今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利19年ぶりに5.27%まで上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 東京時間夕方には156円台半ばまで売られたドル円はNYでは反発。原油価格と米金利の上昇がドルを押し上げ、ドル円は157円58銭まで水準を戻す。
  • ユーロドルは小幅に続落。1.1354まで売られ、2ヶ月ぶりの安値に。
  • 金利が上昇したことで、株式市場では3指数が反落。ダウは347ドル下げ、エヌビディアが巨額の自社株買いを発表したが、ナスダックも248ポイントの下落。
  • 債券は売られ長期金利は一時、19年ぶりとなる5.27%台まで上昇。
  • 米金利高に金は大幅に下落。原油は96ドル台まで上昇したが、小幅高で引ける。
ドル/円 156.86 〜 157.58
ユーロ/ドル 1.1354 〜 1.1388
ユーロ/円 178.48 〜 179.07
NYダウ −347.11 → 51,481.51ドル
GOLD −152.80 → 4,168.40ドル
WTI +0.19 → 92.60ドル
米10年国債 +0.076 → 5.236%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 日 7月景気先行指数(CI)(改定値)
  • 日 7月景気一致指数(CI)(改定値)
  • 欧 ユーロ圏9月消費者信頼感指数(確定値)
  • 米 7月S&P Cotality CS20−City YoY NSA
  • 米 7月FHFA住宅価格指数
  • 米 9月コンファレンスボード消費者信頼感指数
  • 米 8月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
  • 米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答に参加

本日のコメント

昨日の東京時間夕方には、ドル円はかなり下げ156円50銭近辺まで円が買われました。しかし、NYが終わってみれば、再び157円台半ばで戻って来ました。ドルを押し上げたのは米金利の上昇ですが、多くのFOMCメンバーの間でも、米国のインフレ高進観測が浸透してきたように思います。

FRBのクック理事は、カリフォルニア州オークランドでの講演で、「現時点では、生産性の向上が今後数年間で緩やかなディスインフレをもたらすと予想している。しかし年末にかけて広がるインフレ圧力を相殺するには、その効果は間に合わないと考えている」と語っていました。その根拠として「データセンターへの巨額投資によってエネルギーや建設労働力といった限られた資源を巡る競争がすでに激化しており、過去1年間で電気・水道料金が約5%上昇したことにも表れている。企業が投資を表明した2兆ドルの資本のうち、まだごく一部しか支出していないことに加え、AIを原動力とする株価上昇が個人消費を押し上げていることから、より広範な物価上昇圧力が顕在化する可能性がある」と警告していました。「AIがわれわれの生涯で最も重要な技術革新となりつつある一方、この技術が経済全体の生産性をどの程度の速さで押し上げるかについては、不透明感がある」と続け、「このメカニズムがどのように、そしていつ作用するのかについては、あらゆる推計に不確実性が伴っており、さらなる研究と議論が必要だ」と述べていました。このように、最早FOMCメンバーの中には、政策金利のさらなる引き上げに異議を唱える人もいないような状況で、共通しているのは「原油価格の上昇と、AIへの巨額投資」がインフレをさらに高進させるという点です。

昨日の夕方4時頃からドル円はスルスルと値を下げました。原因は、久しぶりの三村財務官の円安に対するけん制球でした。「三村財務官が円の過小評価は問題とする意向を日米両政府⁠が共有したメッセージは『非常にクリア』との認識を示した」と、ロイター通信がインタビューを基に報道したことを手掛かりに円が買われ、156円50銭前後まで円高に振れました。先の日米首脳会談で、双方の首脳が「円は過小評価されているとの認識で一致した」としていることへの援護射撃と受け止めています。また、先週ドル円は一時159円台に乗せるなど、再び160円を伺う動きになってきたことをけん制する意図もあったのではと思います。ただ、それでもイラン情勢は依然として不透明で、原油価格が高止まりし、さらにそれを先取りした形で米金利が高騰する中、資金がドルに流れるのは極めて自然です。

米中間選挙に関わる報道が日増しに増えていますが、ブルームバーグは、「米中間選挙、上院の争い『五分五分』に−共和党優位の構図揺らぐ」との記事を配信しています。記事によると、ここ数週間ではアイオワ、カンザス、アラスカ、オハイオなど、従来は勝利の可能性が低いと考えられていた州で、民主党候補がリード、あるいは支持を伸ばしているとのことです。「共和党ストラテジストで、現在は企業向けのアドバイザーを務めるケビン・マッデン氏は『情勢の方向が見え始めるにつれ、本当に五分五分の争いだと誰もが考えるようになっている。接戦が非常に多い』と述べた」と記事は伝え、さらに「全米の選挙情勢を巡る共和党の危機感は、ここ数週間で鮮明になっている。トランプ政権がイラン戦争を終結できないでいることや移民らの強制送還策、生活費高騰などに対し、共和党議員の間から異論を唱える動きが出始めた」としています。「共和党が勝利したら、成人全員にトランプ配当として5000ドルを配る」と、買収まがいのことを平然と言い放ったトランプ氏。11月3日の中間選挙まで、まだ何が起こるかわかりません。

本日のドル円は156円50銭〜158円30銭程度を予想します。

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What's going on?

