


今朝の「アナリストレポート」で、イーロンマスク氏が新党「アメリカ党」を創設したことに触れましたが、マスク氏はトランプ大統領が強く望んでおり、今回成立した「大型減税・歳出法」に対してはこれまでも批判を繰り返していました。トランプ氏はそのことも踏まえてマスク氏の新党創設に、「米国は常に2大政党制が取られてきた。第3の党は決してうまくいったことはなく、彼が楽しむことは勝手だが、ばかげていると私は思う」と、記者団に述べました。さらにSNSでは、「過去5週間でイーロンマスク氏が完全に『暴走』する姿を見るのは悲しい。残念ながらイーロンにとっては都合が悪いが、減税・歳出法はEV補助金を廃止する内容だ」と投稿していました。
4日に成立した同法案は、2034年までの10年間で5000億ドル(約72兆円)規模の気候変動対策に関わる歳出を削減する見通しで、バイデン政権が成立させた支援策の多くが廃止や見直しとなります。もはや気候変動など眼中にないかの如く「脱炭素政策」を後退させるトランプ氏ですが、直接関係あるかどうかは分かりませんが、4日にはテキサス州で大規模な洪水が発生し、カー郡ヒルカントリー地区では壊滅的な被害に見舞われています。ブルームバーグによると、同州を流れるグアダルペ川はわずか45分で約8Mも水位が急上昇し、警報を発出していた米国立気象局の想定をはるかに超える物だったようです。この洪水により少なくとも50人以上が死亡し、数十人の子供が行方不明になっているようです。トランプ氏の「脱炭素政策」への急ブレイキは特に自動車産業への影響が大きく、日本のトヨタやホンダを始め、世界の多くの自動車メーカーがEVからのシフトを余儀なくされています。CO2を削減する「ゼロエミッション」政策は、「これで少なくとも5年以上は後戻りしてしまう」との見方もあるようです。
ドル円は142〜146円程度のレンジ相場が上も下も抜け切れません。「上値が重いは確かですが、142円以下では積極的に円を買う動きもない」といったイメージは今なお続いています。今月には、このレンジは破られると予想していますが、間もなく届く新しい関税率を記した書簡と、それに対する日本の対応。あるいは今月20日行われる参院選の動向次第ではレンジ抜けがあると考えています。市場のストレスもかなり溜まっていそうです。レンジ抜けが確認できれば、抜けたその方向に大きく動くと予想しています。
今週の注目材料
- 7/7(月)
日 5月景気先行指数(CI)(速報値)
日 5月景気一致指数(CI)(速報値)
中 中国6月外貨準備高
独 独5月鉱工業生産
独 独5月小売売上高
欧 ユーロ圏5月小売売上高
米 イスラエル首相、トランプ大統領と会談(ホワイトハウス) - 7/8(火)
豪 豪6月NAB企業景況感指数
豪 RBA、キャッシュターゲット
日 5月国際収支・経常収支
日 6月景気ウオッチャー調査
独 独5月貿易収支
独 独5経常収支
米 5月消費者信用残高
米 6月NY連銀インフ期待 - 7/9(水)
中 中国6月消費者物価指数
中 中国6月生産者物価指数
米 FOMC議事録(6月17−18日分)
米 米政権が貿易相手国・地域に課す上乗せ関税の一時停止期限 - 7/10(木)
英 英6月消費者物価指数
米 新規失業保険申請件
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
米 ムサレム・セントルイス連銀総裁講演 - 7/11(金)
独 独6月消費者物価指数(改定値)
英 英5月鉱工業生産
英 英5月貿易収支
米 6月財政収支
加 カナダ6月新規雇用者数
加 カナダ6月失業率 - 7/12(土)
- 7/6(日)
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。