「ドル円一時155円まで上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は155円まで続伸。米金利が上昇し、原油価格も上昇したことでドルが買われた。
- ユーロドルでもドル高が進み、ユーロは1.1523まで下落。
- 株式市場では金利高が嫌気され3指数が揃って反落。
- 債券は続落。長期金利は一時5%台を突破し、5.01%まで上昇。
- 金は反落し、4400ドル台を割り込む。原油価格は、サウジがペルシャ湾から紅海に抜けるパイプラインでの輸送を停止していたことで104ドル台まで上昇する場面も。
| ドル/円 | 153.98 〜 155.00 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1523 〜 1.1563 |
| ユーロ/円 | 177.95 〜 178.67 |
| NYダウ | −152.09 → 52,421.20ドル |
| GOLD | −57.00 → 4,351.90ドル |
| WTI | +1.34 → 101.39ドル |
| 米10年国債 | +0.021 → 4.987% |
本日の注目イベント
- 中 中国8月小売売上高
- 中 中国8月鉱工業生産
- 独 独9月ZEW景気期待指数
- 欧 ユーロ圏7月貿易収支
- 英 英8月失業率
- 米 9月NY連銀製造業景況指数
本日のコメント
日本を含め、世界的に金利上昇が続いています。イラン戦争の収束が見通せず、原油価格が再び上昇基調を強めていることが主因ですが、加えて米国では先週テキサス州ダラスで行われた「共和党大会」で、トランプ大統領が成人全員に5000ドル(約77万円)の「トランプ配当」を給付すると発言したことも債券売りにつながったようです。給付には「共和党が勝利したら」という条件が付いていたものの、実現性は低いとみられますが、もし実現したら総額では180兆円になるとの報道もあります。日本の2027年度の国家予算の概算が143兆円であることを考えると、その金額の大きさが理解できます。米長期金利は昨日のNYでは5%の大台に乗せ、一時は、およそ3年ぶりとなる「5.01%」まで上昇しました。今週のFOMCでの利上げを織り込む動きになっています。もっとも、昨日の日本の債券市場でも10年債が売られ、再び「3%」の大台に乗せる場面がありました。
アンソロピックやオープンAIなどのAI開発企業が、業界全体でAI開発を減速させるよう求め、トランプ政権と対立しています。こうしたAI開発企業や、いわゆる「GAFA」などは、巨額の投資を計画しており、AI開発の減速はそれ自体米景気の動向に大きな影響を与えることにもなることから、こうした呼びかけはすでにハイテク株の売りを招いており、世界的なデータセンター建設ブームの持続性にも疑問を投げかけています。ブルームバーグによると、アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは12日、3800語に及ぶ声明を発表し、AIが人間の制御を離れて壊滅的な被害をもたらすのを防ぐため、最先端システムの開発ペースを落とす必要があると訴えました。また、オープンAIのサム・アルトマンCEOとスペースXAIのイーロン・マスクCEOも、この主張に賛同しています。マイクロソフトは「AIより人間が重要」とする「新原則」を発表し、慎重なAI開発姿勢で足並みを揃えています。これに対し、トランプ大統領は14日、アモデイ氏を批判し、AI技術への新たな規制に反対する姿勢を強めています。トランプ氏はSNSへの投稿で、AIデータセンターに対する有権者の反発や最先端モデルを巡る懸念の高まりを「病的な陰謀」と一蹴し、「これを喜んでいるのは中国だけだ」と付け加えました。アモデイ氏は論考で、AIの能力向上を遅らせても、必ずしも支出や成長の鈍化につながるわけではないと強調しています。一方、ウォール街では、アンソロピックとオープンAIによる記録的規模となり得る新規株式公開(IPO)への期待も高まっており、公開が実現すれば、公開を主導した幹事会社には数十億円という手数料がもたらされることになります。
先週金曜日に発表されたCFTCにおける投機筋の円ポジションは、ネットで「1万796枚の円買い」でした。これは今年2月以来のこととなり、投機筋は今後「ドル円が下落する」と予想し、ネットで「ドル売り・円買い」に転じたことを表しています。もっとも、彼らの見通しが必ずしも当たっているわけでもなく、近い内にそのポジションを再び転換してくることも考えられます。翻って見れば、今月3日には、朝方からドルが緩やかに下落し、その日の夜には3円以上も円高に振れた動きがありました。(参照:9月4日付け「アナリストレポート」)特にドルが売られる材料もない中、158円台後半から155円台前半までドルが下落しています。この動きの背景に、上記投機筋のドルロングの解消があったとしても不思議ではないし、むしろ納得できるのではないかと思います。「ドルショート・円ロング」は言うまでもなく、金利が逆転していることから、よほど円高が進むと確信できる状況がないとキャリーできないことになります。過去の歴史を観ても、ドルショートで、円ロングがキャリーされる期間はその逆のポジションに比べ、圧倒的に保有期間が短いことが理解できます。
本日のドル円は153円50銭〜155円30銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 9/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 | -------- |
| 9/2 | 高田・日銀審議委員 | (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 | ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。 |
| 9/1 | バー・FRB理事 | 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 | -------- |
| 8/28 | ウォーシュ・FRB議長(ジャクソンホールでのシンポジウムで) | 「インフレ率を2%の目標に戻す」、「私の判断基準はこうだ。基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」、「やるべきことがある」、「私はきょう、特定の政策決定ではなく、規律を重んじる決意を持ってここに立っている」と述べ、さらに、「インフレ率が2%を上回っている中、FRBは現時点で、最大の重点を物価に置くべきだと」 | ドル円は159円台半ばから160円20銭まで上昇。米金利高、株安が進む。 |
| 8/27 | ベッセント:財務長官(介入に対するウォーレン上院議員への回答で) | 「日本は米国債の主要な保有国だ」、「円相場が無秩序な動きとなれば、ポジションの強制的な巻き戻しを引き起こす。そうなれば、世界の市場を不安定化させ、最終的には米国の家計や企業の借り入れコストを押し上げる可能性がある」 | -------- |
| 8/13 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 | -------- |
| 8/13 | ハマック・クリーブランド連銀総 | 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 | -------- |
| 8/12 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 | -------- |
| 8/11 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 | -------- |
| 8/5 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 | -------- |
| 8/5 | クック・FRB理事 | 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 | -------- |
| 8/4 | ベッセント・財務長官 | 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 | -------- |
| 8/3 | ベッセント・財務長官 | (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 | -------- |
| 8/3 | 片山・財務相 | (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



