ドル円は1月2日の140円80銭近辺を底値に一方的なドル高円安が続いています。2月も中旬に差しかかり、早ければ今週にも「春一番」が予想される時期になりましたが、150円を試す気配さえ漂っています。筆者も含め、多くの専門家がFRBの利下げ開始と日銀の政策修正が近いと想定されることから「どこかの時点で円が買われ、ドル安に向かうはず」との相場観を維持していますが、そのタイミングが後ずれしているのが現状です。日米金利差は昨年秋程拡大してはいませんが、それでもまだ10年債利回りで4%ほどあり、ドル買いが有利な状況は変わっていません。
問題はここから昨年のように150円台に乗せ、152円を目指す展開になるのかどうかです。思い起こされるのが、2022年と23年の相場展開です。いずれも1月をドルの底値として、その後大幅なドル高が進んだ年でした。今年も現時点では、1月にドルの底値を付け、すでに「わずか2カ月半で8円もの円安」が進んでいる「事実」です。「ひょっとしたら今年も同じ道を辿っているのではないか?」と、個人投資家の多くが思いを巡らせるのも無理はありせん。今年もドル円が同じような動きを見せたら3年連続ということになります。
筆者はちょうどこの良いタイミングに、バークレーズ証券の「経済セミナー」に参加する機会がありました。同社は、5月にFRBが利下げを開始し4月には日銀が政策修正に動くとの見方を維持していましたが、それでも、「好調な労働市場を背景にFRBが急激な連続利下げに動く可能性は低い。同時に日銀もマイナス金利の解除を決めても、長期金利の水準は、せいぜい1%前後が予想される」と分析していました。「日本は長い間超低金利に慣れ過ぎており、日銀は急激な利上げは避ける可能性が高い」との見方もありました。その結果、150円台に乗せてドルがどんどん買われる地合いではないものの、かつての円高水準である110円、120円は考えにくい」と予想しており、これまでよりもドル高方向に見方をシフトしたように思えます。
やはり、一度は150円を見ないと収まらない動きかと思われ、今夜の米1月の消費者物価指数(CPI)がそのきっかけになるのか、注目です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。