今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「WTI原油価格一時84ドル台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 東京時間に114円69銭まで上昇したドル円はNYでは上値を伸ばせず。米長期金利の上昇にもかかわらず利益確定のドル売りに押され、114円08銭まで下げる。
  • ユーロドルは1.16台で小動き。値幅も36ポイントと来週の金融政策会合を控え方向感が見えない展開。
  • 株式市場はまちまちながらダウは一時最高値を更新する場面も。ナスダックは6日ぶりに反落し、ダウとS&P500は上昇。
  • 債券は続落。長期金利は1.65%台に上昇。
  • 金は続伸。原油も5日続伸し一時は84ドル台を付ける。
ドル/円 114.08 〜 114.40
ユーロ/ドル 1.1622 〜 1.1658
ユーロ/円 132.74 〜 133.21
NYダウ +152.03 → 35,609.34ドル
GOLD +14.40 → 1,784.90ドル
WTI +0.91 → 83.87ドル
米10年国債 +0.020 → 1.657%

本日の注目イベント

  • トルコ トルコ中銀政策金利発表
  • 欧   ユーロ圏10月消費者信頼感指数(速報値)
  • 米   新規失業保険申請件数
  • 米   10月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米   9月景気先行指標総合指数
  • 米   9月中古住宅販売件数
  • 米   ウォラー・FRB理事講演、講演(オンライン)
  • 米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論に参加
  • 米   企業決算 → AT&T、ブラックストーン、インテル

本日のコメント

ドル円は昨日の東京時間に日経平均株価の上昇に歩調を合わせ、114円69銭までドル高が進みましたが、その後の海外市場では上値を追う動きとはならず、結局ほぼ前日と同じ水準で戻ってきました。米債券はやや売られ長期金利は上昇しましたが、株式市場は底堅い動きを見せ、NYダウは一時最高値を更新する場面もありました。WTI原油価格は増加していると見られていた在庫が減少していたことを受け、84ドル台まで上昇。約7年ぶりの高水準を付けています。原油価格の上昇が、ドル円でもドル買いを増加させるとの見立てから、原油価格の動きを睨みながら売買を行う手法も見られるとか。足元の原油価格の急上昇で今後、年末にかけて多くの物の値段が上昇する懸念も出て来ました。

ベージュブックが公開され、全体として「米経済は緩慢ないし緩やかなペースで拡大している」と報告されていました。一部の地区では成長の減速が報告され、供給面の制約と新型コロナウイルスのデルタ変異株に対する懸念が活動に影響したとあります。また物価上昇については、供給不足と輸送面での障害、労働力の制約が影響しているとの認識が示されています。そうした状況から、「大半の地区は著しい価格の高騰を報告した」とし、「多くの企業は販売価格を引き上げた。これは力強い需要を背景に、企業でコスト上昇分を顧客に転嫁する能力が高まっていることを示唆している」と説明しています。

依然として市場の大きなリスクとして受け止められている中国の大手不動産開発会社恒大は、自社の不動産管理部門「恒大物業」の売却交渉を打ち切ったことを発表しました。また香港市場では自社株式取引を21日に再開するため、申請を行ったことも明らかにしています。恒大集団は9月23日が期限だった米ドル建て債券の利払いが出来ず、30日間の支払い猶予があったことから、10月23日にその期限が迫っています。ここで利払いが出来ないと、正式に格付け会社からデフォルトと認定されることになり、今後市場からの資金調達の道が閉ざされることになります。同社は「恒大物業」の株式51%を保有しており、売却が進めば利払いも出来るのではと見られていましたが、交渉が打ち切りになったことで今後は、国内金融機関や政府の支援が焦点になります。

前日のウォラーFRB理事に続き、クオールズFRB理事も11月FOMCでのテーパリング開始決定を支持する考えを示しました。クオールズ氏はロサンゼルスで行われた講演で、米金融当局による資産購入プログラムについて「こうした買い入れの縮小開始を11月の会合で決定することを、私は支持するだろう」と述べました。ただ、現在の高インフレについては「一過性」だとの見方に賛同するとし、米当局は金融政策で「後手に回ってはいない」と言明しています。その上で、「過去数カ月、より広範囲にわたる物価は緩やかに上昇し始めている兆候があり、こうした動向を注視している」と述べています。(ブルームバーグ)同理事が依然として「物価上昇は一時的」との姿勢を崩していないことから、次回FOMCで、「一時的」といった文言が声明文やパウエル議長の発言から削除されるのかどうかが、改めて注目されます。

