今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「介入も雇用統計待ちか?」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は東京時間に162円84銭まで買われ、直近高値を更新。NYではECBフォーラムに参加しているウォーシュFRB議長の発言が伝わり、162円28銭前後まで下げる場面も。
  • ユーロドルは続落し、1.1362までユーロ安に。
  • 株式市場では3指数が揃って反落。ダウは朝方400ドル程上昇したものの、その後失速。
  • 債券は続落。長期金利は4.47%台に上昇。
  • 金は反発。原油は続落し68ドル台に下落。
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6月ADP雇用者数 → 9.8万人
6月ISM製造業景況指数 → 53.3
6月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 53.9
6月自動車販売台数 → 1652万台
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ドル/円 162.28 〜 162.77
ユーロ/ドル 1.1362 〜 1.1412
ユーロ/円 184.80 〜 185.22
NYダウ −13.96 → 52,305.24
GOLD +43.90 → 4,082.40ドル
WTI −0.92 → 68.58ドル
米10年国債 +0.014 → 4.479%

本日の注目イベント

  • 豪 豪5月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏5月失業率
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 6月雇用統計
  • 米 5月製造業受注
  • 米 5月耐久財受注
  • 米 債券市場、短縮取引

本日のコメント

「介入警戒感」というよりも、「介入期待感」が勝っているような状況の中、仮に介入を実施するとしたら、その指揮を執る財務省の三村財務官がブルームバーグのインタビューに応じ、その記事が昨日の午後配信されました。三村氏は、介入について「その後の動きを見れば明らかに意味はあったのではないか」と、4月28日から5月27日の間に計11兆7349億円の為替介入を実施した効果を分析していました。最近の円安を巡っては、片山財務相が閣議後の会見などでけん制する場面が何度かあった一方、三村氏は発信を手控えてきました。それだけに同氏の発言は注目度が高まっています。インタビューでは、強く円安をけん制する発言はみられなかったものの、投機的な動きについては「常に注視している」と発言していました。為替動向や背景に関するコメントは控えるとした上で、「片山財務相が『必要に応じ、いつでも適切に対応する』と発言している以上に、今の時点で付け加えることはない」とも話しています。ブルームバーグは、「積極的にメッセージを発するのではなくあえて静観の姿勢を取ることで、当局の次の一手が読まれないよう、市場に疑心暗鬼を植え付けたい意向が透ける」と報じ、三村氏が、「市場とのコミュニケーションには、言うだけではなく言わないことも大事だ」と語ったと伝えていました。この記事が配信されたことで、ドル円はやや円高方向に振れましたが、動きは限定的でした。

ユーロドルが軟調な動きを見せています。6月に政策金利を引き上げ、ラガルドECB総裁が会見でインフレに対する強い姿勢を見せていたことで、年内2回程度の利上げを織り込む動きもありましたが、それでもユーロは弱含む展開です。基本的にはドル高の流れがあり、主要通貨が対ドルで下落していることがありますが、中東情勢の改善から原油価格が大幅に低下したことで、「インフレの制御不能を防ぐ必要がある」として、利上げの正当性を主張していた状況が、その後大きく変化したことが影響しているものと思われます。昨日発表された6月のユーロ圏の物価上昇率も、市場予想以上に鈍化していました。思ったほどインフレは進まないとの見方に利上げ観測が後退し、景気減速懸念も台頭。これがユーロ売りにつながっているとみています。依然として不透明な中東情勢をもうしばらく見極める必要があります。

ポルトガルのシントラで開催されたECBの年次フォーラムで、ウォーシュFRB議長は、「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」と発言しました。他の主要中銀総裁らと臨んだパネル討論会でウォーシュ氏は、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」と付け加えていました。また、FRBの独立性にも触れ、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」と述べ、トランプ大統領が一貫して利下げを要求している中、ウォーシュ氏は適切な金融政策判断を行う上でのFRBの独立性は必要との認識を示しました。さらに、就任当初からその方針変更が伝えられていましたが、将来的な金利政策に関して「フォワード・ガイダンス」を示さない考えをあらためて示しました。次回7月のFOMCで利上げが議題に上る可能性を問われると、「討論会の司会者はフォワード・ガイダンスを示さないというルールを私に破らせようとしている」と冗談めかし、「その試みはうまくいかない」と答えていました。「インフレリスクは後退した」と発言したウォーシュ氏の言葉を受け、ドル円は162円台前半まで下げる場面もありましたが、その後直ぐに値を戻しています。

中国の王毅外相は、ルビオ米国務長官との電話会談で、台湾問題について「極めて慎重」に対応するよう米国に求めました。この電話会談で、台湾問題が米中関係における極めて敏感なテーマであることが改めて示されました。中国外務省が6月30日の電話会談後に発表した内容によると、王氏はルビオ氏に対し、「台湾問題は広範な影響を及ぼす」と述べ、その上で、両国は協力分野を拡大し、より前向きな議題を設定するとともに、さまざまなリスクや危険要因を適切に管理すべきだとの考えを示したとしています。王氏は、米中両首脳が5月の会談で合意した「建設的な戦略的安定」について、「単なるスローガンではなく、行動が伴わなければならない」と指摘。双方が歩調を合わせながら、粘り強く努力を続けるよう求めたようです。中国外務省は今回の電話会談について、「前向きで建設的だった」と説明し、また、「双方が柔軟な形で意思疎通を続けることで一致した」としています。

今夜は、「米6月の雇用統計」が発表されます。非農業部門雇用者数(NFP)は「11.5万人」と予想されており、それよりも強い数字が出れば、ドル円は163円台をテストする可能性もあります。NY市場での介入は、事前の合意などが必要とみられ、簡単ではありませんが、先に片山財務相とベッセント財務長官がオンラインで会談しており、それが介入に関する「密約」であったならば、介入も可能ですが、その可能性は低いと思われます。一方、弱い数字であればドルが売られると思われますが、それでも足元の状況では、下落も限定的かと予想されます。

本日のドル円は160円〜163円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
6/17 ウォーシュ・FRB議長 FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 --------
6/17 FOMC声明文 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 --------
6/17 内田・日銀副総裁 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 --------
6/11 ラガルド:ECB総裁 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 --------
6/9 片山・財務大臣 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 --------
6/4 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 --------
6/4 デーリー・SF連銀総裁 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 --------
6/3 植田・日銀総裁 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。
6/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 --------
6/3 ローガン・ダラス連銀総裁 (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 --------
6/2 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和