統一通貨 <ユーロ>誕生の歴史
第四話:世界通貨ユーロへの道のり
苦難な時代を経て、2000年10月に底値を打ったユーロはその後、米国の景気後退や協調介入などで
徐々に強含んでいきます。
人、もの、金が基本的には国境がなく、自由に移動できるユーロ圏経済は次第に拡大していくわけです。
とりわけ、ドイツを筆頭にユーロ圏内の大国、フランス、スペイン、イタリアなどの国々で経済成長率が高まり、
失業率が低下しユーロ圏経済全体を牽引していくことになります。
そして、2006年には経済の拡大ペースが加速し、実質GDPでは日本を抜き、米国に迫る「世界第二位の経済圏」を
確立するようになりました。
当然のことながらユーロ圏の景気の拡大に伴い、ユーロ金利は上昇してきます。
おりしも米国では景気減速が表面化し、ドル金利は上がらず、引き下げトレンドに入り、その結果、経済成長面からも、
金利面からもユーロが対ドルで上昇して行くことになり2006年11月には1.33台まで値を上げ、実に底値から61%も上昇しました。
この傾向が昨年から今年にかけても続いていることは記憶に新しいところですが、特に昨年は年初から一本調子で上昇し、
つい先日の4月23日には1.6020を記録しました。
この背景には以下のことが挙げられます。
- サブプライムローン問題で米大手金融機関が未曾有の損出額を計上した。
- この結果、大規模な雇用調整が行われ、実体経済にも影響が出始めた。
- 雇用調整は金融機関だけにとどまらず、自動車、小売、IT業界にまで及んできた。
- リセッション(景気後退)に陥った米経済は昨年8月から金融緩和政策をとり
これまでに6回、
合計3%もの公定歩合引き下げを行ってきた。
- 一方、ユーロ圏はサブプライムローン問題の影響を受けているとはいえ、
ドイツを中心に比較的経済が順調であることと、インフレ懸念から政策金利を
据え置く状況が続いており、金利差逆転からユーロへの資金移動が
顕著になった。
To be continued・・・
最終回は、5/13(火)の予定です。
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外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。