今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米5月のADPは12.2万人増加」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 昨日の夕方、植田日銀総裁の講演内容に反応し、159円30銭前後まで下げたドル円だったが、その後急反発し、NYでは160円09銭まで上昇。イラン情勢の不透明さに加え、米経済指標も良好。米金利高がドルを押し上げる。
  • ドル高の流れからユーロドルは1.16台を割り込む。
  • 株式市場では3指数が揃って下落。連日最高値の更新が続いており、上昇も一服。ダウは620ドル下げる。
  • 債券も売られ、長期金利は4.46%近辺まで上昇。
  • 金は反落。原油は3日続伸し、96ドル台に。
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5月ADP雇用者数 → 12.2万人
5月ISM非製造業景況指数 → 54.5
5月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 50.7
5月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 51.5
4月製造業受注 → 4.8%
4月耐久財受注 → 8.0%
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ドル/円 159.82 〜 160.09
ユーロ/ドル 1.1575 〜 1.1618
ユーロ/円 185.44 〜 185.75
NYダウ −620.72 → 50,687.07
GOLD −53.00 → 4,466.90ドル
WTI +2.26 → 96.02ドル
米10年国債 +0.051 → 4.459%

本日の注目イベント

  • 豪 豪4月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏4月小売売上高
  • 英 ベイリー・BOE総裁講演
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演

本日のコメント

米国とイランが夜間に再び交戦し、4月上旬の停戦発効後で最も深刻な衝突に発展したようです。戦闘の余波はクウェートとバーレーンにも及んでいます。レバノンではイスラエルが親イラン武装組織ヒズボラへの軍事作戦を続けており、ここ数日で中東情勢の緊張は再び高まっています。米国とイランは停戦を2カ月延長し、ホルムズ海峡の通航を再開するための大枠で合意してはいるものの、こうした動きは、両国による暫定的な和平合意に向けた協議が頓挫しかねないとの懸念を強めるもので、停戦合意に向けてトランプ大統領が常に楽観的な見方を示していますが、交渉は長引いています。

米軍は2日、イランに向かっていた空の石油タンカーを攻撃した直後、ミサイルとドローンによる攻撃を受けたと発表しました。イランは、バーレーンにある米海軍第5艦隊司令部と、クウェートのアリ・アル・サレム空軍基地を標的にし、クウェートの民間空港への別の攻撃では少なくとも1人が死亡。空港は大きな被害を受け、数時間にわたり発着停止となったようです。米国によると、イランは商船に対してもドローン攻撃を仕掛けたとのことで、これを受けて米軍は、ホルムズ海峡近くのゲシュム島にある通信塔を攻撃したと発表しています。ルビオ国務長官は3日、下院外交委員会での証言で、商船を狙ったイランのドローンを米軍が撃墜していると説明。「イランは報復として域内の施設を標的にするだろう」としたうえで、「米軍部隊を守るため、ドローンを撃墜するだけでなく、その発射に関与した人員を攻撃することもある」と語っています。一方、イラン外務省は、イランのタンカーとケシュム島への米軍の攻撃はクウェートとバーレーンから実施されたと主張し、両国の指導者には米国の行動に対する「直接的かつ明白な責任」があると非難するなど、やや泥沼化してきた印象です。

これら一連の動きを受け、「ホルムズ海峡の再開につながる和平合意の実現に懐疑的な見方が広がった」(ブルームバーグ)ことで、原油価格は3日続伸。WTI原油価格は一時97ドル台まで上昇し、96ドル台で取引を終えています。先週には87ドル台まで下がったWTIでしたが、再び上昇してきました。石油に詳しい専門家が「イラン戦争が終結しても、原油供給が元の水準に戻るのは2027年」と述べていたことが、現実味を帯びてきたとも言えそうです。米エネルギー情報局が発表した在庫統計によれば、主要な原油貯蔵拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は6週連続で減少し、約2200万バレル。市場で最低水準と見なされる2000万バレルに近づいたとのことです。

ダラス連銀のローガン総裁は3日テキサス州の講演で、労働市場は「おおむね均衡している」と指摘し、金融環境も「緩和的だ」との見解を示した一方で、「インフレ率はFRBの目標である2%に向けて低下しているようには見えない」と述べました。ローガン氏は「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」と発言していました。さらに、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」と警告していました。このように、多くの政策メンバーが政策金利引き上げの可能性が高まってきたとの認識を示す中、NY連銀のウィリアムズ総裁はハト派寄りの姿勢を維持し、「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」と述べました。また、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」との見方を示しています。前日の「JOLTS」に続き、昨日発表された「5月のADP雇用者数」も12万2000人と予想を上回る結果でした。いやが上にも、明日の「5月の雇用統計」にも期待が膨らみますが、労働市場の減速懸念が払拭されるのであれば、インフレの足音がヒタヒタと迫る状況が続く現在、利上げの可能性はさらに高まることになります。ドル円が堅調に推移しているのも、こうした見方が根底にあるように思います。

