今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「日米財務相会談、為替原則を再確認」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円はG20会合とその後の日米財務相会合を控え小動き。ただ、中国が米国との関税交渉が行われていることを否定したことで、142円28銭まで下げる場面も。
  • ユーロドルも1.13台半ばから後半で小動き。
  • 株式市場は3日連続で大幅高。ナスダックは457ポイント上昇し、ダウは4万ドルの大台を回復。
  • 債券は3日続伸。長期金利は4.31%台に低下。
  • 金と原油は揃って反発。
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新規失業保険申請件数 → 22.0万件
3月耐久財受注 → 0.0%
3月中古住宅販売件数 → 402万件
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ドル/円 142.28 〜 142.82
ユーロ/ドル 1.1349 〜 1.1398
ユーロ/円 161.74 〜 162.50
NYダウ +486.83 → 40,093.40
GOLD +54.50 → 3,348.60ドル
WTI +0.52 → 62.79ドル
米10年国債 −0.066 → 4.315%

本日の注目イベント

  • 日 4月東京都区部消費者物価指数
  • 英 英3月小売売上高
  • 米 4月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
  • 加 カナダ2月小売売上高

本日のコメント

加藤財務相はワシントンでベッセント米財務長官と会談し、為替政策について協議しました。加藤大臣は会談後の記者会見で「米国から例えば為替水準の目標や、それに対する枠組みの話は全くなかった」と述べていました。「為替について引き続き緊密に連携することを確認した」(日経電子版)とのことです。ベッセント氏は前日、為替問題については「通貨目標は一切ない」と言明し、「G7合意を尊重することを日本に期待している」と述べていましたが、市場には、トランプ大統領が「日本は円安にすることで交易条件を有利にしている」と、執拗に述べていたこともあり、「ふたを開けるまでは分からない」とする意見も根強くありました。今回、特段為替について想定外の発言もなかったことから、昨日のNYでは終始142円台での取引でした。

ただ、昨日行われたFOMCメンバーの発言では、トランプ氏の利下げ圧力に屈したわけではないと思いますが、ハト派寄りの内容であったと思われます。FRBのウォラー理事はブルームバーグとのインタビューで、「特に大規模な関税が再導入された場合、この先レイオフの増加や失業率の上昇が見られ始めても意外ではない。労働市場の悪化が顕著になれば、FRBの最大雇用の責務に基づき措置を講じることが重要だと考えられる」と述べ、労働市場を守るための利下げを支持する考えを示しました。また、クリーブランド連銀総裁のハマック総裁も、CNBCとのインタビューで、5月会合での利下げの可能性を否定しましたが、「6月までに明確かつ説得力のあるデータが得られ、その時点で進むべき正しい方向について判断できれば、委員会が動く可能性がある」と、6月利下げには肯定的で、トランプ関税次第では利下げの可能性があることを示唆していました。

米中の貿易協議は依然として両者の間に隔たりがあるようで、意見の違いが目立ってきました。トランプ氏は中国との貿易協議は進んでいると述べて、2−3週間後には、かなり低い関税率が発表されることに触れていましたが、中国側はこれを否定しています。中国国務省報道官は、「米国は本当に問題を解決したいのなら、国際社会と米国内に広がる理性的な声に耳を傾け、中国に対して一方的に発動した関税を全て撤廃すべきだ」と述べています。また、「協議の進展を伝える報道はいずれも根拠がない。米国は合意を望むのなら、誠意を示すべきだ」としていました。

ロシアが今年最大の空からの攻撃を仕掛け、トランプ大統領が和平合意の受け入れを迫るなど、ウクライナは苦境に立たされています。それでもゼレンスキー大統領は、ロシアに対する「譲歩」を拒否する姿勢を改めて示しています。南アフリカを訪問中のゼレンスキー氏は、「無条件の停戦なしに、レッドラインについて話すことはできない」と表明。ウクライナがロシアの攻撃を受け、少なくとも9人が死亡する被害が出ているため、ゼンレンスキー氏は南ア訪問を短縮して帰国すると発表していました。前日、トランプ氏はゼレンスキー氏の声明を「有害だ」と、厳しく批判していました。「ウクライナ戦争」、「ハマス・イスラエル戦争」に加え、「貿易戦争」と、今年のキーワードを予想するには早すぎますが、「戦争」が今年のキーワードになるかもしれません。

