今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米6月のCPI、3.5%に低下」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は161円台に反落。6月のCPIが市場予想を下回ったことで、米金利が低下。一時は161円60銭前後まで下落したが、その後再び162円台前半まで反発。
  • ユーロドルでもドルが下落。ユーロは1.1463まで買われる。
  • 株式市場では金利が低下したことを好感し、3指数が揃って反発。前日売られた半導体株もこの日は買われ、ナスダックは233ポイント上昇。
  • CPI鈍化を受け債券は買われ、長期金利は4.58%台まで低下。
  • 金は反発。原油は一時81ドル台まで買われたが、79ドル台で引ける。
*********************
6月消費者物価指数 → 3.5%(前年比)
*********************
ドル/円 161.60 〜 162.27
ユーロ/ドル 1.1404 〜 1.1463
ユーロ/円 185.22 〜 185.49
NYダウ +9.63 → 52,508.27ドル
GOLD +64.00 → 4,069.70ドル
WTI +1.20 → 79.34ドル
米10年国債 −0.034 → 4.589%

本日の注目イベント

  • 中 4−6月GDP
  • 中 中国6月小売売上高
  • 中 中国6月鉱工業生産
  • 欧 ユーロ圏5月鉱工業生産
  • 米 7月NY連銀製造業景況指数
  • 米 6月生産者物価指数
  • 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
  • 米 ウォーシュ・FRB議長、上院銀行委員会で証言
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 米 ムサレム・セントルイス連銀総裁、開会挨拶
  • 米 決算発表→ ブラックロック、J&J、モルガンスタンレー、ユナイテッド
  • 加 カナダ中銀政策金利発表

本日のコメント

昨日の本欄でも、トランプ大統領が提唱した「20%の通航料は、現実的には無理」と書きましたが、トランプ氏は、ホルムズ海峡を通過する貨物輸送に20%の通航料を課す計画を、わずか1日で撤回しました。「20%の『米国補償料(United States Reimbursement Fee)』を、湾岸諸国が米国に対して実施する貿易・投資ディールに置き換えることを決定した」とトランプ氏はSNSへの投稿で表明。「これらの投資は巨額になるだろう。同時に、湾岸諸国とその将来にとって極めて有益なものとなる」と続けていました。「思いついたことを、深く考えもしないで直ぐにSNSで発信するトランプ氏」。マーケットはその度に右往左往させられます。米国の大統領として、もう少し「熟慮」があるべきなのでしょうが、うがった見方をすれば、その裏で金融取引を繰り返し、多額の利益を手にしていることを考えると、これもトランプ氏が言うところの「ディール」なのかもしれません。トランプ氏は通航料計画を撤回したものの、米軍は米東部時間午後4時(日本時間15日午前5時)から、イランの港湾・沿岸地域との間を往来する船舶に対する封鎖を再開したと発表し、また、イランによるホルムズ海峡での商船攻撃能力を低下させることを目的に、同国の標的に対する新たな攻撃も開始しました。

ウォーシュFRB議長は14日、就任後初となる議会証言に臨みました。「高止まりするインフレを容認しない」と述べ、この5年間続いてきた高インフレを抑え込む決意を改めて示しました。ウォーシュ氏は「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」と強調しました。さらに、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」と、改めてインフレと闘う姿勢を示しました。この日発表された米6月のCPIは総合指数が前月比で6年ぶりに低下しましたが、ウォーシュ氏は単一の経済指標を過度に重視したくないとの考えを表明。「今朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」と述べていました。また、一部の議員からはインフレへの対応方針や、情報発信方法の見直し、利下げを求めるトランプ大統領との関係などについての質問も出ました。トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われると、ウォーシュ氏は「そうする」と答え、トランプ氏からの影響を懸念する声を一蹴していました。米6月のCPIは総合で、前月比「0.4%低下」、前年同月比では「3.5%上昇」と、いずれも市場予想を下回り、前月の大幅高に比べインフレも落ち着きを取り戻したとの見方が出てきました。インフレ率の鈍化を受け、米金利が低下。ドル円は161円60銭前後まで売られました。ただ、その後は162円30銭手前まで反発しています。米国側の材料で下がったドル円でしたが、根本にある日本側の財政懸念が執拗に円売りを促している構図は変わっていません。

片山財務相と上野厚生労働相が昨日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産構成割合(ポートフォリオ)の修正に前向きな姿勢を示したことで、市場は好感。ドル円はやや円高方向に振れ、債券も買われ金利がやや低下する場面がありました。片山氏は閣議後の会見で、GPIFの運用環境が大きく変わるなどの可能性があれば、「検証が行われたり、必要があれば修正が行われるということはある」と発言。その上で、基本的にはGPIFのルールや厚労省の考えがあるとし、「しっかりと相談をしていきたい」と語っていました。一方、上野氏も同日、資産構成割合はGPIFが毎年度、適時適切に検証しており、「必要があれば見直しの検討を進めることになる」とした上で、厚労省として検証状況を注視すると述べていました。しかしながら現在の環境が「基本ポートフォリオが想定しているものから大きくかい離しているとは考えていない」とも述べ、直ぐに見直すべき時期ではないとの認識を示しました。GPIFの広報担当者は、「基本ポートフォリオについては、専門的見地から、毎年度適時適切に検証しており今後必要があれば、見直しの検討を進めることになる」と話しています。

債券市場でも、ドル円と同じように何もしなければ、長期金利が「3%」に向かって上昇する状況が続いています。日本の財政懸念に加え、この欄でも何度も触れているように、高市政権からは間接的に日銀の利上げをけん制するような動きが見られます。さらに、これまでとは異なり、市場ではかつて日銀が行っていたように大量に債券を購入する存在もいない、いわば「買い手不在」の状況です。このような状況下でGPIFがポートフォリオ見直しの一環として債券を購入すれば、市場の需給に大きな影響が出ることになります。フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルは、仮にGPIFが国内債券の保有比率を3月末時点の「26.9%」から現行の許容レンジ上限まで引き上げた場合、約12兆3000億円の国債の買い需要が生じるとの分析結果を公表しています。昨日の債券市場では、20年債の入札が予想以上に好調だったことで、長期金利は「2.719%」まで低下して取引を終えましたが、為替をやる上でも、債券市場の動きがこれまで以上に重要になっています。

本日のドル円は161円30銭〜162円80銭程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
7/14 ウォーシュ・FRB議長 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 --------
7/13 ウォラー・FRB理事 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。
7/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 --------
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
6/17 ウォーシュ・FRB議長 FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 --------
6/17 FOMC声明文 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 --------
6/17 内田・日銀副総裁 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 --------
6/11 ラガルド:ECB総裁 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 --------
6/9 片山・財務大臣 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 --------
6/4 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 --------
6/4 デーリー・SF連銀総裁 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 --------
6/3 植田・日銀総裁 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。
6/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 --------
6/3 ローガン・ダラス連銀総裁 (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 --------
6/2 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和