今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円続伸し、158円台半ばに」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ホルムズ海峡の通航に暗雲が立ち込め、米金利が上昇。ウォーシュ議長の利上げに前向きな報道もあり、ドル円は158円台を回復し、158円55銭まで上昇。
  • ユーロドルには目立った動きがなく、1.15台前半から半ばで変わらず。
  • 株式市場では3指数が揃って下落。米金利の上昇に半導体株を中心に売りが先行。連日最高値を更新していたダウは464ドル安。
  • 債券は反落。長期金利は4.67%台に上昇。
  • 金は小幅に反落し、原油は2ドルを超える上昇。
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新規失業保険申請件数  → 19.9万件
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ドル/円 157.82 〜 158.55
ユーロ/ドル 1.1515 〜 1.1545
ユーロ/円 182.17 〜 182.64
NYダウ −464.02 → 53,885.10ドル
GOLD −5.60 → 4,299.60ドル
WTI +2.07 → 77.29ドル
米10年国債 +0.065 → 4.678%

本日の注目イベント

  • 日 6月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 日 6月景気一致指数(CI)(速報値)
  • 中 中国 6月貿易収支
  • 中 中国 7月外貨準備高
  • 独 独6月貿易収支
  • 独 独6月鉱工業生産
  • 米 7月雇用統計
  • 米 6月消費者信用残高
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、討論会に参加
  • 加 カナダ7月新規雇用者数
  • 加 カナダ7月失業率

本日のコメント

ドル円は続伸し、NYでは158円55銭までドル高円安が進みました。「市場介入がなければ円が売られる」構図は、現時点では変わっていません。NYで円が売られた背景は、FRBによる利上げ観測が再び高まってきたことと、ホルムズ海峡の通航に再び暗雲が立ち込めたことで、原油価格が上昇。さらに米金利の上昇も加わりました。原油価格については、下落しても円が買われる動きは限定的である一方、同価格が上昇すると円売りで反応する傾向が観られます。

イランはホルムズ海峡の管理を巡るオマーンとの合意案で、米国およびイスラエル船舶の通航を禁止するとともに、敵対国に対して同海峡の利用を認める前に賠償を求める構えだと、イランの現地メディアが伝えました。この合意案は、米国とイスラエルが2月にイランを攻撃して以降、大幅に制限されてきたホルムズ海峡の航行再開とエネルギー輸送の正常化に向けた重要な枠組みとみられています。イラン準国営ファルス通信によると、オマーンとの合意案の内容は現在、イラン議会で審議されている。また、イスラエル関連の貨物の通航を禁止する案や、保険や環境対策費用などのサービスに関する料金体系も盛り込まれていると報じています。さらに、ファルス通信は6日、詳細は明らかにしていませんが、イラン海軍がホルムズ海峡入口で「敵対的な標的」を攻撃したと報じました。トランプ大統領は4日、イランとの協議は「非常に順調に進んでいる」と述べ、「48時間以内に分かる」と語っており、イランとの協議に楽観的な見方を示す一方で、「もし合意に至らなければ、残念な結果になるだろう」と付け加えていました。ブルームバーグは、「ただ、これまでにも合意が間近だとする見方は繰り返し浮上しながら実現しなかった経緯があり、今回のイラン・オマーン案だけでホルムズ海峡の通航再開につながるかは依然として不透明だ。イラン側の主要交渉担当者は6日、脅しと撤回を繰り返すホワイトハウスの姿勢を、『終わりのない茶番外交』と皮肉った」と伝えていました。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、ウォーシュFRB議長が、今後数週間に公表されるインフレ指標が強い内容となり、市場で利上げ観測が強まれば、政策金利を引き上げる用意があると、同氏の考えに詳しい複数の関係者の話として報じました。詳しい内容は分かっていませんが、ウォーシュ氏はこれまでも「インフレの進行は許容できない」と述べており、今夜発表される「米7月の雇用統計」の結果次第では、一気に利上げ観測が高まる可能性もあります。FRBによる利上げに関しては、一部には「年内の利上げはない」といったハト派の見方もありますが、筆者は「最低でも1回は利上げ」と予想しています。そんな中、昨日も紹介しましたが、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は5日CNBCとのインタビューで、「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」と述べ、年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問には、「それは不可能ではない」と答えていました。この「3回」という数字には正直目を疑いましたが、カシュカリ総裁は今後米国のインフレが急速に進む可能性を意識しているものと推察します。

トランプ氏自身が送り込んだウォーシュFRB議長が、トランプ氏の意向に盲従することなく、冷静な金融政策を実施してくれそうなことは、衆目の一致するところですが、ブルームバーグは、それでもトランプ氏は圧力をかけ続けているとの記事を掲載しています。曰く、「トランプ米大統領は、ウォーシュFRB議長の就任以来、同氏と断続的に電話で協議している。トランプ氏がFRBへの影響力を強めようとしている兆候を改めて示す動きだ。関係者の1人によると、トランプ氏はウォーシュ氏の議長人事が5月に承認されて以降、複数回電話で話しており、ウォーシュ氏の経済見通しや考え方について質問している。ただ、特定の政策対応を求めるような働きかけはしていないという。金融政策が話題になったかどうかは明らかではない。ホワイトハウスの報道官は、『トランプ大統領は、FRBの意思決定能力と信頼を回復するために、ウォーシュ議長に対して必要な裁量を与えていると折に触れ強調してきた』と説明。その上で、『大統領は米国民として憲法修正第1条で保障された権利に基づき、また最高司令官としてFRBについて自身の考えを表明する責務がある一方で、ウォーシュ議長とFRBの独立性を繰り返し再確認してきた』と述べた」と報じています。

ドル円は158円台半ばまで反発して来ました。日米通貨当局が「協調介入」に踏み切った事実を考えれば、このまま円がさらに売られる状況を放置するとは思えません。今回の介入で、155円割れを示現することには失敗していますが、再び160円台まで円が売られるようなことになれば、「面目丸つぶれ」となり、「当局の威信」にかけても再度介入してくるのではと予想しています。今夜の雇用統計では、NFPは「8万人」、失業率は「4.2%」と予想されています。仮に数字が上振れすればドルが買われることになりますが、そのタイミングで介入することもあり得、さらに数字が下振れした場合でも、「合わせ技」で、ドル売り介入を実施する可能性もないとはいえません。その意味で、今夜の注目度は極めて高いと言えます。

本日のドル円は155円〜159円60銭程度を予想します。上限の予想は、今回の下落幅の「半値戻し」の水準になります。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
7/29 FOMC声明文 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。
7/29 ウォーシュ・FRB議長 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。
7/23 ラガルド・ECB総裁 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。
7/16 ローガン・ダラス連銀総裁 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 --------
7/14 ウォーシュ・FRB議長 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 --------
7/13 ウォラー・FRB理事 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。
7/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 --------
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和