「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/24 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「関税やテクノロジー関連の値上がり、燃料費や医療費の上昇など、幅広いコスト上昇圧力が長引いていることで、米国のインフレが定着するリスクが高まった」、「より引き締め的な金融政策が必要になる」 --------
9/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「相次ぐ供給ショックに見舞われており、インフレ心理が定着するリスクが高まっている」 --------
9/24 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「この先の状況が私の予想通りに推移すれば、さらに小幅な引き締めが正当化される可能性がある」、「米経済はショックに対して底堅く、生産の伸びは堅調で、労働市場は完全雇用に近いとして、『勢いが増している』兆しがある」 --------
9/23 ハセット・米国家経済会議(NEC)委員長 「最近のコアインフレ率が年率2%となるなかで、なぜ利上げするのか」、(ウォーシュ議長については)、「異例なほど党派性の強いFRBを運営している」、「FRB議長や副議長は通常、任期満了時にFRBを去るが、その慣例が守られていない」、「なぜそうしたのか懸念している」 --------
9/18 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「FRBにはインフレ抑制に向けてまだやるべきことがあり、今週の措置はその方向への一歩だった」、「原油高はインフレ率を押し上げる重要な要因となっているが、インフレの問題がエネルギーだけではないことを認識する必要がある」、「均衡しているようだ」、「経済成長は堅調だ」 --------
9/16 フォンデアライエン・欧州委員長 「欧州とカナダは民主主義を信じている。権力は、最も強い者、最も裕福な者、最も声の大きい者のものではない」 --------
9/16 ウォーシュ・FRB議長 「金融・信用環境をわれわれの最終的な目標により整合させるため、緩和の度合いを幾分縮小した」、「6カ月、112カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる」、「この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」 ややタカ派的なトーンだったことで、ドル円は156円台に乗せ、156円42銭まで上昇。
9/16 FOMC声明文 「委員会は米連邦準備制度理事会(FRB)の二大責務を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25ポイント引き上げ、3.75−4%にすることを決めた。委員会は、銀行システム内に十分な準備預金を維持する方針を継続している。経済活動は堅調なペースで拡大しつつある。地政学的な動向などを背景に、不確実性は引き続き高いものの、国内支出は底堅く推移している。生産性の伸びは力強く、設備投資は堅調だ。雇用の伸びは労働力に見合うペースを維持しており、失業率はほぼ変わっていない」、「インフレは高止まりしている。本日の政策措置は、委員会の目標である2%に向けた、より速やかな回帰を支えるだろう。委員会は物価安定を実現する」 --------
9/15 ベッセント・財務長官 「円高は米国の輸出にとって好都合だ。円が強くなれば、日本政府が為替介入の資金を捻出するために米国資産を売却する必要もなくなる」、「ごくわずかな額で、日本の政策を支持する姿勢を示すことができた」、「介入の目的ではなかったものの、米財務省は円買い介入によって数千万ドルの利益を上げた」 --------
9/10 ラガルド・ECB総裁 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 --------
9/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 --------
9/2 高田・日銀審議委員 (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。
9/1 バー・FRB理事 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 --------
8/28 ウォーシュ・FRB議長(ジャクソンホールでのシンポジウムで) 「インフレ率を2%の目標に戻す」、「私の判断基準はこうだ。基調的なインフレが明確かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべきことがある。それがわれわれの仕事だ」、「やるべきことがある」、「私はきょう、特定の政策決定ではなく、規律を重んじる決意を持ってここに立っている」と述べ、さらに、「インフレ率が2%を上回っている中、FRBは現時点で、最大の重点を物価に置くべきだと」 ドル円は159円台半ばから160円20銭まで上昇。米金利高、株安が進む。
8/27 ベッセント:財務長官(介入に対するウォーレン上院議員への回答で) 「日本は米国債の主要な保有国だ」、「円相場が無秩序な動きとなれば、ポジションの強制的な巻き戻しを引き起こす。そうなれば、世界の市場を不安定化させ、最終的には米国の家計や企業の借り入れコストを押し上げる可能性がある」 --------
8/13 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 --------
8/13 ハマック・クリーブランド連銀総 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 --------
8/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和