ヘッジファンドの歴史
第三話:ヘッジファンド苦難の時代
1998年LTCM(Long Term Capital Management)が破綻します。
このファンドは1994年から運用を開始しますが、設立当初から「ドリームチーム」と言われました。
設立したのは、当時のソロモン・ブラザーズの著名債券トレーダー ジョン・メリウェザーで、
取締役にはFRB副議長だったデビッド・マリンズ。
更にノーベル経済学賞を受賞した二人の経済学者、マイロン・ショールズとロバート・マートンが
参画していました。彼等以外にも著名人が役員に名を連ねており、そのせいか世界中から資金が集まり
12億5000万ドル(約1300億円)で運用を開始したと言われています。
高レバレッジとコンピューターを駆使し、売られすぎた債券を買い、買われすぎた債券を売ると
いう運用戦略をとってきたLTCMは、設立当初から1998年まで40%を超える驚異的な運用益を
上げ続けてきました。
しかし、1977年のアジア通貨危機とその影響を受けたロシア危機で壊滅的な損出を
被り、
1998年8月破綻にいたります。
売られすぎた新興国の債券は更に売られ、買われすぎたドイツなどの債券は更に
買われたからです。
このような「ドリームチーム」でさえ4年間しか持たなかったという事実。
LTCMの破綻はわれわれに何かを教えてくれているように思えます。
「相場に絶対はない」「リスク・ヘッジ(ストップ・ロス)の大切さ」・・・
そんなことでしょうか?
この破綻を契機にヘッジファンドは「リスクが高い」というイメージが先行しファンドの解約が
相次ぐことになります。その資金返済のために投資している資産を売り、その売りが更に相場を
下落させるなどヘッジファンドにとって厳しい時代が続きました。
To be continued・・・
次回は、5/27(火)の予定です。
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外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。