先週のドル円は127円台前半から130円台半ばで推移し、目立った方向性は示さなかったものの、相変わらず値幅は大きく、神経質な動きを続けています。年初から「円高ドル安」方向で取引が始まった割には、その後の勢いはやや鈍化しており、ドルの下落を見込んでいる投資家にとっては「いまいち下がらない相場」にストレスも溜まってきそうな状況です。一方でドルの反転を予想している投資家にとってはその逆で、「ドルが底堅いものの、上値は重い」といった印象があるものと思います。しかし、それでも日足チャートを見ればトレンドは歴然で、昨年10月21日の151円94銭を頂点として、それに次ぐ11月4日の高値を結ぶ右肩下がりの線を引くと、ドルの下落傾向ははっきりと描くことができます。そこでは、ドル円がこの「レジスタンス・ライン」をほぼ上抜けできない状況が続いていることが見て取れます。従って、この「レジスタンス・ライン」をローソク足が引け値ベースで超えた際には注意が必要です。ドルが目先の底を打って、上昇に転じる可能性のある「初期のサイン」と見る事が出来るからです。トレンドの転換を示唆するサインとして意識しておきたいところです。
今年最初のFOMCまであと1週間ほどです。市場ではこれまでに行った多くのFOMCメンバーが言及している「0.25ポイントの利上げ」でほぼ間違いないものと思います。FOMCメンバーによる「フォワードガイダンス」と受け止めることが出来ます。その前に、今週は注目の12月のPCEインフレ指標が出ます。FRBはCPIよりもより実態に近いとされる本指標を重視していると言われ、事前予想ではデフレータが年率で「5.0%」(11月は5.5%)と見込まれ、コアデフレータも「4.4%」(11月は4.7%)と、いずれもインフレ率の鈍化が予想されています。(いずれも前年同月比)これらの指標を踏まえて、2月1日に政策金利の引き上げと、その後にはパウエル議長の記者会見もあります。政策金利については繰り返しになりますが、0.25ポイントで決まりかと思います。焦点のパウエル議長の会見では、引き続きインフレの動向には慎重な姿勢を崩さないとみています。政策当局者とすれば、常に先走る市場をけん制し続けるという意味でも、当然のことと思います。よほどインフレの低下に好材料でもない限り、楽観的な見方は封印されると予想します。言葉の中から次回3月の利上げスタンスを占うヒントでも掴み取れれば、ラッキーといったところでしょう。次回の会合で0.25ポイントの利上げを行い、3月の会合でも最後の0.25ポイントの利上げを行う。そして、その後しばらく様子を見るというのがメインのシナリオで、3月会合で利上げが見送られる可能性があるのかどうかもその先の焦点の一つになります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。