今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「原油価格昨年8月以来となる66ドル台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 東京時間に155円34銭前後まで買われ、欧州時間には154円台半ばまで下落したドル円の流れを受けたNYでは、方向感が定まらずもみ合い。大幅利下げを主張してきたミランFRB理事が柔和になったことで、ドルが買われる場面も。
  • ユーロドルは続落。1.1742まで売られ、終始1.17台での取引。
  • 株式市場では3指数が揃って反落。イラン攻撃の可能性が高まったことで、売りが優勢の展開に。
  • 債券は買われ長期金利は4.06%台へとやや低下。
  • 金は小幅に反落。原油は地政学リスクの高まりから続伸。昨年8月以来となる66ドル台に。
ドル/円 154.80 〜 155.27
ユーロ/ドル 1.1742 〜 1.1778
ユーロ/円 182.00 〜 182.60
NYダウ −267.50 → 49,395.16ドル
GOLD −12.10 → 4,997.40ドル
WTI +1.24 → 66.43ドル
米10年国債 −0.015 → 4.067%

本日の注目イベント

  • 日 1月消費者物価指数
  • 独 独1月生産者物価指数
  • 独 独2月製造業PMI(速報値)
  • 独 独2月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏2月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏2月サービス業PMI(速報値)
  • 英 英1月小売売上高
  • 英 英2月製造業PMI(速報値)
  • 英 英2月サービス業PMI(速報値)
  • 米 2月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
  • 米 2月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
  • 米 2月S&Pグローバル総合PMI(速報値)
  • 米 12月個人所得
  • 米 12月個人支出
  • 米 12月PCEデフレータ(前月比)
  • 米 12月PCEデフレータ(前年比)
  • 米 12月PCEコアデフレータ(前月比)
  • 米 12月PCEコアデフレータ(前年比)
  • 米 10−12月GDP(速報値)
  • 米 2月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
  • 米 12月新築住宅販売件数

本日のコメント

イラン情勢が緊迫度を増してきました。トランプ大統領は核開発問題を巡りイランに合意を迫る中、米軍は中東に2隻の空母、戦闘機、給油タンカーなど大規模な戦力を配備し、攻撃の選択肢を確保しています。トランプ氏は、イランに対し核開発計画を巡る合意に応じるまで「最大で10日から15日」との期限を示しています。トランプ氏は19日、米大統領専用機エアフォースワン内で、「われわれは合意を得るか、さもなければ彼らにとって不幸な結果になる」と発言。期限については、交渉継続を認めるのは「大体10日から15日で、それが最大だ」との認識を示し、「それで十分な時間だと思う」とも語っています。今回の米軍の中東展開は、2003年にイラク侵攻を前に兵力を集結させて以来、例のない規模で、ベネズエラのマドゥロ大統領(当時)を追放する数週間前、同国沖で展開したものをはるかに上回る規模だと報じられています。

ブルームバーグは、「米国が地上部隊を派遣する可能性は低いものの、この軍備展開の増強は、トランプ氏がイスラエルと協力し、数日間にわたる持続的な作戦を行う選択肢を確保していることを示唆している。昨年6月に米国がイランの核開発計画に対して行った一夜限りの攻撃とは、大きく異なるものになりそうだ」と伝えており、本来なら「リスク回避の円買い」が進み、株安、ドル安、債券高に振れてもおかしくはない状況です。しかし昨日のNYでは為替だけが逆の動きを見せ、ドルが底堅い展開でした。これは、地政学リスクの高まりから原油価格が上昇していることを踏まえ、「原油高→ガソリン価格の上昇→インフレの再燃→利下げ出来ずに、むしろ利上げの可能性が高まる」といった見立てでドルが底堅さを見せていると考えられます。また昨日のNYでは、大幅な利下げを主張しているミランFRB理事が、米景気の底堅さを踏まえ大幅な利下げにはやや消極的な姿勢に変わったこともドルをサポートしていました。

