歴史は繰り返す「【統一通貨ユーロ誕生の歴史】Vol:2」|FX|外為オンライン FX取引 − あなたの為の、外為を。

歴史は繰り返す


統一通貨 <ユーロ>誕生の歴史

第二話:ユーロ誕生前夜


欧州初の統一通貨「ECU」が発足したが、1980年代前半は加盟各国の経済力に
大きな格差があり、再三にわたり基準レートの調整を余儀なくされていました。
このような状況は80年代半ばまで続きましたが、それ以降は欧州「優等生ドイツ」の
金融政策に追随した加盟各国の通貨は安定し、インフレ格差も縮小し域内の経済活動も
大きく成長していきます。
結果、通貨統合の効果がはっきりと数字で確認できるようになっていきました。

  その後、欧州市場統合と、「ECU」から一歩進んだリアルな単一通貨の導入に向けた動きが
活発化し、1991年オランダの中堅都市「マーストリヒト」で基本的な条約が採択されました。
これが、いわゆる「マーストリヒト条約」と呼ばれるもので、通貨だけではなく、外交、安全保障政策、
司法、内務協約など欧州連合の設立に関する子本的な考え方が示されていきました。

注目すべきは、この中で統合までにクリアーしなければならない5つの基準が以下のように明確になったことでした。
それは・・・

  1. インフレ率(ユーロ圏低インフレ3ヶ国平均)
  2. 長期金利(低インフレ3ヶ国の金利平均)
  3. 財政収支(年間財政赤字がGDP3%以内)
  4. 政府累積債務(政府債務残高がGDP60%以内)
  5. 為替安定(少なくとも2年間切り下げがなく、変動幅内で推移)
これらの基準を満たした国によって1999年までに、統一通貨「ユーロ」を導入することが決定されていきます。

しかし、国内の経済状況がそれぞれ異なる各国にとって4つの基準は決して低いハードルではありませんでした。
1992年には各国の経済格差が表面化し、深刻な通過危機に見舞われたり、95年には独マルク高に翻弄され、
域内にも統一通貨ユーロ実現を危ぶむ声が高まりました。

このような危機はあったが、EMS加盟各国の努力もありいよいよ「ユーロ」実現の時を迎えようとしていた。
 
1999年1月のことである。

※独マルク
DM(ドイツ・マルク)はユーロ誕生前までは世界で最も取引された通貨で、当時各国欧州通貨は
 
フランス→USD/FFR,(ドル・パリ)
オランダ→USD/NGL(ドル・ギルダー)
スイス→USD/CHF(ドル・スイス)
・・・・・

など、対ドル相場があったが、欧州市場では対マルクDM/FRF(マルク・パリ)、DM/NLG(マルク・ギルダー)
などが頻繁に取引されており、流動性に厚みがあった。
やはり、欧州はマルク機軸経済圏だったようです。

To be continued・・・ 次回は、5/1(木)の予定です。4/29(火)につきましては、お休みさせていただきます。


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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。