今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
1月16日 〜 1月22日
ドル/円
126.00〜131.00
ユーロ/円
135.00〜142.00
豪ドル/円
88.00〜92.00

ドル円の下落基調は変わらず、週明け16日(月)も午前中に127円22銭前後までドル売りが進み、7カ月半ぶりのドル安水準を付けています。背景は米国のインフレ率が鈍化傾向を鮮明にし、FRBの大幅利上げはピークを超え、データ次第では今月末の会合では利上げが見送られるといった「ハト派的」な見方も浮上していることが挙げられます。加えて、注目されている日本の長期金利は本日も日銀が許容する長期金利の上限である「0.5%」を超え、「0.51%」まで上昇したことも挙げられます。日銀は5年超10年以下の国債を5000億円買い入れる臨時の国債買い入れオペを通知しており、「0.5%」の上限を超えさせないようにしていますが、金利先高観は変わっておらず、市場には「今週の金融決定会合で何らかの修正を行う」との根強い観測があり、これが円買いにつながっています。市場の大方の見方は125円を割り込む方向に大きく傾いてはいますが、この動きは日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の再度の修正を相当織り込んでいるとみています。

ドル円は6日の雇用統計発表直前には134円80銭近辺で推移していたことから、すでに7円以上もの急激なドル安が進んでいます。まだ年明け2週間ほどしか経過していない中でドル高修正が急速に進んでいる状況ですが、ここまで短期間にドル売りが進むと、すでに短期的なオーバーシュートも起きているのではないかと思います。今日の「アナリストレポート」でも触れましたが、昨年1月のドルの最安値からすると、上昇幅の半値戻しはすでに終えて、61.8%戻しの128円17銭をも下回っています。「フィボナッチ・リトレースメント」は、この先ドルがどこまで下がるかを見極める有力な手法ですが、どこを上昇の起点にするかによって当然値幅も異なってきます。2021年1月の102円60銭を起点にすれば、半値戻しは「127円27銭」となり、今日の動きでほぼ達成したと考えられます。またさらに遡って2020年3月の101円18銭を起点にすれば、半値戻しは「126円56銭」と計算できます。ということで、目先の短期的な底値は125−127円のどこかではないと、個人的には予想しています。

今週の焦点は上でも触れたように、17−18日に開催される日銀金融政策決定会合です。昨年の12月までは「ほぼ無風」として、注目度の低かった日銀会合でしたが、12月会合で突然、長期金利の上限を拡大した「黒田ショック」により、無視できないイベントになっています。今回の会合では政策変更はないとみられますが、長期金利の上昇が続いて状況の中、再び「何らかの修正」はあるかもしれません。また、今週もFOMCメンバーによる発言の機会が多くあり、すでに「ハト組」に席替えしたメンバーも3人程いますが、あとどれだけのメンバーが「ハト組」に入ってくるのかも注目です。

また金曜日には12月の全国の消費者物価指数(CPI)も発表されます。すでに東京都のCPIは「4%」と、実に1982年4月以来40年8カ月ぶりの高水準を示していました。全国のCPIが上振れすれば、日銀の政策変更の可能性も浮上してくるかもしれません。いずれにしても今週も波乱の週になりそうです。

今週の注目材料

  • 1/16(月)
    米 株式、債券市場休場(キング牧師生誕記念日)
    欧 世界経済フォーラム(WEF)年次総会(スイス、ダボス、20日まで)
  • 1/17(火)
    豪 豪1月ウエストパック消費者信頼感指数
    中 中国12月小売売上高
    中 中国12月鉱工業生産
    中 10−12月GDP
    独 独12月消費者物価指数(改定値)
    独 独1月ZEW景気期待指数
    英 英ILO失業率(9ー11月)
    米 1月NY連銀製造業景況指数
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
    米 企業決算 → モルガンスタンレー、ゴールドマン
    加 カナダ12月消費者物価指数
    加 カナダ12月住宅着工件数
  • 1/18(水)
    日 11月鉱工業生産
    日 日銀金融政策決定会合、終了後に結果と展望リポート公表
    日 黒田日銀総裁記者会見
    欧 ユーロ圏12月消費者物価指数(改定値)
    英 英1月消費者物価指数
    米 12月小売売上高
    米 12月生産者物価指数
    米 12月鉱工業生産
    米 12月設備稼働率
    米 1月NAHB住宅市場指数
    米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
    米 ローガン・ダラス連銀総裁講演
    米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、会合で挨拶
    米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
    米 企業決算 → アルコア
  • 1/19(木)
    豪   豪12月雇用統計
    日   12月貿易統計
    トルコ トルコ中銀政策金利発表
    欧   ユーロ圏11月経常収支
    欧   ECB議事要旨(12月会合分)
    欧   ラガルド・ECB総裁講演
    米   新規失業保険申請件数
    米   12月住宅着工件数
    米   12月建設許可件数
    米   1月フィラデルフィア連銀景況指数
    米   コリンズ・ボストン連銀総裁講演
    米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
    米   企業決算 → ネットフリックス、P&G
  • 1/20(金)
    日 12月消費者物価指数
    独 独12月生産者物価指数
    欧 ラガルド・ECB総裁講演
    英 英12月小売売上高
    米 12月中古住宅販売件数
    米 ウォラーFRB理事講演
    加 カナダ11月小売売上高
  • 1/21(土)
  • 1/22(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。