今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
11月13日 〜 11月19日
ドル/円
148.50〜153.00
ユーロ/円
159.00〜163.00
豪ドル/円
95.50〜98.50

先週末のNYで151円60銭まで買われたドル円は週明け月曜日の東京時間午後には151円77銭まで上昇し、介入を警戒しながらも依然としてドルを買う動きが優勢な状況です。先ずは、11月1日に記録した年初以来ドル高水準である151円74銭を抜けたことから、昨年10月に付けた151円95銭が次に意識される水準であり、同時に大きな焦点です。

上記2水準は政府日銀が大規模な市場介入に踏み切り、その日の内にドル円が4円以上も急落しており、その後、今年初めに127円台まで円高が進み、極めて効果が高かった介入でした。従って、仮にこの水準を抜けるようだと、ドル円は上昇が加速する可能性もあります。ドルショートで粘っていた筋も、さすがにこの水準を上抜けするようだと、もう一段のドル高があるかもしれないと考えており、ストップロスのドル買いを設定しているケースが考えられるからです。ドル高のドライバーとなった米長期金利の上昇も、5%台に載せてからは調整局面が続き、足元では4.5〜4.7%程度で推移していますが、先週の動きを見る限りこれまでのドル高に加えて「円安」の要素が加わり、ユーロ円などは15年ぶりの高水準を記録するなど、クロス円でも円全面安の動きになっていました。植田総裁を始め、日銀審議委員の発言もよく吟味してみると「ややタカ派寄り」に変化しています。ただ、それでも「全体的に見れば、現行の大規模な金融緩和政策は変わらない」といった大局的な見方が根強い円売りにつながっているのではないかと思います。まだ年末まで1カ月半もあり、年末相場に言及するのは早すぎますが、このままでいけば1月に円の「最高値」を記録したドル円は、12月に「最安値」を付ける可能性も考えられそうです。

今週の注目材料は何と言っても14日(火)発表の「米10月の消費者物価指数(CPI)」です。順調な低下傾向を見せている米CPIですが、今回10月のそれは減速傾向が鈍化している可能性があると見込まれています。コアCPIは前月比「0.3%」と、9月分と変わらないと予想されており、下げ基調も一服といったところです。先週パウエル議長はIMF会合の講演で「金融政策のさらなる引き締めが適切となれば、そうすることをためらわない」と、想定よりもタカ派寄りの発言を行い市場にやや驚きを持って受け止められました。楽観的な市場に対するけん制かとは思いますが、うがった見方をすれば、CPIの鈍化傾向を予期しての発言だったのかもしれません。

上記CPIの発表以外にも、中東情勢の悪化や米つなぎ予算を巡る混乱、あるいはサンフランシスコで行われる米中首脳会談の行方など、不透明な材料もあります。いずれにしても、これらの材料を経てドル円が152円台に突入していくのか、あるいはその前でUターンして行くのか、年末にかけての相場を占う上では重要な動きになりそうです。

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来週の「今週の予想レンジ」は都合によりお休みとさせて頂きます。ご愛読者の皆様にはご不便をお掛けいたしますが、ご理解の程、よろしくお願い申し上げます。

今週の注目材料

  • 11/13(月)
    中東 OPEC月報
    米  10月財政収支
    米  APEC財務相会議(サンフランシスコ)
  • 11/14(火)
    豪 豪11月ウエストパック消費者信頼感指数
    豪 豪10月NAB企業景況感指数
    独 独11月ZEW景気期待指数
    欧 ユーロ圏7−9月期GDP(改定値)
    英 英ILO失業率(8−10月)
    英 英10月失業率
    米 10月消費者物価指数
    米 バイデン大統領、サンフランシスコ訪問
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
  • 11/15(水)
    豪 豪第3四半期賃金指数
    日 7−9月GDP(速報値)
    日 9月鉱工業生産(確定値)
    中 中国10月小売売上高
    中 中国10月鉱工業生産
    欧 ユーロ圏9月鉱工業生産
    欧 ユーロ圏9月貿易収支
    英 英10月消費者物価指数
    米 10月小売売上高
    米 10月生産者物価指数
    米 11月NY連銀製造業景況指数
    米 APEC首脳会議(サンフランシスコ、17日まで)
  • 11/16(木)
    日 10月貿易統計
    豪 豪10月雇用統計
    米 新規失業保険申請件数
    米 10月輸入物価指数
    米 10月輸出物価指数
    米 11月フィラデルフィア連銀景況指数
    米 10月鉱工業生産
    米 10月設備稼働率
    米 11月NAHB住宅市場指数
    米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
    米 バー・FRB副議長講演
    加 カナダ3月住宅着工件数
  • 11/17(金)
    欧 ユーロ圏9月経常収支
    欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(改定値)
    欧 ラガルド・ECB総裁講演
    英 英10月小売売上高
    米 10月住宅着工件数
    米 10月建設許可件数
    米 つなぎ予算期限
    米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
    米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
  • 11/18(土)
  • 11/19(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。