今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米9月のNFPは2.9万人」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 「米9月の雇用統計」が市場予想を大きく下回ったことで、ドル円は直後に下落。156円96銭まで売られたが、その後米金利の上昇もあり元の水準を回復。157円92銭までドルが買われる。
  • ユーロドルも「雇用統計」発表後は、1.1285まで買われたがその後反落。
  • 株式市場では、「雇用統計」の下振れが利上げ観測の後退につながり、3指数は揃って上昇。ダウは250ドル買われ、5万1千ドルを回復。
  • 債券は買われたが、その後売りに押され反落。長期金利は5.27%台に上昇。
  • 金は売られ、原油価格も下落。
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9月失業率 → 4.2%
9月非農業部門雇用者数 → 2.9万人
9月平均時給 (前月比) → 0.1%
9月平均時給 (前年比) → 3.0%
9月労働参加率 → 61.8%
8月耐久財受注 → −0.1%
8月製造業受注 → 1.6%
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ドル/円 156.96 〜 157.92
ユーロ/ドル 1.1222 〜 1.1285
ユーロ/円 176.53 〜 177.85
NYダウ +250.40 → 51,176.96ドル
GOLD −40.00 → 4,162.30ドル
WTI −1.76 → 91.11ドル
米10年国債 +0.032 → 5.273%

本日の注目イベント

  • 日 衆院本会議で高市首相が所信表明演説(14:00)
  • 独 独9月サービス業PMI(確報値)
  • 欧 ユーロ圏8月卸売物価指数
  • 欧 ユーロ圏9月総合PMI(確報値)
  • 欧 ユーロ圏9月サービス業PMI(確報値)
  • 米 9月S&Pグローバルサービス業PMI(確報値)
  • 米 9月S&Pグローバル総合PMI(確報値)
  • 米 9月ISM非製造業景況指数

本日のコメント

「米9月の雇用統計」は予想外の下振れでした。非農業部門雇用者数(NFP)は前月比「2.9万人の増加」と、市場予想の「9万人の増加」から大きく乖離した数字でした。8月分も速報値の「16.2万人」から「13.3万人」に、7月分も同「2.1万人」から「マイナス1.0万人」に、それぞれ下方修正されています。これまで、米労働市場は底堅いと見られていましたが、急ブレーキがかかった可能性もあり、今後労働市場の動向をより慎重に見極める必要が出できました。また、失業率も8月の「4.1%」から「4.2%」に上昇しました。ブルームバーグは、「堅調な個人消費と企業の旺盛な投資が雇用を下支えしているが、コストを意識する多くの雇用主は、人員拡大に慎重な姿勢を崩していない。このため、雇用の伸びには月ごとにばらつきが見られる。一方で、レイオフは引き続き低水準にとどまっており、労働市場が比較的安定していることを示している。9月の雇用統計は、11月の中間選挙前では最後の発表となった。選挙では経済情勢が投票判断に大きな影響を与えるとみられている。労働市場はその一部だが、根強く残る生活費への懸念が、有権者にとってより大きな関心事となっている。」と分析しています。それでも今回の結果を受け、「10月の利上げはほぼ消滅した」といった声が聞かれました。まだ重要な政策判断材料である「9月の消費者物価指数(CPI)」の発表を控えていますが、筆者も現時点では、今月の利上げの可能性はないと判断しています。指標発表後は米金利が低下し、株式が買われ、ドル円も157円を割る局面がありましたが、その後は発表前の水準に戻しています。市場参加者は、労働市場の急激な下振れにも「米インフレ懸念を完全にぬぐい切れない」というスタンスを維持しているものと思われます。

終結の兆しが一向に見えないイラン戦争ですが、ブルームバーグは、「米国との戦争開始から7カ月、イラン指導部には疲弊の色が見え始めている」と報じています。記事によると、イランのインフレ率は90%近くに達しているとのことです。一方、イランが攻撃を続けるホルムズ海峡では原油輸送が回復しつつあるものの、トランプ大統領は新たに空母1隻と海軍・海兵隊の要員1万人を中東地域に追加派遣しています。外交交渉は行き詰まっている中、イランにとって最大の交渉カードは、エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を事実上閉鎖できる能力でした。しかしその影響力は弱まり、サウジアラビアの原油輸出は9月に日量約610万バレルまで回復し、推計では、中東全体の出荷量も戦争前の98%まで戻ったとされています。このまま戦争が長引くことは、イランにとっても極めて不利な状況が続くこととなり、イランは「戦争継続か米国との交渉再開か」といった選択が求められていると報じられています。イランのガリバフ国会議長は「興奮せず、脅しに屈せず、戦いと交渉の両方に備えることが、戦略だと語った」と、イランのタスニム通信が伝えています。米国との協議で首席交渉官を務めるガリバフ議長は、これまでに「イスラマバード覚書に基づくわれわれの7条件が履行されるまでホルムズ海峡の封鎖状態が続く」と発言していました。