ドル円は底堅い動きを見せながらも、先週まで見られた力強い上昇力はやや影を潜めています。引き続き114円台半ばから115円にかけてのゾーンがレジスタンスになっています。米長期金利の推移に加えて、上でも述べたようにWTI原油価格の動きにも注意が必要です。本日のドル円予想は、113円90銭〜114円70銭程度とみています。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/20 クオールズ・FRB理事 「こうした買い入れの縮小開始を11月の会合で決定することを、私は支持するだろう」、(現在の高インフレについて)「一過性だとの見方に賛同する」とし、(米当局は金融政策で)「後手に回ってはいない」 --------
10/19 ウォラー・FRB理事 「金融当局の責務のうち雇用に関してはなお改善の余地があるものの、十分な前進を遂げたため、資産購入のテーパリングを2週間後のFOMCの後に始めるべきだと私は考える」、「2022年に入ってもインフレ率が2%をかなり上回って、私の上振れリスクが現実化した場合は、現在の予想よりも早い利上げを支持するだろう」 ドル円114円前後から114円台半ばに上昇。米10年債は売られ、長期金利は5カ月ぶりに1.64%台まで上昇。
10/14 ブラード・セントルイス連銀総裁 「高インフレ状態は向こう半年で自然に解消する可能性はいくらかあるが、それを金融当局者として当てにできるほど確かだとは言えない」と「テーパリングを11月に開始し、2022年1−3月末までに完了させることを支持している」 --------
10/14 ゴーマン・モルガンスタンレーCEO 「このバブルに少し穴を開ける必要がある」、「マネーは現在やや自由になり過ぎ、あまりに簡単に利用できる状態にある」、「賃金上昇とサプライチェーンのボトルネック、商品価格の急騰がインフレを押し上げている。それら全てが一過性というわけではなく、金融当局は現在の想定よりやや積極的に動かざるを得なくなるだろう」 --------
10/12 イエレン・財務長官 (物価上昇について) 「それは一時的と考えているが、そうした圧力が向こう1、2カ月で消えると示唆しているのではない」 --------
10/12 クラリダ・FRB副議長 「米経済における基調的なインフレ率は、金融当局の中長期目標である2%付近で推移していると、私は引き続き考えている。今年見られる望ましくないインフレ高進については、相対的な価格調整が完了し、ボトルネックが解消されれば、最終的には大部分が一過性のものだと分かるだろう」 --------
10/12 ポスティック・アトランタ連総裁 「価格圧力を高めている今般の要因は主として激しく広範なサプライチェーンの混乱だが、それが短期間では終わらないことがますます鮮明になりつつある」、「その点を踏まえれば、物価上昇の力は一過性のものではない」 --------
10/4 ブラード・セントルイス連銀総裁 「リスクは上向きで、2022年にかけてインフレはさらに高進するだろう。来年の個人消費支出(PEC)コア価格指数は2.8%上昇すると予想している」 --------
9/30 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「テーパリングをゆっくり、かつ整然と、率直に言えば退屈なやり方で開始する時期が近く訪れると考えるグループに私は属する」、「資産購入のテーパリングを開始した後、フェデラル・ファンド(FF)金利の引き上げについて考え始めることが出来る。ただ私としては、来年遅く、ないし2023年早期まで利上げは見込んでいない」 --------
9/27 ラガルド・ECB総裁 「ユーロ圏のインフレ率はこの秋、8月に達成した3%の水準からさらに上昇する見込みだ」、「上昇の大部分は一時的なものだと引き続き考えている」 --------
9/27 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「インフレ目標の達成において一段と大きな進展を遂げたことは明らかだと思う。雇用の最大化に向けても、非常に良い進展がある」、「私の予想通りに経済が改善し続けると仮定すれば、資産購入ペースの減速は近く正当化されるかもしれない」 --------
