「米9月のCPI、3.7%に上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 「米9月の消費者物価指数」が市場予想を上回る結果だったことを受け、ドル円は直後から上昇。一時は158円95銭と、159円に迫る水準まで買われたがその後失速。米金利が急低下したことで158円05銭まで円が買われる。
- ユーロドルは指標発表後に、1.1113と、2025年5月以来となるユーロ安を示現。
- CPIの上振れと原油価格の上昇に、株式市場では3指数が下落。半導体関連株の下げが止まらないことで、ナスダックは511ポイントの大幅安。
- CPI発表直後から債券が売られ、長期金利は5.32%まで上昇。その後、株価の大幅下落に安全資産の債券には買いが集まり価格が上昇。同金利は5.18%台で取引を終える。
- 金は3日続落。原油は小幅ながら続伸し、95ドル台に。
9月消費者物価指数 → 3.7%(前年同月比)
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| ドル/円 | 158.05 〜 158.95 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1113 〜 1.1198 |
| ユーロ/円 | 176.29 〜 177.24 |
| NYダウ | −48.62 → 51,621.48ドル |
| GOLD | −69.40 → 4,107.90ドル |
| WTI | +0.95 → 95.09ドル |
| 米10年国債 | −0.023 → 5.185% |
本日の注目イベント
- 豪 豪9月雇用統計
- 日 8月鉱工業生産(確定値)
- 日 小枝日銀審議委員、熊本県金融経済懇談会で講演
- タイ G20・財務・中銀総裁会議
- 独 独8月貿易収支
- 独 独8月鉱工業生産
- 欧 ユーロ圏8月鉱工業生産
- 英 英8月鉱工業生産
- 英 英8月貿易収支
- 米 9月生産者物価指数
- 米 10月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 9月小売売上高
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 ハマック・クリーブランド連銀総裁、討論会に参加
- 米 決算発表 → チャールズ・シュワブ、BONYメロン
本日のコメント
「米9月の消費者物価指数(CPI)」は5カ月ぶりの大幅な伸びでした。食品とエネルギーを除くコア指数も市場予想を上回っており、11月の中間選挙を前に家計への圧迫が続いていることが示されました。総合CPIは前月比「0.6%」上昇。前年同月比では「3.7%」の上昇でした。またコアCPIは前月比「0.3%」、前年同月比で「2.6%」それぞれ上昇しました。いずれも前月より大きく伸びています。発表を受け、金融市場では米国債利回りが急伸し、一時は5.32%まで上昇しました。ドル円も金利高を支えに158円95銭と、159円に迫る水準まで買われましたが、159円台乗せには至っていません。前日は「23.8%」程度だった、市場が織り込む10月の米利上げ確率は、約「45%」に上昇しています。ただドル円はその後急速に売られ、158円05銭を付けています。米長期金利が急低下したことで円が買い戻されたものと思われますが、米金利の急低下は、株式、とりわけナスダックが大幅に下げ足を強めたことで「相対的に安全とされる債券」が買われたことにあります。米金利の乱高下にドル円も振り回された格好でした。今回の指標は予想より上振れましたが、筆者は、「それでも今月の利上げを決定させるようなものではなかった」と、考えています。ブルームバーグは、「中間選挙の選挙戦が最終盤を迎える中、物価高を中心とする経済問題が有権者にとって引き続き最大の関心事となることを今回の統計は示唆している。米連邦準備制度理事会(FRB)が次回会合で利上げをいったん見送ったとしても、その後数カ月以内に再び利上げを実施するとみられる論拠を改めて浮き彫りにした」と、今回の結果を総括しています。
FRBの目標である2%のインフレ率を大きく上回ったことで、今月の会合で利上げが見送られたとしても、年内1回の利上げは動かないことが示唆されたと思いますが、FOMCメンバーの認識も同様なもののようです。ボウマンFRB副議長は14日、インフレ率は依然として高過ぎるものの、先月の利上げに続き追加利上げを急ぐ必要はないとの見方を改めて示しています。ボウマン氏は、IMF・世界銀行の会合が開かれているバンコクでのイベントで、「追加措置が必要かどうかを判断する前に、金融環境や経済がどのように推移するかを見極める時間はある」と述べ、また、国際金融協会(IIF)主催のイベントでも、「現時点では、追加措置を講じることに緊急性は感じていない。時間をかけて、経済がどのように推移していくのかをしっかりと見極める必要がある」と述べています。ボウマン氏は2日にワシントンでも同様の発言をしており、10月27、28日に開かれる次回のFOMCでは、金利を据え置くことが望ましいとの考えを示唆していました。ウォーシュFRB議長は、IMFの会合が開催されるバンコクで、米東部時間15日遅くに講演する予定だと伝えられています。
