歴史は繰り返す「【オプション】Vol:4」|FX|外為オンライン FX取引 − あなたの為の、外為を。

歴史は繰り返す


オプション

第四話:オプション取引


さて、オプションの歴史について多少理解されたことと思いますが、ポイントとしては、ある価格で

「買う権利」と「売る権利」を売買することで、買った人は権利を持っていますので、権利行使日に都合が

悪ければ放棄でき、売ったひとは義務を負うということです。


では、これらのオプションが実際にどのように使われているか観てみましょう。

輸出業者は市場で常にドルを売ります。逆に輸入業者は市場からドルを買います。ですから基本的には、輸出業者は

「ドルを売る権利」(これをプットと言います)を買い、輸入業者は「ドルを買う権利」(これをコールと言います)を

買います。実際にはもっと複雑に異なるオプションを組み合わせた取引をしていますが、基本の部分はこれらのオプションを

買うことで為替リスクをヘッジしています。


では、輸出入業者は取引銀行とこれらのオプションを締結するわけですが、オプションを売った銀行は損をしないのでし

ょうか?当然のことですが、オプションを売った銀行は為替市場で徐々にカバーを取ります。

例えば、110円でドルを買う権利(ドルコール)を取引先に売った場合、銀行は将来ドル/円が120円になっても110円で

ドルを売る義務があります。ドル高になったら銀行は損をしてしまうため、取引が成立したら、先ず市場で取引金額の30%程度

のドルを買います。このカバーすべき金額はデルタヘッジと言われ、高度な金融工学を駆使して導き出された割合に応じて市場で

カバーして行きます。そしてこの割合はドル高になればなるほど増えますので、銀行はドルを買いまして行くことになります。

このような取引が多くの銀行で行われれば、その金額も多額になり、市場をかく乱する要因になります。

日銀は昨年11月に「日銀レビユー」でオプション取引が為替市場に与える影響について以下のように述べております。

  • 市場参加者の間では、日々の実際の取引の中でオプション取引の影響、具体的には比較的多額のノックアウト・オプションが 失効するノックアウト・レート(バリア・ポイント)等が意識される場面がみられる。こうした状況で、通貨オプション取引の 実態とその直物為替取引に及ぼし得る影響にについて整理することは、特に為替市場の変動要因について理解を深める上で有用で あると考えられる。 このように、今やオプション取引のカバーとして持ち込まれた為替が日々の為替レートに大きな影響を与えているという事実は 無視できなくなっています。もっともこれらオプションがらみの為替も、為替市場を構成する一つであると言えます。
<参考文献>
  • 相田 洋 茂田芳郎 著 マネー革命「第二巻」金融工学の旗手たち:日本放送協会出版協会
  • 日本銀行金融市場局 「日銀レビュー」2007年11月号

次回は、7/22(火)の予定です。


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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。