本日のドル円は142円〜144円程度を予想します。

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来週28日(月)の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせて頂きます。ご愛読者の皆様にはご不便をお掛けいたしますが、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
4/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「6月までに明確かつ説得力のあるデータが得られ、その時点で進むべき正しい方向について判断できれば、委員会が動く可能性がある」 --------
4/24 ウォラー・FRB理事 「特に大規模な関税が再導入された場合、この先レイオフの増加や失業率の上昇が見られ始めても意外ではない。労働市場の悪化が顕著になれば、FRBの最大雇用の責務に基づき措置を講じることが重要だと考えられる」 --------
4/23 ベッセント・財務長官 (日米通商交渉での)「通貨目標は一切ない」、「G7合意を尊重することを日本に期待している」 ドル円は141円台後半から143円57銭まで買われる。
4/17 ラガルド・ECB総裁 「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費に重荷になる」、「世界的な貿易混乱の拡大は、インフレ見通しの不確実性を高めている」 --------
4/16 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「二重の責務の両面から圧力がかかることが想定される状況下では、インフレのさらなる高止まりのリスクと労働市場の減速に伴うリスクとの間でバランスを保つため、金融政策を現状維持とする根拠は強いと考える」、「明確さを得るのが困難な場合には、追加データを待つことが今後の道筋を見極める一助となるだろう」 --------
4/16 パウエル・FRB議長 「長期のインフレ期待をしっかり抑制し続け、物価水準の一時的上昇が継続的インフレ問題にならないよう確実に対処することが、われわれの責務だ」、「物価の安定がなければ、全ての米国民に恩恵をもたらすような長期にわたる力強い労働市場環境の実現は不可能だ」 --------
4/4 クルーズ・米上院議員 「政権が進める関税引き上げは、米経済にとって『巨大なリスク』となっており、来年の中間選挙で共和党が惨敗する恐れがある」、「世界各国からの輸入品に関税を課せば、国内の雇用は崩壊し、米経済に」深刻な打撃を与えることになる」 --------
4/4 ハセット・国家経済会議(NEC)委員長 「関税により米国の消費者物価が『幾分上昇するかもしれない』」、「エコノミストやFRB当局者、一部議員による懸念は行き過ぎだ」 --------
4/4 ベッセント・米財務長官 「新たな関税は必要な措置だ。リセッションを織り込まなければならない理由は見あたらない」 --------
4/3 ジェファーソン・FRB副議長 「政策金利のさらなる調整を急ぐ必要はない、というのが私の見解だ」 --------
4/3 クック・FRB理事 「現時点ではインフレは上振れ、成長は下振れするリスクがあるというシナリオをより重視している。インフレ率が上昇し成長は鈍化するというシナリオは、金融当局に困難な課題をもたらす可能性がある」 --------
4/2 トランプ・米大統領 「長年にわたり、大半において米国の犠牲の下に他国が富と権力を得る中、勤勉な米国民は傍観者の立場を強いられてきた。だが、今後われわれが繁栄する番だ」 --------
4/1 フォンデアライエン・欧州委員長 「必ずしも報復したいわけではないが、必要であれば、強力な報復策を用意しており、それを用いる」 --------
3/31 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレは落ち着いた水準へと実際に鈍化していることから、そうした確信は得られる可能性が高い」、(トランプ氏の関税政策について)、「政策判断への影響は、当局者らの見通しがより明確になるには時間がかかる」 --------
3/31 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「FOMC参加者の間では、インフレ見通しに上振れリスクがあるとの極めて幅広い見方が示された。それは私の個人的見解とも完全に一致している」、「今後実施される関税などの政策に大きく左右され得る上振れリスクがあることは確かだ。関税が経済に与える影響はまだ明らかではない。最新のデータを注視していく」 --------
3/27 IMF 「大規模な政策転換が発表されており、最新のデータでは経済活動が2024年の非常に強いペースから減速していることが示唆されている。ただし、リセッションはわれわれの基本シナリオには含まれていない」 --------
3/27 コリンズ・ボストン連銀総裁 「関税が短期的にインフレ率を押し上げるのは『不可避』と見受けられる」、「金利据え置きの長期化が適切になる公算が大きい」、「一段と広範にわたる関税賦課やそれに対する報復措置が講じられる状況では特に、インフレ期待が重要になる」 --------
3/26 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「向こう1,2年でインフレが低下して労働市場が引き続き堅調なら、金利をさらに引き下げることができるはずだ。住宅ローン金利に一定の効果があるだろう」、「このところの信頼感低下は関税を巡る不確実性を反映している面が大きい」 --------
3/26 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「関税による影響が一時的なものにとどまるかどうかは不透明だ。その二次的影響によって金融当局が金利をより長期にわたって据え置く可能性がある」 --------
3/25 クーグラー・FRB理事 「ここ数カ月に財のインフレが加速傾向にあるほか、」ミシガン大学の調査データで短期・長期両方のインフレ期待が高まっている。トランプ大統領は貿易相手国に対して新たな関税を導入しているほか、さらなる関税を示唆しており、経済を巡る不確実性は強まっている」、「政策金利をしばらくの間、据え置くことを支持する」 --------
3/24 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「1回にした理由は主に、インフレが非常に不安定になり、2%目標に向かって劇的かつ明確に動くことはないだろうと考えているからだ。その目標達成が遅れているため、政策を中立水準に戻す適切な道筋も遅れざるを得ないと考えている」 --------
3/19 パウエル・FRB議長 (関税性政策によるインフレについて)、「米金融当局が何もせず急速に解消し、一過性のものであるならば、拘泥しないのが適切な場合もある」、「一時的なものになるかどうか、当局として実際のところ分からない」 --------
3/19 トランプ大統領 「米国の関税が経済に移行(緩和!)し始めたら、FRBは金利を引き下げた方がずっといい」 ドル円150円台前半から149円割れまで下落。
3/7 パウエル・FRB議長 「多くの指標が労働市場は堅調で、ほぼ均衡状態にあることを示している」、(追加利下げについては)、「急ぐ必要はなく、(政権の動向などが)より明確になるまで待つことができる」、(米経済の現状について)、「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は良好な状態が続いている」 株が買われ、債券が売られ金利が上昇。ドル円は147円割れから148円台前半まで上昇。
3/3 トランプ大統領 「日本と中国が通貨安政策を取るなら、米国は不当に不利な立場に立たされる」 ドル円は149円台半ばから下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和