「日米で協調介入実施」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 先週末には、前日の介入にもかかわらず160円88銭近辺まで反発したドル円でしたが、夕方5時過ぎには再び円が急速に買われた。NYでも円が買われ、157円20銭まで円高に振れる。
- NY連銀がユーロ円で介入した模様で、ユーロ円は184円台から181円31銭前後まで急落。ユーロドルは1.1548まで買われる。
- 株式市場では3指数が揃って上昇。決算発表を行ったアマゾンが買われ、上昇を牽引。
- 債券は売られ、長期金利は4.735%台に上昇。
- 金は反落し、原油は買われる。
4−6月雇用コスト指数 → 0.9%
7月シカゴ購買部協会景気指数 → 57.6
7月ミシガン大学消費者マインド(確報値) → 55.2
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| ドル/円 | 157.20 〜 160.45 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1455 〜 1.1548 |
| ユーロ/円 | 181.31 〜 184.37 |
| NYダウ | +276.77 → 52,485.03ドル |
| GOLD | −53.60 → 4,107.00ドル |
| WTI | +1.08 → 84.67ドル |
| 米10年国債 | +0.061 → 4.735% |
本日の注目イベント
- 中 7月RatingDog製造業PMI
- 独 独6月小売売上高
- 独 独7月製造業PMI(確報値)
- 欧 ユーロ圏7月製造業PMI(確報値)
- 英 英7月製造業PMI(確報値)
- 米 7月ISM製造業景況指数
- 米 7月S&Pグローバル製造業PMI(確報値)
- 米 7月自動車販売台数
本日のコメント
「15年ぶりの日米協調介入」・・・・。
米財務省はNY連銀を通じて市場介入に踏み切りました。しかも、「ドル円」ではなく、「ユーロ円」で介入した模様です。筆者の記憶ではユーロ円での介入は初めてのことだと思います。ユーロ円で「ユーロ売り・円買い」を行うことで、ドル円でも円買い需要が発生します。その結果、市場ではドル円が売られ、ユーロドルが買われることになります。
前日の政府・日銀による介入で157円98銭前後までドルが急落しましたが、先週末の東京時間ではこれまでと同様にドル買いが先行し、ドル円は160円88銭まで、2円程円安に振れました。筆者は週末のコメントで、「前回の介入で5円程円高に振れたドル円は、およそ1ヶ月で元の水準に戻りました。今回も状況が変わっていないことを考えると、同じような展開が予想されますが、この辺りの状況は当局も十分承知していると思われ、『追い打ちをかけるような二次攻撃』もないとは言えません」と、最後に述べましたが、まさにそのような動きで、しかも今回は「協調介入」でした。ロイター通信は、7月31日に米メリーランド州のキャンプデービッドで開かれた閣議で、ベッセント財務長官の手元に置かれたメモの写真を公開しました。そこには「TO DO Buy Japanese Yen (JPY) 05−10bil」と記されていました。このメモは、「日本円を50億−100億ドル買え」という意味に受け止められます。これに先立ち、ベッセント財務長官は同30日のFOXビジネスとのインタビューで、「円相場は著しく過小評価されているように見受けられる」との認識を示していました。また、為替相場の過度な変動は望ましくない」とも語っていました。この時点ですでに、日本の通貨当局から強い要請があり、市場介入を実施することを承諾したと考えられます。トランプ大統領も介入についてコメントしており、米国が日本円を支えるために介入した理由を問われ、「それは友好の証だった」と述べていました。ベッセント氏は、これまで強い米国を標榜しており、ここで協調介入に参加したことは、個人的にはやや違和感も覚えますが、トランプ氏も述べているように、「トランプ政権を強く支持する同盟国からの要請」であったことを考えれば、「むべなるかな」といったところです。
7月30日の外国為替市場で、日本の通貨当局が行った「円買い・ドル売り」の規模は、約8兆4500億円だったようです。日本銀行が31日公表した8月3日の当座預金増減要因と、短資会社の予想との差がほぼ介入の規模を表しています。為替介入に伴う資金決済は市場で取引を行うことから、通常の取引と同じように、ドルと円の資金の受け渡しは2営業日後となります。そのため30日分は、本日3日の日銀当座預金残高予想に表れ、介入を反映する財政等要因はマイナス8兆2000億円で、介入を織り込まない短資会社の予想では、東京短資がプラス1兆4000億円程度、セントラル短資はプラス3000億円程度、上田八木短資はマイナス9500億円程度でした。3社平均のプラス2500億円との差が、円買い介入の規模と推定されます。4月30日とGWでの介入額は約11兆7000億円だったことから、今年に入って市場介入で20兆円程度の「円買い」を行ったことになります。
