「ドル円155円台前半まで急落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は大幅に下落。昨日の東京時間からジリジリと下げ、NYでは155円30銭と、約1ヶ月ぶりに155円台まで円が買われた。
- ドル安が進む中ユーロも買われたが、1.1641止まり。その結果、ユーロ円は180円台半ばまで急落。
- 米金利が低下し、利上げ観測が後退したことで、株式市場では3指数が揃って大幅に続伸。
- 債券は続伸。長期金利は4.76%台に低下。
- ドル安が進み金は大きく買われる。原油は小幅に4日続伸。
7月貿易収支 → −88.6b
新規失業保険申請件数 → 20.6万件
8月ISM非製造業景況指数 → 55.4
8月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 56.5
8月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 56.0
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| ドル/円 | 155.30 〜 156.15 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1609 〜 1.1641 |
| ユーロ/円 | 180.41 〜 181.06 |
| NYダウ | +624.16 → 53,686.11ドル |
| GOLD | +125.30 → 4,539.90ドル |
| WTI | +0.29 → 91.30ドル |
| 米10年国債 | −0.010 → 4.768% |
本日の注目イベント
- 独 独7月製造業新規受注
- 欧 ユーロ圏7月小売売上高
- 英 ベイリー・BOE総裁講演
- 米 8月雇用統計
- 加 カナダ8月新規雇用者数
- 加 カナダ8月失業率
本日のコメント
今夜の「雇用統計」発表を前に、予想外の展開です。
2日前には160円39銭まで買われたドル円でしたが、昨日のNYで155円30銭までドル安が進みました。筆者は昨日のコメントでも、はっきりとした理由が見つからない中ドルが売られる動きに、何かひっかかるものがあると書きましたが、昨日の動きも同じような展開でした。米金利が低下し、FRBのウォラー理事が「インフレ率はFOMCが掲げる2%目標を依然として大きく上回っているが、最近のデータは、ディスインフレの兆しがようやく表れ始めたことを示唆している」と述べ、今回の会合では据え置きを支持する考えを示しましたが、これが、ドル円を155円台まで押し下げる原因だったとも思えません。実際、ウォラー氏は、来週のCPIの数字次第では利上げもあり得るとし、「少なくとも、ここは様子を見てみよう。来年まで待とうと言っているわけではない。この件に関して一定の改善が見られるかどうか、少し待って見極めたい」とも述べており、あくまでも現時点での自身のスタンスを述べたにすぎません。
では、一体何が原因で155円台までドルが急落したのか?「30分足チャート」を見てください。昨日は東京市場が始まる朝の9時から、NY市場が始まる前の21時半までの「30分足」では、26本のローソク足の内、「陽線」はわずか3本しかなく、残りの23本が「陰線」であることが分かります。30分の時間の中でほとんど戻しがなく、さらに大きな下落も観られない中、ジリジリと値を下げ、しかもその下落幅が4円近くにもなったわけです。通常の取引では考えづらい動きです。「T−WAP」・・・・。今朝、親しくしている知人から、そんな声が届きました。アルゴリズムを駆使した取引で、通常、大口の玉を捌くときに用いられる手法です。この手法は、後ろに大口の注文があることをマーケットに知られないようにする目的もあります。知られてしまえば先回りされ、レートがその方向に動いてしまい、執行する側が思わぬ損失を被る可能性があるからです。上述の動きは、「T−WAP」であった可能性が高いと推測されます。
では、注文先は?という疑問も湧きますが、これは執行する側の銀行の「守秘義務」もあり、なかなか分かりにくいと思われますが、これが、当局の「介入」だとしたら、「あっぱれ」という他ありません。いずれにしても、今回の下げも155円台前半で下げ止まり、これでGW前の介入、さらにその後の協調介入と同様に、3回ともこの水準でサポートされたことになります。非常に硬いサポートレベルと言えますが、逆に、この水準を明確に割り込むと、相場が大きく下落する可能性があります。この水準を割り込んだところには、ストップロスのドル売りや、オプションのトリガーなどの注文があることは、容易に想像されます。また、今回もこの水準を割り込まなければ158円程度まで反発することも考えられますが、もし割り込んで150円台まで下げるようだと、短期的にはドル高トレンドが変わったとも言えそうです。
昨日は都内で外資系証券のセミナーがあり、参加してきました。その証券の為替のトップも、「ドル高トレンドは変わっていないが、もしドルが下げるようなら、下げ幅は大きくなるだろう」と話していました。セミナー最後の講演が、元財務官の山崎氏でしたが、同氏の講演は、非常に興味深いものでした。「ここまでは話していいのか?」と思うほど、通貨当局の舞台裏も明かしてくれ、先の協調介入は米国側からの申し出であったことも分かりました。筆者は、日本の財務省が頼み込んで介入してもらい、いわば米財務省に「借り」ができたと思っていました。介入は本来なら金曜日に行い、その次の月曜日に日米で同時に発表する予定だったそうです。その前に介入が知れ渡ってしまい、結局その計画は崩れてしまったそうで、現財務官の三村氏とは、中学、高校も一緒で相当仲がいいようです。介入にあたっては相談もしているようです。さらに片山財務相は入省が2年後輩で、元部下だったことも披露していました。ここでは書けないような逸話も話していました。
FRBによる利上げ観測は一旦後退していますが、今夜の「雇用統計」と来週のCPIがどのような数字になるのかで、再び利上げ観測が盛り上がることも考えられます。また、先の高田日銀審議委員の突っ込んだ発言も、決定会合で他の委員から支持を得るのは容易ではないと思われます。ましてや、50bpの利上げはまずないものと考えています。繰り返しになりますが、155円をしっかり割り込むのか、あるいはサポートされて再び上昇していくのかは、極めて重要な意味を持っています。
本日のドル円は154円〜157円程度を予想しますが、余り意味のない予想かもしれません。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 | -------- |
| 9/2 | 高田・日銀審議委員 | (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 | ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。 |
| 9/1 | バー・FRB理事 | 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 | -------- |
| 8/28 | ウォーシュ・FRB議長(ジャクソンホールでのシンポジウムで) | 「インフレ率を2%の目標に戻す」、「私の判断基準はこうだ。基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」、「やるべきことがある」、「私はきょう、特定の政策決定ではなく、規律を重んじる決意を持ってここに立っている」と述べ、さらに、「インフレ率が2%を上回っている中、FRBは現時点で、最大の重点を物価に置くべきだと」 | ドル円は159円台半ばから160円20銭まで上昇。米金利高、株安が進む。 |
| 8/27 | ベッセント:財務長官(介入に対するウォーレン上院議員への回答で) | 「日本は米国債の主要な保有国だ」、「円相場が無秩序な動きとなれば、ポジションの強制的な巻き戻しを引き起こす。そうなれば、世界の市場を不安定化させ、最終的には米国の家計や企業の借り入れコストを押し上げる可能性がある」 | -------- |
| 8/13 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 | -------- |
| 8/13 | ハマック・クリーブランド連銀総 | 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 | -------- |
| 8/12 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 | -------- |
| 8/11 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 | -------- |
| 8/5 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 | -------- |
| 8/5 | クック・FRB理事 | 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 | -------- |
| 8/4 | ベッセント・財務長官 | 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 | -------- |
| 8/3 | ベッセント・財務長官 | (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 | -------- |
| 8/3 | 片山・財務相 | (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。







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