今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
3月7日 〜 3月13日
ドル/円
114.00〜116.50
ユーロ/円
123.00〜127.00
豪ドル/円
83.00〜86.00

ロシアのプーチン大統領が強硬姿勢を維持していることから、ウクライナ情勢の収束のメドは立たず、多くの金融・商品市場でその影響が大きくなってきました。週明けのアジア市場では、ユーロドルが先週末のNY市場での引け値よりさらに売られ、一時は1.0821前後まで売られ、北海原油のブレント先物価格は139ドル台を付ける場面もありました。また金価格も1990ドル台まで上昇し、2000ドルを窺う勢いです。

一方リスク資産の株式は大きく売られ、日経平株価は前場で900円を超える下げを見せ、一時2万5000円の大台を割り込んでいます。ブリンケン国務長官は、バイデン政権と同盟国がロシア産石油の禁輸について協議することを明らかにしており、実施されれば原油価格がさらに上昇する懸念もあり、北海ブレントはそうした動きを先取りしているようです。このまま行けば、欧米市場でも同じような動きが予想され、一部専門家は「WTI原油価格は200ドルまで上昇する」といった極端な見方をする意見も出始めています。そんな中、ロシアへの輸出を中止する動きや、ロシアでの生産活動から撤退する動きも加速し、自動車、電機、高級宝飾品にまで波及し、クレジットカード決済大手のビザやマスターカードなどもロシアでの業務を停止しています。

ロシアとウクライナの戦争の行方は全く予想できません。全てはプーチン氏次第ということになりますが、そのプーチン氏は既に冷静な判断能力を失っているとの見方もあり、「核」にまで言及したことを想えば、そうではないとも言い切れません。トランプ前大統領は、ジョークで「米軍は中国の国旗を付けた戦闘機でロシアを攻撃すればいい」と言い、笑いを誘ったようですが、前大統領とも思えない発言です。仮に現在の米国大統領がトランプ氏であったら、米国は強硬策に打って出たでしょうか・・・。

今週は10日に2月の米消費者物価指数が発表されます。市場予想は、前年同月比「7.9%」と、1月の「7.5%」から一段の上昇を予想しています。コア指数も「6.4%」と、こちらも一段高です。ただ、今回の同指数が仮に上振れしたとしても、来週開催のFOMCでの利上げに影響を及ぼす可能性はほぼないと思います。次回FOMCでの利上げは「0.25%」でほぼ確定的でしょう。一時「0.5%利上げ観測」が急速に膨らみましたが、その後のウクライナ情勢の不確実性から、大幅利上げ観測は急速にしぼみ、今や「0.25%」で決まりかと思います。パウエル議長も先週の議会証言で「次回の会合では0.25%の利上げが適切だ」と、具体的な利上げ幅に言及していました。一方でロシアの執拗な攻撃で、原油価格も上昇に歯止めがかからず、米インフレの勢いは当面続くと予想されます。今回はひとまず「0.25%」の利上げでしのいで、少なくともFRBは、年前半は利上げを急ぐ姿勢を維持するかと考えます。もっとも、それも不確実性の震源地であるウクライナ情勢次第ということになります。

焦点は、ユーロドルの行方です。1.10を割り込んでからは急速に下げ足を速め、週明けのアジア市場では1.0821近辺までユーロ安が進みました。さらにドル高ユーロ安が進めば、ドル円でも円安に振れることも予想されます。ユーロ円の下値とともにユーロの動きが今週は非常に注目されます。

今週の注目材料

  • 3/7(月)
    中 中国2月貿易収支
    中 中国2月外貨準備高
    独 独1月製造業新規受注
    米 1月消費者信用残高
  • 3/8(火)
    豪 豪2月NAB企業景況感指数
    日 1月貿易収支
    日 1月国際収支
    日 2月景気ウオッチャー調査
    日 1月景気先行指数(CI)(速報値)
    独 独1月貿易収支
    独 独1月鉱工業生産
    欧 ユーロ圏10−12月期GDP(確定値)
    米 1月貿易収支
    加 カナダ1月貿易収支
  • 3/9(水)
    豪 豪3月ウエストパック消費者信頼感指数
    日 10−12月GDP(改定値)
    韓 韓国大統領選
    中 中国2月消費者物価指数
    中 中国2月生産者物価指数
  • 3/10(木)
    欧 ECB政策金利発表
    欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
    欧 EU首脳会議(非公式、ベルサイユ。11日まで)
    米 2月消費者物価指数
    米 新規失業保険申請件数
    米 2月財政収支
    米 10−12月家計純資産変化
  • 3/11金)
    独 独2月消費者物価指数(改定値)
    英 英1月鉱工業生産
    英 英1月貿易収支
    米 3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
    加 カナダ2月就業者数
    加 カナダ2月失業率
  • 3/12(土)
  • 3/13(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。