「米6月のPPIも予想を下回る」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は欧州時間に162円43銭前後まで上昇。NYでは6月のPPIが鈍化傾向を示したことで米金利が低下。ドル円は161円90銭まで下落。
- ユーロドルは1.1482まで上昇したが上値は重く、1.14台で推移。
- 米金利の低下を好感し、株式市場では主要3指数が続伸。ダウは150ドル買われ、S&P500は28ポイント高。
- 債券は続伸し、長期金利は4.54%台に低下。
- 金は反落。原油は小幅高。
7月NY連銀製造業景況指数 → 15.6
6月生産者物価指数 → 5.5%
********************
| ドル/円 | 161.90 〜 162.39 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1406 〜 1.1482 |
| ユーロ/円 | 185.32 〜 186.00 |
| NYダウ | +150.37 → 52,658.64ドル |
| GOLD | −17.90 → 4,051.80ドル |
| WTI | +0.26 → 79.60ドル |
| 米10年国債 | −0.042 → 4.547% |
本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏5月貿易収支
- 英 英5月鉱工業生産
- 英 英5月貿易収支
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 6月小売売上高
- 米 7月NAHB住宅市場指数
- 米 6月中古住宅販売成約指数
- 米 ローガン・ダラス連銀総裁講演
- 米 決算発表 → GE、USバンコープ、ステート・ストリート、ネットフリックス
本日のコメント
米軍は15日午後、イランに対する追加空爆を実施しました。トランプ大統領は、イランがホルムズ海峡での船舶攻撃を停止し、同海峡の航行再開に応じるまで、空爆を強化し続ける考えを示しています。これで米国による攻撃は5日連続となっています。米軍は、ホルムズ海峡に近いペルシャ湾の大トンブ島で、ミサイルの貯蔵施設や発射拠点を標的に約90分間にわたる攻撃を実施。米中央軍によると、その後、米東部時間午後3時(日本時間16日午前4時)にも第2波の攻撃を行った模様です。トランプ氏は、米軍の攻撃によってイランのミサイルや無人機の攻撃能力が低下したため、イラン側が協議再開を望んでいるとの見方を改めて示しました。トランプ氏は14日夜に放映されたFOXニュースのインタビューでは「あすの夜は徹底的に攻撃する」と発言。さらに「その翌日の夜も徹底的に攻撃する。来週になれば、イランにとって状況はさらに厳しくなる。次は発電所を標的にするからだ。交渉の席に着かなければ、橋をすべて破壊する」と語っていました。その後、昨日のインタビューでは「ここへ来る直前に、彼らが協議を望んでいるという連絡を受けた。彼らはいつも会いたがっている」と述べています。ブルームバーグは、「約1カ月前に合意された米国とイランの暫定和平は、この1週間で事実上崩壊した。サウジアラビアやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)などがエネルギー輸出の大半を依存するホルムズ海峡の航行を巡り、両国の対立は再び激化している」と報じています。一方、イラン側は交渉再開を望んでいることを公には認めていません。イラン側から放映される内容は全て米国に対する揺るぎない対決姿勢を示すもので、革命防衛隊は15日、米国が空爆とイランの港湾封鎖を停止するまで、ホルムズ海峡の封鎖を続けると表明しています。また、国営プレスTVによると、革命防衛隊は「域内の石油・ガス輸出は、全ての国が利用できるか、それとも誰も利用できないかのどちらかだ」と述べています。原油価格は高止まりしており、「有事のドル買い」は、今のところ、依然として機能しているようです。
米6月の生産者物価指数(PPI)は、前年同月比では「5.5%」と、市場予想の「6.2%」を大きく下回っていました。これで、前日のCPIと整合することとなり、不透明なイラン情勢が続く中でもインフレが鈍化傾向を見せていることが示されました。6月のCPIとPPIがインフレ鈍化を示す中、NY連銀のウィリアムズ総裁は15日の講演で、「インフレ率は間違いなく高過ぎる。しかし、既にピークに達し、今後数四半期にわたり緩やかに鈍化していくと期待できる心強い理由がある」と発言しました。ウィリアムズ氏は、「関税が消費者物価に追加的な上昇圧力を加えることはない」とし「住居費インフレは引き続き鈍化基調にあり、エネルギー価格はピークを付けたようだ」と話し、さらに、「労働市場がインフレ圧力を強めている兆候は見当たらない」と付け加え、政策金利についても、「適切な位置にある」との認識を示しました。ウィリアムズ総裁が、「ハト派」であることは知られていますが、それでも「インフレは既にピークに達した」と述べたことにはやや驚きました。ウィリアムズ総裁の指摘が正しいのであれば、今後FRBの利上げが望めなくなり、ドル円は下落することになりますが、どうでしょう?
前日、下院の議会証言で、「高インフレは容認しない」と述べたウォーシュFRB議長は15日、上院銀行委員会で証言を行いました。AIブームの影響がインフレを押し上げ、すでにコンピューター・チップ価格が上昇していることを認めながらも「供給面での対応があるため、一時的な価格変化を必ずしもインフレ的だとは考えていない」と述べ、「今後12カ月にわたり、統計上の物価は上昇するだろうか。私はそうなると考えている。それがインフレ的かどうかはFRBが判断することであり、われわれはその点について見解を示すことになる」と語っていました。
政府が公表した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」原案が、円安や長期金利の上昇の引き金になりましたが、高市首相は昨日の党首討論で国民民主党の玉木代表への答弁で、「まだ閣議決定もしていない政府のただ一つの文書の原案がショックの原因だとは思っていない」と指摘。その上で、「為替市場もそう、金利もそうだが、これはさまざまな要因によって決まる」と答えていました。債券市場では、同原案が日銀の利上げをけん制しているとの認識が広く共有されていますが、高市氏は「骨太ショック」は与えていないと、意に介していませんでした。また、他の党首との答弁では、「強い経済と財政の持続可能性を両立するため、成長のスイッチを押しまくる」とも述べており、「責任ある積極財政」は継続されると解釈されます。
本日のドル円は161円30銭〜162円70銭程度を予想します。
佐藤正和の書籍紹介
これだけ! FXチャート分析 三種の神器 |
チャートがしっかり読めるようになるFX入門 |
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/14 | ウォーシュ・FRB議長 | 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 | -------- |
| 7/13 | ウォラー・FRB理事 | 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 | 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。 |
| 7/9 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 | -------- |
| 7/1 | ウォーシュ・FRB議長 | 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 | -------- |
| 6/17 | ウォーシュ・FRB議長 | FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 | -------- |
| 6/17 | FOMC声明文 | 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 | -------- |
| 6/17 | 内田・日銀副総裁 | 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 | -------- |
| 6/11 | ラガルド:ECB総裁 | 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 | -------- |
| 6/9 | 片山・財務大臣 | 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 | -------- |
| 6/4 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 | -------- |
| 6/4 | デーリー・SF連銀総裁 | 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 | -------- |
| 6/3 | 植田・日銀総裁 | 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 | ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。 |
| 6/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 | -------- |
| 6/3 | ローガン・ダラス連銀総裁 | (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 | -------- |
| 6/2 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



