先週のドル円は、米金利の低下や、日銀金融政策決定会合を巡る思惑などで、ドルの下値を試す動きがあり、一時は146円台半ばまでドルが売られる場面もありましたが、結局週末には148円台まで値を戻して引けています。FRBがいずれ政策金利の引き下げに踏み切る可能性が極めて高く、そうなるとドル安が進むことが予想されるなか、「ドルが予想以上に底堅い動きを見せている」というのが率直な感想ですが、個人投資家の中にも同様な印象を持っている人は多いのではないかと思われます。因みに上記146円台半ばで下げ止まったのも、一目均衡表の「雲の上限」(日足)で支えられた格好となっており、テクニカルでは依然としてドルの上昇局面は続いており、これがドルの買い方には安心感を与えていると考えられます。
今週の焦点は何と言っても30−31日のFOMCです。何度か触れているように、政策変更はなしと予想されており、注目はパウエル議長の会見での発言です。ここで、利下げについて言及があるのか、ないのか。さらに言及があった場合、3月利下げにつながる発言なのかどうかという点が注目です。直接的な言及はないと予想していますが、議長は昨年12月の最後のFOMCで想定外の「ハト派発言」を行い、市場では一気に3月利下げを織り込む動きが加速したことは記憶に新しいところです。その後に発表された幾つかの好調な経済指標を踏まえても、その考えに変わりはないのかどうかが注目されるところです。中東情勢がさらに混沌としており、リスクも高まっています。さらに原油価格はそれを反映するかのように、ジワジワと上昇傾向を強めてきました。インフレ再燃の芽はまだ完全には払拭できてはいません。もし議長が、12月会見に比べハト派色が弱まる発言を行うようだと、ドル円は150円を試すかもしれません。市場はテクニカルが示唆するように、ドル高材料には敏感に反応する雰囲気があります。仮に150円台を示現するようだと、昨年11月以来2カ月半ぶりのドル高水準を記録することになりますが、同時に再び市場では介入警戒感が台頭することにもなります。
一方3月利下げの可能性が高まる展開になった場合、146円台というよりも、145円台が維持されるのかどうかが注目されます。いずれにしても、足元の145−150円のレンジがどちらかの方向に抜け切ることができるかどうかといった点が、今後のトレンドを見る上でも重要になります。また、今週は週末に「1月の雇用統計」が発表され、こちらも波乱要因です。同指標の市場予想は、非農業部門雇用者数が「18万人」(前月は21.6万人)、失業率は「3.8%」(前月は3.7%)と予想されています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。