今年最後のFOMCが終わり、さらにECB理事会も終え、両中銀は揃って政策金利の据え置きを決定しました。FOMC後の会見では、パウエル議長の想定を越えるハト派的な発言でドルが大きく売られましたが、その後NY連銀総裁などの発言で値を戻し、本コメント執筆時現在は142円台で推移しています。FOMCメンバーの足並みが必ずしも一致していないことが露呈された格好になりましたが、結局は今後のデータ次第で金利水準が決定され、それによって為替の水準も決まってくるということです。
今週はクリスマス休暇前の週にあたり、これまでと比べ動きは極めて少ないと思われます。まだ明日の日銀「金融政策決定会合」を残してはいますが、どうやら今回も政策の修正や変更はなさそうで、焦点は1月会合に向けてのフォワードガイダンス的なコメントが発表されるのかどうかに移っています。今年も昨年と同じように、ドル円は大きく動いたこともあり、今週くらい「凪相場」でもいいのかと思いますが、どうでしょう。ただ、それでも「動かない」と決めつけるのは危険です。植田総裁は今月7日の国会で、「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と、参議院財政金融委員会の席で委員の質問に答えています。「チャレンジングになる」といった総裁の趣旨は分かりかねますが、通常は「より積極的になる」という意味に受け取れます。「異次元の緩和政策の修正により積極的になる」という意味合いにも取れ、ひょっとしたら政策の「修正あるいは変更」があるかもしれません。
ただ植田総裁は常々、「賃金と物価上昇の好循環の実現に向けた確証が得られれば」という言葉を口にしており、物価上昇はともかくとして、賃金の上昇が見通せるのかどうかがカギになってきます。ブルームバーグは、「(市場は)今回の会合で急いで正常化に踏み出す必要性はほとんどないと認識している。マイナス金利やイールドカーブコントロール(YCC)の枠組みの撤廃は見送られ、現状維持が決まる公算が大きい」と予想しています。会合結果は「終了後直ちに」発表されることになっています。従って、遅ければ遅いほど議論が紛糾していると予想され、仮に12時や12時半を過ぎても発表されない場合には、円がジリジリと買われる展開があるかもしれません。通常は午前11時から12時までの間には発表されてきましたが、筆者が知っている限り、午後1時半以降に発表されたケースもありました。いずれにしても準備はしておく必要があります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。