FX チャート術|成果を挙げるために必要なFXのチャート分析|第21回 ローソク足とトレンドライン|外為オンライン

1本に始値・高値・安値・終値という4情報が詰まったローソク足

チャート分析を初歩から学びたい人に向けた基礎講座の第2回目は、ローソク足とトレンドラインについて解説します。初回にも述べたように、チャート分析で一番重要なのは、為替レートのトレンドをチャートから読み取ることです。

「過去から現在に至るまでこういう動きをしてきた」から「将来、こう動く」と予測するのがチャート分析の本質です。これまで上昇が続いている=上昇トレンドなら買い、下降が続いている=下降トレンドなら売りで勝負するほうが儲かる確率は高くなります。

チャート分析は「予言」や「動物的勘」や「絶対に当たる定理や方程式」といったものではなく、過去の値動きから未来を予想する「経験則」に過ぎません。「100%当たるわけじゃないんだ」と失望する人もいるかもしれませんが、チャート分析を使って勝率5割以上を目指し、損より儲けを少しでも増やしていくことが、FXで勝つためには必要不可欠なのです。

実際にチャート分析する場合、投資の世界では「ローソク足チャート」を使うのが一般的です。四角い棒とその上下に突き出した線で構成されたローソク足は日本で生まれ、「キャンドルチャート」という名称で世界中で親しまれています。

その特徴は、ひとつのローソク足のなかに単位期間中の値動きに関する複数の情報が詰め込まれている点にあります。1本のローソク足には、単純にその期間の最終時点の為替レート(終値)だけでなく、期間が始まったときの為替レート(始値)と期間中の高値と安値という4つの価格情報が示されているのです。これを「4本値」といいますが、ローソク足1本を見ることで、その期間中に為替レートがどんな値動きをしたかがわかる仕掛けになっています。

図1に、外為オンラインのブラウザ版チャートにおけるローソク足の見方を示しました。

図1:ローソク足チャートの見方

とローソク足を色わけすることで、為替レートの上下動が色でわかる仕組みになっています。
さらに、ローソクの実体部分から上部に突き出した棒は「上ヒゲ」と呼ばれ、その上端は期間中の高値を示します。
反対に、下部に突き出した線は「下ヒゲ」といい、その下端は期間中の安値を示しています。
テクニカル講座図1にいくつかパターンを示しましたが、ローソク足の色と上ヒゲ・下ヒゲに注目することで、期間中の値動きのニュアンスや強弱を読み取ることができるのです。

江戸時代の米相場のころには、特徴的なローソク足の形状やその組み合わせから、米価格の値動きを予測する「酒田五法」と呼ばれる相場分析法も開発されました。ローソク足チャートは実に300年近く前から日本の投資家に愛用されたチャート分析の方法だったのです。

図2:ローソク足と折れ線チャートの違い

図2は、最近の「ドル/円」の1日ごとの値動きを単純な折れ線グラフとローソク足で示したものです。ほぼ同じかたちになりますが、折れ線グラフは各1日の終値を結んだだけなので、その1日の間にどういう値動きがあったか詳細には判断できません。

図1 ローソク足チャートの見方対して、ローソク足の場合は、1日の中の4つのレート情報を見ることで、為替レートの上下動の微妙なニュアンスを知ることができます。たとえば、図2の赤い四角で囲った部分の拡大図を見てみましょう。

折れ線グラフでは為替レートが急落していることだけがわかります。対して、ローソク足チャートを見ると、大きな陰線になっています。

このことから、前日終値を越えていったん大きく上昇したものの、一直線で下落が進んだことがわかります。
相場が上昇機運で始まったものの、急転直下、急激な下降モードに180度変化した状態を読み取ることができるのです。

上か下か横ばいか、各トレンドに応じて売買戦略を変化させる

むろん、単純に為替レートが上か、下か、横ばいかを知るためには、折れ線グラフでも十分です。
チャート分析では、為替レートの大きな流れ=トレンドを把握したうえで、その理解を売買戦略に結びつけていきます。整理すると、

  • 上昇トレンド
  • ●押し目買い戦略……上昇トレンドが継続中に、いったん下落したあと再上昇が始まる瞬間を狙う。
  • ●高値追い戦略……上昇トレンドが加速した瞬間の勢いに乗る。
  • 下降トレンド
  • ●戻り売り戦略……下降トレンドが継続中に、いったん上昇したあと再下落が始まる瞬間を狙う。
  • ●安値割れを狙う戦略……下降トレンドが加速した瞬間の勢いに乗る。
  • 横ばいトレンド
  • ●高値売り、安値買い戦略……一定の値幅を上下動している横ばいトレンドが続く場合、値幅上限に達して下落を始めたら売り、値幅下限から上昇を始めたら買い。
  • ●高値・安値ブレイク戦略……横ばいトレンドの値幅の上限を明確に突き抜けたら高値追いの買い、下限を明確に突き破ったら安値割れ狙いの売り。

といったものがFXの基本戦略になります(図3)

図3:トレンドごとの売買戦略

ただし、すべての戦略が100%成功するわけではありません。
たとえば、上昇トレンドでもっともポピュラーな押し目買い戦略の場合、為替レートが下がったので買いで勝負したものの、さらにずるずる下がり続けて、損をしてしまうケースもあります。なるべく失敗しないためには「上か、下か、横ばいか」というトレンドの方向性だけでなく、そのベクトルがどれぐらい信用できるか、「勢い」や「強さ」を測る必要もあるのです。