9/27 ブレイナード・FRB理事 雇用は依然として、一段と顕著な進展があったと私が判断する基準にわずかに届いていない」、「私が望んでいるような進展が継続すれば、その基準に近く達成する可能性がある」 --------
9/27 エバンス・シカゴ連銀総裁 「足元で見られる供給サイドに起因する一過性のインフレ率上昇では、目的を達成するには十分ではないと考える」、「2%を持続的にオーバーシュートするインフレ期間が必要」、「23年に1回の利上げを想定し、その後は極めて緩やかな傾斜になるだろう」 --------
9/24 メスター・クリーブランド連銀総裁 「景気回復が続けば労働市場の改善が継続し、来年末までにフェデラル・ファンド(FF)金利引き上げの条件も整うと見ている」 債券が売られ、金利が上昇。
9/22 パウエル・FRB議長 「早ければ次回の会合で決定する可能性がある」、「資産購入縮小のタイミングとペースは、利上げ開始のタイミングに関して直接のシグナルを送ることを意図しない」、「中国恒大の状況は非常に中国特有のものと見受けられる。中国は新興市場国としては債務水準がかなり高い」 ドル円110円35銭まで上昇。株高、債券安が大きく進行。
9/14 ロウ・オーストラリア中銀総裁 「22年や23年初めの利上げが織り込まれる理由は理解しがたい。この期間に他の国・地域で政策金利が引き上げられる可能性はあるが、我が国の賃金とインフレの動向は全く異なる」 豪ドル/米ドルが小幅に下落。
9/10 サマーズ・元財務長官 「2桁のインフレ率というカーター政権時代のような状況に近いとは思わないが、60年代と70年代初めに犯したほとんど全ての過ちを繰り返すという非常に深刻な危機にさらされていると考える」 --------
9/10 メスター・クリーブランド連銀総裁 「一段と顕著な進展を遂げたいという私の見解は、8月の雇用統計後も変わっていないと考える」、「年内のテーパリング開始を望む」 --------
9/9 エバンス・シカゴ連銀総裁 「昨年に経済活動が深刻かつ急激に落ち込んだ後、経済は力強く成長した。しかし、サプライチェーンや労働市場で広がるボトルネックが示すように、課題は山積している」、「新型コロナウイルスの新たな変異株が全米で健康や安全性に影響を及ぼす中、全ての共通要素は引き続き不確実性が高いということだ」 --------
9/9 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「夏の前半には強いデータが出ていたので、私は多くの予想よりも早期のテーパリング開始支持に相当傾いていた」、「最近の弱いデータはまだ幾らかの駆け引きがある可能性を示唆したが、私は今も年内のある時点が適切だと考えている」 --------
9/9 ボウマン・FRB理事 「私が期待するようなデータが出てくれば、年内に資産購入縮小の過程に入ることは適切となる可能性が高い」、「私は入ってくるデータに勇気づけられていることに変わりはないが」、「われわれの協議結果を事前に判断したくない」 --------
9/9 ラガルド・ECB総裁 「ユーロ圏経済の回復がますます進展している」と、(今回の決定は)「テーパリングではない」、「PEPPを向こう3カ月について微調整する」 ユーロドルの上昇が抑制される。
9/8 ブラード・セントルイス連銀総裁 「8月の雇用者数の伸びの弱さにもかかわらず、新型コロナウイルス対策の大規模な債券購入を段階的にする計画を進めるべきだ」 --------
9/8 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「私が想定する通りに米経済の改善が続くならば、年内に資産購入ペースを落とし始めることは適切となり得よう」と、「今後入って来る労働市場のデータや、それが経済見通しにどのような意味を持つのかを慎重に判断していく。デルタ変異株の影響をはじめとするリスクも見極めていく」 --------
9/1 ワイトマン・ドイツ連銀総裁 物価見通しに対するリスクを注視しなければならない。私の見解は、上向きのリスクが優勢だ」、「緩和的な金融政策は依然として適切だが、インフレが加速し過ぎるリスクを無視すべきでない」 市場ではドル安ユーロ高がやや進む。
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和