今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
1月2日 〜 1月8日
ドル/円
128.00〜133.00
ユーロ/円
136.00〜141.00
豪ドル/円
86.50〜90.50

2023年のドル円は、129円台半ばまで売られた後、131円台前半まで値を戻すなど、昨年同様「大相場」が続きそうな気配を漂わせながら始まりました。昨年は113円台までドルが売られた後、152円手前までドル高が進み、そこから今度は130円台までドルが売られ、まるでシーソーのような展開でした。昨年の今頃、一体誰がこのような2022年の「大相場」を予見できたことでしょう。「売られ過ぎた相場はいずれ反転し、買われ過ぎた相場はいずれ反落する」のは、相場の常ですが、100円以下の相場は円の過大評価であり、150円を超える相場は円の過小評価なのでしょうか。今年の相場も100円以下はないとしても、大胆に予想すれば、150円以上の相場は、可能性は低いものの、ないとは言い切れません。

今年の相場の予想は、基本的には年前半でドルの底値を探る展開とみています。米国のインフレ率は6月の「9.1%」をピークに鈍化しており、日本の「大規模金融緩和政策」については、昨年末の「黒田ショック」に見られたように、今後もイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正が実施される可能性が高いことがその大きな理由です。日銀は1月に示す消費者物価指数(CPI)の上昇率見通しを、前回の10月から上方修正する検討に入ったと報道されています。ただ、今後も米国のインフレ率が順調に下がり続けるのかどうか、ここに重要な鍵があります。昨年FRBは3月の0.25ポイントの利上げを皮切りに7回連続で利上げを行い、都合4.25ポイントの利上げを実施しました。0〜0.25%であったフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.25%〜4.50%に引き上げたわけですから、かなりの引き締めを行ったことになります。根強いインフレの高進を止めるため利上げを行い、景気の拡大に急ブレイキを掛けました。都合4.25ポイントという大幅な利上げを行ったことで、インフレ率もようやく峠を越えたように見えますが、労働市場ではまだその影響は軽微です。失業率は歴史的な低水準で、若干悪化してはいますが、まだ「3.7%」です。また非農業部門雇用者数も概ね25万人を超えており、直近11月でも26万3000人と好調でした。米国ではサービス業を中心に人手不足が続いており、人手を確保するためには出きるだけ高賃金を提示しないと適切な労働力を確保できない状況が続いています。今後もこの状況が続けば、米国のインフレ率も思ったほど低下しない可能性があります。そうなると、足元の高金利が今後も維持される可能性もあり、ここに焦点があたり、ドルを買う動きが再び高まって来るといったシナリオも捨てるわけにはいきません。

もう一つ材料になり易いのが、米景気のリセッション入りです。多くのエコノミストが米国は夏場以降にリセッション入りする可能性が高いと予想しています。仮に予想通りだとすれば、今度は弱い米景気を材料にドル売りが盛んになることも想定されます。この様な状況になると、相場は金利差だけでは反応せず、景気の悪さに単純に反応することもあり得ると思います。さらに、ウクライナ情勢も停戦の糸口が全く見えてきません。年が替わってからもロシアによるウクライナへの攻撃は激しさを増しています。エネルギー価格を中心に穀物、食品など、ありとあらゆるものが高値圏で推移しています。IMFのゲオルギエワ専務理事が、2023年は、世界経済にとって「厳しい年になり、昨年を上回る厳しさになる」と警告したように、今年も一筋縄ではいかない年になりそうです。発表される経済指標に目を凝らし、予想の修正を繰り返しながらも、市場の動きを捉えていければと思っています。

今週の注目材料

  • 1/2(月)
    欧 ユーロ圏12月サービス業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏12月総合PMI(改定値)
    英 英8月サービス業PMI(改定値)
    米 12月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米 12月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
  • 1/3(火)
    中   12月財新製造業PMI
    トルコ トルコ12月消費者物価指数
    独   独12月雇用統計
    独   独12月消費者物価指数(速報値)
    英   英12月製造業PMI(改定値)
    米   12月S&P製造業PMI(改定値)
  • 1/4(水)
    独 独12月輸入物価指数
    独 独8月サービス業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(改定値)
    米 11月消費者信用残高
    米 12月ISM製造業景況指数
    米 FOMC議事録(12月13−14日分)
  • 1/5(木)
    日 12月マネタリーベース
    中 12月財新サービス業PMI
    独 独11月貿易収支
    独 独11経常収支
    欧 ユーロ圏11月卸売物価指数
    米 12月ADP雇用者数
    米 11月貿易収支
    米 新規失業保険申請件数
    米 12月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米 12月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
    加 カナダ11月貿易収支
  • 1/6(金)
    独 独11月製造業新規受注
    独 独11月小売売上高
    欧 ユーロ圏12月消費者信頼感(確定値)
    欧 ユーロ圏12月景況感指数
    欧 ユーロ圏11月小売売上高
    欧 ユーロ圏12月消費者物価指数(速報値)
    米 12月雇用統計
    米 11月製造業受注
    米 12月ISM非製造業景況指数
    米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
    加 カナダ12月就業者数
    加 カナダ12月失業率
  • 1/7(土)
    中 中国 12月外貨準備高
  • 1/8(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。