今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
10月17日 〜 10月23日
ドル/円
144.00〜151.00
ユーロ/円
140.00〜146.00
豪ドル/円
90.00〜95.00

9月22日の政府日銀による「ドル売り円買い介入」以来、市場にはドル高に対する警戒感が広がり、ドル円は底堅い動きを見せながらも、介入水準であった145円には届かず、足踏み状態でした。しかし相次ぐ市場予想を超える経済指標にやはりドルが上昇し、145円台を超えると上昇に勢いが付き、先週末のNYでは148円86銭までドル高が進みました。一段のドル高に弾みを付けたのが、「9月の消費者物価指数(CPI)」でした。総合CPIは「8.2%」と、市場予想を上回り、中でもコアCPIは「6.6%」と、40年ぶりの高水準でした。また先週末の「10月のミシガン大学消費者マインド」も「59.8」と、半年ぶりの高水準を記録し、結局、米国のインフレのピークアウトを確認するのはさらに先に延びるという見方につながりました。この結果、11月1−2日のFOMC会合では0.75ポイントの利上げが確実となり、12月会合でも大幅な利上げは避けられないといった観測がドルを押し上げ、ドル円は150円も視野に入る水準までドル高が進みました。

ドル円が再び145円台を回復し、前回介入を実施した145円台後半でも2度目の介入がなかったことが、ドル買いに安心感を与えたこともあったように思います。この週末には米ワシントンではG20やIMF、また世界銀行の総会が開催され、日米の金融当局者がコメントを残しております。詳しくは本日17日付けの「今日のアナリストレポート」をご参照頂きたいと思いますが、日米では明らかに足元のドル高に対する認識が異なっています。日本の財務省は「過度の円安には断固とした措置を取る用意がある」としていますが、米財務省は「市場で決まる相場が最良だ」としており、協調介入の可能性はほとんどないことがあらためて明らかになった格好です。11月の中間選挙が迫っている中、何としてもインフレを抑制したいバイデン政権としては、尻に火がついており、ドル高が輸入物価を押し下げることから、当然の対応かと思います。

本日17日も14時現在のドル円は、NYでの148円86銭まで上昇はしないものの、底堅い動きを見せており、上値を試しつついつ介入があるかを探るような動きになっています。先週末の金曜日もそうでしたが、このような静かな取引の中ではなかなか介入のきっかけをつかめないのが実情です。財務省の神田財務官は「一定の水準ではなく、急激な変動が好ましくない」としており、1銭ずつ刻みながら上昇する動きには対応しにくい面もあります。ただそうは言っても、このまま本日も介入がないようなら、150円前後に達する可能性は非常に高いと予想しています。150円というレベルは非常に重要な値位置であるとともに、多くの市場参加が買ったドルを一旦は手放す水準ではないかと考えますが、逆にこの水準を大きく超えるようだと、今度は介入でドルを押し下げてもどこまで円高が進むのか疑問は残ります。米インフレに明確なインフレのピークアウトを示す兆候が出るか、あるいは形勢がやや不利になりつつあるロシアが停戦に臨むといった大きな変化がない限り、ドル高の勢いは止まらないような勢いです。

今週の注目材料

  • 10/17(月)
    日 8月鉱工業生産(確定値)
    欧 ECBチーフエコノミスト、レーン理事講演
    米 10月NY連銀製造業景況指数
    米 企業決算 → BofA
  • 10/18(火)
    中 7−9月GDP
    中 中国9月小売売上高
    中 中国9月鉱工業生産
    独 独10月ZEW景気期待指数
    米 9月鉱工業生産
    米 9月設備稼働率
    米 10月NAHB住宅市場指数
    米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加
    米 企業決算 → J&J、ゴールドマン、ネットフリックス
    加 カナダ9月住宅着工件数
  • 10/19(水)
    欧 ユーロ圏9月消費者物価指数(改定値)
    英 英9月消費者物価指数
    英 英9月小売売上高
    米 9月住宅着工件数
    米 9月建設許可件数
    米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
    米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答
    米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
    米 ブラード・セントルイス連銀総裁、開会の挨拶
    米 企業決算 → P&G、IBM、テスラ、アルコア
  • 10/20(木)
    豪   豪9月雇用統計
    日   9月貿易統計
    独   独9月生産者物価指数
    トルコ トルコ中銀政策金利発表
    欧   ユーロ圏8月経常収支
    欧   EU首脳会議(ブリュッセル、21日まで)
    米   9月中古住宅販売件数
    米   新規失業保険申請件数
    米   9月景気先行総合指数
    米   企業決算 → AT&T、ブラックストーン
  • 10/21(金)
    日 9月消費者物価指数
    英 英9月小売売上高
    米 10月コンファレンスボード消費者信頼感指数
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントの開会挨拶
    米 企業決算 → アメックス、ベライゾン
    加 カナダ8月小売売上高
  • 10/22(土)
  • 10/23(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。