皆様、明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。
1月4日(火)の東京市場では、ドル円がついに昨年11月に記録した115円52銭を抜き、ほぼ5年ぶりとなる、115円82銭近辺までドル高が進みました。前日のNYではダウとS&P500が最高値を更新するなど、「リスクオン」が進んだことから、年明け東京株式市場でも日経平均株価が500円を超える上昇を見せたことで、「リスクオン」がさらに強まり、円売りが加速したと見られます。
一方オミクロン変異株の感染拡大は相変わらず止まらず、今や世界各地で過去最多の新規感染者を生み出している状況です。日本でも昨年11月と12月では、世界の感染拡大と一線を画し、感染拡大防止に成功していましたが、12月後半からは微増が続き、昨日は東京と沖縄で100人を超えるなど、全国的に感染者が増えて来ました。3年目に入ったコロナとの闘いですが、日米の株式市場を見る限り感染拡大を冷静に受け止め、景気を下押しするほどの影響はないといった見方がコンセンサスになっているようです。専門家の間でも、「われわれは今や全く異なるフェーズにある。コロナウイルスは常にあり続けるだろうが、この変異株で非常に多くの人が免疫を持つようになることで、パンデミックが鎮静化すると私は期待している」(カリフォルニア大学サンフランシスコ校の免疫学者、モニカ・ガンディー氏)といった声や、ケープタウン大学の免疫学者、ウエンディー・バーガーズ氏は、「入院件数と感染者数がもはや連動しないことはかなり確かだとデータが示している」と述べるなど、オミクロン感染は比較的軽度に留まる可能性があるといった見方が定着しつつあるようです。
今年最初の取引きとなった東京市場で115円82銭近辺までドル高が進みましたが、今年はFRBによる利上げが3回と見込まれており、インフレの勢い次第では4回といった声も出始めてきました。もちろん為替は金利差だけで決まるものではありませんが、今後FRBが緩やかに利上げを実施していくことは、少なくともドルの支えにはなろうかと思います。
ただ、このまま順調に「リスクオン」が進むかどうかは非常に不透明です。FRBが想定するほど経済成長が伸びず、3回と見込まれている利上げに急ブレーキがかかることもあるかもしれません。また株式市場についても、最初の利上げには耐えられても、2回、3回と進むにつれ、利上げの影響が懸念され株式市場が崩れることから急速に「リスクオフ」が進み、円に見直し買いが入ることも考えられます。「びっくり10大予想」で有名な、ブラックストーン・グループのバイロン・ウイーン氏は、2022年のびっくり予想に「米10年債利回りが2.75%に上昇」を挙げています。そのため「S&P500は20%近い下落」を予想しています。あくまでも「びっくり予想」ですが、米金利上昇による株価の大幅な調整を予想しています。ただしウイーン氏は、それでも「弱気相場は見込まない」としています。
言えることは、2022年は昨年以上にボラティリティの高い相場展開が見込まれ、それは為替相場でも同じだということです。従いまして、昨年以上に慎重な売買を心掛けたいものです。「1年の計は元旦にあり」とは言いますが、今週中にはこの1年の「戦略」あるいは、「心づもり」を描いてみるのもいいのでないでしょうか。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。