世界的に債券が売られ、金利が上昇しています。日本の円安の影響に伴う米金利の上昇に苦言を呈していたベッセント財務長官は、米国債利回りの最近の上昇について、「世界的な動きと一致しており、懸念する必要はない」との見解を示し、日本の金融政策批判から矛先を変えています。ニュースサイトのアクシオスが3日に掲載したインタビューで、ベッセント長官は「米国特有の何らかの上昇が起きているのであれば懸念するだろう」とした上で、「米国債を売ってドイツ国債や日本国債を買うような動きは見られていない」と述べました。また、「私は債券市場をコントロールすることはできない。私にできるのは、人々にいったん立ち止まって考えてもらうことだ」と話しています。債券売りは欧州でも確認されており、フランス国債が売られたことをきっかけに、イタリアやベルギー、ギリシャの国債も売られ一方、ドイツ国債が買われています。一部の弱気のトレーダーからは「15年前のユーロ危機を想起させる」といった声もあるようです。

本日午後には高市首相が衆院本会議で所信表明演説を行います。足元で進行している「円安と金利高」を考慮してなのか、これまで強気一辺倒だった「責任ある積極財政」路線をやや修正する発言が予想されています。すでに、「経済や市場が想定と異なる動きを示した場合には、影響を分析して対応を機動的に講じる」との原案が明らかになっています。発言内容次第では為替と株式、債券市場に影響があるかもしれません。

本日のドル円は156円70銭から158円50銭程度を予想します。

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What's going on?

「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/1 ジェファーソン・FRB副議長 「先行きを見据えると、今後の政策調整はデータの傾向、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に検討した上で決定すべきだと考えている。同僚と私はそれぞれ独自に判断を下す必要があり、それにはさらに時間がかかる可能性がある」 --------
10/1 ボウマン・FRB副議長 「現時点では追加措置を急ぐ必要があるとは考えていない。データを総合的にもっとよく理解する必要があると思うが、リスクには引き続き注意を払う必要がある」 --------
9/29 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「経済が私の予測とおおむね整合的な形で推移すれば、インフレ率をより早期に目標水準に下げるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを今年終盤にもう一段引き上げることが適切となる可能性がある」、「10月のFOMC会合が中間選挙に近いことについては、『全く』考慮すべき要因ではない」 10月の利上げ確率が後退
9/24 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「関税やテクノロジー関連の値上がり、燃料費や医療費の上昇など、幅広いコスト上昇圧力が長引いていることで、米国のインフレが定着するリスクが高まった」、「より引き締め的な金融政策が必要になる」 --------
9/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「相次ぐ供給ショックに見舞われており、インフレ心理が定着するリスクが高まっている」 --------
9/24 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「この先の状況が私の予想通りに推移すれば、さらに小幅な引き締めが正当化される可能性がある」、「米経済はショックに対して底堅く、生産の伸びは堅調で、労働市場は完全雇用に近いとして、『勢いが増している』兆しがある」 --------
9/23 ハセット・米国家経済会議(NEC)委員長 「最近のコアインフレ率が年率2%となるなかで、なぜ利上げするのか」、(ウォーシュ議長については)、「異例なほど党派性の強いFRBを運営している」、「FRB議長や副議長は通常、任期満了時にFRBを去るが、その慣例が守られていない」、「なぜそうしたのか懸念している」 --------
9/18 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「FRBにはインフレ抑制に向けてまだやるべきことがあり、今週の措置はその方向への一歩だった」、「原油高はインフレ率を押し上げる重要な要因となっているが、インフレの問題がエネルギーだけではないことを認識する必要がある」、「均衡しているようだ」、「経済成長は堅調だ」 --------
9/16 フォンデアライエン・欧州委員長 「欧州とカナダは民主主義を信じている。権力は、最も強い者、最も裕福な者、最も声の大きい者のものではない」 --------
9/16 ウォーシュ・FRB議長 「金融・信用環境をわれわれの最終的な目標により整合させるため、緩和の度合いを幾分縮小した」、「6カ月、112カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる」、「この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」 ややタカ派的なトーンだったことで、ドル円は156円台に乗せ、156円42銭まで上昇。
9/16 FOMC声明文 「委員会は米連邦準備制度理事会(FRB)の二大責務を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25ポイント引き上げ、3.75−4%にすることを決めた。委員会は、銀行システム内に十分な準備預金を維持する方針を継続している。経済活動は堅調なペースで拡大しつつある。地政学的な動向などを背景に、不確実性は引き続き高いものの、国内支出は底堅く推移している。生産性の伸びは力強く、設備投資は堅調だ。雇用の伸びは労働力に見合うペースを維持しており、失業率はほぼ変わっていない」、「インフレは高止まりしている。本日の政策措置は、委員会の目標である2%に向けた、より速やかな回帰を支えるだろう。委員会は物価安定を実現する」 --------
9/15 ベッセント・財務長官 「円高は米国の輸出にとって好都合だ。円が強くなれば、日本政府が為替介入の資金を捻出するために米国資産を売却する必要もなくなる」、「ごくわずかな額で、日本の政策を支持する姿勢を示すことができた」、「介入の目的ではなかったものの、米財務省は円買い介入によって数千万ドルの利益を上げた」 --------
9/10 ラガルド・ECB総裁 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 --------
9/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 --------
9/2 高田・日銀審議委員 (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。
9/1 バー・FRB理事 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和