今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル、金、原油、揃って下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は朝方の153円台から下落。株価の大幅安や、米金利の低下を受け円を買う動きが優勢となり、152円37銭を付ける。
  • ユーロドルは小動き。1.18台半ばから後半でもみ合い。
  • 株式市場では3指数が大幅安。シスコシステムズが12%安となり、ナスダックは469ポイント下落。またダウも660ドルを超える下げに。
  • 債券は反発し、長期金利は4.09%台に急低下。
  • 金は150ドルを超えて売られ、原油も大幅下落。
*********************
1月中古住宅販売件数 → 3.91百万件
新規失業保険申請件数 → 22.7万件
*********************
ドル/円 152.37 〜 153.71
ユーロ/ドル 1.1856 〜 1.1890
ユーロ/円 180.80 〜 182.52
NYダウ −669.42 → 49,451.98ドル
GOLD −150.10 → 4,948.40ドル
WTI −1.79 → 62.84ドル
米10年国債 −0.083 → 4.098%

本日の注目イベント

  • 日 田村日銀審議委員、神奈川県金融経済懇談会で講演
  • 欧 ユーロ圏10−12月期GDP(改定値)
  • 欧 ユーロ圏12月貿易収支
  • 米 1月消費者物価指数

本日のコメント

ドル円も、株価もさらには金も値動きが激しくなっています。昨日のレポートで、ドル円と米金利との相関が戻ってきたことを指摘し、ドルの上値の重い展開を予想しました。昨日の東京市場午前中ではドルが底堅く推移していましたが、午後には大きく下げ、前日のNYのドルの安値である152円55銭を割り込みました。この時点で、短期的にはドル高が転換した可能性が高いと個人的には判断しました。筆者の愛用する「一目均衡表」では、転換線が基準線を下回り、ローソク足も雲を明確に下抜けし、上昇の雲も下落の雲に変わっています。遅行スパンも過去のローソク足を下抜けし、現在は雲の下限を目指しているように見えます。さらに、「MACD」では、マックDライン、シグナルラインがともに、下落のスピードが速まるとされる「マイナス圏」に突入しています。もちろんデッドクロスはとうに点灯しています。これらは全て「日足」であることから、「相場の基本は日足にある」ことを基準にしている筆者としては、少なくとも「短期的にはトレンド転換した」と判断するのが妥当だと考えます。

昨日の海外でも153円台に乗せましたが、株価の大幅下落と米金利の低下に円が買われる展開でした。今週に入って152円割れを試す動きがありましたが、まだ152円台は維持しています。従って、今日の動きの中では152円台が維持できるのかどうかがポイントで、さらに「150円」が非常に重要で大きな節目と考えます。さらに言えば、好調な日本株の上昇にも円売りは見られず、昨日は反対に、円高に振れたことで、日経平均株価がプラス圏からマイナスに沈む局面もありました。「高市トレード」では、株価だけがその流れに沿っています。ただ、やや気になるニュースもあります。「ロシア大統領府(クレムリン)は、トランプ政権との幅広い経済連携の一環として、ドルを再び受け入れる可能性など一連の提案を打ち出している。ブルームバーグが確認したロシアの内部文書で明らかになった」という報道です。ウクライナ和平合意の主要な柱として米ロ間の経済協定が交渉される中、提案の核心にあるのは、ロシアがドル建て決済システムに復帰することです。ブルームバーグは「ロシア政府の方針を大きく転換するもので、世界の金融市場にも劇的な影響を及ぼす可能性がある」と報じています。

共和党が多数を占める米議会下院は11日、トランプ政権がカナダに課している関税を撤廃する決議案を賛成多数で可決しました。11月に予定される中間選挙では、消費者が購入しやすい手頃な価格実現が大きな焦点になると予想され、今回の動きは、ホワイトハウスの経済アジェンダ(政策課題)を巡る議会の不安の高まりを反映するものと言えそうです。トランプ大統領はこうした決議案に拒否権を行使するとかねてから警告しており、大統領の署名を経て成立する可能性は低いと見られています。しかし、下院では共和党議員6人が造反し、ほぼ全ての民主党議員が関税に反対したことは、共和党の僅差での過半数維持がますます不安定になる状況を暗示しています。また、共和党内にもトランプ氏の独断的で力ずくの政策に反対する声が徐々に高まっていることが明らかになって来たと言えます。前日トランプ氏は、政権1期目で締結した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)からの離脱をひそかに検討していると報じられていました。とりわけ、カナダとの関係が悪化の一途を辿っています。トランプ氏に反旗を翻したカナダのカーニー首相がダボス会議で行った演説は、その後大きな反響を呼んでいます。カーニー氏は、トランプ氏を暗に批判し、「ルールに基づく国際秩序は機能しておらず、断絶のさなかにある」と演説し、トランプ政権下の覇権主義に対し、中堅国(ミドルパワー)が連携して安全と秩序を守る必要性を訴え、大きな注目を集めました。

本日は田村日銀審議委員の講演があります。田村氏は「タカ派」として知られており、積極的な利上げを主張してきました。発言内容は概ねそれに沿ったものと思われ、市場への影響はないと思われますが、市場が円高方向には敏感になっている足元では注意が必要かもしれません。また、NYでは「1月の消費者物価指数」が発表され、こちらは結果次第ではというところです。

