「日米財務当局がオンライン会談か?」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 東京時間からドル円はじり高が続き、NYでは2024年7月の介入時に迫る161円93銭までドルが上昇。その直ぐ後、片山財務相とベッセント財務長官がオンラインで協議を行ったとの報道にドルが売られ、161円06銭近辺まで下落。
- ユーロドルは続落し、一時は1.1419と、約3カ月ぶりの安値に。
- 株式市場はまちまち。ダウは続伸したものの、他の2指数は反落。
- 債券は売られ、長期金利は4.5%台まで上昇。
- 金は続落。原油は米国とイランの協議に進展が見られたことで続落。
| ドル/円 | 161.06 〜 161.93 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1419 〜 1.1461 |
| ユーロ/円 | 184.32 〜 185.32 |
| NYダウ | +148.01 → 51,712.71 |
| GOLD | −43.20 → 4,202.70ドル |
| WTI | −1.78 → 74.82ドル |
| 米10年国債 | +0.056 → 4.509% |
本日の注目イベント
- 独 独6月製造業PMI(速報値)
- 独 独6月サービス業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏6月製造業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(速報値)
- 英 英6月製造業PMI(速報値)
- 英 英6月サービス業PMI(速報値)
- 米 6月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
- 米 6月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
- 米 6月S&Pグローバル総合PMI(速報値)
- 米 6月リッチモンド連銀製造業景況指数
本日のコメント
昨日の東京時間では、161円30銭前後で取引が始まったドル円でしたが、円がジリジリと売られる展開が続き、夕方には161円75銭程度までドル高円安が進みました。NY時間の朝方、ようやく動きが見られました。共同通信やNHKなどが、「片山財務相が22日夜、ベッセント財務長官とオンラインで会談を行った」と報じ、「円安・ドル高が進む外国為替市場について協議した可能性がある」と伝えたことで、ドル円は162円近辺から急落し、161円06銭前後まで円が買い戻されました。片山財務相はこの日、161円台の円安に関して「足元の為替動向についてはコメントを控える」としつつも、「必要に応じていつでも適切に対応する」と、改めて円安をけん制していました。ただドルは急落しましたが、現時点では介入を実施した気配はなく、日米通貨当局が為替水準について合意したとの事実もありません。ドル円はその後161円台半ばまで反発して取引を終えています。今月に入ってからドル円は160円台まで円売りが進んだものの、当局が動く気配もなく、不気味な感じもありました。ただ、2024年7月に記録した161円95銭前後を上抜けすると、テクニカル的にはほぼ「青天井」ということもあり、筆者は「介入しない理由はない」と考えていましたが、上記水準を前にようやく動いたようです。
ひとまず162円台突入は避けられたようですが、円売りの波が止まる可能性は低いと思われます。米国とイスラエルがイランを攻撃したことで始まった今回の中東地域での混乱は、イランによるホルムズ海峡の封鎖で一気に緊張が高まり、「油に弱い日本」と、「有事のドル買い」からドル円では円安が大きく進みました。ところが、トランプ大統領が米軍の圧倒的な軍事力を盾にイランに圧力をかけ、それが同国を交渉のテーブルに着かせることに成功しました。何度も100ドル台に乗せたWTI原油価格も、スイスでの協議進展もあって徐々に低下し、足元では74ドル台まで下げています。円が売られた主因が上記2つにあるとすれば、円は買い戻されてもいいはずですが、現実には、円高に振れるどころか2年前の介入を実施した水準に迫っています。仮にこの水準を上回る円安が進むと、1986年12月以来およそ40年ぶりの最安値更新となります。これまでにも指摘してきたように、根っ子には財政懸念、日米の成長力の差、あるいは金利差などがあると考えています。今月の政策会合で日銀は政策金利を引き上げましたが、利上げを歓迎しない高市首相が「今回だけは目をつぶった」との見方もあります。加えて「責任ある積極財政」は依然として健在です。政権の取り巻きにもリフレ派が多くいることで、日銀も政治的圧力を受けていると思われます。これらの要因が総合的に円売りにつながっているのではないかと考えています。
米国は、対イラン戦争を終結させる合意の一環として、イラン産原油や石油製品の販売を認めました。米財務省は、イランが8月21日まで原油・石油製品を販売することを認める包括的な60日間のライセンス(許可)を出しました。米国にとってはイラン産原油や石油化学製品、石油製品の輸入が数十年ぶりに可能になるようです。ブルームバーグは、「イラン産原油が再び世界市場に大量流入している。米国がイラン産原油取引に対する制裁の適用停止を決める前の過去1週間で3000万バレル超がアジア向けに出荷された。内訳は、これまで米国による封鎖対象となっていた原油と、ペルシャ湾北部にあるイラン最大の輸出拠点カーグ島からの輸出分だ。ただ、今回の輸出急増は米国の封鎖で積み上がっていた原油の出荷再開によるところが大きく、輸出ペースは再び鈍化するとみられる。日量200万バレルの出荷は、近年のイランでは高い水準だ」と報じ、「それでも、制裁適用停止によって顧客層の拡大が見込まれるため、イランは短期的には販売量の増加と値引き幅の縮小による恩恵を受ける可能性がある」とイランにとって、今回の60日間のライセンスは大きな経済効果が見込まれるようで、米国との協議の一層の進展に寄与しそうです。
今日のドル円は、上値を重くしそうですが、どこまで円売りが再開するのか、あるいは、利益確定のドル売りが水準を下げるのか、見ものです。
