今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米、イラン停戦を無期延期」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は原油価格の上昇を受け再び159円台に乗せ、159円64銭まで買われる。イラン情勢が依然として不透明であることで有事のドル買い継続。
  • ユーロドルは反落。ドルが買われたことで、1.1717まで下落。
  • イラン情勢の不透明感を受け、株式市場では3指数が揃って続落。ダウは取引直後400ドル上昇する場面もあったが、結局293ドル安で引ける。
  • 債券は続落。長期金利は4.29%台へと上昇。
  • 金は大幅続落。原油は続伸し、92ドル台に。
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3月小売売上高 → 1.7%
3月中古住宅販売成約指数 → 1.5%
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ドル/円 159.01 〜 159.64
ユーロ/ドル 1.1717 〜 1.1775
ユーロ/円 187.01 〜 187.36
NYダウ −293.18 → 49,149.38ドル
GOLD −109.20 → 4,719.60ドル
WTI +2.52 → 92.13ドル
米10年国債 +0.041 → 4.292%

本日の注目イベント

  • 日 3月貿易統計
  • 欧 ユーロ圏4月消費者信頼感指数
  • 欧 ラガルド・ECB総裁講演
  • 英 英3月消費者物価指数
  • 米 決算発表 → フィリップモリス、AT&T、ボーイング、ムーディーズ、テスラ、IBM

本日のコメント

またまたトランプ大統領の「TACOトレード」が露呈されました。前日まで強気の姿勢を見せ、「期限までに合意に至らなければ攻撃する」、「延長する可能性は極めて低い」、さらに「拙速に悪い合意を結ぶつもりはない。時間はいくらでもある」と発言。その上で、ホルムズ海峡の封鎖を当面維持する方針を改めて示し、「彼らは私に海峡開放を求めている。イラン側は強く望んでいる。だが合意が成立するまでは開放しない」と述べていましたが21日、期限を翌日に控えたイランとの停戦について「無期限」で延長すると表明。トランプ氏はSNSへの投稿で、ホルムズ海峡でイラン発着の船舶に対する封鎖を維持すると表明しました。また、両国間の仲介役を務めていたパキスタンが米国に新たな攻撃を控えるよう要請している。イランが新たな提案を提出し、「協議が何らかの形で決着する」まで停戦を延長すると投稿しました。これを受け、バンス副大統領は急遽パキスタン訪問を取りやめています。停戦延長を受け、WTI原油価格は3ドル超下落し、債券と株が売られ、ドル円も再び159円台半ばまで上昇しました。

トランプ氏は交渉決裂の原因について、イランの指導体制が「深刻に分裂している」と非難していますが、イラン側は「米国の海上封鎖が続く限りホルムズ海峡を再開せず、必要であれば武力で封鎖を打破する方針だ」と、タスニム通信が関係者の話として報じています。ここまで自身の言った発言をころころと変える「TACOトレード」は、イラン側には読まれているのでしょう。見方を変えれば、停戦をより強く望んでいるのはイランではなく、トランプ氏であるとも言えます。国内ではガソリン価格の上昇にトランプ氏への支持率が低下し、このままでは11月の中間選挙での敗北も濃厚になってきます。共和党所属議員も落ち着かないことでしょう。いずれ共和党内部からもトランプ政権への批判の声が上がるのも必至ではないかと思います。

一方で、良いニュースもありました。次期FRB議長に指名されたケビン・ウォーシュ元FRB理事は昨日、上院銀行委員会の指名公聴会に臨み、承認された場合は独立して行動すると繰り返し表明しました。ウォーシュ氏は「大統領に指名されたことを光栄に思う。FRB議長に承認されれば、独立した立場で行動する」と述べ、ケネディ議員から、大統領の「操り人形」になるのかと問われたウォーシュ氏は、「断じてない」と答えていました。また、「金利決定についてトランプ大統領から約束を求められたことは一度もない」と付け加えています。ウォーシュ氏は、根強いインフレに対応するための新たな枠組みや、国民とのコミュニケーション手法の見直しなど、FRBの政策決定の在り方について一連の改革を提唱。ただ、具体的な内容にはほとんど踏み込まず、目先の金利見通しに関する質問に対しても明確な回答を避けていました。ブルームバーグは、「ウォーシュ氏の承認を巡る見通しは依然として不透明だ。銀行委の共和党議員は同氏を評価しているものの、党内の有力メンバーであるトム・ティリス上院議員は、司法省によるパウエル現議長を巡る捜査が終了するまで、いかなるFRB人事も承認しないと表明している。捜査はFRB本部ビルの改修と同プロジェクトに関するパウエル氏の議会証言に関するものだ」と報じていました。筆者も含めて、トランプ氏に指名された次期議長候補がトランプ氏にどの程度忠誠心を見せるのか注目していましたが、その心配はなかったようです。ただ一方で「反トランプ」と見なされると、解任されるリスクもありそうです。米最高裁が、トランプ氏が課した「相互関税」について、これを認めない判断を下したことを巡って、トランプ氏はCNBCの番組で、アマゾン・ドット・コムやアップルといった企業が違法と判断された関税の還付を申請すべきかとの質問に対し、「そうしないなら素晴らしいことだ」と回答。「そうしないのであれば、覚えておく」と述べています。ブルームバーグによると、「還付総額は1600億ドル(約25兆5000億円)を超える可能性があるが、手続きは依然として不透明な点が多い」とのことです。

