9月22日(木)に政府日銀の市場介入を見てから、警戒感が高まったのか、先週はほぼ144円台で推移し、値幅も小さく、介入の効果を実感していた投資家も多かったのではないでしょうか。介入規模も2兆8382億円であったことも発表され、約24年ぶりの市場介入はそれなりの効果を上げたようです。ただ、それでもドル円の下値は底堅く、145円に近づくと押し戻されはしますが、その後ジリジリと値を戻す展開が続いていました。
10月3日の「今日のアナリストレポート」で、筆者は「どちらかと言えば、ドル円は上に行きたがっている」と書きましたが、本日の午後1時すぎ、ドル円は再び145円台に乗せ、145円28銭近辺まで一気に上昇しました。145円台が近づいてきたことから、ちょうどブルームバーグの端末を見ていましたが、144円97銭の次のレートは145円21銭と、一気に145円を飛び越した感じでした。通常、このようなレートの飛び方をするのは、比較的規模の大きいストップロスが執行されるケースが多いのですが、一度目ならともかく、2度目の145円台ということであれば、多額のストップロスが置かれる水準ではないように思います。ただ、現時点では特に目新しいニュースは確認されていません。米長期金利も上昇傾向を維持しており、FOMCメンバーの多くがタカ派的な発言を繰り返している中、自然の動きと言えるのでしょう。前回の介入は、日銀の決定会合後であり、その後の黒田総裁の常態化した発言をきっかけに145円90銭までドル高が進んだ際に実施されました。再び政府日銀の介入を誘い出すような動きになってきましたが、政府日銀も介入によって「無駄ガネ」を使うわけにはいかず、出来る限り効果のある介入のタイミングを探っているものと予想されます。個人的には、145円台では介入には踏み込まず、もう一段のドル高水準で実施して来るのでかないかと予想しています。145円〜150円のどの水準になるか分かりませんが、2回目は1回目に比べその効果が薄れることになるでしょう。
今週の注目は何と言っても週末の雇用統計です。現時点での予想は、非農業部門雇用者数が25万人の増加で、8月の31.5万人から減少するとみられていますが、この数字であればまずまずでしょう。失業率は3.7%で、前月と同水準と予想されています。先週末のPCEでも確認されましたが、多くの物価は依然として上昇していますが、一方で家計の収入も増えており、「物価高が続く中で、家計の支出は好調」のようです。消費が好調であれば、企業の生産活動もそれほど落ち込むことはなく、人手不足が続いている中、高賃金を提示してでも労働力を確保する構図は変わっていないと思われます。引き続き、FRBとしては景気抑制的な意味からも金利を引き上げ、景気拡大にブレイキを掛ける政策を継続すると考えられます。大方良い数字が予想されますが、これまでも大きくぶれるのが、この指標の特徴でもあります。予断を許さず結果に対峙することが必要です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。