「米8月の雇用統計、NFPは16.2万人増加」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 「米8月の雇用統計」は、大きく上振れしたものの、ドル円は156円台前半まで円売りが進んだが限定的。良好な労働市場が示唆された割には、円は比較的堅調に推移。
- ユーロドルは依然として1.16を挟む展開が続く。
- 株式市場では3指数が揃って下落。「雇用統計」を受け、米金利が上昇したことで売りが優勢な展開。
- 債券は売られ、長期金利は4.78%台まで上昇。
- 金は反落し、原油は小幅ながら5日続伸。
8月失業率 → 4.1%
8月非農業部門雇用者数 → 16.2万人
8月平均時給 (前月比) → 0.3%
8月平均時給 (前年比) → 3.1%
8月労働参加率 → 61.6%
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| ドル/円 | 155.36 〜 156.29 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1585 〜 1.1627 |
| ユーロ/円 | 180.50 〜 181.49 |
| NYダウ | −271.86 → 53,414.25ドル |
| GOLD | −63.30 → 4,476.25ドル |
| WTI | +0.18 → 91.48ドル |
| 米10年国債 | +0.014 → 4.782% |
本日の注目イベント
- 日 7月景気先行指数(CI)(速報値)
- 日 7月景気一致指数(CI)(速報値)
- 中 中国8月外貨準備高
- 独 独7月貿易収支
- 独 独7月鉱工業生産
- 欧 ユーロ圏4−6月期GDP(確定値)
- 米 NY休場(レーバーデー)
本日のコメント
「米8月の雇用統計」では、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比「16.2万人」の増加と、市場予想の「5.5万人の増加」を大きく上回っていました。また、7月分は「マイナス2.3万人」から「2.1万人の増加」、さらに6月分も「2.3万人の増加」から「3.1万人の増加」へと、いずれも上方修正されました。失業率は「4.1%」で、予想通りでした。今回の統計は、イラン戦争を巡る不透明感やインフレ圧力にもかかわらず、労働市場が堅調さを維持していることを示唆しています。NFPの速報値はほぼ毎回修正される状況になっているため、単月で労働市場の動向を判断することは危険です。そのため、直近3カ月平均で動向を見極める方が、より実態に近い判断が出来ると思われます。今回の結果では、直近3カ月平均が「約7.1万人」となり、まずまずの巡行速度を保っていると考えられます。ただ良好な結果の割には、米長期金利の上昇は限定的で、その結果ドル円での円売りも目立った動きにはなっていません。好調な「雇用統計」の結果を受け、今月の会合でのFRBによる利上げ確率は5割程度から6割程度に上昇しましたが、11日(金)発表の「8月の消費者物価指数(CPI)」が、その最後のカギを握ることになります。
トランプ大統領は、同日発表された「米8月の雇用統計」が市場予想を上回る内容となったことを受け、ソーシャルメディアへの長文投稿で、FRBに対する利下げ圧力を強めています。「FRBが行動しなければ、対米黒字国・地域との貿易を打ち切る」と警告しました。トランプ氏は投稿で、自ら指名したウォーシュFRB議長を「素晴らしい」と評した上で、同議長や理事らに「賢くなれ」、「たまには愛国者になれ」と強く求めていました。さらに、「金利を引き下げろ。さもなければ、米国は対米黒字国との貿易を停止する」と書き込み、「高金利は米国を非常に不公平な立場に置いている。私はそんなことを許さない!」と投稿しました。ブルームバーグは、「トランプ氏は自身の従来の関税措置を無効とした米連邦最高裁判所について、そうした措置をとる大統領の権限を認めたと主張した。ただ、実際に貿易停止措置に踏み切れば、法廷闘争に発展するのはほぼ確実とみられる。こうした措置が米国の借り入れコスト低下にどうつながるのかは不明だ」と論じています。これで、仮に今週末のCPIが上振れすれば、FRBによる利上げも視野に入ることになります。そうなれば、良好な関係にも見えるトランプ氏とウォーシュ氏との間にもいよいよヒビが入ることになるでしょう。
米軍は、イラン革命防衛隊が米海軍の艦船2隻に向けて弾道ミサイルを発射したことへの報復として、イランの原油タンカー3隻を攻撃したと発表しました。米中央軍が5日遅くにXに投稿した内容によると、攻撃を受けたタンカーのうち1隻はオマーン湾で沈没した模様です。中央軍のクーパー司令官は投稿で、「革命防衛隊へのメッセージを明確にしておきたい。われわれの艦船2隻を攻撃すれば、そちら側の3隻を排除する。われわれはより大きな経済的代償を科す」と表明しました。トランプ大統領も、数カ月に及ぶイランとの戦争の終結に苦戦する一方、同国経済を締め上げたいとの考えを示しており、4日には、この戦争について「取るに足らないことだ」と述べていました。米国とイランとの戦争は終結どころか、ますます激化しているようにも見えます。トランプ氏の放った、「これまでに見たこともない大規模な攻撃を行う」、「イランを石器時代に戻す」、そして、「イランという国がなくなる」といった「数々の脅し」にも、イランは慣れてきたのかもしれません。
本日の日経新聞では、「超円安、転換の岐路」と題して、どちらかと言えば、150円に向かうという論調の記事を掲載しています。その根拠が、「日銀の利上げ加速」、「GPIFの国内債買い増し」、「米利上げ観測後退」、そして、「キャリー取引の縮小」を挙げていました。この4つの材料が重要なことは理解できますが、これら4つが全て「円買い方向に振れる」ことを前提としており、やや極論かと受け止めています。155円が「岐路」であることに異論はありませんが、4つ全て円高方向にころぶ可能性は低いと思われます、とりわけ、日銀の「積極的な利上げスタンスへの転換」には不透明感があります。今月の利上げはほぼ100%に近いと思いますが、10月の連続利上げは、現政権下では簡単ではありません。2027年度には143兆円という大規模な積極財政を計画していますが、その効果を削ぐ可能性があり、さらに、見込まれる税収にも影響を与えるのではないかと思われます。
本日のドル円は155円30銭〜157円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 | -------- |
| 9/2 | 高田・日銀審議委員 | (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 | ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。 |
| 9/1 | バー・FRB理事 | 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 | -------- |
| 8/28 | ウォーシュ・FRB議長(ジャクソンホールでのシンポジウムで) | 「インフレ率を2%の目標に戻す」、「私の判断基準はこうだ。基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」、「やるべきことがある」、「私はきょう、特定の政策決定ではなく、規律を重んじる決意を持ってここに立っている」と述べ、さらに、「インフレ率が2%を上回っている中、FRBは現時点で、最大の重点を物価に置くべきだと」 | ドル円は159円台半ばから160円20銭まで上昇。米金利高、株安が進む。 |
| 8/27 | ベッセント:財務長官(介入に対するウォーレン上院議員への回答で) | 「日本は米国債の主要な保有国だ」、「円相場が無秩序な動きとなれば、ポジションの強制的な巻き戻しを引き起こす。そうなれば、世界の市場を不安定化させ、最終的には米国の家計や企業の借り入れコストを押し上げる可能性がある」 | -------- |
| 8/13 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 | -------- |
| 8/13 | ハマック・クリーブランド連銀総 | 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 | -------- |
| 8/12 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 | -------- |
| 8/11 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 | -------- |
| 8/5 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 | -------- |
| 8/5 | クック・FRB理事 | 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 | -------- |
| 8/4 | ベッセント・財務長官 | 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 | -------- |
| 8/3 | ベッセント・財務長官 | (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 | -------- |
| 8/3 | 片山・財務相 | (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
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・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
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