本日のドル円は151円30銭〜153円50銭程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
2/11 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 --------
2/10 ローガン・ダラス連銀総裁 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 --------
2/10 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 --------
2/5 ECB声明 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 --------
2/5 ラガルド・ECB総裁 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 --------
2/3 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 --------
2/3 ミラン・FRB理事 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 --------
2/2 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 --------
1/28 ベッセント・財務長官 (ドル・円相場への米国の介入について質問され)、「絶対にしていない」、(その可能性について)、「強いドル政策を維持していると言う以外にコメントしない」、「米国は常に強いドル政策を取っている。ただし、それは適切なファンダメンタルズを整えることを意味する」、「健全な政策を実行していれば、資金は流入する」、「米国の貿易赤字が縮小していることを踏まえれば、時間の経過とともに自動的にドル高につながるはずだ」 ドル円は152円台後半から1円ほど上昇。
1/28 パウエル・FRB議長 「経済活動の見通しは前回の会合後に明らかに改善しており、これは時間の経過とともに労働需要や雇用に影響を与えるはずだ」、(労働市場については)「安定化の兆しが見られる」、「過度に踏み込むべきではない」、「冷え込みが続いている兆候もある」、(今後の利下げについて)、「次の利下げがいつになるのか、あるいは次回の会合で金利を引き下げるのかについて、明確な判断基準を示そうとしてはいない」、「入手するデータや変化する見通しなどを考慮しながら会合ごとに判断していく上で、われわれは良い位置にあるというのがわれわれの言いたいことだ」、(中央銀行の独立性について)、「独立性の要は政策当局者を守ることではない」、「国民にとって有効に機能してきた制度的な枠組みに過ぎない」、」(任期が終了した後も理事としてFRBにとどまるかどうかの質問に)、「決めていない」 --------
1/20 カーニー・カナダ首相 「世界の中堅国は、攻撃的な超大国の強制に抵抗するために協力しなければならない」、「最近の出来事はルールに基づく国際秩序が事実上死滅したことを示しており、カナダやその他の国々は、世界の大国による圧力戦術や威嚇に対抗するため、新たな同盟関係を構築するしか選択肢がない」、「中堅国は協力しなければならない。交渉の席につかなければ、餌食になるからだ」 --------
1/15 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「われわれが直面している最も重要な課題は、インフレ率を2%に戻すことだ」、「労働市場に関するこれまでの懸念はいったん後退した。不透明感から企業は採用を鈍らせているものの、大規模なレイオフには踏み切っていない」、「シカゴ連銀の指標は、労働市場が安定していることを強く示している。依然として強さがあり、かなり堅調だ」、「インフレを2%に戻す軌道に乗せるべく、5年間にわたって取り組んできた。一定の進展はあったが、目標の達成が必要だ。それが実現すれば、金利は引き下げられると思う」 --------
1/14 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「この国の長期的なインフレ率にとって、FRBの独立性はこれ以上ないほど重要だ」、(トランプ政権によるパウエル議長への圧力について問われ)「中銀の独立性がないところでは、インフレは勢いよくぶり返す」、「われわれは過去5年間、インフレ率を引き下げるために闘ってきており、それは容易なことではなかった。FRBの独立性が攻撃されれば、その問題はさらに悪化する」 --------
1/14 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「トランプ大統領が過去1年間にFRBに圧力をかけてきたのは、金利が原因だ」、「政策担当者は今年後半に再び利下げを行う可能性はあるが、今月末の次回の会合では金利は据え置かれるべきだ」 --------
1/14 三村・財務官 「最近の為替について、経済的なファンダメンタルズを反映しているようには見えない」、「最もいけないのはボラティリティー(大きな変動)だ。円安に伴う輸入インフレのデメリットが目立つという声もいろんなところから聞こえてくる」 --------
1/14 片山・財務大臣 (足元で進む円安に)「極めて遺憾であって憂慮している。その見方については日米財務相ともに共有した」、(日本政府としては)「日米財務相共同声明の考え方を踏まえて、投機的な動きを含めて行き過ぎた動きに対しては、あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」 --------
1/8 ミラン・FRB理事 「約1.5%の利下げを想定している。この想定はインフレに関する私の見解に大きく基づいている」、「基調的なインフレはFRBの目標からノイズのレンジ内で推移しており、総合インフレが中期的にどのようになるかを見極める良い示唆になっている」 --------
1/8 ベッセント・財務長官 (FRB議長人事の決定時期はダボス会議)「その直前か直後になる可能性がある。1月中だと思う」、(金利は高過ぎるかとの質問に対して)、「現在の金利水準は中立金利を依然として大きく上回っている。景気抑制的なスタンスであるべきではないと考えている」、(適切な金利水準について)、「多くのモデルでは2.50−3.25%程度を示すだろう」 --------
1/6 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在の金利水準が、中立と推定されるレンジ内にある」、「今後の政策運営については、2大責務の両面での進展を見極めながら、きめ細やかな判断が求められる」、「採用率が低い中で、労働市場のさらなる悪化は誰も望んでいない一方、インフレ率が目標を上回る状態が5年近く続いており、高インフレ期待の定着も避けたいところだ。まさに微妙なバランスだ」 --------
1/6 ミラン・FRB理事 「政策が中立水準付近にあるとは、かなり言いがたい。現状は明らかに景気に抑制的であり、経済の足かせになっている」、「今年は100ベーシスポイントを大きく超える利下げが正当化されると考えている」 株価の上昇に寄与。
1/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「景気の底堅さを踏まえ、今は中立にかなり近い状態だと推測される」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和