トランプ氏が投入可能な戦力は極めて強力なようです。報道では、空母エイブラハム・リンカーンには、巡航ミサイル「トマホーク」を搭載可能なアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦3隻が随伴。艦載機にはF−35C戦闘機が含まれます。さらに建造費130億ドル(約2兆円)とされる米史上最も高価な軍艦、空母ジェラルド・R・フォードもミサイル駆逐艦を伴い、搭載機にはF/A−18E、F/A−18Fスーパーホーネット、E−2D早期警戒機、MH−60SおよびMH−60Rシーホークヘリコプター、C−2Aグレイハウンド輸送機も含まれるとか。筆者は軍事オタクではないので、これらの最新鋭機がどれほど強力なのかはわかりませんが、トランプ氏が、世界最強の軍事力を背景に「TACOトレード」を行っていることは明白かと思います。その影響が日本だけではなく、欧州各国やオーストラリアなどが、防衛費を大幅に増やしていることと無関係ではありません。

焦点は、イランがトランプ氏の要求を満たせるかどうかですが、個人的には、これまでのトランプ氏の手法を考えれば、攻撃の可能性は低く、最後はイラン側が譲歩してくると予想しています。ただ一方でブルームバーグは、「これほど多くの軍事装備を中東地域に展開したトランプ氏が、後退するよりもむしろそれを使用せざるを得ないと感じる可能性がある」との見方があることを紹介しています。イランに対する大規模な攻撃に踏み切れば、米国は1991年以来3度目となる中東での選択的な戦争に参画するリスクを負います。しかも、ここ数十年来で最も手ごわい相手との戦いになります。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、「NY連銀の関税に関する研究リポート」を巡るハセット米国家経済会議(NEC)委員長の批判的発言について、「FRBの独立性を損なう動きだ」と、真っ向から苦言を呈しました。ハセット氏は18日、CNBCの番組で、「NY連銀は多くの党派的な報道を生んだ結論を公表したが、その分析は初歩的な経済学でも受け入れられないようなものだ」と指摘し、「恥ずべきものだ」、関係者は「処分されるべきだ」と批判していました。カシュカリ氏は19日、「これはFRBの独立性を損なおうとする新たな動きに過ぎない」と指摘し、「過去1年間に、FRBの独立性を損なおうとする試みが複数見られた。問題の核心は金融政策だ」と述べ、その上で「地区連銀が実施する研究は、幅広い意見を取り入れることで、経済についてより良く理解し学ぼうとする取り組みを反映している。また、データと分析に基づき、経済について最善の評価を行うべく全力を尽くしている」と説明しています。ハセット氏の発言は、トランプ大統領が自身の意に沿わない経済分析を攻撃してきた一連の事例に沿ったものだと言えます。

