今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
2月5日 〜 2月11日
ドル/円
146.00〜150.00
ユーロ/円
158.00〜163.00
豪ドル/円
95.00〜98.00

先週末の雇用統計の結果を受け、市場のセンチメントは一変しました。それまでは米金利の低下傾向もあり、ドルがどこまで売られるのかが焦点でしたが、1月の雇用統計で雇用と賃金の伸びが加速していたことで、3月利下げの可能性はほとんどなくなり、長期債が売られたことから金利が上昇し、ドル円を再び148円台半ばまで押し上げました。ドルが買われたことで、ユーロドルも1.07台後半まで売られ、ドルの底堅さが際立つ展開になっています。テクニカルではレンジの下限を試したものの、「日足の雲」に跳ね返され、今度は150円方向を試す動きになりそうです。

ただ、148円台半ばの水準は1月中旬から抜け切れない水準で、目先のレジスタンスゾーンになっている水準です。従って、この水準をこなして149円台に乗せるかことができるのかどうかが先ず注目されるところです。ここを抜けて149円台を示現すれば、およそ2カ月半ぶりのドル高ということになり、市場のセンチメントも「再び150円テストか」といった具合となり、市場参加者も再び「ドルブル」に変化してきそうです。

材料としてはこれまでと変わらず、1つはFRBによる利下げのタイミングです。金融引き締めへの転換は、3月の可能性がほぼ消滅したものの、5月あるいは6月には、余程のことがないかぎり利下げに踏み切るものと予想しています。FRB首脳は、インフレ率の着実な鈍化傾向には自信を深めていますが、一方で中東情勢の悪化による原油価格上昇懸念と、雇用と賃金の伸びに見られるように、米景気の予想以上の力強さといったリスクも存在し、今後これらの要素がどこまでインフレ率に影響を与えるのかが注目されます。パウエル議長は4日の夜(日本時間5日の午前)に放映されたCBSニュースの番組「60ミニッツ」で、金融当局の利下げに関する姿勢を説明しています。議長はインフレ抑制に関して「拙速に行動することの危険性は、仕事がまだ完了しておらず、過去半年間に得られた非常に良い数値がインフレの先行きを巡る本当の指針でないことが後から分かる場合だ」と説明し、「実際にそうなるとは考えていないが、多少時間をかけて、インフレ率が持続的な形で2%に向けて低下しているとデータで引き続き確認するのが賢明な方法だ」と話しています。その上で、3月19、20日の次回FOMCまでに「そうしたレベルの確信に達する可能性は小さい」と、先週のFOMC後の会見で述べた言葉を繰り返していました。

2つ目は、日銀の政策修正の可能性です。すでに「マイナス金利政策解除はタイミングの問題」と言われており、早ければ3月会合、恐らく展望レポートの発表される4月が最も可能性が高いと思われますが、このタイミングを巡る思惑です。日米の金融政策会合を終え、雇用統計も通過したことでやや材料に欠けるかもしれませんが、FOMCメンバーの発言がいつものように材料になりそうです。

今週の注目材料

  • 2/5(月)
    豪 豪9月貿易収支
    中 1月財新サービスPMI
    中 1月財新コンポジットPMI
    独 独1月サービス業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏12月卸売物価指数
    欧 ユーロ圏1月総合PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏1月サービスPMI(改定値)
    米 1月ISM非製造業景況指数
    米 1月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米 1月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
    米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 2/6(火)
    豪 RBA、キャッシュターゲット
    豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
    独 独12月製造業新規受注
    欧 ユーロ圏12月小売売上高
    米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
    米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
    米 大統領選の民主党ネバダ州予備選
    加 カナダ12月住宅建設許可件数
    米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 2/7(水)
    日 12月景気先行指数(CI)(速報値)
    日 12月景気一致指数(CI)(速報値)
    中 中国 1月外貨準備高
    独 独12月鉱工業生産
    米 12月貿易収支
    米 12月消費者信用残高
    米 クーグラー・FRB理事講演 
    米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
    加 カナダ12月貿易収支
  • 2/8(木)
    日 12月国際収支・貿易収支
    日 1月景気ウオッチャー調査
    中 中国1月消費者物価指数
    中 中国1月生産者物価指数
    欧 ECB経済報告
    米 新規失業保険申請件数
    米 イエレン財務長官、上院銀行委員会で証言
    米 大統領選の共和党ネバダ州党員集会
  • 2/9(金)
    独 独1月消費者物価指数(改定値)
    英 英1月消費者物価指数
    米 米独首脳会談(ホワイトハウス)
    加 カナダ1月新規雇用者数
    加 カナダ1月失業率
  • 2/10(土)
  • 2/11(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。