先週末の日銀決定会合では、予想通り「政策金利」が据え置かれました。政策金利の据え置きには、高田審議委員が反対票を投じました。高田氏は1.25%程度への利上げを提案しましたが、反対多数で否決されています。6月30日に就任し、初参加となった佐藤綾野審議委員は政策金利の維持に賛成しましたが、高市政権が承認したリフレ派の同氏の賛成も、予想された通りでした。注目された植田総裁の会見では、今後インフレを招く要因として3つ挙げていました。「原油高」、「AI需要」そして、「円安」です。植田氏は、「為替レートの変動が物価に与える影響が以前よりも大きくなっている」と会見で述べ、円安がインフレに与える影響を懸念していました。また、今後の利上げについては、「金融環境が緩和的ですぎると判断すれば、利上げのペースを速めることもあり得る」と述べ、これまでの発言よりも、より早期の利上げに前向きな姿勢を見せていました。植田氏のこの発言もあり、9月会合での利上げ確率は高まっています。ただ、全体的には予想されていた程の「タカ派色」は観られなかった印象です。政府日銀は力での円安阻止で、高値から7円程円高に振れました。今日も、介入の可能性は排除できません。ただ、冷静に考えれば、ドル円を取り巻く環境は何も変わっていません。ここは冷静に判断する必要があります。
本日のドル円は155円〜158円50銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/29 | FOMC声明文 | 「経済活動が堅調なペースで拡大しつつある。設備投資と生産性の伸びが力強い。(インフレ率は、)「2%目標に比べて高止まりしている」 | ドル円は163円台後半から下落。株式と債券も売られる。 |
| 7/29 | ウォーシュ・FRB議長 | 「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている。改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」、「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」、「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」 | 短期ゾーンの金利が低下し、中長期ゾーンの金利が上昇。 |
| 7/23 | ラガルド・ECB総裁 | 「利上げを検討する必要はないか自問した中銀総裁も一部いた」、「現時点では待つことが適切だと判断した。今後数週間の情勢の推移と、その間に公表されるデータを極めて注意深く見守る」、「インフレ見通しには上振れリスクがある。エネルギーショックがさらに強まる恐れがあり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる可能性がある。エネルギー価格の高止まりが長引くほど、より幅広い物価の押し上げにつながるだろう」、「基調的な物価上昇率は現時点では抑制されている」、「6月のユーロ圏総合インフレ率は2.8%へ鈍化し、市場予想も下回った。しかし、今月に入り戦闘が再開したことで、政策当局者の間では金融引き締めをまだ終わらせることができない可能性が認識され始めている」 | ドル高の流れの中、ややユーロ売りに拍車。 |
| 7/16 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を踏まえると、政策金利を現行よりやや高い水準に引き上げた方が、見通しとリスクの均衡をより適切に保てると現時点では考えている」、「インフレが自律的に2%まで戻る方向にないのであれば、少なくとも一定程度の引き締め的な政策が必要だ」、「物価が1カ月落ち着いただけでは十分ではない。物価安定を取り戻すという仕事をやり遂げる時だ」 | -------- |
| 7/14 | ウォーシュ・FRB議長 | 「FOMC参加者は、高止まりするインフレを長期にわたって容認することはない。われわれは物価安定の回復に向け、揺るぎない決意を共有している」、「われわれが適切な政策運営を実現すれば、そして実現する所存だが、過去5年間の高インフレは過去のものとなる」米6月のCPI発表を受けて)、「朝発表された統計を見て『任務は完了した』と考える人もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」、(トランプ氏から公に批判された場合でも経済指標に基づいて政策判断を行うのかと問われ)「そうする」 | -------- |
| 7/13 | ウォラー・FRB理事 | 「今週発表されるコアインフレ指標がまたも強い内容となった場合、FOMCは近い時期の金融政策引き締めを検討する必要があるだろう」、「労働市場は安定しており、個人消費は堅調だ。米経済が良好な状態にある。関税やエネルギー価格、AIインフラ整備を背景としたインフレ圧力を受け、金融政策は岐路に立たされている」、「どのように見ても、どの指標で測ろうとしても、インフレ率は今年上昇している」 | 金利上昇、ドル高、株価下落の一因に。 |
| 7/9 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (AIが押し上げる需要を最も注視していると述べ)、「これが供給に対して需要を持続的に押し上げ、インフレ圧力につながるのであれば、そうした状況を一時的なものとして見過ごすことはできない」、(インフレ率が自身の基本シナリオよりも持続的かつ大幅に高くなれば)、「金融政策で対応する必要がある」、「一方、そうならずにもっと穏やかな展開となれば、金融政策は適切な位置にあり、今後もその状態が続くと考えている」、「今年後半のコアPCEの伸び率が月0.2%であれば、ディスインフレの進行が続いているとの私の見方と一致する。それを上回れば、インフレがやや根強いことを示す兆候になる」 | -------- |