本日のドル円は154円〜155円70銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
2/17 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「サービス分野のインフレ率が依然として高止まりしている」、「関税に伴う価格上昇が一時的なものであれば、政策当局に行動の余地が生まれる可能性がある」、「これが一時的なものであり、インフレ率が2%へ戻る道筋にあることが確認できれば、2026年に追加利下げが複数回実施される可能性があると考えている。ただ、それを見極める必要がある」 --------
2/11 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 --------
2/10 ローガン・ダラス連銀総裁 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 --------
2/10 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 --------
2/5 ECB声明 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 --------
2/5 ラガルド・ECB総裁 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 --------
2/3 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 --------
2/3 ミラン・FRB理事 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 --------
2/2 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 --------
1/28 ベッセント・財務長官 (ドル・円相場への米国の介入について質問され)、「絶対にしていない」、(その可能性について)、「強いドル政策を維持していると言う以外にコメントしない」、「米国は常に強いドル政策を取っている。ただし、それは適切なファンダメンタルズを整えることを意味する」、「健全な政策を実行していれば、資金は流入する」、「米国の貿易赤字が縮小していることを踏まえれば、時間の経過とともに自動的にドル高につながるはずだ」 ドル円は152円台後半から1円ほど上昇。
1/28 パウエル・FRB議長 「経済活動の見通しは前回の会合後に明らかに改善しており、これは時間の経過とともに労働需要や雇用に影響を与えるはずだ」、(労働市場については)「安定化の兆しが見られる」、「過度に踏み込むべきではない」、「冷え込みが続いている兆候もある」、(今後の利下げについて)、「次の利下げがいつになるのか、あるいは次回の会合で金利を引き下げるのかについて、明確な判断基準を示そうとしてはいない」、「入手するデータや変化する見通しなどを考慮しながら会合ごとに判断していく上で、われわれは良い位置にあるというのがわれわれの言いたいことだ」、(中央銀行の独立性について)、「独立性の要は政策当局者を守ることではない」、「国民にとって有効に機能してきた制度的な枠組みに過ぎない」、」(任期が終了した後も理事としてFRBにとどまるかどうかの質問に)、「決めていない」 --------
1/20 カーニー・カナダ首相 「世界の中堅国は、攻撃的な超大国の強制に抵抗するために協力しなければならない」、「最近の出来事はルールに基づく国際秩序が事実上死滅したことを示しており、カナダやその他の国々は、世界の大国による圧力戦術や威嚇に対抗するため、新たな同盟関係を構築するしか選択肢がない」、「中堅国は協力しなければならない。交渉の席につかなければ、餌食になるからだ」 --------
1/15 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「われわれが直面している最も重要な課題は、インフレ率を2%に戻すことだ」、「労働市場に関するこれまでの懸念はいったん後退した。不透明感から企業は採用を鈍らせているものの、大規模なレイオフには踏み切っていない」、「シカゴ連銀の指標は、労働市場が安定していることを強く示している。依然として強さがあり、かなり堅調だ」、「インフレを2%に戻す軌道に乗せるべく、5年間にわたって取り組んできた。一定の進展はあったが、目標の達成が必要だ。それが実現すれば、金利は引き下げられると思う」 --------
1/14 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「この国の長期的なインフレ率にとって、FRBの独立性はこれ以上ないほど重要だ」、(トランプ政権によるパウエル議長への圧力について問われ)「中銀の独立性がないところでは、インフレは勢いよくぶり返す」、「われわれは過去5年間、インフレ率を引き下げるために闘ってきており、それは容易なことではなかった。FRBの独立性が攻撃されれば、その問題はさらに悪化する」 --------
1/14 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「トランプ大統領が過去1年間にFRBに圧力をかけてきたのは、金利が原因だ」、「政策担当者は今年後半に再び利下げを行う可能性はあるが、今月末の次回の会合では金利は据え置かれるべきだ」 --------
1/14 三村・財務官 「最近の為替について、経済的なファンダメンタルズを反映しているようには見えない」、「最もいけないのはボラティリティー(大きな変動)だ。円安に伴う輸入インフレのデメリットが目立つという声もいろんなところから聞こえてくる」 --------
1/14 片山・財務大臣 (足元で進む円安に)「極めて遺憾であって憂慮している。その見方については日米財務相ともに共有した」、(日本政府としては)「日米財務相共同声明の考え方を踏まえて、投機的な動きを含めて行き過ぎた動きに対しては、あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」 --------
1/8 ミラン・FRB理事 「約1.5%の利下げを想定している。この想定はインフレに関する私の見解に大きく基づいている」、「基調的なインフレはFRBの目標からノイズのレンジ内で推移しており、総合インフレが中期的にどのようになるかを見極める良い示唆になっている」 --------
1/8 ベッセント・財務長官 (FRB議長人事の決定時期はダボス会議)「その直前か直後になる可能性がある。1月中だと思う」、(金利は高過ぎるかとの質問に対して)、「現在の金利水準は中立金利を依然として大きく上回っている。景気抑制的なスタンスであるべきではないと考えている」、(適切な金利水準について)、「多くのモデルでは2.50−3.25%程度を示すだろう」 --------
1/6 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在の金利水準が、中立と推定されるレンジ内にある」、「今後の政策運営については、2大責務の両面での進展を見極めながら、きめ細やかな判断が求められる」、「採用率が低い中で、労働市場のさらなる悪化は誰も望んでいない一方、インフレ率が目標を上回る状態が5年近く続いており、高インフレ期待の定着も避けたいところだ。まさに微妙なバランスだ」 --------
1/6 ミラン・FRB理事 「政策が中立水準付近にあるとは、かなり言いがたい。現状は明らかに景気に抑制的であり、経済の足かせになっている」、「今年は100ベーシスポイントを大きく超える利下げが正当化されると考えている」 株価の上昇に寄与。
1/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「景気の底堅さを踏まえ、今は中立にかなり近い状態だと推測される」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和