「政府・日銀市場介入か?」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は欧州時間に特段材料が見当たらない中163円を割り込み、NYでは一気に157円98銭前後までドルが急落。日本の通貨当局による介入観測と、NY連銀によるレートチェックがあった模様。
- ドルが売られたことで、ユーロドルも1.1537までユーロ高に。
- 株式市場では、3指数が揃って大幅に上昇。連日売られていた半導体株が持ち直したことが相場全体を押し上げた。ナスダックは679ポイントの大幅高。
- 債券はほぼ横ばい。長期金利は4.67%台で推移。
- 金は反発し、原油は小幅安。
4−6月GDP(速報値) → 1.5%
6月個人所得 → 0.2%
6月個人支出 → 0.3%
6月PCEデフレータ(前月比) → −0.1%
6月PCEデフレータ(前年比) → 3.7%
6月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.1%
6月PCEコアデフレータ(前年比) → 3.3%
新規失業保険申請件数 → 19.7万件
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| ドル/円 | 157.98 〜 162.96 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1470 〜 1.1537 |
| ユーロ/円 | 182.11 〜 186.95 |
| NYダウ | +613.92 → 52,208.06ドル |
| GOLD | +63.60 → 4,160.60ドル |
| WTI | −0.87 → 83.59ドル |
| 米10年国債 | −0.004 → 4.673% |
本日の注目イベント
- 豪 豪第2四半期卸売物価指数
- 日 日銀金融政策決定会合
- 日 植田日銀総裁記者会見
- 日 7月東京都区部消費者物価指数
- 日 6月失業率
- 日 6月鉱工業生産
- 中 7月中国製造業PMI
- 中 7月中国サービス業PMI
- 独 独7月雇用統計
- 欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値)
- 米 4−6月雇用コスト指数
- 米 7月シカゴ購買部協会景気指数
- 米 7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
本日のコメント
どうやら、3カ月ぶりの「市場介入」のようです。
ドル円は昨日の夕方7時くらいに、特別材料のない中163円台を割り込みました。この時は、それ程大きな動きでもなかったことで「介入」との連想はありませんでしたが、NY市場に入るとドルが大きく下落し、157円98銭前後まで円高に振れています。一気に5円程落ちたことになりますが、この値幅と短時間での円高方向への動きは「介入」以外に考えられません。さらにNY連銀による「レートチェック」もあった模様で、下げ幅を拡大させたと思われます。日経新聞電子版はドルの安値を「157円80銭」と報じていますが、当社のチャートと手元のブルームバーグのデータでは157円97〜98銭かと思われます。相場が大きく変動した際にレートが飛ぶケースもあり、正確な「出来値」を確定することが難しいこともままありますが、上記17〜18銭の誤差は、筆者の経験上「大きすぎる」と考えています。
4月30日とその後のGW以来となる「政府・日銀による市場介入」です。筆者は何度もこの欄で述べてきたように、「介入は必ずある」と繰り返し警告してきました。17日(金)には・・・「ドル円は、依然として高値圏で推移しています。4月のGW以来、これまで介入は観られていません。162円台後半まで2回ドル高が進んでも介入がなかったことを考えると、介入水準は163〜165円レベルかと思われますが、2ヵ月以上も介入がなかったことで、『市場の警戒感がやや薄れています。』このような時こそ、注意が必要です」と書き、今週29日(水)にも・・・・「ドル円は昨日の海外市場で163円95銭まで上昇しました。先週も163円99銭まで買われ、164円まで『あと1銭』に迫りました。普通に考えれば、やはり『ドルは上昇したがっている』と見て取れます。片山財務相は相変わらず、『必要ならば断固とした措置を取る。これまでとスタンスは何ら変わっていない』と、同じ文言を繰り返しています。不気味なのは、介入の指揮を執る三村財務官が何も言葉を発していないことです。以前に、『(私が)発言して(投機筋に)ドルを安く買わせることになるから、発言しない』と述べていましたが、どうやら実践しているようです・・・」と、介入に触れました。
さて、この後の展開をどのように読むのかが重要になります。結論から言えば、「状況は何も変わっていない」ということです。イラン戦争の終結が見通せないことで、ホルムズ海峡でのリスクは継続中です。米国のインフレ懸念は残り、前日のFOMCでFRBが政策金利の据え置きを決めた後でも、米長期金利は思った程低下していません。円高が大きく進んだ昨日のNY市場でも同金利はほぼ横ばいです。現時点のシナリオでは、FRBは年内最低でも1回の利上げを実施することが予想されます。そして、高市政権による「責任ある積極財政」政策は変わりません。高市首相は30日、来年4月から2年間、飲食料品の消費税率を現行の8%から1%に引き下げる意向を正式に表明しました。財源は赤字国債に頼らない方針のようですが、財源の具体的な案は示されていません。好調な所得税と法人税の増加を見込んでいると思われますが、このまま景気が右肩上がりに伸びることを前提としているようで、赤字国債の発行なしでしのげるか不安は残ります。さらに、税率は2年後には「私が責任をもって確実に元に戻す」と明言していました。そもそも、失礼ながら高市氏が2年後も首相でいる保証はありません。そして、一度引き下げた消費税率を元に戻すのは簡単ではないと思われます。国民が1%の税率に慣れてしまい、元に戻す際には大反対が起こると予想され、それを「公約」だからと言って強行すれば「議席」にも影響することは必至でしょう。加えて、熊本で再び起きた震度7を超える地震の影響で、政府は災害対策に予算を計上する可能性が高いと思われ、これは債券の売り圧力になります。毎朝、早い時間に通信社の記者と会話を行っていますが、今週月曜日に、「円高にするには、介入以外に何がありますかね?」という話になった時、半分冗談で「高市首相が辞任すれば、かなり円高に振れるよ」と返答しました。相手も納得した様子でした・・・。
