歴史は繰り返す「【食料戦争】Vol:1」|FX|外為オンライン FX取引 − あなたの為の、外為を。

歴史は繰り返す


食料戦争

第一話:日本の食料事情


以前このコーナーで、限りある資源ということで「石油」を取り上げましたが、
今回はもっと身近な資源ということで「食料問題」をテーマにしました。

「石油」は仮に枯渇してもすぐにわれわれの命に危険はありません。
しかし、食料はそうはいきません。特に日本の場合はかなりの食料を世界から輸入し
ていることから、もしそれらの輸出国が「日本には一切輸出できない。」と言う事態
になれば、自給率の低い日本は一体どうなるでしょうか。

今回の食料でも「BRICS」の代表である中国とインドが出てきます。
石油、エネルギー、食料、貿易、環境、などグローバルな話題には必ずこの二国が登場
します。二国合わせて24億人の人口は世界の約36%にもなります。存在そのものが巨大な
ゆえに、この二つに国が今後どのような社会を目指すのか、どのような経済運営を行って
いくのかによって世界が大きな影響を受けると言っても過言ではありません。


さて、日本の食料事情ですが、先ず自給率を観て見ましょう。
日本の食料自給率は39%といわれています。しかし、この数字はカロリーベース(熱量ベース)
の自給率で専門家は自給率が過剰に表れていると指摘しています。主な食品の自給率ですが
野菜79%、牛肉43%、魚でさえ59%です。さらに小麦13%、大豆5%と、このあたりになるとほとん
ど輸入に頼っているのが現状です。ただ「われわれ日本人の主食の「米」の自給率は100%だろ
う・・・・。」そう考えていた私が認識不足でした。
米の自給率は94%でした。米はできすぎて国が減反を奨励しているにもかかわらず100%ではない
のです。もし米を作っている農家の方がこのコラムを読んだら「そんなことも知らないのか。」
と怒られそうですが一応調べてみました。

日本人の一人当たり米消費量は年々低下して年間70kg(精米ベース)を割り込んでいるそうです。
日本の総消費量も1000万トンの大台を下回っています。一方、約270万ヘクタールある水田面積の
うち、実際に作付けされているのは170万ヘクタールで、残り100万ヘクタールはやはり減反されています。
そこから毎年生産される米は約900万トン。現在備蓄米が約200万トンあるそうで、それにミニマム・
アクセス米などの輸入米が約80万トンあるので、消費量の1000万トンに対しては十分な供給量という
ことになります。

ここで初めて「米」を輸入していることがわかりましたが、かつて冷夏で米の出来が悪く緊急避難的に
タイなどから米を輸入したことがあったことは記憶していますが、実際には毎年恒常的に輸入している
わけですね。このミニマム・アクセス米ですが、これまで輸入がなかった品目を最低限の輸入機会を提供
するという趣旨で、1993年のウルグアイ・ラウンド農業合意によって決められたもののようです。
話を再び自給率に戻しますと。日本の自給率39%は過剰に表されていると書きましたが、カロリーベース
のため、肉、卵、牛乳などは高カロリーの食物が自給率を押し上げているということのようです。
その意味で、注目しなければならない自給率は「穀物自給率」だそうです。そこでこの数字を観ますと
28%になります。何と11%も減ってしまいます。この数字を他の先進国と比較すると、その違いに驚きます。

農水省の「食料需給率リポート」(平成17年度版)によると、2003年時点のアメリカの穀物自給率は
128%、フランス142%、独逸122%で、比較的低いところでイタリア62%、イギリス70%と、日本の28%が
際立っています。政府は現在のカロリーベースの自給率を2015年に45%までに引上げるという目標を掲げて
いますが、中国、インドの発展を考えた時、早急に引き上げておかなければならない状況にあるのではない
かと思います。

To be continued・・・
次回は、7/29(火)の予定です。


※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものでは、ございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。 本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。


外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。