FX 分析|FXアナリストによる今日のアナリストレポート「米中貿易懸念やや後退しドル円続伸」|外為オンライン

今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年5月22日(水) 「米中貿易懸念やや後退しドル円続伸」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は続伸し2週間ぶりとなる110円67銭まで上昇。米商務省がファーウェイへの輸出措置を緩和させたことで、米中貿易を巡る緊張が和らいだことが材料に。
  • ユーロドルは1.1147まで小幅に下落したものの、ポンド安につられ反発する場面も。
  • メイ首相が2度目の国民投票を行うことを提案したことで、ポンドドルは1.28台まで急上昇。ただその後は懐疑的な見方に押され、上昇分を吐き出す展開に。
  • 株式市場は大幅に反発。米中貿易懸念がやや後退したことで前日大きく売られたアップルなどハイテク株が上昇。ダウは197ドル上昇し、ここ2日間の下げを埋める。
  • 株価が上昇したことで債券相場は下落。長期金利は2.42%台まで上昇。
  • 金と原油はともに反落。
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4月中古住宅販売件数 → 519万件
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ドル/円 110.41 〜 110.67
ユーロ/ドル 1.1147 〜 1.1188
ユーロ/円 123.08 〜 123.75
NYダウ +197.43 → 25,877.33ドル
GOLD −4.10 → 1,273.20ドル
WTI −0.11 → 62.99ドル
米10年国債 +0.011 → 2.426%

本日の注目イベント

  • 日 4月貿易収支
  • 欧 ドラギ・ECB総裁講演
  • 英 英4月消費者物価指数
  • 米 FOMC議事録(4月30日−5月1日分)
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
  • 加 カナダ3月小売売上高

ドル円は110円台半ばをしっかりと抜け、一時は5月7日以来2週間ぶりとなる110円67銭までドルが反発してきました。株価が大幅に上昇し、先週は2.37%台まで低下した米長期金利も続伸し、2.42%台まで上昇してきたことで低金利の円が売られた格好です。122円割れ目前の水準まで売られたユーロ円も、123円台後半まで円安が進みました。

材料になったのが、昨日米商務省が発表したファーウェイに対する米製品禁輸措置の一部緩和でした。米商務省は、同社製品を使っている一部の米企業に「90日間の執行猶予」を与えると発表したことで、米中貿易懸念がやや後退しました。前日大きく売られたアップルなどのハイテク株が、この日は買い戻され、ダウを200ドル近く押し上げる原動力になりました。ただこの措置は一時的なもので、行き詰まりの見える米中通商協議の根本的な打開にはつながりません。

中国共産党機関紙、人民日報系の「環球時報」で編集長を務める胡氏は、「米国の不合理な態度を見ると、米国は貿易合意成立を急いでいないと中国側は考えるしかない。ならばそれを長引かせようというのが、中国の結論だ。米国側は神経衰弱に陥るだろう」と、ツイートしています。一方で中国の崔天凱駐米大使は21日、FOXニュースとのインタビューで、「中国は引き続き交渉継続の用意がある」と述べています。(ブルームバーグ)米中通商問題を巡っては連日この欄でも触れていますが、米国側の要求が中国の基本的な体制にも関わってくることから、中国がこれまでの柔軟な態度を硬化させてきたと見られます。またこの問題は今後の米中の軍事力や情報力などの世界制覇にも関わってくるため、米国の貿易赤字を解消すればいいという簡単な問題ではなく、「新冷戦」は長く続きそうです。

ドル円は110円台半ばを抜けたことで、「4時間足」までの短いチャートでは上昇傾向が鮮明です。109円割れ目前まで売られたドル円でしたが、米中通商協議が行き詰まりを見せる中で、健闘していると言えます。このところの動きを見ていると、昨日のように「好材料には素直に反応し、悪材料には耐える」といった傾向があるように思えます。このような状況では、相場そのものに「上に行きたい」というバイアスがかかっているものと思いますが、どうでしょうか。本日も日本株の上昇に合わせて、ドル円がNYの高値を抜けるかどうかが一つのポイントです。抜けた場合には「日足」の雲の下限と「120日線」が集まっている、110円70−75銭辺りが最初のレジスタンスと見ます。110円70銭〜111円辺りが抵抗帯と言えるでしょう。下方では、110円30−40銭が軽いサポートで、その下は110円−110円10銭辺りです。従って、本日の予想レンジは110円10銭〜110円80銭といったところでしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
4/23 トランプ・米大統領 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 --------
4/25 日銀金融政策決定会合 「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」 ドル円111円台後半から売られる。
4/30 トランプ・米大統領 「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策と取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した」「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」 --------
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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