134円台後半から135円台で推移していたドル円は、先週末の好調な雇用統計の結果を受けNYでは再び136円台に乗せ、136円56銭まで上昇してきました。週明けのアジア市場でも、オセアニアでは136円を割り込む場面もありましたが、136円台半ばを回復し、午前11時前には先月29日に記録した137円台に乗せ、一時137円28銭前後までドル高が進みました。米労働市場の好調さがFRBの積極的な利上げスタンスを支えるといった見方に加え、昨日の参議院選挙で自民党が圧勝したことで株価が上昇し、リスクオンから低金利の円を売る動きが活発になったとみられます。雇用統計の結果を受け、アトランタ連銀のボスティック総裁は「0.75%の利上げを全面的に支持する」と述べ、さらに大幅な利上げを進めても、米経済は腰折れしないとCNBCの番組で語っています。7月26−27日の会合で0.75ポイントの利上げを行うことはほぼ「確定」したと思われます。
今回再び137円の直近高値を抜きましたが、更新には前回の高値から約2週間を要しました。「2歩前進、一歩後退」の展開が続いていますが、ここから上方の高値を探すと、1998年9月に記録した139円90銭前後という水準になります。やはり今回のドル高局面は「140円前後」まで行かないと終わらない相場なのかもしれません。もっとも、仮にその水準までドルが上昇すれば、その時は「145円、150円」といった数字が出て来ることになりますが。いずれにしても、米国のインフレにピークアウトの兆候が見られるまでは終わらない相場といえると思います。
その意味でも、今週13日(水)に発表される米6月の消費者物価指数(CPI)が非常に注目されます。事前予想では「8.8%」と、5月の「8.6%」を上回る上昇が予想されています。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは「5.7%」とみられており、こちらは前月の「6.0%」よりも鈍化していると予想されています。いずれもインフレの高進にピーク感は見られないと予想され、翌週のFOMCでは6月に続き0.75ポイントの利上げがほぼ確定的と予想しています。そのため、市場の関心は7月から9月の会合での利上げに移りつつあります。先週までのコンセンサスは「9月は見送り」でしたが、好調な雇用統計を受けて、0.5ポイントの利上げを予想する向きも増えてきました。9月についてはまだまだ流動的かと思います。追加利上げの可能性も、見送りの可能性もあり、今後のインフレデータ次第です。労働市場は依然良好ですが、一方ですでに3月からの連続利上げの影響は随所に見られ、PMIや消費者マインドなどでは「リセッション入り」の可能性も否定できない状況です。市場全体がドル買い方向に傾いていることもあり、水曜日のCPIが予想を下回った際の「反動」には注意したいところです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。