今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
11月1日 〜 11月7日
ドル/円
113.00〜115.50
ユーロ/円
130.00〜134.00
豪ドル/円
84.00〜87.00

先週末のNY市場で再び114円台を回復したドル円は、昨日の衆院選で与党自民党が単独で安定政権につながる過半数を獲得したことで、予想通り本日の日経平均株価は急騰しています。前場では一時700円を超える上昇をみせ、2万9500円台を回復しています。それにともなってドル円の方も、114円25銭前後まで「円売り」が進み、再び非常に重要なレジスタンス・ゾーンである114円台半ばから上方をうかがう動きを見せています。このゾーンはそう簡単には抜けるものではありませんが、今週は重要イベントが目白押しとなっていることから、場合によっては一気に抜け切ることもないとは言えません。もちろんこの水準では実需筋や利益確定のドル売りが相当並ぶことから、結果次第ということにはなります。

先ずは明日から始まる米FOMCでしょう。パウエル議長は先月22日のオンライン形式の講演で、「われわれは資産購入のテーパリング開始へと順調に向かっており、経済がおおむね想定通り展開すれば、来年半ばまでに完了する見通しだ」だと発言しており、テーパリング開始を決定することはほぼ間違いないものと思われます。ただ同時に、この決定はほぼ市場に織り込まれており、この決定を持ってドルが買われる可能性は低いと予想しています。また議長は、「私はテーパリングを始める時が来たと考えているが、利上げの時期とは考えていない」と、利上げ観測の先走りにはクギをさしています。その根拠となるのが、足元の物価上昇は「一過性のもの」との考えが根底にあるからです。

これについては、筆者は懐疑的です。先週末に発表された10月のPCEデフレータは「4.4%」の上昇を見せており、物価上昇は続いています。FRBが最も参考にするとされる同指数は手元のデータで遡れば、1983年以来の高水準になります。人手不足により賃金の高騰、原油価格の高騰、さらにはサプライチェーンの混乱にともなう物流の停滞など、様々な理由が重なった結果だとは思いますが、FRB幹部が考えている以上に元の状況に戻るには時間がかかりそうです。ウォラーFRB理事は、「2022年に入ってもインフレ率が2%をかなり上回って、私の上振れリスクが現実化した場合は、現在の予想よりも早い利上げを支持するだろう」と述べるなど、FRB内部でも足元の物価上昇が想定よりも長く続くと言った見方が浸透しつつあります。米ゴールドマンは2023年と予想していた利上げを2022年7月に前倒ししています。この様な状況の中、3日のFOMC後のパウエル議長の会見で、「一過性」といった言葉を削除するかどうかに注目しています。テーパリング開始の決定で「材料出尽くし」からドルが売られるかもしれませんが、FRBが利上げ観測を前倒しするようだと、想定以上にドルか買われる可能性にも注意したいところです。

また今週末には10月の雇用統計も発表されます。非農業部門雇用者数はすでに「45万人」の増加が見込まれており、ここ2カ月続いていた予想を大きく下回る結果にも、今回は終止符が打たれるかもしれません。毎週発表される「週間失業保険申請件数」でも減少傾向が続いており、直近の同指数は「28.1万件」と、新型コロナウイルスのパンデミック以降最少を記録しています。今回の数字が予想を超えるようだと、ドル買いがさらに強まる可能性もあります。

今週の注目材料

  • 11/1(月)
    中 10月財新製造業PMI
    独 独10月製造業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏10月製造業PMI(改定値)
    英 英10月製造業PMI(改定値)
    英 COP26首脳会合(2日まで)
    米 10月マークイット製造業PMI(改定値)
    米 10月ISM製造業景況指数
  • 11/2(火)
    豪 RBA、キャッシュターゲット
    日 10月マネタリーベース
    米 10月自動車販売台数
    加 カナダ10月住宅建設許可件数
  • 11/3(水)
    豪   豪9月住宅建設許可件数
    日   東京市場休場(文化の日)
    中   10月財新サービス業PMI
    中   10月財新コンポジットPMI
    トルコ トルコ10月消費者物価指数
    独   独10月サービス業PMI(改定値)
    欧   ユーロ圏9月失業率
    欧   ユーロ圏マーックイット10月サービス業PMI(改定値)
    欧   ユーロ圏マーックイット10月コンポジットPMI(改定値)
    米   10月ADP雇用者数
    米   10月ISM非製造業景況指数
    米   9月製造業受注
    米   10月マークイットサービス業PMI(改定値)
    米   10月マークイットコンポジットPMI(改定値)
    米   FOMC 政策金利発表
    米   パウエル議長記者会見
  • 11/4(木)
    豪 豪9月貿易収支
    独 独9月製造業新規受注
    欧 ユーロ圏9月生産者物価指数
    英 BOE金融政策発表
    英 BOE議事録
    米 新規失業保険申請件数
    米 9月貿易収支
    加 カナダ9月貿易収支
  • 11/5(金)
    豪 RBA四半期金融政策報告
    独 独9月貿易収支
    独 独9月鉱工業生産
    欧 ユーロ圏9月小売売上高
    米 9月消費者信用残高
    米 10月雇用統計
    加 カナダ10月就業者数
    加 カナダ10月失業率
  • 11/6(土)
  • 11/7(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。