「イランとの交渉、最終局面?」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は159円台で推移していたが、原油価格の急落に158円60銭前後までドルが下落。米金利も低下したが、ドルの下落は限定的だった。
- ユーロドルは小幅に続落し、1.1583まで売られたがその後反発。
- 株式市場は、戦争終結に向け最終局面との報道に3指数が揃って大きく買われた。ダウは600ドルを超える上昇で、再び5万ドルの大台を回復。
- 債券は買われ、長期金利は4.58%台に低下。
- 金は5日ぶりに反発。原油は米国とイランとの交渉が最終段階にあることで売りが加速。前日比5ドル89セント下げ、98ドル台に。
| ドル/円 | 158.60 〜 159.17 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1583 〜 1.1646 |
| ユーロ/円 | 184.33 〜 184.78 |
| NYダウ | +645.47 → 50,009.35ドル |
| GOLD | +24.10 → 4,535.30ドル |
| WTI | −5.89 → 98.26ドル |
| 米10年国債 | −0.081 → 4.585% |
本日の注目イベント
- 豪 豪4月雇用統計
- 日 4月貿易統計
- 日 小枝日銀審議委員、福岡県金融経済懇談会で講演
- 独 独5月製造業PMI(速報値)
- 独 独5月サービス業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏5月製造業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏5月サービス業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏3月経常収支
- 欧 ユーロ圏5月消費者信頼感指数(速報値)
- 英 英5月製造業PMI(速報値)
- 英 英5月サービス業PMI(速報値)
- 英 BOE金融政策委員会のテイラー委員講演
- 米 5月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
- 米 5月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
- 米 5月S&Pグローバル総合PMI(速報値)
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 5月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 4月住宅着工件数
- 米 4月建設許可件数
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
本日のコメント
トランプ大統領が、米国はイランとの間で「最終段階」にあると述べた、との報道です。それによると、トランプ氏はアンドルーズ統合基地で、イラン情勢について「どうなるか見てみよう」と発言し、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」と述べたようです。これまでも幾度となく、そのような発言を繰り返していたこともあり、実際に戦争が終結するのかどうかは予断を許しませんが、「攻撃か停戦かの最終段階」にあることは間違いなさそうです。トランプ氏自身の限界も近いようですが、現時点ではイランの強硬姿勢は変わっていないようです。
この報道に、ホルムズ海峡を通じたエネルギー輸送が近く再開されるとの楽観的な見方が強まり、20日の原油相場は大幅に続落しました。WTI先物7月限は、前日比5.89ドル(5.7%)下げ、98.26ドルと、100ドルの大台を割り込んで引けています。ただそれでも慎重な見方も多く、「こうした類いのニュースは割り引いて受け止める必要がある」とか、「トランプ氏はこの紛争期間中、同様の主張を数多く行ってきたが、大半のケースはその逆となった。今回は違うのか見極めたい」といった声も聞かれました。ホルムズ海峡を通過する輸送量増加の兆しも、原油価格に上乗せされていたリスクプレミアムを低下させています。足元では、韓国や中国の超大型石油タンカーがホルムズ海峡の通過を試みており、ここ数日、通航量が小幅に増えているとのデータもあります。イラン革命防衛隊(IRGC)は、トランプ氏が19日、「戦争をしたくはないが、数日以内に大きな打撃を与えなければならないかもしれない」と語ったことに対して、「イランに対する攻撃が繰り返されれば、これまで予告してきた地域戦争は中東を超えて拡大する」と、これまで通り強硬姿勢を見せていましたが、昨日のSNSへの投稿では、IRGC海軍による調整と安全確保の下、過去24時間に石油タンカーやコンテナ船などを含む船舶がホルムズ海峡を通過したと明らかにしています。投稿では、「ホルムズ海峡の通航は継続しており、必要な許可を取得した上で、IRGC海軍と連携して行われている」と説明しています。またイラン国営放送も、「韓国のような国々も本日、中国の例に倣い、IRGC海軍と調整して自国船舶のホルムズ海峡通航を手配した」とし、「こうした調整は本日増加しており、明日はさらなる増加が見込まれる」と続けていました。米国に対して徹底抗戦の姿勢を見せるIRGCですが、ここにきて敢えて、ホルムズ海峡での船舶の通過状況を発表したことを考えると、同部隊も、トランプ氏の大規模攻撃への「本気度」を認識している表れと受け止めることができそうです。
FRBは4月28、29日に開催されたFOMC議事要旨を公表しました。議事録には、「幾人かの政策当局者は、利下げがいずれ正当化されることになると述べたが、大部分の参加者はインフレ率が2%を持続的に上回る場合は、一定の政策引き締めが適切となる可能性が高いと強調した」また、「利上げの可能性に対応するため、多くの参加者が、委員会の将来的な金利判断の方向性に関し、緩和バイアスを示唆した文言を、会合後の声明文から削除することを望んだ」と、記されていました。4月の会合では、FF金利の誘導目標レンジを据え置きましたが、メンバーの3人が据え置き自体には支持したものの、声明に盛り込まれた将来的な利下げ再開を示唆する文言に反対していたことが明らかになっていました。また、パウエル議長(当時)は4月会合後の記者会見で、「声明に緩和バイアスを残した決定は、3月中旬に開催した前回会合時に比べて判断が非常に難しかった」と発言。文言の修正は「早ければ次回会合にもあり得る」と述べていました。次回会合はウォーシュ新議長が指揮を執ることになります。
トランプ大統領の「最終局面」発言で原油価格が大きく下がり、金利も低下したことで株式市場では主要3指数が大幅に上昇。この状況では、ドル円も大きく下げてもおかしくはないはずでしたが、実際にはわずか60ポイント程度しか下げていません。感覚的には158円台を割り込んでもよかったのではないかと感じています。この状況をどのように捉えるべきでしょう。「介入以外に円買いの材料がない」と見るのか、あるいは「市場参加者の円下落に対するバイアスが強すぎる」と見るべきなのか、今しばらく状況を確認する必要があります。本日は小枝日銀審議委員の講演が10時30分からあります。以前にも触れましたが、同氏が利上げ支持に回るのかどうか注目されます。本日のドル円は157円80銭〜159円50銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 5/20 | トランプ・米大統領 | 「米国はイランとの間で最終段階にある」、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」 | 原油価格が大きく下がり、株と債券が買われる。ドル円は159円台前半から158円60銭まで下落。 |
| 5/19 | 片山・財務大臣 | 「断固たる措置を取るときは取る」 | ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。 |
| 5/19 | トランプ・米大統領 | 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 | -------- |
| 5/14 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 | -------- |
| 5/12 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 | -------- |
| 5/7 | デーリー・SF連銀総裁 | 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 | -------- |
| 5/7 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 | -------- |
| 5/7 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 | -------- |
| 4/23 | 片山・財務大臣 | 「われわれにフリーハンドがある」、「あらゆる可能性が想定される中でも、強い姿勢を貫いていく」、「日本の当局者は米国側と24時間態勢で緊密に連絡を取り合っている」 | -------- |
| 4/6 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「政策当局はかなりの期間、金利を据え置くのが望ましい」、(労働市場が顕著に悪化した場合)、「利下げが必要となるシナリオも想定される」、「インフレ率が目標を上回る状態が続く場合には、利上げが必要になる可能性もある」、「インフレ率は既に5年以上にわたり目標を上回る状態が続いている」、「さらに上昇すれば、2%目標から離れる誤った方向に進んでいることを示す」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。







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