中東情勢の悪化に歯止めがかかりません。親イラン武装組織フーシ派は、サウジアラビア各地をミサイルやドローンで攻撃しており、国営石油会社サウジアラムコの本社も被害を受けました。ホルムズ海峡ではイランによるタンカー攻撃も激化している模様です。さらにロシアとウクライナ双方の攻撃も激化しており、互いのエネルギーインフラに報復攻撃を繰り返しています。欧州向けのディーゼル価格は、今年に入ってすでに2倍余りに上昇しているとのことです。WTI原油価格も昨日のNYでは96ドル台まで買われ、9月28日以来の高値を付けました。米国産のWTIについては、米メキシコ湾岸から中国への航路では運賃上昇が一服し、海外の買い手が割安な輸送費を利用して米国産原油を買う動きが強まっているとのことです。市場関係者によると、こうした需要増も14日にWTIが北海ブレントを上回るペースで上昇した一因とみられており、北海ブレントとWTIの値動きに乖離が生じている状況が続いているようです。国際エネルギー機関(IEA)は14日、石油需要の見通しが弱まっているにもかかわらず、ディーゼルなど燃料の世界需給が中東やロシアでの紛争を背景に来年も逼迫し続けるとの見方を示しており、加盟国に対し、緊急備蓄を放出するとの約束を完全に履行するよう促しています。
最後に、今朝の報道では、日本のGDPが2027年には「世界6位」になるとのことです。ややショックです。現在インドに抜かれて「4位」ですが、この先ドイツにも抜かれ「5位」になることまでは理解していましたが、さらにイギリスにも抜かれ「6位」に転落するとの見通しをIMFが発表しました。かつて米国に次ぎ「世界2位」だった日本は後退の一途を辿っています。円安の影響もありますが、低成長が続いていることが大きな要因です。人口が日本よりもはるかに少ないドイツやイギリスに抜かれるわけですから、「一人当たりGDP」はさらに無残なことになります。これも円安要因の一つだと考えますが、どうでしょうか?
ドル円は底堅い動きを見せながらも、積極的に上値を追って行く展開でもありません。ひとまず米CPIは通過しましたが、明確な方向感は掴めていない状況です。157−159円の狭いレンジの中、こまめに動くしかなさそうです。本日のドル円は157円50銭〜158円80銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/13 | ボウマン・FRB副議長 | 「追加措置が必要かどうかを判断する前に、金融環境や経済がどのように推移するかを見極める時間はある」、「現時点では、追加措置を講じることに緊急性は感じていない。時間をかけて、経済がどのように推移していくのかをしっかりと見極める必要がある」 | -------- |
| 10/13 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「あと1回の利上げを実施するのが適切かもしれないとの見方は変えていない」、「さらなる利上げが必要になると考える理由は、現時点ではない」 | 米金利が低下し、やや円高方向に振れる。 |
| 10/13 | 植田・日銀総裁 | 「賃金と物価が緩やかに上昇するメカニズムが定着してきている下で、一時的な要因を除く物価の基調は2%にかなり近づいてきている」、「基調物価を2%程度の水準で安定させていくという観点が、金融政策にとって重要な局面だ」 | -------- |
| 10/12 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「対応を先送りして後で大幅な軌道修正を迫られるリスクを負うより、可能であれば、小幅な調整を比較的速やかに行う方が望ましいと考えている」 | -------- |
| 10/8 | ウォラー・FRB理事 | 「経済指標が引き続き予想通りに推移すれば、インフレ率を2%の目標により速やかに戻すため、追加利上げが必要になると予想している」、「しかし利上げをいつ実施するかについては、ある程度の柔軟性がある。連続する会合で利上げする必要はないが、妥当な期間内に実施すべきだ」 | -------- |
| 10/6 | 佐藤・日銀審議委員 | 「段階的に調整していく方針には賛成している」、「個人消費の勢いはそれほど強くない」 | -------- |
| 10/1 | ジェファーソン・FRB副議長 | 「先行きを見据えると、今後の政策調整はデータの傾向、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に検討した上で決定すべきだと考えている。同僚と私はそれぞれ独自に判断を下す必要があり、それにはさらに時間がかかる可能性がある」 | -------- |
| 10/1 | ボウマン・FRB副議長 | 「現時点では追加措置を急ぐ必要があるとは考えていない。データを総合的にもっとよく理解する必要があると思うが、リスクには引き続き注意を払う必要がある」 | -------- |
| 9/29 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「経済が私の予測とおおむね整合的な形で推移すれば、インフレ率をより早期に目標水準に下げるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを今年終盤にもう一段引き上げることが適切となる可能性がある」、「10月のFOMC会合が中間選挙に近いことについては、『全く』考慮すべき要因ではない」 | 10月の利上げ確率が後退 |
