今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利一時4.75%に上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は東京時間の午後に159円78銭前後まで買われたが、NYでは介入警戒感などから上値は重く、159円台半ばで推移。
  • ユーロドルは小動きの中、引き続き1.15台半ばから後半で膠着。
  • 株式市場では3指数が揃って3日続落。イラン情勢の膠着と金利高が続き、株式市場には逆風。S&P500は53ポイント安。
  • 債券は続落して始まり、長期金利は一時4.75%まで上昇したが、その後買い戻しが入り、4.70%台に低下。
  • 金は反落し、原油は小幅ながら3日続伸。
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7月輸入物価指数 → −0.4%
7月輸出物価指数 → −1.3%
7月住宅着工件数 → 123.9万件
7月建設許可件数 → 144.3万件
7月鉱工業生産 → 0.2%
7月設備稼働率 → 76.3%
7月中古住宅販売成約指数 → −2.3%
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ドル/円 159.44 〜 159.72
ユーロ/ドル 1.1571 〜 1.1588
ユーロ/円 184.70 〜 184.87
NYダウ −116.38 → 53,343.40ドル
GOLD −53.10 → 4,420.60ドル
WTI +0.44 → 84.94ドル
米10年国債 −0.018 → 4.704%

本日の注目イベント

  • 豪 豪第2四半期賃金指数
  • 欧 ユーロ圏6月経常収支
  • 英 英7月消費者物価指数
  • 米 FOMC議事録(7月28−29日分)

本日のコメント

日本の10年債が売られ、連日で最高水準を記録しています。一部の見方にもありましたが、長期金利の3%は「単なる通過点」となりそうな勢いです。日米協調の為替介入により日銀の早期利上げは織り込まれたものの、円安や長期金利の上昇は止まっていません。「積極財政の旗を降ろさず、円安に対しても本気で止めようとしているのか、市場は高市早苗首相の真意を測りかねている」(ブルームバーグ)との声も聞かれます。日米協調介入の後、ベッセント財務長官が求める日銀の利上げが9月にも実現しそうだという見方が強まり、スワップ市場が織り込む9月の利上げ確率は8割弱に上昇。来年1月までに2回の利上げがほぼ完全に織り込まれています。日銀がインフレに対して後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」懸念が緩和されれば、少なくとも年限の長い債券には好材料との見方が強かったようですが、実際にはそうなっていません。長期金利(10年債利回り)は「2.96%」まで上昇し、1996年以来の高水準を連日で更新していますが、超長期金利はそれ以上に上昇しています。30年債や40年債利回りは4%を大きく上回っています。「円安や金融政策について『だんまり』を続ける高市首相の姿勢も金利上昇を後押ししている。トランプ大統領が協調介入は日本との友好の証しとの認識を示したにもかかわらず、高市首相から表だった反応はなし。本気で円安を止める気があるのかという疑念が根強い。『これ以上の円安は望まない』という高市首相の肉声が市場に届かない限り、円安はおろか、3%では金利上昇も止まらないだろう」とブルームバーグは警告しています。

米国でも昨日は朝方から債券が売られ、長期金利は一時「4.75%」まで上昇。1年7ヵ月ぶりの高水準を記録しました。その後、住宅関連指標が軟調だったことで債券が買われ同金利は低下して取引を終えましたが、ホルムズ海峡を巡る膠着が原油高につながり、インフレ懸念を払拭できない状況が債券への売り圧力になっています。トランプ大統領は18日、「イランとの協議や対話は行われておらず、予定もない」とSNSに投稿し、中東での紛争とホルムズ海峡の支配を巡る問題は決着が見通せない状況に陥っています。17日には、米国とイランが6月に締結した覚書が期限を迎え、トランプ氏は延長しない考えを示していました。また、米金利の上昇が、円金利の上昇による影響だと、ベッセント財務長官が再認識するようだと、再び日銀に早期の利上げ圧力がかかる可能性もあります。もっと言えば、韓国との合同軍事演習縮小に見られたように、トランプ大統領から高市政権に対しても圧力がかかることも考えられます。NY株式市場では、金利高から主要3指数が揃って3日続落しました。

最後に・・・。

トランプ政権は国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長と上級法廷弁護士に対する制裁を発表しました。ルビオ国務長官は声明で、ICCについて「腐敗し、致命的なほど政治化された超国家的な裁判所で、悪意を持って権限を乱用し、その職権の範囲を逸脱してきた」と主張。さらに、「米国の主権を脅かすことができなくなるまでICCを組織的に解体する」ため、追加措置を講じる可能性を示しました。ICCの締約国ではない米国とイスラエルをICCは不当に標的にしてきたことに対する報復とのことです。「ICCは戦争犯罪やジェノサイド、その他の残虐行為を訴追するため、2002年にオランダのハーグで設立された。2024年には、ガザでの戦争犯罪疑惑を巡り、イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を発付。ロシアのプーチン大統領を含む60人に逮捕状を発付し、21人を拘束している。オランダのベーレンドセン外相は『国際裁判所や法廷は、その任務を自由に遂行できなければならない』とSNSに投稿し、今回の措置を非難した」とブルームバーグは伝えています。「America First」もここまで来たかと驚きましたが、自由と平和と平等の象徴である米国が再び歴史に汚点を残したことになります。

