石油情勢
第二話:日本と石油
日本でも石油は取れます。
明治初期から新潟県を中心に石油開発が行われており、現在も北海道、秋田県、新潟県での石油の
商業生産が行われています。個人的な話ですが、私は生まれは新潟県の出雲崎という日本海に面した
風光明媚な町です。実はこの町でわが国最初の石油採掘が行われました。
現在は行われていませんが、採掘を記念して「石油記念館」なる建物があります。
その建物は石油公園という敷地内にあり、小さいころの私の遊び場でした。周りには採掘用のやぐらが
何本も建っていて、現在でも保存されています。
さて、それでは日本ではどれくらいの量の石油が産出されるのでしょう。
2006年の統計では約500万バレル(年間)です。
これはアメリカの一日の生産量(2007年で513万バレル)とほぼ同じ量です。
因みにサウジアラビアは870万バレルです。
「日本は国内で消費する石油のほとんどを輸入に頼っています」という話は中学校の社会化科で習った
記憶がありますが、もう少し詳しく見てみましょう。
2006年度の原油輸入量は2億3865万kℓでした。この数字は国内総消費量の99%を超えています。
輸入国別でみますと、サウジアラビアが29.0%と最大の輸入先で、以下アラブ首長国連邦(26.2%)
イラン(11.3%)となっており、上位三ヶ国で実に全体の7割近くを占めています。
違う角度から観てみますと、2006年度に872隻のタンカーが日本に原油を運んできました。
一日あたり2.4隻になります。ものすごい数のタンカーがホルムズ海峡とマラッカ海峡を通って日本の港に
到着しているわけです。このように日本は国内で消費するほぼ全量を輸入に頼っていますが、万が一輸入が
ストップしてしまったら大変な問題になります。特にペルシャ湾のホルムズ海峡はイランとアメリカとの緊張が
続いている地域で、過去に何度か日本の船舶も被害を受けたことがある水域です。その他にも地域紛争などの影響で
原油の輸入がストップするリスクは常にあり、そのため日本では2002年「石油備蓄法」が制定されて石油の安定
供給のため備蓄をしています。昨年末のデータでは民間備蓄(精製業者、輸入業者等)で83日分、国家備蓄(国家
備蓄会社、国から委託された民間石油企業)で99日分と、併せて6か月分ほどの備蓄があります。
これで十分かどうかは別にしてもやや安心はしますよね。
ところで石油と言っても原油を精製していく過程でいくつかの石油製品に分かれるのはご存知のとおりです。
ナフサ、ジーゼルエンジン用の軽油、ガソリンエンジン用のガソリン、灯油、あるいは航空機用の重油などです。
このように見ても、われわれの身の回りのエネルギーは現在のところ、ほとんど
が石油であることが解ります。
次回は、このように毎日消費されている石油は枯渇しないのか?
あるいは石油に関わる諸問題について触れてみたいと思います。
To be continued・・・
次回は、6/10(火)の予定です。
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外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。