今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
11月28日 〜 12月4日
ドル/円
135.00〜142.00
ユーロ/円
140.00〜147.00
豪ドル/円
91.00〜95.00

今日の「アナリストレポート」でも書きましたが、ドル円の上値は徐々に重くなり、今年も残すところ1カ月ということを考えると、10月21日に記録した「151円94銭」は今年の円の最安値である可能性が高いと思われます。米国のインフレのピークアウト、原油価格の低下、FRBの大幅利上げペースの鈍化など、今後見込まれる要因を考えると、これからの1カ月で再び152円を試す動きは考えにくいところです。今週の雇用統計やそれに次ぐ消費者物価指数(CPI)が再び予想を上回る高水準だったとしても、152円台を試す可能性は低いと考えます。それでも、インフレ率が6月の「9.1%」を超える状況が今後も継続されれば、その可能性も否定できませんが、ただ、市場のセンチメントは上記151円94銭を記録した当時とはかなり異なっていると思います。「ドルが下がったら、買い」だったものが、「ドルが上がったら、売り」といったふうに、大きく異なってきました。この市場参加者のセンチメントの変化は、市場の流れを見る上で、無視できない大きな材料になります。

今週の注目材料は何と言っても2日の「11月の雇用統計」でしょう。この統計から弾き出される数字が、FOMCで大幅な利上げを継続する根拠にもなっており、11月分についても現段階の予想では、非農業部門雇用者数(NFP)は、先月の「26.1万人」から大きく減少の「20万人」とみられています。もっとも、仮に予想通り「20万人」であったとしても、「20万人の増加」はまずまずの結果であって、この結果だけでドルが大きく売られる理由にはなりそうもありません。

また、30日(水)にはパウエルFRB議長の講演が予定されています。12月13〜14日に行われる今年最後のFOMCを前に、議長の低下しつつあるインフレに対する見方を探る大きな機会と捉えられ、注目されます。足下のインフレ率は徐々に低下傾向を見せており、そのことについては多くのFOMCメンバーが、引き続き慎重な姿勢を維持しています。パウエル議長も同じように慎重な姿勢を見せると予想していますが、要は、どの程度「慎重」なのかと言う点と、他のFOMCメンバーとどこが異なるのかを見極めたいと思います。現時点では12月会合での利上げ幅は0.5ポイントの可能性が極めて高いと思いますが、これが上記2つの重要指標の結果を受け、どのような予想に変わっていくのかが注目されます。

ドル円は何度も触れていますが、「日足」では雲抜けが完了し、下落傾向を示唆しています。さらに長い「週足」や「月足」では依然として上昇傾向を維持していますが、「週足」のMACDではすでに「デッドクロス」を完成させており、ここからは下落傾向がうかがえます。ただ、その「デッドクロス」はまだ「プラス圏」でのクロスであって、本格的に下げるには、MACDとシグナルの両線が「マイナス圏」に突入する必要があります。これらテクニカルから判断すると、ドル円は短期的には下落傾向にあるものの、本格的なドル安傾向に転じたかどうかはまだ不明だということになります。ここから年末にかけてのドル円の動きは、来年初頭の動にも通じる可能性があるため、注意深く観察することが肝要です。

今週の注目材料

  • 11/28(月)
    豪 豪10月小売売上高
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインイベントで講演
    米 ブラード・セントルイス連銀総裁、ライブイベントでインタビュー
    米 サイバーマンデー(感謝祭翌週の月曜日)
  • 11/29(火)
    日 10月失業率
    独 独11月消費者物価指数(速報値)
    欧 ユーロ圏11月消費者信頼感指数(速報値)
    欧 ユーロ圏11月景況感指数
    英 英11月消費者信用残高
    米 9月ケース・シラ−住宅価格指数
    米 9月FHFA住宅価格指数
    米 11月コンファレンスボード消費者信頼感指数
  • 11/30(水)
    豪 豪10月住宅建設許可件数
    日 10月鉱工業生産
    中 11月中国製造業PMI
    中 11月中国サービス業PMI
    独 独11月雇用統計
    欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(速報値)
    米 7−9月GDP(改定値)
    米 11月ADP雇用者数
    米 11月シカゴ購買部協会景気指数
    米 10月求人件数
    米 10月中古住宅販売成約件数
    米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
    米 ボウマン・FRB理事講演 
    米 クック・FRB理事講演
    米 パウエル・FRB議長講演
  • 12/1(木)
    中 11月財新製造業PMI
    欧 ユーロ圏10月失業率
    欧 ユーロ圏11月製造業PMI
    米 新規失業保険申請件数
    米 11月ISM製造業景況指数
    米 10月個人所得
    米 10月個人支出
    米 10月PCEデフレータ(前月比)
    米 10月PCEデフレータ(前年比)
    米 10月PCEコアデフレータ(前月比)
    米 10月PCEコアデフレータ(前年比)
    米 11月自動車販売台数 
    米 ボウマン・FRB理事講演
    米 ローガン・ダラス連銀総裁、イベントでスピーチ
    米 バー・FRB副議長講演
  • 12/2(金)
    日 10月マネタリーベース
    独 独10月貿易収支
    独 独10月鉱工業生産
    欧 ユーロ圏10月卸売物価指数
    欧 ラガルド・ECB総裁、パネル討論に参加
    米 11月雇用統計
    米 エバンス・シカゴ連銀総裁。イベントで基調講演
    加 カナダ11月就業者数
    加 カナダ11月失業率
  • 12/3(土)
  • 12/4(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。