今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米財務省、国債買い戻し増額を発表」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は159円台前半から急落。米財務省が「米国債の買い戻しを増額する」と発表したことで米金利が低下。ドル円は158円05銭まで下落。
  • ユーロドルも急反発。ユーロは一時1.1679まで買われ、5月以来の高値に。
  • 株式市場では金利低下を好感し3指数が揃って反発したが、上昇幅は限定的。
  • 債券は買われ、長期金利は4.64%台に低下。
  • 金は大幅反発。原油は小幅高。
ドル/円 158.05 〜 159.14
ユーロ/ドル 1.1603 〜 1.1679
ユーロ/円 184.42 〜 184.94
NYダウ +119.65 → 53,463.05ドル
GOLD +124.70 → 4,545.30ドル
WTI +0.89 → 85.83ドル
米10年国債 −0.059 → 4.645%

本日の注目イベント

  • 豪 豪7月雇用統計
  • 日 7月貿易統計
  • 独 独7月生産者物価指数
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 8月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 7月景気先行指標総合指数

本日のコメント

ドル円は米財務省の想定外の発表に急落しましたが、現時点では下落幅は限定的とみています。米財務省は10―30年物米国債について、「流動性支援のため買い戻し規模を少なくとも2倍に引き上げる」と発表しました。十数年ぶりの高水準に達していた米長期債利回りを抑え込むための新たな試みで、発表を受けて利回りは急低下しドルが売られました。同省は2週間前、「流動性支援」を目的に、オフ・ザ・ラン債と呼ばれる流動性の低い既発債を最大380億ドル(約6兆200億円)買い戻すとの見通しを示していました。同省によれば、実施は9月9日から11月4日までの暫定日程です。10年−30年物の米国債を最大で計140億ドル相当買い戻す計画だったことから、この規模を少なくとも2倍にすれば、買い戻し額は140億ドル以上積み増されることになります。米財務省は「今回の買い戻し規模拡大は、年限が長めの名目国債への流動性支援を一段と強化する米財務省の意向を反映している」と声明で発表し、「長期債の買い戻しについては、質が高く、まとまった規模のオファーが恒常的に米財務省に寄せられており、市場参加者から安定した力強い参加があることが示されている」と説明しています。発表を受けてドルは売られ、ドル円は158円05銭、ユーロドルは1.1679まで「ドル安」が進みました。債券市場では、30年債利回りが一時10ベーシスポイント低下し、「5.18%」まで低下。10年債利回りも「4.64%」前後まで低下しました。米金利は前日には一時、2007年以来の高水準を付けており、今回の措置は米金利の上昇を抑える目的であることは明らかです。

7月28−29日に開催されたFOMC会合での議事要旨が公表されました。議事要旨では、「多くの参加者が、インフレが低下しなければ金融引き締めが必要になるだろうとの認識を示していた」ことが確認され、また、「幾人かの参加者は、同会合での利上げ決定が望ましいとの考えを示していた」ことが分かりました。7月会合では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.5−3.75%に据え置くことを「9対3」で決定しました。ダラス連銀のローガン総裁、クリーブランド連銀のハマック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の3人が、0.25ポイントの利上げを主張して反対票を投じたことも判明していました。7月会合で投票権を持たなかったカンザスシティー連銀のシュミッド総裁とセントルイス連銀のムサレム総裁もその後、同会合で利上げを支持していたとの考えを示しており、同会合では金融政策を巡る議論では、インフレ見通しの違いが大きな焦点となっていたことも判明。「参加者のインフレ見通しは極めて不確実で、イラン戦争が再び激化したことがインフレ見通しを不透明にした」と議事要旨には記されています。

トランプ大統領は北朝鮮の、金正恩労働党総書記と年内に首脳会談を行うことに意欲を燃やしているようです。ただ、トランプ氏側は盛んに同氏に「秋波」を送っているようですが、金氏の妹で朝鮮労働党総務部長を務める金与正氏が国営朝鮮中央通信を通じて発表した声明で、「両首脳の関係は引き続き、極めて良好だ」と述べつつ、「しかし、朝鮮民主主義人民共和国に対する米国の敵視政策は変わっていない」と続けており、首脳会談の実現には否定的でした。「この声明は、トランプ氏が17日、首脳間の対話を求める働きかけに金氏から返答があったと述べたことを受けたものだ。トランプ氏は19日、金正恩氏と書簡のやり取りはあったのかとの質問に回答を拒否。それでも金氏とは『非常に良好な』関係にあると主張し、年内に会談する見通しかとの記者の質問に『ああ、そうなるだろう』と答えていた」(ブルームバーグ)と伝えられ、実現の可能性はそれほど高くはありません。トランプ氏がこれ程までに金氏との首脳会談の実現に奔走するのは、もちろん11月の中間選挙を意識しているからです。イランとの戦争終結が見通せなくなった現時点で、次の起死回生を図る起爆剤は金氏との首脳会談しかありません。韓国との合同軍事演習の縮小を決めたのも、「多額の費用がかかる」ことを、その理由の一つにしていましたが、本音は、金氏を刺激したくなかったからでしょう。これに関しても金与正氏は声明で、「米大統領が突然発表した米韓合同軍事演習の縮小について、われわれは関心がなく、論評する価値すらないと考えている」と主張していました。「今更、中間選挙勝利への踏み台にはならないよ。その手は食わない」と言っているようなものです。ロイター通信と調査会社イプソスが17日に発表した調査結果によると、トランプ大統領の支持率は「33%」で、7月の前回調査から2ポイント低下しています。不支持率は「64%」と、今回の政権では最低を更新しています。イランとの戦争と、それに伴う物価高が不支持につながっているものとみられます。因みに、イランへの武力攻撃を支持するかどうかの質問に対しては、「34%」が支持、「61%」が不支持でした。

米財務省の唐突の発表にドル円は158円ギリギリまで売られましたが、米国の台所事情は決して楽ではなく米金利上昇は避けたいところ。ましてやイラン戦争に伴う戦費は巨額で、米国債には今後も売り圧力がかかりそうです。現時点ではまだドル高の流れは変わっていないと考えています。通貨当局がドルの水準を押し下げたいのであれば、このような状況こそ「チャンス」と思えますが・・・・。

本日のドル円は157円50銭〜159円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/13 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 --------
8/13 ハマック・クリーブランド連銀総 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 --------
8/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
7/29 FOMC声明文 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。
7/29 ウォーシュ・FRB議長 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。
7/23 ラガルド・ECB総裁 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。
7/16 ローガン・ダラス連銀総裁 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 --------
7/14 ウォーシュ・FRB議長 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 --------
7/13 ウォラー・FRB理事 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。
7/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 --------
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和