「ドル円155円20銭まで下げた後反発」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 昨日の朝方の介入で155円20銭まで下落したドル円は小幅に反発。NYでは、NY連銀による介入も観られなかったことで157円22銭までドルが買われた。
- ユーロドルは1.15台前半で小動き。
- 株式市場ではイラン情勢の緊張がやや緩和されたことで、ハイテク株を中心に大きく買われ、3指数は大幅高。ダウは693ドル高で最高値を更新。
- 債券は買われ、長期金利は4.67%台に低下。
- 金は小幅に続落し、原油は大幅安。
7月ISM製造業景況指数 → 55.6
7月S&Pグローバル製造業PMI(確報値) → 53.9
7月自動車販売台数 → 1633万台
****************************
| ドル/円 | 156.24 〜 157.22 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1501 〜 1.1535 |
| ユーロ/円 | 180.03 〜 180.94 |
| NYダウ | +693.38 → 53,178.41ドル |
| GOLD | −16.50 → 4,090.50ドル |
| WTI | −4.33 → 80.34ドル |
| 米10年国債 | −0.059 → 4.676% |
本日の注目イベント
- 米 6月貿易収支
- 米 6月製造業受注
- 米 6月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
- 米 6月耐久財受注
本日のコメント
政府・日銀は先月30、31日に続いて、昨日も朝方から市場介入を実施。円安のさらなる進行を断固として許容しない姿勢を見せました。朝9時過ぎに市場介入に踏み切り、ドル円は一時155円20銭前後まで円高が進みました。これで先月23日のNYで163円99銭までドル高円安が進み、「約40年ぶりの円安を記録した水準」から、8円79銭(5.36%)も円が強含んだことになります。昨日の介入では155円割れを目指していた節もありましたが、155円台前半ではドル買いも相当あったと思われ、結局、同水準を割り込めず、NYでは介入の動きも観られなかったことで157円台前半まで反発しています。155円台前半で一応下げ止まり、157円台まで反発しましたが、このまま160円台を回復するとも思えません。今回の介入はこれまでと異なり「日米協調介入」であった点には留意が必要です。昨日のNY市場のように、介入がなければドルが上昇する構図は変わっていませんが、このまま日米通貨当局が、円がジリ安になる動きを放置するとも思えません。威信にかけても、ある程度円安の流れを阻止して来るはずだと考えます。日米が共同で介入に踏み切ったものの、仮にドル円が元の163円台まで値を戻すようだと「当局のメンツも丸つぶれ」になります。従って、158円あるいは159円台では再び介入してくることを念頭に置いておくべきでしょう。特に今週末には、「米7月の雇用統計」の発表もあります。労働市場が引き続き好調であれば、米利上げ観測が高まりドルが買われる可能性もあります。また逆に、数字が悪かった場合にはドルが下落し、その動きに歩調を合わせるように介入を実施することも考えられます。ただ、後者の可能性は低いと思われますが・・・・。ブルームバーグは、「円を約40年ぶりの安値から押し上げるために、米当局がいくら支出したのかは、依然として明らかになっていない。しかし、円相場の反発は、米国の拠出額が10億ドルを超えなかった1998年と2011年の介入を上回る規模だったことを示唆している。日本は7月31日の円買い介入で、約5兆3300億円規模の資金を投じた可能性がある」と伝えています。
トランプ大統領は「イランへの大規模攻撃」計画を中止した後、自身が改めて呼び掛けた対話はイランにとって「最後のチャンスになる」と述べています。トランプ氏は3日、ホワイトハウスの大統領執務室で記者団に「斬首する前に最後の機会をすべて与えたい」と自身の考えを表現し、「今日か明日には分かる。つまり、どちらに転ぶにせよ、すぐに決着するだろう。それほど複雑な話ではない」と話しています。トランプ氏がどの交渉を指していたのか、また誰が交渉に関与していたのかは明らかではありません。トランプ氏はこれまでも、最終通告や、最後のチャンスなどと、イランに対して脅しを繰り返してきましたが、結局、最後には自身が折れる形で大規模攻撃は回避されてきました。今回もその可能性が無いわけではなく、トランプ氏の苛立ちも伝わって来ます。イラン外務省のバガエイ報道官は、オマーンとの協議は船舶の安全を確保するための「一時的な航路に関するもの」で、「現在、米国とは交渉していない」と述べています。
今回の協調介入で、政府・日銀が、円安を阻止するための案を周到に計画していたことが明らかになった格好です。NY市場で介入を実施することは、いわば「黙って相手の庭先に入るようなもの」で、事前に米財務省などの「承諾」も必要かと思います。また、NY連銀を通じてユーロ円で介入する際も、それなりに打ち合わせも必要です。考えてみれば、160円台に乗せ、164円に迫る水準まで円安が進んでも、介入時の指揮を執る三村財務官からは一切の言葉も発せられませんでした。この間、綿密に介入のタイミングや方法などが話し合われていたと思われ、口を閉じていたのも納得です。しかも予想した通り今回の介入では、前回の時のように、「これが最後の避難勧告」といったような「優しい言葉」もなく、明らかに投機筋を「ぎゃふん」と言わせることも意図していたと思われます。上述のように、「介入はこれで終わりではない」と考えておくべきでしょう。連日の介入で、日銀の利上げが早まるのではとの観測も出ています。政府と歩調を合わせるように、利上げを行えば、円安を防げる可能性もあり、高市政権が受け入れるかどうかは別として、その可能性も排除できません。筆者は10月会合での利上げを予想していますが、今後の動きを見て修正するかどうかを決めたいと思います。
本日のドル円は156円〜158円程度を予想します。
佐藤正和の書籍紹介
これだけ! FXチャート分析 三種の神器 |
チャートがしっかり読めるようになるFX入門 |
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/3 | ベッセント・財務長官 | (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 | -------- |
| 8/3 | 片山・財務相 | (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 | -------- |
| 7/29 | FOMC声明文 | 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 | ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。 |
| 7/29 | ウォーシュ・FRB議長 | 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 | 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。 |
| 7/23 | ラガルド・ECB総裁 | 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 | ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。 |
| 7/16 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 | -------- |
| 7/14 | ウォーシュ・FRB議長 | 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 | -------- |
| 7/13 | ウォラー・FRB理事 | 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 | 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。 |
| 7/9 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 | -------- |
| 7/1 | ウォーシュ・FRB議長 | 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



