今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
12月7日 〜 12月13日
ドル/円
102.50〜105.00
ユーロ/円
124.00〜127.50
豪ドル/円
76.00〜79.00

バイデン政権への移行が思ったほど紛糾しない。あるいは、成立の遅れていた経済対策の実現に明るい兆しが見えてきた。はたまた、英国がコロナワクチンの使用を承認したことなど、先週は市場でリスクオンが進み株高、ドル安が進みました。週央まで104円台で推移していたドル円は後半には103円台半ばまでドル安が進み、ユーロドルは2018年4月以来となる1.2177近辺までドル安が進む場面もありました。そんな中での雇用統計の発表でしたが、結果はまちまちで、労働市場の回復ペースがコロナ禍の影響で鈍化したことが確認されました。ドル円は再び103円台後半まで売られる場面もありましたが、結局今回も104円台に押し戻され、103円台半ばから104円台半ばのもみ合いレンジを、上へも下へも抜け切ることは出来ていません。

一方ユーロドルは上記のように、1.21台後半までユーロ高が進み、特に1.20台半ばを超えてからはその上昇に勢いがついています。1.20台に乗せた際には、当初予想されたECB高官からの「口先介入」も見られず、それもあり、一気に1.21台後半までユーロが買われたものと思います。今週はさらにユーロドルの動きが注目され、その動きがドル円などにも影響を与えそうな気配です。10日(木)にECB政策会合があり、今回は何らかの追加も金融緩和に動く可能性が高いからです。ラガルドECB総裁は、前回10月29日の会合後の会見で、「次回12月の政策会合では、政策手段を再調整する必要がある点で、政策委員会は一致した」と述べ、追加緩和策の実施を示唆しています。また、ECBのシュナーベル理事も先週、新型コロナウイルスのパンデミックが予想以上に長引く見通しであることから、「金融政策決定に反映されなくてはならない」と述べていました。予想される緩和策は、現在1億3500億ユーロ(約170兆円)のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を5000億ユーロ増額するとの見方が有力です。また少なくとも6カ月の期限延長も予想されています。

問題は、追加の緩和決定が上昇基調にあるユーロドルの勢いを止めることが出来るかどうかです。ユーロドルはすでに1.20台の水準を固めた可能性が高いと思われます。この水準を固めたということは、1.20前後まで売られる場面があれば、絶好の買い場と見た投資家のユーロ買いが集まり易いということを意味します。ある程度相場に織り込まれている以上、今回の追加緩和の決定だけでは流れを変えるは難しいのではないかと予想しています。その意味では、今回も会合後のラガルド総裁の発言には注目です。チャート分析でも、すでに多くのローソク足で上抜けしており、もはや「月足」に頼るしかありません。今しばらくは、ユーロドルの上昇基調は変わらないと見て、買い先行でいいのではないかと思います。ただ、ここまで来たら慌てず、目先は10日の政策会合を受けてからの動きを見極めることが肝要です。

今週の注目材料

  • 12/7(月)
    日 10月景気先行指数(CI)(速報値)
    日 10月景気一致指数(速報値)
    中 中国11月外貨準備高
    中 中国11月貿易統計
    独 独10月鉱工業生産
    米 10月消費者信用残高
  • 12/8(火)
    豪 豪11月NAB企業景況感指数
    豪 豪第3四半期住宅価格指数
    日 10月国際収支
    日 7−9月GDP(確定値)
    日 11月景気ウオッチャー調査
    独 独12月ZEW景気期待指数
    欧 ユーロ圏7−9月期GDP(改定値)
    米 米大統領選挙、各州の選挙結果の認定期限
  • 12/9(水)
    豪 豪12月ウエストパック消費者信頼感指数
    中 中国11月消費者物価指数
    中 中国11月生産者物価指数
    独 独10月貿易収支
    加 カナダ中銀政策金利発表
  • 12/10(木)
    欧 ECB政策金利発表
    欧 ラガルド・ECB総裁記者会
    英 英10月鉱工業生産
    米 新規失業保険申請件数
    米 11月消費者物価指数
    米 11月財政収支
  • 12/11(金)
    英 BOE金融政安定報告書公表
    米 11月生産者物価指数
    米 12月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
    米 米暫定予算期限
  • 12/12(土)
  • 12/13(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。