自民党の快勝を受けて、週明けの東京金融市場では神経質な動きとなっています。
ドル円は「自民圧勝」の報道受け、昨年10月や今年年初に観測された「高市トレード」の再現を期待して円売りが進み、一時157円77銭までドル高が進みましたが、その後は介入警戒感も強まる中上値を重くし、156円台半ばまで押し戻される展開です。財務省の三村財務官は9日、為替動向について「高い緊張感を持って注視する」と話し、市場とは「常に対話している」と語っています。片山財務相もすでに昨日の段階で、「(日米の覚書で)ファンダメンタルズを反映しない急激な動きについては断固たる措置を取れると書いてあり、その中で当然介入も入る」と、週明けの円安を先取りする動きをけん制する発言を行っています。ただ、「自民圧勝→高市政権の長期化→より積極的な財政出動が可能→財政規律悪化懸念→円売り」と言った一連の構図は変わらず、円が売られやすい状況になっています。日経平均株価の方は、自民圧勝による安定政権に加え、先週末のNYで米国株が大幅高を演じ、日経先物がすでに上振れしていたこともあり、午前中には一時3000円を超え、平均株価は5万7000円台まで上昇する場面もありました。ただそれでもドル円の反応は薄く、156円台後半で推移しています。こうなると、日経平均株価が買われ過ぎているのか、あるいは円がまだ過大評価されていることも考えられ、どちらかの反応が間違っている可能性があるとも言えそうです。
昨日、衆院選が行われたことで週明けの東京市場では、自民圧勝の結果を受け、その反応をどのように予測するのか一色です。ブルームバーグは、「衆院選で高市早苗首相率いる自民党と日本維新の会の与党が勝利することが確実となり、日本市場では『高市トレード』が再び意識されそうだ。積極的な財政政策と成長重視の経済運営に対する期待から株式には追い風となる半面、円や債券では売り圧力になるとの警戒感が高まっている」と報じながら、市場関係者の言葉も紹介しています。「高市首相の経済刺激策に向けた政治的道筋が示された点で日経平均株価にとって歓迎すべき材料だ。一方、自民党の財政刺激策が事実上青信号となったことで、為替市場では円がさらなる売り圧力を受ける可能性があると予想する」と言った声や、「為替市場における円安の進行は日本経済にとってもろ刃のつるぎだ。輸出企業の採算改善につながる半面、輸入物価の上昇を通じて家計を圧迫する」といった声。さらには「数日以内に円は対ドルで159円台や160円台を試す可能性が十分ある。日本の通貨当局による介入の可能性に関する議論が再び浮上する」と言ったコメントを紹介しています。
昨年10月の高市政権誕生以来、海外の日本の政局に対する反応はこれまで以上に敏感になっていると感じます。自民圧勝は、先週末のNY市場の引け値から、朝方にわずか50銭ほど円安に振れ、その後円がやや買われる展開ですが、海外市場ではどのような反応を見せるか、水準が水準だけに注目です。日経新聞電子版によると、「トランプ米大統領は衆院選で圧勝した高市早苗首相と長期的な協力体制を望む。投開票日の目前には首相を『完全かつ全面的に支持する』と表明。背後には対米投資の実行が遅れる日本への不信感が入り交じり、米国への見返りの期待もある」と伝えており、その内容は、ソフトバンクグループの孫氏が昨年ホワイトハウスで約束した5500億ドル(約87兆円)の米国への投資だとしています。トランプ氏はその実施の遅れにいらだっているとしています。そして、3月の日米首脳会談では、さらに日本に高い要求を突きつけるのでないかとの見方もあります。高市首相を驚くほど持ち上げているのも、結局は「ディール」ということなのかもしれません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