| 9/24 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「関税やテクノロジー関連の値上がり、燃料費や医療費の上昇など、幅広いコスト上昇圧力が長引いていることで、米国のインフレが定着するリスクが高まった」、「より引き締め的な金融政策が必要になる」 | -------- |
| 9/24 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「相次ぐ供給ショックに見舞われており、インフレ心理が定着するリスクが高まっている」 | -------- |
| 9/24 | ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 | 「この先の状況が私の予想通りに推移すれば、さらに小幅な引き締めが正当化される可能性がある」、「米経済はショックに対して底堅く、生産の伸びは堅調で、労働市場は完全雇用に近いとして、『勢いが増している』兆しがある」 | -------- |
| 9/23 | ハセット・米国家経済会議(NEC)委員長 | 「最近のコアインフレ率が年率2%となるなかで、なぜ利上げするのか」、(ウォーシュ議長については)、「異例なほど党派性の強いFRBを運営している」、「FRB議長や副議長は通常、任期満了時にFRBを去るが、その慣例が守られていない」、「なぜそうしたのか懸念している」 | -------- |
| 9/18 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「FRBにはインフレ抑制に向けてまだやるべきことがあり、今週の措置はその方向への一歩だった」、「原油高はインフレ率を押し上げる重要な要因となっているが、インフレの問題がエネルギーだけではないことを認識する必要がある」、「均衡しているようだ」、「経済成長は堅調だ」 | -------- |
| 9/16 | フォンデアライエン・欧州委員長 | 「欧州とカナダは民主主義を信じている。権力は、最も強い者、最も裕福な者、最も声の大きい者のものではない」 | -------- |
| 9/16 | ウォーシュ・FRB議長 | 「金融・信用環境をわれわれの最終的な目標により整合させるため、緩和の度合いを幾分縮小した」、「6カ月、112カ月ベースの年率換算で3%を超える価格上昇を示す財・サービスの項目が多過ぎる」、「この夏のインフレ指標を見ても、基調的な傾向が目立って改善したとは考えていない」 | ややタカ派的なトーンだったことで、ドル円は156円台に乗せ、156円42銭まで上昇。 |
| 9/16 | FOMC声明文 | 「委員会は米連邦準備制度理事会(FRB)の二大責務を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25ポイント引き上げ、3.75−4%にすることを決めた。委員会は、銀行システム内に十分な準備預金を維持する方針を継続している。経済活動は堅調なペースで拡大しつつある。地政学的な動向などを背景に、不確実性は引き続き高いものの、国内支出は底堅く推移している。生産性の伸びは力強く、設備投資は堅調だ。雇用の伸びは労働力に見合うペースを維持しており、失業率はほぼ変わっていない」、「インフレは高止まりしている。本日の政策措置は、委員会の目標である2%に向けた、より速やかな回帰を支えるだろう。委員会は物価安定を実現する」 | -------- |
| 9/15 | ベッセント・財務長官 | 「円高は米国の輸出にとって好都合だ。円が強くなれば、日本政府が為替介入の資金を捻出するために米国資産を売却する必要もなくなる」、「ごくわずかな額で、日本の政策を支持する姿勢を示すことができた」、「介入の目的ではなかったものの、米財務省は円買い介入によって数千万ドルの利益を上げた」 | -------- |
| 9/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「今回の利上げは迷う余地のない判断で、全会一致で決定した」、(今後の政策対応については)「毎回の会合で判断する」、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「最近のデータは心強い。関税の影響が一部、過去のものとなる中、インフレは実際、緩やかな低下傾向にあるとみている」、「前回のFOMC会合を終えた段階で、金利は完全雇用と物価安定というFRBの2大責務のバランスを取る上で適切な水準にある」、「われわれは現在、多くのデータを収集しており、それを踏まえてあらためて評価する必要がある。実質金利はやや上昇したが、それほど大きくは上がっていない」 | -------- |
| 9/2 | 高田・日銀審議委員 | (今後の利上げに際し)、「市場で考えられている一定の間隔や幅にとらわれることなく、緩和度合いを確認したうえで機動的に対応していく必要がある」 | ドル円は、160円台前半から159円台後半に下落。 |
| 9/1 | バー・FRB理事 | 「データの傾向から、インフレが2%に向けて鈍化しているとの確信がある程度得られるなら、政策スタンスを評価するためにもう少し時間をかけることができる。だが、インフレの鈍化が十分でないようなら、断固として利上げに動くべきだと考える」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