8時少し前に、「イスラエルとレバノンが停戦で合意」との速報が入ってきました。「米国務省は3日、米主導の交渉の結果、『イスラエルとレバノンは停戦の実施で合意した』と声明で発表した。今回の発表は、2−3日に米で開かれたイスラエルとレバノンの代表による4回目の高官級3者協議の後に行われた。声明では、『停戦はヒズボラによる攻撃の完全停止と、リタニ川南部地区からのヒズボラ要員の全面撤退を条件とする』としている」と伝えられています。トランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相に罵声を浴びせたことで、ネタニヤフ氏が折れたのかもしれません。ドル円はやや円高方向に振れています。

本日のドル円は159円〜160円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 --------
6/3 ローガン・ダラス連銀総裁 (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 --------
6/2 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 --------
5/28 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「基調は非常に良好だ。楽観的な現在の政策スタンスは、景気に対してやや抑制的に作用している」、(インフレへの懸念を理由に)「次の政策変更は利下げと同程度に利上げの可能性もあることを示したいと考える当局者が増えている」 --------
5/28 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「FRBの使命は物価安定と雇用の最大化だが、足元ではインフレが目標を上回っている」、「将来的に利上げを検討する可能性や確率はゼロより高くなければならない」 --------
5/21 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、かなり深刻なインフレ問題が生じつつある」、「FRBの二大責務のうち、雇用面についてはおおむね安定している」、「インフレ面に特に注目している」 --------
5/21 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「既に5年以上にわたってインフレ率が目標の2%を上回っている中で、これほど多くの波が押し寄せている。その累積的な影響により、インフレ期待が緩まないかを問う価値がある」、「私にとって重要なのは、企業や消費者、そしてインフレ期待がどこまで耐えられるかという点だ」 --------
5/21 小枝・日銀審議委員 (基調的なインフレ率について)「既に2%ぐらいになってきている」、「政策金利を適切なペースで引き上げて、経済へのトレードオフにも配慮しつつ、物価高への対応を進めていくことが適切だ」、「今後、インフレ率や予想物価上昇率が上昇する場合、実質金利は自然利子率からマイナス方向に一段とかい離しうる。利上げを通じて金利の正常化を進めることが、より重要になる」、(景気見通しについて)「グローバルなIT需要の強さや政府の各種施策の効果などを踏まえれば、現時点で世界金融危機やコロナ禍のような景気の大幅な落ち込みが、見通し期間で生じる蓋然性は低い」 --------
5/20 トランプ・米大統領 「米国はイランとの間で最終段階にある」、「合意が成立するか、そうでなければ、やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」 原油価格が大きく下がり、株と債券が買われる。ドル円は159円台前半から158円60銭まで下落。
5/19 片山・財務大臣 「断固たる措置を取るときは取る」 ドル円159円10銭台から158円78前後まで下落。
5/19 トランプ・米大統領 「戦争をしたくはないが、彼らに再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」(いつまで待つのかと問われると)、「そうだな、2日か3日、金曜か土曜か日曜までだろう。あるいは来週初めまでかもしれない。時間は限られている」 --------
5/14 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「根強いインフレが経済にとって最も差し迫ったリスクだとみている。インフレはピーク時から大幅に鈍化したものの、依然として高過ぎることは明らかだ」、「地政学的な動向が引き続き不確実性をもたらしている」、「失業率は歴史的に見て比較的低い水準にあり、雇用も解雇も低水準という特異な環境ではあるものの、労働市場は有効に機能している」 --------
5/12 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」、(CPI統計について)、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」 --------
5/7 デーリー・SF連銀総裁 「FOMC声明文を巡って当局者の意見が分かれたことを重要視しない」 --------
5/7 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「声明では金利は据え置きとしたが、次の動きは引き下げになる可能性が高いという示唆が盛り込まれた」、「しかし経済の現状に関する私自身の見方を踏まえると、それはやや誤解を招きかねないと考えた」、「金利はかなりの期間、据え置かれるだろう」 --------
5/7 コリンズ・ボストン連銀総裁 「金利据え置きの決定については強く支持する」(声明文は)、「FOMCが近い将来の利下げを検討する姿勢から離れつつあるという変化を示している。また、FRBに対し、次の政策変更が利下げにも利上げにもなり得ることを、より明確に示すべきだと考える当局者が増えているということでもある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和