「米7月の小売売上高は前月比マイナスに」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 米7月の小売売上高が「−0.6%」だったことで、ドル円は下落。158円60銭まで売られたが、その後はいつものように反発。159円30銭台で取引を終える。
- ユーロドルはやや買われ。1.1585まで上昇したが、依然として1.15台で推移。
- 株式市場では経済指標の悪化に3指数は揃って下落。ダウは107ドル下げ、ナスダックは73ポイント下落。
- 債券も売られ、長期金利は4.69%台に上昇。
- 金は反発し、原油も上昇。
7月小売売上高 → −0.6%
8月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 51.0
***************************
| ドル/円 | 158.60 〜 159.40 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1562 〜 1.1585 |
| ユーロ/円 | 183.78 〜 184.45 |
| NYダウ | −107.58 → 53,732.41ドル |
| GOLD | +16.90 → 4,437.30ドル |
| WTI | +1.15 → 82.40ドル |
| 米10年国債 | +0.049 → 4.692% |
本日の注目イベント
- 日 4−6月GDP(速報値)
- 日 6月鉱工業生産(速報値)
- 中 中国7月小売売上高
- 中 中国7月鉱工業生産
- 米 8月NY連銀製造業景況指数
- 米 8月NAHB住宅市場指数
- 加 カナダ7月消費者物価指数
本日のコメント
先週末に発表された米経済指標はいずれも市場予想を下回りドル円は売られましたが、その後反発する動きを見せ、これまでと同様に159円台に乗せて戻ってきました。「7月の米小売売上高」は、前月比「0.6%減」と市場予想の「0.1%増」から大きく減少し、2025年5月以来の大幅な落ち込みでした。ブルームバーグは、「26年前半に堅調だった個人消費の勢いが7月にやや鈍ったことが示された。一部のアナリストは、アマゾン・ドット・コムが今年、プライムデーのセールを前年の7月から6月に変更した影響で、消費支出も前倒しされ、今回の数字に影響した可能性があると指摘した」と報じています。さらにその後に発表された「8月のミシガン大学消費者マインド」(速報値)も3カ月ぶりの低下となっていました。ミシガン大学の消費者調査ディレクター、シュー氏は「月前半の景況感悪化は幅広い層に及んだが、特に高齢者や低所得者、大学の学位を持たない人々で大幅な低下が見られた」と発表文で指摘し、「これらの層はいずれも、インフレによる購買力低下の影響を特に受けやすい」と続けました。消費者は、物価上昇が続き、イランとの戦争にも終結の兆しが見えないことで、将来に対する慎重な姿勢を強めていることが明らかになったようです。ただ労働市場を始め、多くの経済指標はどちらかといえば下振れ傾向を示していますが、FOMCメンバーの中には依然利上げに前向きな人も多く、9月会合での利上げ確率は低下してはいます。現時点では9月の利上げ確率は「30.8%」で、10月が「20.7%」、12月が「39.1%」と、最も高くなってはいますが、相対的には決して高いレベルではありません。ただ、まだ予断は禁物です。
戦争は米国とイランだけではなく、ロシアとウクライナとの戦争も再び激化して、双方の攻撃はお互いに首都にまで及んでいます。ウクライナはロシアのモスクワ首都圏一帯に、最近では最大規模の一つとなるドローン攻撃を実施しました。一連の攻撃で、モスクワ近郊にあるロシア通販大手ワイルドベリーズの配送センターで火災が発生したと、モスクワ州知事が明らかにしました。600機ほどのドローンが攻撃に使用されたようですが、ロシア国防省によると、一晩で迎撃したウクライナのドローンは全体で過去最多の822機に上ったとされています。ワイルドベリーズは、ロシア版アマゾンとも呼ばれる通販大手で、ロシアの物流インフラを狙うウクライナの攻撃で繰り返し標的となっています。「7月半ば以降、同社の倉庫は少なくとも20カ所が攻撃を受けた。今回の攻撃で被害を受けた配送センターは、同社がモスクワ州に持つ主要拠点の一つだ。一方、ロシア軍はウクライナの黒海沿岸にあるオデーサや近隣地域、首都キーウを標的に、ミサイルやドローンによる攻撃を続けた。ルーマニア国防省によると、NATOの任務に就いていたスペインの戦闘機が16日早朝、ウクライナ国境に近いモルドバからルーマニア領空に侵入したドローンを撃墜した」(ブルームバ−グ)とのことです。
さらにイスラエルも攻撃の手を緩めていません。イスラエル軍はこの週末に再びレバノンを攻撃し、ここ数カ月で最も多くの死者を出しています。行き詰まる米国とイランの交渉に一段の圧力がかかっており、米国は新たな制裁措置の準備も進めている模様です。イスラエル国防軍は16日、レバノン南部で前日に行った攻撃により、親イラン・イスラム教シーア派組織ヒズボラ軍事部門の上級司令官、アブ・ハッサン・アラー氏を殺害したと発表しました。今回のイスラエル軍の空爆で計11人が死亡したと報じられています。イスラエルのネタニヤフ首相は今回の攻撃について、15日にヒズボラが行った攻撃で兵士3人が負傷したことへの報復だったと説明しています。イスラエルは16日、脅威があると判断した場合はヒズボラに対する攻撃を再び実施する方針を示しています。イラン戦争を巡る周辺地域で戦闘が激化したことで、膠着しているとみられる米イランの交渉は一段と複雑化する可能性があります。6月に結ばれた米イランの暫定合意は17日に形式上の期限を迎えますが、ホルムズ海峡を巡る問題では打開への道筋が見えず、米国は「経済的孤立」計画を準備していると報じられています。トランプ大統領は14日、FOXニュースに対し、米国はイラン経済に大きな打撃を与える計画だと述べ、11月の中間選挙までに紛争が終結するかどうかは気にしていないとも語ったとされていますが、同氏への支持率が急激に低下している中、イラン戦争の終結が「起死回生の最大の起爆剤」であることは、自身も十分認識しているようです。それまでには、自身が折れるか、総攻撃をかけるのかの選択を迫られる可能性が高いのではないかとみています。
本日のドル円は158円30銭〜159円80銭程度を予想します。
佐藤正和の書籍紹介
これだけ! FXチャート分析 三種の神器 |
チャートがしっかり読めるようになるFX入門 |
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/13 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 | -------- |
| 8/13 | ハマック・クリーブランド連銀総 | 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 | -------- |
| 8/12 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 | -------- |
| 8/11 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 | -------- |
| 8/5 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 | -------- |
| 8/5 | クック・FRB理事 | 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 | -------- |
| 8/4 | ベッセント・財務長官 | 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 | -------- |
| 8/3 | ベッセント・財務長官 | (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 | -------- |
| 8/3 | 片山・財務相 | (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 | -------- |
| 7/29 | FOMC声明文 | 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 | ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。 |
| 7/29 | ウォーシュ・FRB議長 | 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 | 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。 |
| 7/23 | ラガルド・ECB総裁 | 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 | ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。 |
| 7/16 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 | -------- |
| 7/14 | ウォーシュ・FRB議長 | 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 | -------- |
| 7/13 | ウォラー・FRB理事 | 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 | 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。 |
| 7/9 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 | -------- |
| 7/1 | ウォーシュ・FRB議長 | 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



