ドル円は週明け18日には149円32銭まで買われ、ここ1週間でほぼ3円もドル高円安が進んだことになります。背景は言うまでもなく、先週発表された2月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が上振れしたことで、FRBによる利下げ開始が遅れるとの観測が強まり、米金利の上昇に引き寄せられる格好で円売りが強まったものです。この間、今日から始まった日銀金融政策決定会合では、「マイナス金利解除」がほぼ確実とされ「17年ぶりの利上げ」が視野に入ったものの、一時的には円高に振れる場面はあったものの、決定的な円買いには結びついていません。先週末15日遅くに送られてきたバークレーズ証券の金融会合プレビューでは、タイトルが「さようならマイナス金利」と、「マイナス金利解除」が決定的であるようなタイトルでした。今朝の「今日のアナリストレポート」でも書きましたが、「結局ドル円の方向を決めるのは日本ではなく、米国の金融政策だ」といった見方が正しいようです。
明日発表の日銀決定会合の結果はほぼ決まりのようですが、もう一方のFOMCは20日(水)(日本時間22日の朝方)に発表されます。こちらは政策金利据え置きで決まりかと思いますが、今後の見通しに注目が集まります。CPI、PPIは市場予想を上回り引き続き景気は底堅い動きを見せていますが、先週末に発表されたミシガン大学消費者マインドでは予想を下回り、NY連銀製造業景況感指数でも軟調な結果を示すなど、政策当局者を悩ます状況が続いています。それらの数値が政策当局者の判断を変え、年内3回の利下げ見通しを後退させるのか、あるいは堅持するのかが焦点になります。一時年内6回の利下げを予想していた市場は、政策当局が想定する3回利下げに限りなく近づいてきました。
ドル円は結局145−150円のレンジを形成しながら推移しています。先週は146円台半ばまで下げましたが、145円をテストすることなく反発しています。従いまして、今週は上値のメドである150円をテストできるのかがポイントです。150円台に乗せたとしても次のレジスタンスは150円台半ばから後半で、ここは今年一度も抜けていない「岩盤レジスタンス」とも言える水準です。ここは、FRBの利下げ回数がゼロになるなど、余程のドル高材料が出ない限り、そう簡単には抜けないはずです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。