ドル円は107円台半ばを中心にもみ合いが続いています。ユーロドルも同じような動きを見せていましたが、先週末には1.10台までユーロ高が進む場面もあり、こちらはやや動きが出てきた印象です。材料とすれば、円高ドル安に振れると見られ、「リスクオフ」材料が多いにも関わらず、円が買われる目立った動きはありません。
背景は、米長期金利に変化がなく、こちらも0.66%台を中心に低位安定が続いています。米中関係が一段と緊張するリスクと、米企業の経済活動再開本格化への期待感が、ちょうどいい具合にバランスしている状況です。さらに日米とも株価が安定的に推移していることも、ドル円を107円台という、ある意味、居心地の良い水準に押し込んでいるようにも見えます。ただ、この株価の安定には注意が必要かと考えています。多くの投資家が口を揃えて言っているように、コロナ禍の中での株価の上昇には、なかなか説明が付きにくい状況になっている点です。大量の株式投資への待機資金がその背景ですが、経済活動再開がまだ道半ばの中、まだ安心して株への投資を考えるのは時期尚早ではないかと思います。個人的には、「Cash is king 」はまだ継続中であると見ています。
今週はそれほど重要なイベントはありません。そのため、引き続き注目しているのは、米中関係の推移です。香港への監視を強化する中国の「国家安全法」の整備を巡って米中はお互いに、けん制しあっています。米国は中国のこうした破壊的な提案を再考するよう求める一方、中国は内政干渉だと突っぱねる姿勢を強め、今後の成り行き次第では双方が経済制裁を発動するケースも考えられます。特に米国では11月の大統領選を控えているだけに、中国に対する「弱腰」が選挙戦に大きく影響することも予想され、中国の警告に屈しない姿勢を維持すると見られます。
週明けの東京市場では、「非常事態宣言」の解除観測から日経平均株価が300円程上昇していることに伴い、ドル円も107円台後半で推移しています。概ね弱いと見られている経済指標が予想外の健闘を示すようだと、再び108円台をテストする可能性もないとは言えまん。多くの投資家が円高目線で見ているだけに、108円台半ばを超えるようだと、可能性は低いものの「ストップロスのドル買い戻し」があぶり出される事態も頭の片隅には入れておくべきでしょう。経済指標では26日(火)カンファレンスボード消費者マインド(先月→86.9、予想→87.0)と、29日(金)のミシガン大学消費者マインド(先月→73.7、予想→74.0)に注目しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。