今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「WTI原油価格、7月以来となる90ドル台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • WTI原油価格が一段と上昇したことで、インフレ懸念から米長期金利が上昇。ドル円は再び160円台に乗せ、160円27銭まで買われる。
  • ユーロドルはやや水準を下げたものの、1.16を挟む展開。
  • 株式市場では金利上昇が重荷となり3指数は揃って続落。ダウは一時500ドルに迫る下落。
  • 債券は続落し、長期金利は4.8%台に接近。
  • 金利高、ドル高が進み、金は3日続落。原油は米国がイランへの新たな攻撃を開始したことで大幅に続伸。7月以来となる90ドル台乗せ。
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8月ISM製造業景況指数 → 54.6
7月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 727.1万件
8月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 53.9
8月自動車販売台数 → 1676万台
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ドル/円 159.90 〜 160.27
ユーロ/ドル 1.1585 〜 1.1608
ユーロ/円 185.43 〜 185.72
NYダウ −419.02 → 52,766.88ドル
GOLD −85.10 → 4,396.40ドル
WTI +4.46 → 90.22ドル
米10年国債 +0.048 → 4.798%

本日の注目イベント

  • 豪 豪4−6月期GDP
  • 日 高田日銀審議委員、札幌市金融経済懇談会で講演
  • 米 8月ADP雇用者数
  • 米 7月製造業受注
  • 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
  • 加 カナダ中銀政策金利発表

本日のコメント

米国は1日、イラン国内の標的に対する新たな攻撃を開始しました。トランプ大統領は今回の攻撃について、イランがホルムズ海峡への機雷敷設を試みたことや、ヨルダンの軍事基地を先に攻撃したことへの報復だと説明しています。また、イランが報復に出れば、さらなる攻撃を行う可能性もあると警告しています。一方、イランのタスニム通信は、同国軍が米軍による攻撃への対抗措置として「断固たる作戦」を開始したと伝えました。イラン政府は、ヨルダンの米軍基地にミサイルを発射したと報じ、イランの革命防衛隊は、新たな戦闘によって「ホルムズ海峡の封鎖は一段と強固になった」と表明しています。攻撃開始のニュースが伝わると、上昇している原油価格はさらに上げ幅を拡大。WTI先物価格は7月下旬以来初めて90ドルを突破しました。原油価格の高騰は、再び米国のインフレを加速させるとの見方から、米金利が上昇。長期金利は4.798%と、「4.8%」に迫る水準まで上昇しました。ドル円も金利高に呼応するかのように160円台を回復し、160円27銭まで買われています。

この日講演したFRBのバー理事は、インフレが鈍化しなければ、利上げに踏み切る用意を整えるべきだとの考えを示しました。バー氏は、「インフレ率が5年以上にわたり目標を上回る中、物価上昇圧力が定着するリスクがある」と警告し、「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」と述べていました。現時点では多くのFRB当局者はなお、利上げなしでもインフレは鈍化するとみていますが、7月のFOMC会合では意見の隔たりも確認されており、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、クリーブランド連銀のハマック総裁、ダラス連銀のローガン総裁の3人は、利上げを支持して反対票を投じました。さらに、バー氏に加え、複数のFRB当局者は、金利据え置きを続けるにはインフレの改善を確認する必要があるとの見方を示しています。11日には8月の消費者物価指数(CPI)が発表される予定で、結果次第では15−16日に開催される次回会合に大きな影響を与える可能性があります。筆者は、現時点の利上げの可能性は、「五分五分」とみています。

1日の日本の債券市場で長期金利がついに「3%」の大台に乗せました。一部に指摘されていたように、まさに「時間の問題」でした。「長く超低金利が続いた日本で、長期金利が3%の大台に乗せたことは経済環境の転換を意味する」(日経新聞)と判断することができますが、資金調達コストの増加が企業や家計を圧迫するほか、巨額の債務を抱える政府も国債利払い費の増加に直面し、一段と厳しい財政運営を余儀なくされる可能性もあります。「長期金利の3%乗せは、市場からの政権への警告」との見方もできますが、高市首相は、「責任ある積極財政」の御旗を降ろす気配はなく、逆に「責任ある積極財政元年」と位置付けていました。「元年」ということは、今回が初年度で、今後も続くということのようです。ベッセント財務長官は8月31日、「日本政府と日銀が円相場の上昇につながる措置を講じるだろう」と、経済専門局CNBCとのインタビューで発言し、さらに同氏は訪米中の植田日銀総裁と片山財務相と相次ぎ会談し、「日銀が利上げするよう要請した」と報道されています。ただ片山氏は、そのような金融政策の議論にはなっていないと否定し、「金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねられる」との認識を改めて示していました。会談では、「秩序立った円相場は米国を含む世界の金融市場の安定のために不可欠であり、日米の継続的な協調した取り組みがこの共通の目的に資するものであることを確認した」と話していました。

トランプ大統領に指名され、FRB議長に就任したウォーシュ氏ですが、それだけに、トランプ氏の意向を受け、利上げに対しては極めて消極的にならざるを得ないのではと、筆者を含め多くの市場関係者が予想していました。しかし、先週行われたジャクソンホールでの講演では、見事にその不安を吹き飛ばしてくれました。講演では、「インフレ率を2%の目標に戻す」と改めて表明。「この目標は確固として変わらないものだ」と、明確に述べていました。ただ、ここまで言い切って、利下げを求めているトランプ氏の逆鱗に触れはしないかと、個人的には心配していました。そのトランプ氏は8月31日、ウォーシュ氏について「やるべきことをやるだろう」と、批判的なことは口にしていませんでした。その上で、「金利は高過ぎると思う。金利を引き上げることは、ばかげている」とも発言しています。さらに、「経済成長がうまくいっても、それがインフレを引き起こすわけではない。インフレは別の理由で起きる。私はインフレを好まないが、インフレが起きるのは別の理由からだ」と主張し、「われわれの金利は世界で最も低くあるべきだ」と論じていました。(ブルームバーグ)トランプ氏にとって、理由は何であれ、金利が下がることが自身にとっても国民にとっても最も有益だと信じているようです。トルコのエルドアン大統領を彷彿させます。

本日も日本の債券市場の動向を注視したいと思います。ドル円は159円50銭〜160円80銭程度を予想しています。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/1 バー・FRB理事 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 --------
8/28 ウォーシュ・FRB議長(ジャクソンホールでのシンポジウムで) 「インフレ率を2%の目標に戻す」、「私の判断基準はこうだ。基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」、「やるべきことがある」、「私はきょう、特定の政策決定ではなく、規律を重んじる決意を持ってここに立っている」と述べ、さらに、「インフレ率が2%を上回っている中、FRBは現時点で、最大の重点を物価に置くべきだと」 ドル円は159円台半ばから160円20銭まで上昇。米金利高、株安が進む。
8/27 ベッセント:財務長官(介入に対するウォーレン上院議員への回答で) 「日本は米国債の主要な保有国だ」、「円相場が無秩序な動きとなれば、ポジションの強制的な巻き戻しを引き起こす。そうなれば、世界の市場を不安定化させ、最終的には米国の家計や企業の借り入れコストを押し上げる可能性がある」 --------
8/13 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 --------
8/13 ハマック・クリーブランド連銀総 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 --------
8/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
7/29 FOMC声明文 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。
7/29 ウォーシュ・FRB議長 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。
7/23 ラガルド・ECB総裁 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。
7/16 ローガン・ダラス連銀総裁 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 --------
7/14 ウォーシュ・FRB議長 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 --------
7/13 ウォラー・FRB理事 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。
7/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 --------
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和