今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米7月のPCE価格指数上振れ」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 7月のPCE価格指数がやや上昇していたことでドル円は159円44銭まで買われる。米国では依然としてインフレ懸念が根強く、利上げ観測も払拭できず。
  • ドルが買われユーロが売られたものの、ユーロドルは依然として1.16台を維持。
  • 株式市場では、米金利が上昇したことで3指数が揃って小幅に下落。引け後に発表されるエヌビディアの決算発表待ち。
  • 債券は売られ、長期金利は4.64%台に上昇。
  • 金は続落し、原油も小幅安。
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4−6月GDP(改定値) → 1.5%
7月個人所得 → 0.4%
7月個人支出 → 0.2%
7月PCEデフレータ(前月比) → 0.2%
7月PCEデフレータ(前年比) → 3.7%
7月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.2%
7月PCEコアデフレータ(前年比) → 3.3%
7月耐久財受注 → 1.1%
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ドル/円 158.93 〜 159.44
ユーロ/ドル 1.1642 〜 1.1675
ユーロ/円 185.37 〜 185.75
NYダウ −113.52 → 53,463.88ドル
GOLD −41.20 → 4,653.30ドル
WTI −0.13 → 82.23ドル
米10年国債 +0.018 → 4.647%

本日の注目イベント

  • 豪 豪4−6月期民間設備投資
  • 日 氷見野日銀副総裁、埼玉県金融経済懇談会で講演
  • 独 独9月GFK消費者信頼調査
  • 欧 ECB議事要旨
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 加 カナダ4−6月期経常収支

本日のコメント

ジャクソンホール会合でのアジェンダが概ね分かってきました。注目されるウォーシュFRB議長は、日本時間28日の午後11時から講演することになりました。ただ、ウォーシュ氏はこれまで過剰なフォワードガイダンスには否定的な立場を示してきただけに、どの程度今後の金融政策の方向性についてのヒントを与えてくれるのかは不透明です。市場が期待するほどの明確なメッセージが得られない可能性もありそうです。一方、植田日銀総裁は同会合を欠席することが決まっています。ただ、その理由は6月に患った「肝嚢胞感染症」のためではなく、8月31日から9月1日に米アシュビルで開かれる「G20財務相・中央銀行総裁会議」に出席するからだとのことです。植田総裁の代わりには田村審議委員が出席するようです。

「米7月のPCE価格指数」が市場予想を上回り、米国では依然としてインフレ懸念が払拭できません。筆者は、年内少なくとも1回の利上げ予想を維持していますが、イラン戦争の影響により原油価格の高止まりや、膨大な戦費の拡大など、今後のインフレ率を押し上げる種は育っていると見ています。ドル円は東京時間ではドルの上値が重く158円台まで押し戻されますが、海外市場では再びドルが買われ159円台で戻って来る展開が続いています。今朝も通信社の記者と話しましたが、「ジャクソンホールでのFRB議長の発言が無風であったら、しばらく動く材料が見当たらない」と嘆いていました。「米ワイオミング州で27−29日、ジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)が開催される。各国の中央銀行当局者は、世界経済が新たな脅威に直面する中、世界的にインフレへの認識が見直され、借り入れコストが上昇する可能性を強調するとみられる」(ブルームバーグ)との見方が、市場の一般的な予想のようです。ドル円は、先日も触れましたが、ドルの上値は一目均衡表(日足)の基準線がある159円61銭近辺で完全に抑えられており、下値は旺盛なドル需要が158円半ば近辺でドルの下落を止めている状況が続いています。

先週、トランプ政権が国際刑事裁判所(ICC)の赤根所長などを制裁対象にすることを発表し驚きましたが、赤根氏は昨日オンラインで記者会見を行いました。「正義は常にその対極にあるものに優越する。信念を貫く。ICCが無くなれば、力の支配が法の支配を駆逐していく過程に入ってしまう」と、法の支配の危機を訴えていました。赤根氏はその上で、「そうなると日本国内でも、強い国に従っていればよいという空気がはびこる危機が起こる」ことを懸念し、「戦争犯罪などを捜査・訴追できる国がない場合、最後の砦となるのがICC。被害者にとっては最後の希望だ」と主張していました。米国の制裁発動により、赤根氏はすでにクレジットカードが使用できないなど、日常の生活に支障が出ているそうですが、(他の加盟国が)「米国の運動に負けて退場を決めないよう注力してほしい」と、日本政府にも要望していました。

マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏は26日、自身のウェブサイトで、「AIはこれまで発明されたものの中で最大の格差是正手段になるか、最悪の不公正をもたらすかのどちらかだ」と記し、「強力なAI技術が取り返しのつかない危害をもたらす前に、各国政府は直ちに規制に向けた措置を講じるべきだ」と訴えています。また、ロイター通信は、「ビル・ゲイツ氏は11月に予定されている中国訪問の際、習近平国家主席との会談を実現するため調整を進めている」と報じています。ゲイツ氏はロイターとのインタビューで、「米国が先に行動を起こせば、中国も潜在的に危険なAIモデルの公開を制限することに同意する可能性があるとの見方を示した」と伝えていました。

本日のドル円は158円60銭〜159円90銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/13 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 --------
8/13 ハマック・クリーブランド連銀総 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 --------
8/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
7/29 FOMC声明文 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。
7/29 ウォーシュ・FRB議長 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。
7/23 ラガルド・ECB総裁 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。
7/16 ローガン・ダラス連銀総裁 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 --------
7/14 ウォーシュ・FRB議長 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 --------
7/13 ウォラー・FRB理事 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。
7/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 --------
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和