今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
7月22日 〜 7月28日
ドル/円
155.00〜160.00
ユーロ/円
168.00〜173.00
豪ドル/円
103.00〜106.00

週明け早朝にバイデン氏が大統領選から撤退するとのニュースが飛び込んできました。オバマ元大統領やペロシ前下院議長、さらにはクリントン元大統領など、民主党の要職経験者からも「撤退やむなし」との声が上がり、バイデン氏の撤退包囲網が強まった中、ようやく自身が撤退する腹を決めたようです。このままの状況で8月の民主党全国大会までズルズルと行ってしまったら、バイデン氏が大統領選で負けるだけではなく、連邦議会の上下院も共和党が制する、いわゆる「トリプルレッド」になる可能性もあり、これを懸念した同党の重鎮が立ち上がったのではないかと思われます。後任の候補者にはハリス副大統領が指名されると思われますが、同氏が女性票や黒人票を予想以上に獲得できれば、このまま民主党政権が続く可能性もあり、少なくともバイデン氏よりも接戦に持ち込めるのではないかと思われます。

一方、トランプ陣営とすればバイデン氏を候補者から引きずり降ろしたことで、「してやったり」と、ますますトランプ氏再選に近づいたと考えると思われますが、2016年の大統領選では、開票時直前まで「クリントン女史有利」と見られていながら、トランプ氏が勝利したこともあり、市場はトランプ氏再選を想定した「トランプトレード」に移行しつつありますが、まだ「確トラ」とは行かないでしょう。副大統領候補にバンス氏を指名し、ますます「トランプ節」が声高に叫ばれる中、市場には不確実性が増し、全ての金融市場のボラティリティーは上がることでしょう。ブルームバーグは「国際社会や金融市場では、11月の選挙でトランプ氏が勝利し、大きな政策転換がもたらされるとの見方が高まっている。投資家はすでに、貿易障壁の拡大やインフレ率上昇を見込んだ「トランプトレードに乗り出している」と伝えています。先週155円台まで急落したドル円は157円台後半まで反発し、戻りも思った以上に急です。個人投資家のスタンスもまだ、「ドルが下がったら買い」という姿勢を崩してはいないようです。今回のドル急落は、米経済指標の下振れや、政府・日銀による予想外の市場介入もありましたが、投機筋もこれまでの円売りポジションの巻き戻しをかなり行っています。シカゴ先物協会が発表した資料によると、ドル円が161円台半ばまで上昇した7月9日発表時に18万4000枚の円ショートと、過去2番目に多い円売りポジションでしたが、16日発表時は15万1000枚と、およそ18%も減少していました。ドル円はその後18日に155円38銭まで売られていることから、23日に発表される円売りポジションはさらに減少しているものと思われます。ただ依然として高水準なのは変わっていないようです。彼ら投機筋のポジションの推移とドル円相場の動きは概ね一致しています。今後彼らの円売り枚数が10万枚を割り込むような時は、ドル高トレンドが転換する時かもしれません。毎週火曜日に発表されるIMMのデータも参考になるかもしれません。

週末にはFRBが重要視しているPEC価格データが発表されますが、個人的には24(水)に行われる、ネタニヤフ・イスラエル首相の米議会での演説内容に関心があります。欧米の警告にもかかわらずパレスチナ自治区ガザへの攻撃を止めず、今度は自国からは1800キロ以上も離れているイエメンのフーシ派への攻撃を開始したネタニヤフ氏。どのような詭弁を弄して米議会の賛同を得られるのでしょうか。

今週の注目材料

  • 7/22(月)
  • 7/23(火)
    トルコ トルコ中銀政策金利発表
    欧   ユーロ圏7月消費者信頼感指数(速報値)
    米   7月リッチモンド連銀製造業景況指数
    米   6月中古住宅販売件数
    米   企業決算 → UPS、GM、GE、コカ・コーラ、ロッキード、テスラ、ビザ
  • 7/24(水)
    独 独8月GFK消費者信頼調査
    独 独7月製造業PMI(速報値)
    独 独7月サービス業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏7月製造業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏7月サービス業PMI(速報値)
    英 英7月製造業PMI(速報値)
    英 英7月サービス業PMI(速報値)
    米 7月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
    米 7月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
    米 7月新築住宅販売件数
    米 ボウマン・FRB理事とローガン・ダラス連銀総裁、イベント開会の挨拶
    米 ネタニヤフ・イスラエル首相、米議会で演説
    米 企業決算 → AT&T、IBM、フォード
    加 カナダ中銀政策金利発表
  • 7/25(木)
    独 独7月ifo景況感指数
    米 新規失業保険申請件数
    米 4−6月GDP(速報値)
    米 6月耐久財受注
    米 企業決算 → STマイクロ
  • 7/26(金)
    日 7月東京都区部消費者物価指数
    日 5月景気先行指数(CI)(改定値)
    日 5月景気一致指数(CI)(改定値)
    欧 パリ五輪開幕(8月11日まで)
    米 6月個人所得
    米 6月個人支出
    米 6月PCEデフレータ(前月比)
    米 6月PCEデフレータ(前年比)    
    米 6月PCEコアデフレータ(前月比)
    米 6月PCEコアデフレータ(前年比)
    米 7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
  • 7/27(土)
  • 7/28(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。