停戦期間が無期限に延期されたことで、原油価格の動きに不透明感が強まってきました。先週、停戦期待から83ドル台まで売られた同価格は1日で9ドル(約11%)も上昇しています。ドル円も原油価格の上昇に歩調を合わせる形で円安が進んでいますが、いまのところ159円台半ばから160円にかけては、介入警戒感が極めて強く、「危険水域」になっていることで、円の一段安が抑制されている状況です。今朝の日経新聞は一面で「日銀利上げ見送りへ」と報じています。円売り圧力が依然として強い中、やはり「ゴールデンウィーク」辺りが分水嶺になるのではと、予想しています。

本日のドル円は158円50銭〜160円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
4/6 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「政策当局はかなりの期間、金利を据え置くのが望ましい」、(労働市場が顕著に悪化した場合)、「利下げが必要となるシナリオも想定される」、「インフレ率が目標を上回る状態が続く場合には、利上げが必要になる可能性もある」、「インフレ率は既に5年以上にわたり目標を上回る状態が続いている」、「さらに上昇すれば、2%目標から離れる誤った方向に進んでいることを示す」 --------
3/30 パウエル・FRB議長 「インフレ期待は、短期を超えてしっかり安定しているようだ」、「紛争の影響に対応する必要が生じる可能性はあるが、現時点ではその段階には至っていない」、「経済への影響がどうなるかは分からない」、「金融政策は様子見が可能な良い位置にあると考えている」、「供給ショックは通常は重視しない傾向があり、その際に極めて重要なのはインフレ期待を注意深く監視することだ」 債券と株が買われ、金利は低下。
3/27 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「米国が石油の純輸出国であるため、理論上は限定的にとどまる」、「ただ、ガソリン価格は目に見えやすく、消費者心理を冷やす可能性があるほか、航空運賃や貨物輸送、物流コストにも影響が及ぶ可能性がある」 --------
3/27 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「燃料価格や肥料価格の上昇がインフレ期待に波及するスピードが速まり、かつ持続性もやや高まるリスクが少し強まっている」、「それを懸念している」、「こうしたショックが持続的なインフレに転じるためには、それを持続させるメカニズムが必要だ」と指摘。「賃金設定の面では、現時点でそれを引き起こすような強い動きは見られない」 --------
3/23 デーリー・SFシスコ連銀総裁 「不確実性の下では最も可能性の高い単一の道筋は存在しない。 経済には少なくとも二つの可能性のある道筋がある。 中東の紛争が早期に解決すれば、石油やエネルギー価格は低下し、米経済への影響は短期的で限定的にとどまる。一方、紛争が長期化すれば、エネルギー供給の混乱とそれに伴うコスト圧力が持続し、インフレ上振れや成長鈍化、労働市場の弱体化といったリスクが高まる可能性がある」 --------
3/23 グールズビー・シカゴ銀総裁 「インフレが落ち着けば、今年中に複数回の利下げを行う状況に戻る可能性もある。もし状況が異なる方向に進み、インフレが制御不能になった場合、利上げが必要になる状況も想定できる」 --------
3/18 パウエル・FRB議長 「経済への潜在的な影響が及ぶ範囲や期間を把握するには時期尚早だ」、「強調したいのは、誰にも分からないということだ」、「利下げを再開するにはインフレ鈍化の進展を確認する必要がある」と強調。「特に、関税によって押し上げられてきた財のインフレ減速が重要だ」、「その進展が見られなければ、利下げはないだろう」、(自身の進退に関し)、「FRB本部の改修工事を巡る司法省の調査が完全に終結するまで、理事として辞任するつもりはない」、「エネルギー価格の上昇によるインフレへの影響は一時的だ」、「金融当局は通常利上げを行わない」と説明。「ただしこの対応は、インフレ率が長期的にFRBの目標である2%前後に収束するとの期待が維持されることを前提としている。米国のインフレ率は5年間にわたり2%目標を上回っている」 株式と債券が売られ、ドル円は159円90銭まで上昇。
3/18 FOMC声明文 「中東での戦争に伴う経済への影響が不確実だ」、「委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」 --------
3/15 ライト・エネルギー長官 「この紛争は今後数週間で確実に終わると考える。それより早まる可能性もある」、(原油は)「その後は供給が回復し、価格は押し下げられるだろう」 --------
3/15 ハセット・NEC委員長 この任務の完了には4−6週間を要するが、予定より早いペースで進んでいると、国防総省が14日時点でみていた」、「戦争の終結時期を最終的に決めるのはトランプ大統領だ」、「現在の状況が終わり次第、世界経済には大きなプラスのショックが起きると予想している」 --------
3/15 アラグチ・イラン外相 「われわれが米国と交渉すべき理由など一切見当たらない。米国はわれわれと協議をしながら攻撃を決断したのだ。しかも2度にわたって」、「勝利の見込みのない違法な戦争を行っていることをトランプ氏が認めるまで、イランは自衛を続ける」 --------
3/14 トランプ大統領裁 「イランは合意を望んでいるが、条件がまだ十分に良くないため私は応じたくない」、「非常に強固な合意には、イランが核開発の野心を放棄するとの確約が含まれる必要がある」 --------
3/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 --------
3/3 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 --------
3/3 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 --------
3/2 氷見野・日銀副総裁 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和