今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
12月6日 〜 12月12日
ドル/円
112.00〜114.50
ユーロ/円
126.00〜130.00
豪ドル/円
78.50〜82.00

先週、南アフリカで発生した「オミクロン株」の影響で金融市場ではリスクオフの流れが急速に高まり、ドル円は112円台半ばまでドル安が進み、それまでの115円台でのもみ合いから一気に水準を下げてきました。今なお、「オミクロン株」の感染状況に一喜一憂する流れは変わっておらず、113円を挟む神経質な展開になっています。ただ、それでも「オミクロン株」が感染力を強め、景気にも大きな影響を与えるといった決定的なデータが報告されてないこともあり、投機筋などは「円売り」ポジションの縮小には動いていますが、「円買い」ポジションに転じるには至っていません。今後のデータの集積を待ちたいところですが、ファイザーなど世界の製薬各社が競って有効なワクチン開発にしのぎを削っていることや、新型コロナウイルスに対する経口薬も開発されたことを考えると過度に悲観的になる必要はないと考えます。

金融市場のボラティリティーは高まっており、ここしばらく大きな値動きが続くと予想されます。特にNY株式市場ではその傾向が強いことは「VIX指数」が「30」を超えており、危険水域の「20」を大きく超えていることでも理解できます。ひょっとしたら、クリスマスシーズンまでこの傾向が続くかもしれません。少なくとも来週14−15日に開催される今年最後のFOMCまでは、荒っぽく、値幅の大きな動きが続くと見ていた方がよさそうです。ドル円はNY株式市場ほどではないものの、1日で1円も動く日がありました。ニュースのヘッドラインだけで瞬時に売買を行う、AIあるいはシステム売買が市場シェアを高めていることが背景です。徐々に市場参加者も減少する中、ポジションを少な目にしておくことも必要です。

そんな中、今週は10日(金)に発表される「11月の消費者物価指数」が注目されます。10月の同指数は「6.2%」と、FRBの目標である「2.0%」を大きく超え、実に31年ぶりの高水準でした。11月分についてはさらなる上昇が予想されています。CPIは「6.7%」と予想され、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数でも「4.9%」と、前月の「4.6%」を上回ると見られています。こうなると、パウエル議長が先週の議会証言で述べた発言も正当化されそうです。議長は、「インフレ高進という形で恒久的な影響を残さないという意味で、われわれはこの表現を使う傾向がある」、「この言葉を使うのをやめ、われわれが意味するところのもっと明確な説明に努める良いタイミングと思う」と、「一過性」という言葉を今後使わないと発言し、さらにテーパリングの加速も、次回のFOMCでの議論の対象になることを示唆しました。この発言を受け、最もタカ派の観測は「来年2月にもテーパリングを終了し、3月から利上げを開始する」との見方まで出ています。これは極端としても、「2022年夏には利上げ」といった見方はすでに市場のコンセンサスになっていると思われ、FOMCメンバーの中にも「タカ派的」に傾くメンバーが徐々に増えているのは事実です。

米長期金利との相関が強いドル円は、先週末には同金利が9月23日以来の低水準となる1.31%台まで低下したことで、112円台半ばまで下げましたが、理解に苦しむのが、利上げのタイミングが徐々に前倒しになっている中での金利低下です。「オミクロン株」の不透明感から債券が買われ、金利が低下することは理解できますが、それでも利上げへのFRBの工程が不変とすれば、金利低下は進み過ぎの感があります。今週は同金利がさらに低下するのかどうかを見極めたいと思います。同時にその結果、ドル円の値位置も決まってくるものと思われます。

今週の注目材料

  • 12/6(月)
    独 独10月製造業新規受注
  • 12/7(火)
    豪 豪第3四半期住宅価格指数
    豪 RBA、キャッシュターゲット
    日 10月景気先行指数(CI)(速報値)
    日 10月景気一致指数
    中 中国11月外貨準備高
    中 中国 11月貿易収支
    独 独12月ZEW景気期待指数
    独 独10月鉱工業生産
    欧 ユーロ圏7−9月期GDP(確定値)
    米 10月貿易収支
    米 10月消費者信用残高
    加 カナダ10月貿易収支
  • 12/8(水)
    日 7−9月GDP(改定値)
    日 10月貿易収支
    日 10月国際収支
    日 11月景気ウオッチャー調査
    加 カナダ中銀政策金利発表
  • 12/9(木)
    中   中国11月消費者物価指数
    中   中国11月生産者物価指数
    トルコ トルコ11月消費者物価指数
    独   独10月貿易収支
    米   新規失業保険申請件数
    米   家計純資産(3Q)
    米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、オンラインイベントで講演
  • 12/10(金)
    独 独11月消費者物価指数(改定値)
    英 英10月鉱工業生産
    英 英10月貿易収支
    米 11月消費者物価指数
    米 12月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
    米 11月財政収支
  • 12/11(土)
  • 12/12(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。