今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「戦争はほぼ終結?」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 東京時間に158円90銭前後まで買われたドル円は反落。トランプ大統領の「戦争はほぼ終結」との発言で原油価格が大きく下げ、円の買い戻しが活発となり157円台半ばまで下落。
  • ユーロドルも反発し、1.1638まで上昇。
  • トランプ大統領が「戦争はほぼ終結」と発言したことで、朝方売られていた株式は急反発。ダウは239ドル上げ、ナスダックも308ポイント上昇。
  • 債券は反落。長期金利は4.1%台を割り込む。
  • 金は反落。昨日早朝から急騰していたWTI原油価格は120ドル近辺まで上昇した後急落。G7が戦略石油備蓄の協調放出を検討するとの報道に加え、トランプ氏の発言が原油価格を押し下げた。
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2月NY連銀インフレ期待 → 3.00%
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ドル/円 157.64 〜 158.59
ユーロ/ドル 1.1548 〜 1.1638
ユーロ/円 183.04 〜 183.48
NYダウ +239.25 → 47,740.80ドル
GOLD −55.00 → 5,103.70ドル
WTI +3.87 → 94.77ドル
米10年国債 −0.042 → 4.096%

本日の注目イベント

  • 豪 豪3月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 豪 豪2月NAB企業景況感指数
  • 日 10−12月GDP(改定値)
  • 中 中国2月貿易収支
  • 米 2月中古住宅販売件数

本日のコメント

「戦争はほぼ終わった」・・・・。昨日朝方のアジア市場から始まった金融・商品市場の大混乱は、この一言で落ち着きを取り戻しました。トランプ大統領がCBSニュースとの電話インタビューで、「戦争はほぼ完了していると思う」と述べたことがきっかけでした。言いたいことをそのまま口にする、人騒がせなトランプ氏の言葉、どこまで信じていいのかわかりませんが、市場はひとまず巻き戻しの動きを見せました。

足元の動きは、日米金融当局の政策の方向性でも、ましてや日米金利差でも、労働市場の鈍化でもなく、原油価格の動向がその動きを決定しています。WTI原油価格は昨日の朝方から急騰し、これを横目に日経平均株価は急落。ドル円も「油に弱い日本」を材料に円売りが加速し、昼過ぎには158円90銭近辺まで円安が進みました。このままでは159円台は必至と予想していましたが、その後「G7はエネルギー市場の状況と動向を引き続き注意深く監視し、情報交換およびG7内や国際的パートナーとの協調のため、必要に応じて会合を開く」との声明が発表され、「備蓄放出などを通じた世界的なエネルギー供給の支援を含め、必要な措置を講じる用意がある」との報道が伝わったことで、ドル円は上げ幅を縮小しました。各市場は最安値からはやや値を戻したものの、「円安、株安、債券安」という「トリプル安」で東京市場はこの日の取引を終えました。しかし海外市場では、上記トランプ氏の一言で急激な巻き戻しが起きました。

トランプ氏はフロリダ州で「イスラエルのパートナーとともに、われわれは圧倒的な技術力と軍事力を示し、敵を打ち砕いている」とし、「イランの無人機とミサイル能力は完全に破壊されつつある。海軍は壊滅した」と話していましたが、一方でトランプ氏は、イランの指導部を巡って未解決の疑問が残っていることを認め、「敵が完全かつ決定的に打ち負かされるまで手を緩めることはない。われわれは多くの面で既に勝利しているが、十分に勝ったわけではない」とも指摘。「この長年にわたる脅威を最終的に終わらせる究極の勝利を達成するため、これまでにも増して強い決意で前進する」と語っていました。ブルームバーグは、「これらの発言は、トランプ氏が直面する今後の課題を浮き彫りにするものだ。全面的な勝利を約束してきた姿勢と、経済的・政治的帰結をどう両立させるかが問われる。大統領は議員との会合後、9日夕に記者会見を開き、その後ワシントンに戻る予定だ」と伝えています。一時119ドル48セントまで急騰したWTI原油価格は巻き戻しが急激に進み、NY市場では81ドル台(32%)まで急落する場面もありました。CBSとの電話インタビュー発言が報じられる前、トランプ氏は米紙NY・ポストとのインタビューでは、「私にはある事態に対応する計画がある」と、原油価格の上昇について言及し、「きっと満足してもらえるだろう」と述べていました。