本日のドル円は160円〜162円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/17 | ウォーシュ・FRB議長 | FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 | -------- |
| 6/17 | FOMC声明文 | 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 | -------- |
| 6/17 | 内田・日銀副総裁 | 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 | -------- |
| 6/11 | ラガルド:ECB総裁 | 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 | -------- |
| 6/9 | 片山・財務大臣 | 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 | -------- |
| 6/4 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 | -------- |
| 6/4 | デーリー・SF連銀総裁 | 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 | -------- |
| 6/3 | 植田・日銀総裁 | 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 | ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。 |
| 6/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 | -------- |
| 6/3 | ローガン・ダラス連銀総裁 | (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 | -------- |
| 6/2 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 | -------- |
| 5/28 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「基調は非常に良好だ。楽観的な現在の政策スタンスは、景気に対してやや抑制的に作用している」、(インフレへの懸念を理由に)「次の政策変更は利下げと同程度に利上げの可能性もあることを示したいと考える当局者が増えている」 | -------- |
| 5/28 | ムサレム・セントルイス連銀総裁 | 「FRBの使命は物価安定と雇用の最大化だが、足元ではインフレが目標を上回っている」、「将来的に利上げを検討する可能性や確率はゼロより高くなければならない」 | -------- |
| 5/21 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「現在、かなり深刻なインフレ問題が生じつつある」、「FRBの二大責務のうち、雇用面についてはおおむね安定している」、「インフレ面に特に注目している」 | -------- |
| 5/21 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「既に5年以上にわたってインフレ率が目標の2%を上回っている中で、これほど多くの波が押し寄せている。その累積的な影響により、インフレ期待が緩まないかを問う価値がある」、「私にとって重要なのは、企業や消費者、そしてインフレ期待がどこまで耐えられるかという点だ」 | -------- |
| 5/21 | 小枝・日銀審議委員 | (基調的なインフレ率について)「既に2%ぐらいになってきている」、「政策金利を適切なペースで引き上げて、経済へのトレードオフにも配慮しつつ、物価高への対応を進めていくことが適切だ」、「今後、インフレ率や予想物価上昇率が上昇する場合、実質金利は自然利子率からマイナス方向に一段とかい離しうる。利上げを通じて金利の正常化を進めることが、より重要になる」、(景気見通しについて)「グローバルなIT需要の強さや政府の各種施策の効果などを踏まえれば、現時点で世界金融危機やコロナ禍のような景気の大幅な落ち込みが、見通し期間で生じる蓋然性は低い」 | -------- |
| 5/20 | トランプ・米大統領 | 「米国はイランとの間で最終段階にある」、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」 | 原油価格が大きく下がり、株と債券が買われる。ドル円は159円台前半から158円60銭まで下落。 |
| 5/19 | 片山・財務大臣 | 「断固たる措置を取るときは取る」 | ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。 |
| 5/19 | トランプ・米大統領 | 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 | -------- |
| 5/14 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 | -------- |
| 5/12 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 | -------- |
| 5/7 | デーリー・SF連銀総裁 | 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 | -------- |
| 5/7 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 | -------- |
| 5/7 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。







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