
    中 10月中国サービス業PMI
    欧 ユーロ圏7−9月期GDP(速報値)
    米 7−9月雇用コスト指数
    米 8月ケース・シラ−住宅価格指数
    米 8月FHFA住宅価格指数
    米 10月シカゴ購買部協会景気指数
    米 6月コンファレンスボード消費者信頼感指数
    米 企業決算 → キャタピラー、ファイザー
  • 11/1(水)
    豪 豪9月住宅建設許可件数
    中 10月財新製造業PMI
    米 10月ADP雇用者数
    米 10月ISM製造業景況指数
    米 9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
    米 10月自動車販売台数
    米 FOMC 政策金利発表
    米 パウエル議長記者会見
  • 11/2(木)
    独 独10月雇用統計
    独 独10月製造業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏10月製造業PMI(改定値)
    英 英10月製造業PMI(改定値)
    英 BOE金融政策発表
    英 BOE金融政策委員会(MPC)議事録
    米 10月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
    米 新規失業保険申請件数
    米 9月製造業受注
    米 9月耐久財受注
    米 企業決算 → アップル、スターバックス、モデルナ
  • 11/3(金)
    中 10月財新サービス業PM
    中 10月財新総合PM
    独 独9月貿易収支
    独 独10月サービス業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏9月失業率
    欧 ユーロ圏10月総合PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏10月サービスPMI(改定値)
    米 10月雇用統計
    米 10月ISM非製造業景況指数
    米 10月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米 10月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
    加 カナダ10月新規雇用者数
    加 カナダ10月失業率
  • 11/4(土)
  • 11/5(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。