ひとまず「暴騰」は避けられた原油価格ですが、それでも足元では90ドル前後で推移しています。フランスのマクロン大統領は、中東での戦況が落ち着いた後、ホルムズ海峡の再開を目指し、コンテナ船を護衛する共同の海上任務を立ち上げたい考えを示しました。マクロン氏はキプロスのパフォス空軍基地で記者団に対し、「欧州諸国および欧州以外の国とともに、純粋に防衛的な任務を設け、コンテナ船やタンカーを護衛する計画だ」と述べ、「紛争の最も激しい局面が過ぎた後に、段階的にホルムズ海峡を再開することが狙いだ」と説明しました。ブルームバーグは、「サウジアラビア産原油100万バレルを積んだタンカーが、ここ数日内にホルムズ海峡を通過していたことがわかった。同海峡の航行がほぼ停止して以来、ペルシャ湾を出た最初の大型タンカーの一つだ。ギリシャのダイナコム・タンカーズ・マネジメントが運航するタンカー『シェンロン』は4日、位置情報を発信する信号装置であるトランスポンダーを切った状態で、ホルムズ海峡へ向かって航行していた。同タンカーは9日朝、インド沿岸付近で信号を発信し始めた。米国とイスラエルがイランとの戦争を開始して以降、同海峡の通航は激減しており、航行中の船舶はイランの攻撃を受けている」と報じ、そんな中、トランスポンダーをオフにしながらも、大型タンカーが同海峡を通過したことが確認されています。今朝の報道では、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」は、イスラエルと米国の大使を国外退去させたアラブ諸国と欧州諸国に対し、ホルムズ海峡の自由な航行を認める方針を明らかにしています。革命防衛隊の声明を引用し、政府系のISNAは、「革命防衛隊はイスラエルと米国の大使を国外退去させたアラブや欧州の国は、明日からホルムズ海峡の完全な通行権と航行の自由が認められる」との声明を発表しました。ただ、それ以上の詳細は明らかにしていません。朝方の取引で、WTI先物は87ドル台まで下落しています。

本日のドル円は156円50銭〜158円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 --------
3/3 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 --------
3/3 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 --------
3/2 氷見野・日銀副総裁 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 --------
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「予測されているようなインフレの進展が確認できている限り、年内に金利をあと数回引き下げることが可能との自信をある程度持っている。インフレがわれわれの望む水準に戻りつつあるという証拠が実際に得られる前に、利下げをあまり前倒しで進めたくない」 --------
2/26 高田・日銀審議委員 「既に賃金と物価が上がらないというノルムは解けており、物価安定の目標実現がおおむね達成した局面」、「日本経済は真の夜明けが視野に入った」とし、「金融政策は幅広いデータや情報から緩和度合いを丁寧に確認しながら、「段階的にギアシフトを行っていく途上にある」、(先行きは海外を中心に物価上昇要因が生じた場合)、「日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」 ドル円156円台前半から155円70銭まで下落。
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (連邦最高裁がトランプ大統領による広範な関税措置の多くを無効とした判断について)、「企業にさらなる不確実性をもたらす恐れがある一方で、インフレ抑制につながる可能性もあると」 --------
2/24 コリンズ・ボストン連銀総裁 「労働市場は、少なくともある種の異例な安定性の兆しをさらに示している」、「インフレ率が2%に向けて低下していることを示すさらなる証拠が必要だ」、「現行レンジをしばらく維持することが適切となる可能性はかなり高いと考えている。過去1年半で175ベーシスポイントの緩和を実施し、現在は緩やかな景気抑制的水準にあり、おそらく中立にかなり近い水準にすでに達している」 --------
2/17 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「サービス分野のインフレ率が依然として高止まりしている」、「関税に伴う価格上昇が一時的なものであれば、政策当局に行動の余地が生まれる可能性がある」、「これが一時的なものであり、インフレ率が2%へ戻る道筋にあることが確認できれば、2026年に追加利下げが複数回実施される可能性があると考えている。ただ、それを見極める必要がある」 --------
2/11 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 --------
2/10 ローガン・ダラス連銀総裁 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 --------
2/10 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 --------
2/5 ECB声明 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 --------
2/5 ラガルド・ECB総裁 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 --------
2/3 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 --------
2/3 ミラン・FRB理事 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 --------
2/2 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和