今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
10月25日 〜 10月31日
ドル/円
112.50〜115.00
ユーロ/円
130.00〜134.00
豪ドル/円
83.50〜86.50

上昇を続けていたドル円は先週20日(木)に114円70銭を記録し、その後は114円台でもみ合っていましたが、週末には114円を大きく割り込み、113円42銭までドルが売られる展開でした。この動きを調整局面と捉えれば当然と言えます。9月22日に109円12銭の直近安値を記録したドル円はその後一本調子で上昇し、上記10月20日の前日までの営業日では、日足ベースで見ると、18日中「陰線」を記録した日はわずか4日しかありません。残りの14日は寄付きよりも引け値の方が高い「陽線」で終わっています。上昇基調をたどっていたことがチャート上でも確認することが出来ます。

この原動力となったのが、米長期金利の上昇です。上記日付で確認すると、9月22日は1.30%から1.34%台で推移していた長期金利は10月20日には、1.67%台まで上昇しています。米長期金利の上昇がドル円の上昇をけん引したことは明確です。その後長期金利は1.70%台まで続伸した後、先週末には1.63%台まで急低下し、ドル円もそれに呼応するかのように下値を切り下げてきました。問題はこの先の展開ですが、筆者はこの動きは「小さな調整局面」だと捉えています。まだドル上昇トレンドは変わってはおらず、ドル円は115円に向ってもう一度上昇していく公算が高いと考えています。理由はやはり、米長期金利の一段の上昇を見込んでいるからです。従って、米長金利が予想ほど伸びないとすれば、そのシナリオは崩れることになりますが、その可能性は現時点では小さいと見ています。

足元の物価上昇の主要因は、コロナ禍からの経済再開に伴う人手不足により、賃金が上昇したことが挙げられます。企業はかなり魅力的な賃金を払わないと人手が確保できず、完全な「売り手市場」になっているようです。さらに原油価格の上昇が拍車をかけており、企業は生産コストの上昇分を価格に転嫁していることで消費者物価が上昇しています。8月のPCEデフレータは4.3%と、大きく上昇していました。加えて半導体不足により、自動車メーカーの生産台数が予定生産台数を大きく下回り、車不足から中古車の価格も大幅に上昇しています。中古車価格の上昇が消費者物価を押し上げている現状です。半導体の供給不足は当面解消のメドは立っておらず、2022年春ごろまで続くと言った見方もあります。これらを総合して考えると、物価上昇は一時的なものにはとどまらず、原油価格の上昇が一服したとしても高止まりしている以上、物価押し下げ要因にはなりにくいと思われます。

今週は明日火曜日から米IT大手の決算発表が集中します。決算内容によっては株価が大きく変動し、為替にも影響が出て来る恐れもあります。また31日(日)は、衆院選挙の投開票日です。今回の選挙は与野党が拮抗するとの予想もあり、こちらも結果次第では日本株に大きな影響が出ることも予想されます。

実際に週明けの東京株式市場では、24日の静岡県の参院補欠選挙で与党候補が敗北をし、これが来週の衆院選での与党の敗北を連想させ、一時300円も下げる場面がありました。与党自民党の敗北で政権が危ういということになれば株価は多きく下げ、リスク回避の流れから円が買われる展開も予想されます。投票日が近付くにつれて新聞各社が最新の世論調査の結果を発表すると思いますので、こちらにも注意したいところです。

今週の注目材料

  • 10/25(月)
    日 8月景気先行指数(CI)
    独 独10月ifo景況感指数
  • 10/26(火)
    米 8月FHFA住宅価格指数
    米 8月ケース・シラ−住宅価格指数
    米 9月新築住宅販売件数
    米 10月消費者信頼感指数
    米 10月リッチモンド連銀製造景況業指数
    米 企業決算 → UPS、GE、マイクロソフト、アルファベット、ツイッター
  • 10/27(水)
    豪 豪第3四半期消費者物価指数
    独 独11月GFK消費者信頼感
    欧 ユーロ圏9月マネーサプライ
    米 9月耐久財受注
    米 企業決算 → マクドナルド、コカ・コーラ、イーベイ、ボーイング
    加 カナダ中銀政策金利発表
  • 10/28(木)
    豪 豪7−9月四半期輸入物価指数
    日 日銀金融政策決定会合
    日 黒田日銀総裁記者会見
    独 独10月雇用統計
    独 独10月消費者物価指数(速報値)
    欧 ユーロ圏10月消費者信頼感(確定値)
    欧 ユーロ圏10月景況感指数
    欧 ECB政策金利発表
    欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
    米 7−9月GDP(速報値)
    米 新規失業保険申請件数
    米 9月中古住宅販売成約件数
    米 企業決算 → キャタピラー、アップル、アマゾン
  • 10/29(金)
    豪 豪9月小売売上高
    豪 豪第3四半期生産者物価指数
    日 9月失業率
    日 9月消費者物価指数
    日 10月東京都区部消費者物価指数
    日 9月鉱工業生産
    独 独7−9月期GDP(速報値)
    欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(速報値)
    欧 ユーロ圏7−9月期GDP(速報値)
    英 英9月消費者信用残高
    米 9月個人所得
    米 9月個人支出
    米 9月PCEコアデフレータ
    米 10月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
    米 7−9月雇用コスト指数
  • 10/30(土)
    欧 G20首脳会議(ローマ、31日まで)
  • 10/31(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。