ドル円は大きな値動きを見せませんが、160円に向かって一歩一歩階段を上っているような動きです。昨日の午後、円金利が一段と上昇したにもかかわらず、ドル円は買われました。円金利の上昇は、本来は円高材料になりますが、ここでは「悪い金利上昇」と受け止められたのでしょう。円安・株安・債券安の「トリプル安」が示現しました。

本日のドル円は158円50銭〜160円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/13 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在のインフレ高止まりの大部分は、いずれ収まるはずのショックによるものだ」、「インフレ率はあまりに長く高すぎる水準にあり、企業や消費者の物価見通しが上振れするリスクがある」、「そうなれば、インフレ率を目標まで完全に引き下げるために追加の対応が必要になる」 --------
8/13 ハマック・クリーブランド連銀総 「こうした数字が低めに出ているのは良いことだ。ただ、この傾向が今後も続くのか、あるいはインフレ率を2%の水準まで押し下げるほど十分に低い数字が続くのか、確信は持てない」、(金利に関して)「今こそ行動する必要がある」 --------
8/12 コリンズ・ボストン連銀総裁 「経済データ次第では、9月にも利上げを支持する可能性がある」、「最新の雇用者数の数字を過度に重視すべきではない。失業率は比較的安定している」、「強弱が入り交じる労働市場データよりも、インフレのリスクの方が大きい。注視すべき点は多いが、インフレ率は高過ぎる」 --------
8/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在、米経済が直面する最大の問題だ」、(指標は)「労働市場は良好とは言えないものの、安定していることを示している。消費者が健全な状態を維持する限り、経済も健全な状態を維持するだろう」 --------
8/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今後発表される経済指標を見極めながら、今こそ緩やかな利上げを開始するべき時だ」、「政策当局が対応を先送りし、高インフレが定着すれば、より大幅な利上げを余儀なくされる可能性がある」(7月31日)、「現時点ではなお判断できない」、「インフレ率がこのまま横ばいで推移する、あるいは一段と悪化するようであれば、インフレを再び押し下げるため、政策金利を段階的に調整し始める必要があると思う」、(年末までに3回の利上げを実施する可能性があるかとの質問に)、「それは不可能ではない」 --------
8/5 クック・FRB理事 「近いうちに持続的なディスインフレの兆候を確認できなければ、私は行動を取る用意がある」、「目標を上回るインフレが5年間続いていることから、高いインフレ率が価格や賃金の決定行動に定着してしまうリスクが高まっている。そうした持続性はわれわれにとって、対処がはるかに困難になる」、「関税の影響が薄れることや、原油価格が下落する可能性、さらにAIブームに関連する一部の圧力低下によって、インフレが和らぎ、より引き締め的な政策は不要になる可能性もある」(それでも)、「この講演から一つだけ持ち帰っていただくとすれば、それは私が物価安定の回復に断固として取り組んでいるということだ。インフレ率を目標へ下げることが最優先であり、議会がFRBに課した2つの使命を達成する上でそれは欠かせない」 --------
8/4 ベッセント・財務長官 「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」、「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」、「日本とは緊密に連絡を取り合っている」、「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」、(円安の影響が物価に波及していることを挙げ)、「円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられている」、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」、(円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われ)「日銀が取るべき対応について先回りして判断するつもりはない」、(植田日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし)、「必要なことは実行すると信じている。介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」 --------
8/3 ベッセント・財務長官 (協調介入を実施したことについて)「財務省および日本銀行の当局者と緊密に連絡を取り合い、状況を注視し続けている。必要であれば、さらなる協調介入をためらわない」、「米国は、円の著しい過小評価を是正するため、日本が断行した市場対応および金融政策を強く支持する」 --------
8/3 片山・財務相 (為替介入を実施したことについて)「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」 --------
7/29 FOMC声明文 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。
7/29 ウォーシュ・FRB議長 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。
7/23 ラガルド・ECB総裁 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。
7/16 ローガン・ダラス連銀総裁 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 --------
7/14 ウォーシュ・FRB議長 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 --------
7/13 ウォラー・FRB理事 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。
7/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 --------
7/1 ウォーシュ・FRB議長 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和