「片山財務相、GPIFのポートフォリオの言及」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 片山財務相の発言に日本の長期金利が急低下したことで、ドル円は161円台前半まで1円程円高に振れる。NYでも動きのない中、終始161円台で推移。
- ユーロドルは引き続き1.14台前半から半ばでの動き。
- 株式市場では3指数が揃って買われる。エヌビディアなどが買われ、ダウは149ドル上昇。
- 債券は小幅に下落。長期金利は4.56%台に上昇。
- 金は反落。原油も中東情勢が再び悪化する中でも下落。
| ドル/円 | 161.28 〜 161.89 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1412 〜 1.1442 |
| ユーロ/円 | 184.46 〜 184.93 |
| NYダウ | +149.60 → 52,637.01 |
| GOLD | −27.10 → 4,113.70ドル |
| WTI | −0.67 → 71.41ドル |
| 米10年国債 | +0.010 → 4.561% |
本日の注目イベント
- 中東 OPEC月報
- 米 6月財政収支
本日のコメント
先週の金曜日、ドル円は162円台半ばからスルスルと、1円程円高方向に振れました。片山財務相が閣議後会見で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの年金基金による日本の金融資産投資を後押しする考えを示したことで、債券市場では10年債が買い戻され、前日には「2.9%」まで上昇した長期金利が急低下しました。ドル円はこの動きに反応したものと見られます。片山氏は、「高市首相のもとで日本経済が成長型に移行し、株式市場がこのところも非常に堅調に動いている」と指摘。その上で「GPIFをはじめとする年金基金に、日本の金融資産にさらに投資してもらう方向で後押しする方策を追求したいと考えている」と表明した。この発言を受け、長期金利は「2.75%前後」まで急落しました。長期金利の急低下でドル円が1円ほど下落した動きを見ると、為替に関する口先介入よりも、むしろ効果が大きかったようにも思えます。GPIFは、国内外の債券と株式に25%ずつ等分に投資しており、日々の運用で、それぞれの資産ができるだけ25%から離れないようにリバランスしていますが、一定程度のかい離は認められています。ただ、GPIFの運用は被保険者の利益のために行うのが前提で、そもそも厚生労働省の主管です。しかも運用に関しては既にプロの専門家を多く採用しており、保守的な運用とは決別しています。片山氏にアロケーションを変更させる権限はないと思われますが、片山氏も「GPIFについては私だけでできることではないが、政府内でも意思統一をして話をしていきたい」と述べていました。市場は、この発言でGPIFが国債を購入する可能性があると判断し、単なるショートカバーでしょうが、やや過剰反応気味でした。
中東情勢が先週後半から再び不透明になってきました。米国はこの1週間で3回目となるイランへの攻撃を実施しました。これを受け、イランは少なくともアラブ5カ国の米軍施設への報復攻撃に踏み切っています。一方、ホルムズ海峡の航行が可能かどうかを巡っては、米国とイランの主張が食い違っています。ブルームバーグは、「イランは12日未明、クウェートやヨルダン、カタールなど中東の米同盟国に対し、ドローンやミサイルで攻撃した。これまでのところ、被害は軽微で、死傷者は報告されていない。イラン政府は、ホルムズ海峡を『追って通知があるまで』封鎖すると宣言しましたが、米中央軍はこれを否定。同海峡は引き続き全ての船舶に開放されており、米軍は航行の自由を確保するため、必要な態勢を整えているとした」と報じていますが、一方で両国の停戦に向けた協議は再開されそうで、スイスで行われるとの報道もあります。トランプ大統領「暗殺計画」の噂もでているようです。トランプ氏は10日、NYポスト紙とのインタビューで、自分がイランに暗殺された場合の指示を残していることを明らかにし、「地獄のような代償を払うことになる」と警告。イランを標的にミサイル1000発の発射準備が整っていると述べました。さらに、イランが暗殺計画を実行すれば、「さらに数千発が即座に発射される」と警告していました。もっとも、この暗殺情報は、イスラエルからもたらされたもののようで、イスラエル側とすれば、米国とイランとの停戦が進めば、自国が不利になることは明らかで、「米国を焚きつけた」との観測もあります。イラン戦争の影に隠れていますが、イスラエルとの停戦が成立したパレスチナ・ガザ地区では、イスラエルによる入植がさらに進んでいるようです。
3カ月余りに迫った「米中間選挙」に向け、トランプ大統領はイラン情勢が思った程と改善しないこともあり、「対策」に乗り出したようです。トランプ氏は米選挙支援委員会(EAC)の民主党委員2人を解任しました。また、共和党委員1人は辞任したとのことです。「EACは米連邦政府の独立機関で、州政府による公正な選挙運営を支援する役割を担う。米連邦議会の勢力図は、11月の中間選挙次第で変化し得る。トランプ氏は選挙運営に影響力を及ぼそうとしており、今回の解任はその新たな動きとなった」と報じられ、ブルームバーグは、「トランプ大統領が選挙への干渉を執拗(しつよう)に試みていることを踏まえると、今回の解任は極めて憂慮すべきものだ」、「今回の解任で委員会は指導部を失い、本来の重要な責務を果たせなくなる」といった識者の声を紹介していました。主要世論調査の平均では、与党・共和党の支持率は野党・民主党よりも「8ポイント低い」といった結果も出ています。
本日のドル円は161円〜162円50銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/9 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 | -------- |
| 7/1 | ウォーシュ・FRB議長 | 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 | -------- |
| 6/17 | ウォーシュ・FRB議長 | FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 | -------- |
| 6/17 | FOMC声明文 | 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 | -------- |
| 6/17 | 内田・日銀副総裁 | 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 | -------- |
| 6/11 | ラガルド:ECB総裁 | 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 | -------- |
| 6/9 | 片山・財務大臣 | 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 | -------- |
| 6/4 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 | -------- |
| 6/4 | デーリー・SF連銀総裁 | 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 | -------- |
| 6/3 | 植田・日銀総裁 | 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 | ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。 |
| 6/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 | -------- |
| 6/3 | ローガン・ダラス連銀総裁 | (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 | -------- |
| 6/2 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