前回の介入で5円程円高に振れたドル円は、およそ1ヶ月で元の水準に戻りました。今回も状況が変わっていないことを考えると、同じような展開が予想されますが、この辺りの状況は当局も十分承知していると思われ、「追い打ちをかけるような二次攻撃」もないとは言えません。また、本日の植田総裁も会見で、市場が予想しているよりも早期の利上げを示唆する可能性もあります。いずれにしても、状況は変わっていない中、日米当局の動きに十分目配せすることが肝要です。今日は片山財務相の談話もあるかもしれませんが、介入に関しては「ノーコメンント」を決め込むかもしれません。それでも来週になれば、資金の動きで判明します。
本日のドル円は159円〜161円50銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/29 | FOMC声明文 | 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 | ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。 |
| 7/29 | ウォーシュ・FRB議長 | 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 | 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。 |
| 7/23 | ラガルド・ECB総裁 | 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 | ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。 |
| 7/16 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 | -------- |
| 7/14 | ウォーシュ・FRB議長 | 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 | -------- |
| 7/13 | ウォラー・FRB理事 | 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 | 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。 |
| 7/9 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 | -------- |
| 7/1 | ウォーシュ・FRB議長 | 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 | -------- |
| 6/17 | ウォーシュ・FRB議長 | FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 | -------- |
| 6/17 | FOMC声明文 | 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 | -------- |
| 6/17 | 内田・日銀副総裁 | 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 | -------- |
| 6/11 | ラガルド:ECB総裁 | 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 | -------- |
| 6/9 | 片山・財務大臣 | 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 | -------- |
| 6/4 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 | -------- |
| 6/4 | デーリー・SF連銀総裁 | 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 | -------- |
| 6/3 | 植田・日銀総裁 | 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 | ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。 |
| 6/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 | -------- |
| 6/3 | ローガン・ダラス連銀総裁 | (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 | -------- |
| 6/2 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