図4:ドル/円の日足チャートと強い上昇トレンド

図4に示したように、最近の「ドル/円」などでは強烈な円安トレンドが続いているので、その過程で小反落や急落があったところは、ことごとく絶好の「押し目買い」のポイントになって、結果的に大きく儲けることができました(図の赤い〇部分)。
同様に、直近の高値を越えて、為替レートが急上昇モードに入ったところで「高値追い」しても、多くの場合儲かる結果になっています( 青い〇部分)。
昨年末から今年春にかけては非常にわかりやすい上昇トレンドが続いており、ある意味、「儲けやすい」相場になっています。
だからこそ、FX取引が大活況を呈し、初心者のテクニカル講座参入が続いているのでしょう。

チャート上の高値同士・安値同士を結んだトレンドラインの見方

トレンドフォローこそFX勝利の極意ですが、為替レートのトレンド状況を判断するために、チャート上に線を引くことを「トレンドライン分析」といいます。

図5 は、「ドル/ 円」の2004年〜2009年の長期月足チャートにトレンドラインを引いたものです。
ラインを引くためには、2つの点を選ぶ必要がありますが、トレンドラインでは、為替レートの値動きの高値と高値、安値と安値を結んで線を引いていきます。

図5:ドル/円の月足チャートとトレンドライン

そうすることで、為替レートがその期間中に値動きしたゾーン(潮流)を示すのが、トレンドラインの役割です。為替レートの上昇が続く=上昇トレンドとは、安値と高値がどんどん切りあがっていく現象ですので、高値同士、安値同士を結んだ2本の線は右肩上がりになります。

反対に、下降トレンドは安値がどんどん更新されて、高値も切り下がっていく現象なので、トレンドラインは右肩下がりになります。
高値同士を結んだ線は、期間中、為替レートがその線を越えて上昇したことがないラインです。
為替レートの上昇を阻むように立ちはだかっている線ということで、「上値抵抗線(レジスタンスライン)」と呼びます。
安値同士を結んだ線は、その線を下回ったことがないラインなので、「下値支持線(サポートライン)」と呼びます。
為替レートがサポートライン、レジスタンスラインに挟まれたゾーンのなかで値動きしている間は「トレンド継続」と判断し、そのトレンドに沿った売買戦略で勝負することになります。

もし、為替レートがトレンドラインを突き抜ける動きが出た場合は、これまでのトレンドに変化が生じた証しになり、「トレンド転換」の可能性を考える必要があります。
従来の売買判断が通用しなくなる可能性が高まるので、様子見もしくはトレンドが転換することを狙った売買戦略に切り替えていきます。

図5の場合も、チャート画面の左半分は上昇トレンドでしたが、チャートの中央あたりで為替レートが下値支持線を突き破って、トレンド転換が起こり、以後は下降トレンドが続いています。

トレンドラインでトレンドの継続・転換を判断して売買戦略立案

このように、「トレンドが今後も続くのか、それとも反対方向に動き出すのか」、トレンドの継続と転換を2本の線で判断するのがトレンドライン分析なのです。
その売買判断を簡単にまとめると次のようになります。

図6:トレンドラインと売買戦略

上昇トレンドなら、為替レートがサポートライン近辺まで下がったら買い、レジスタンスライン近辺まで上がったらいったん利益確定、という売買戦略になります。
ただ、そのまま上昇が加速して、上値のレジスタンスラインを超える可能性もあるので、上値に関しては様子見でもかまいません。

反対に、サポートライン付近で買ったものの、その後、為替レートがサポートラインを突き抜けて下落したときは、上昇トレンド自体に変化が生じたと考えて損切りします。
逆にいうと、サポートライン割れはトレンド転換のシグナルですから、相場が下降トレンド入りしたと考えて、新規の売りで勝負することも考えられます。

下降トレンドのときは、為替レートがレジスタンスラインまで上昇したものの、跳ね返されて下落に転じたら売りで勝負。
逆に、為替レートがレジスタンスラインを越えて上昇したときは、トレンド転換の可能性があるので、売りポジションをもっている場合は損切り、もしくはトレンド転換を狙った新規買いになります。

安値と高値が徐々に切り上がれば上昇トレンド、切り下がれば下降トレンドというのがトレンドの本質です。
為替レートがつくる高値(山)と安値(谷)のかたちや傾きでトレンドは決まってきます。
チャートをパッと見れば、為替レートはジグザグと「山=高値」と「谷=安値」を形成して値動きしていますが、高値・安値に注目して、為替レートの値動きを″面″でとらえていくのが、トレンドラインの発想といえるでしょう

図7:チャート上にトレンドラインを引いて売買判断する

図7に「ドル/円」のさまざまな時間軸のチャートを並べてみました。自分なりにトレンドラインを引いたうえで、売買判断してみましょう。

結果も掲載したので、自分の判断がなぜ正しかったか、間違っていたか考えてみましょう。
基本は、「トレンドライン内で値動きしているときはトレンドフォロー」、「トレンドラインを突破する動きが出たら、その方向に乗る」という、トレンドの継続と転換を狙った売買になります。

図7:チャート上にトレンドラインを引いて売買判断する【答え】

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