今年最後のＦＯＭＣでパウエル議長が予想外の「ハト派発言」を行ったことで１４１円を割り込み、１４０円台後半まで売られたドル円は、その後日銀の決定会合や植田総裁の発言、さらにはＦＯＭＣメンバーのタカ派寄りの発言で１４４円９６銭まで反発したものの、１４５円台には届かず再び１４２円前後まで値を下げてきました。この状況が続けば、年内残りの日々は１４０円割れも、１４５円超えもなさそうな雰囲気が強まってきました。

ただそれでも、１１月に記録した１５１円９１銭を頂点に右下方向に描くことができる「レジスタンス・ライン」は機能しており、上値の重さの方が勝っている状況であると考えます。先週末に発表された個人消費支出（ＰＣＥ）価格指数でも示されたように、コア価格指数は６カ月間の年率ベースでは、上昇率が「１．９％」と、ＦＲＢが目標とする「２％」をわずかですが下回ってきました。従って、余程のサプライズがない限り、２０２４年初頭にかけては米長期金利が徐々に低下し、依然として不透明な部分はあるとしても日銀の金融政策の修正や撤廃も、２４年春先までにはありそうです。円金利が上昇しドル金利が低下する以上、来年春先にかけては「円高ドル安」の展開を読むのは自然な流れかと思われます。一方で、今年の例もあり、「円高必定」といった固定観念を持つことも避けたいところです。「７：３で、円高方向を予想する」、そんなスタンスを維持したいと、現時点では考えています。今年は１月下旬からドルが急騰しました。その後売られる局面もありましたが、「一歩後退・二歩前進」を繰り返し、１１月には上記１５２円手前までドル高が進みました。当時よりも米金利が依然高水準で推移していることを考えると、円高に振れたとしても「どこまで円高が進むのか」が焦点になりそうです。

２０２４年は米大統領選が最大のヤマ場ですが、その前にも相場に影響がありそうな選挙があります。１月１３日には「台湾総統選」があり、９月にはレームダック化した岸田自民党総裁の任期満了です。「今日のアナリストレポート」でも触れましたが、次期総裁に最も近い人は、石破氏のようです。また３月はロシア大統領選もあり、こちらはプーチン氏の再選が確実視されています。さらに韓国でも４月に総選挙が予定されており、２０２４年は「選挙イヤー」と言えそうです。また、ロシア・ウクライナ戦争の行方やイスラエル・ハマス戦争の行方も、中東や米国を巻き込む可能性もあり、予断を許しません。

リスク要因を挙げればきりがないように思えますが、来年も状況に応じて判断していくしかありません。

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２０２３年もご愛読ありがとうございました。２０２４年は１月９日（火）からスタートします。

よいお年をお迎えください・・・・。

今週の注目材料

• 12/25（月）
  日　　１０月景気先行指数（ＣＩ）（改定値）
  日　　１０月景気一致指数（ＣＩ）（改定値）
  日　　植田日銀総裁講演
  欧米　主要欧米市場は休場
• 12/26（火）
  日　１１月失業率
  欧　主要欧州市場は休場
  米　１０月ケース・シラ−住宅価格指数
  米　１０月ＦＨＦＡ住宅価格指数
• 12/27（水）
  日　日銀金融政策決定会合における主な意見（１２月１９日、１９日分）
• 12/28（木）
  日　１１月鉱工業生産
  米　新規失業保険申請件数
  米　１１月中古住宅販売成約件数
• 12/29（金）
  米　１０月シカゴ購買部協会景気指数
  米　債券市場、短縮取引
• 12/30（土）
• 12/31（日）
  中　１２月中国製造業ＰＭＩ
  中　１２月中国サービス業ＰＭＩ