石油情勢
第一話:世界中が注目する「WTI原油価格」
ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で
史上最高値135ドルを記録したWTI原油価格。
われわれの日常生活に直接関係する原油価格は今や金融市場だけではなく、あらゆる市場に影響を与えます。
身近な食料品から、海外旅行する際の飛行機代にいたるまで原油価格上昇の影響を受けています。
今回は連日マスコミで報道されている「石油情勢」についてまとめてみました。
【アメリカはれっきとした「産油国」なのです。】
昨年一年間の原油生産量は513万バレル/日でこれは世界の生産量の7.1%にもなります。結構な産油国
なのに先ず驚かされます。問題は消費量です。世界最大の石油消費国で、2006年の統計では約2100万バレル/日で
日本の4倍ほどになります。そのアメリカNYに世界が注目する原油先物市場があるのです。NYマーカンタイル取
引所に上場されているWTI(West Texas Intermediate)原油市場がそれです。ここで取引される原油は、その名
のとおりテキサス州で生産された、いわば「アメリカ産」の原油です。一日の生産量は40万バレルで、アメリカ国内で
消費される石油の2%にも満たないわずかな量を巡って日々壮絶な戦いが繰り広げられているいるわけです。
重要なのはここで取引された価格が、中東やアフリカなどの世界中の石油取引の値段が決まるのです。
いわば、石油の「
指標銘柄」です。
日本がサウジやUAEから輸入する原油の値段もここの価格に連動しています。
驚くべきは、売り残から買い残を引いたネットの買い越し額が年初からの平均で6611万バレル
(米商品先物取引委員会調べ)と一日の生産量の165倍もあるということです。実際の「生産量」を
何百倍も上回る「先物量」が取引されているわけですが、何か解りにくい世界ですね。
WTI以外にもドバイ原油や北海ブレントなどがありますが、全てWTI原油価格に連動しているわけ
ですから世界中が注目するのもうなずけますね。
To be continued・・・
次回は、6/5(木)の予定です。
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外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。