| 7/1 | ウォーシュ・FRB議長 | 「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」、「米国の物価安定を実現する。それがこの委員会に課せられた使命であり、われわれの目標でもある。そのための戦術や戦略などについては今後明らかにしていく」、「FRBは非常に長くにわたり独立した中央銀行であり、現在も独立した中銀であり続ける。その点に変わりはない」、(将来的な金利政策に関して)、「フォワード・ガイダンスを示さない」 | -------- |
| 6/17 | ウォーシュ・FRB議長 | FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置する」、「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」 | -------- |
| 6/17 | FOMC声明文 | 「インフレ率は依然として高水準にある。委員会は物価安定を実現させる」、「経済成長については引き続き堅調」 | -------- |
| 6/17 | 内田・日銀副総裁 | 「足元の景気は、高水準の企業収益や政府の物価対策などが支えになり、経済が大きく下振れするリスクはひところよりも低下している」、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」、(「1.1%〜2.5%」の中立金利について)、「こうした数字は相当なばらつきがあり、あまり使えない」 | -------- |
| 6/11 | ラガルド:ECB総裁 | 「今回のショックは経済全体に広がり始めている。直接的なコストは明らかで、間接的なコストも現れ始めている」、「最大のリスクはこうした決定をしないことだ。インフレの進行を放置して制御不能な状態にしてしまえば、物価安定の水準へ戻すことがはるかに難しくなる」と強調し、その上でラガルド氏は「中東の戦争は経済活動の重しとなっており、各種調査は特にサービス業で減速を示している。エネルギー価格の上昇により、この夏にかけてインフレ率はさらに押し上げられ、2027年上期まで目標を大きく上回る状態が続くだろう」 | -------- |
| 6/9 | 片山・財務大臣 | 「ますます常に断固たる措置を取る用意があるということは変わらない」 | -------- |
| 6/4 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (米労働市場について)「需給が均衡した状態にあるようだ。雇用市場に変化は見られない」 | -------- |
| 6/4 | デーリー・SF連銀総裁 | 「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある。今後起こり得ることについてフォワード・ガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」 | -------- |
| 6/3 | 植田・日銀総裁 | 「経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、それが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していく観点から、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があると考えています」 | ドル円160円前後から159円30銭まで下げるが、すぐに反発。 |
| 6/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「金融政策はまさに適切な位置にある。現時点で利上げも利下げも必要だとは考えていない」、「将来どちらの方向に進むのかについても、明確な方向性が見えているわけではない」 | -------- |
| 6/3 | ローガン・ダラス連銀総裁 | (労働市場は)「おおむね均衡している」、(金融環境も)「緩和的だ」、「こうした状況は、金融政策が景気を抑制していないことを示している。物価安定を完全に回復し、FRBの二大責務のバランスを適切に保つためには、年内にも利上げが必要になる可能性があるとの懸念を一段と強めている」、「FRB当局者の間では最近、インフレが再び加速していることへの懸念が強まっている。また、インフレ率が高止まりするとの期待が定着すれば、物価上昇圧力を抑え込むことが一段と難しくなる」 | -------- |
| 6/2 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレは5年以上にわたり、FRBが目指す2%を上回っている。これに対する懸念は、依然として底堅い労働市場よりも強い」、「現時点では、経済見通しを巡る不確実性を考慮し金利を据え置くことが妥当だ。しかし足元のデータ傾向が続くのであれば、持続的に高止まりするインフレのリスク拡大に対処するため、金融政策面で近く行動を起こすことが適切になる可能性がある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



